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生活保護者の集いコミュの「ホームレス平均年齢63歳」調査で浮かび上がる「あえて路上生活を選ぶ人々」の実態

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https://www.news-postseven.com/archives/20220430_1750005.html?DETAIL

 厚労省が4月26日、5年ぶりに「ホームレスの実態に関する全国調査」の結果を発表した。コロナ禍で初の発表となった今回の調査から見えてきた路上生活者の実態とは。東京のドヤ街・山谷地区で路上生活者を取材した介護ジャーナリスト・末並俊司氏が読み解く。

 * * *
 路上生活者の平均年齢が年々上がっている。4月26日に発表された最新調査では、厚生労働省が調査を始めた2003年以降で過去最高の63.6歳となったことがわかった。

 厚労省は概ね5年に1度、路上生活者の実態調査を実施してきた。コロナ禍では初めてとなる今回の調査では、東京23区や政令指定都市などで1169人に面接した。年齢別で最も多い層は70歳以上の34.4%だ。次いで65?69歳の20.0%。高齢になるほどその割合が増える傾向にあることがわかる。

 筆者が特に注目したい調査項目は、「路上生活の期間」だ。10年以上が40.0%で前回から5.4ポイント増加し過去最高を記録。5年以上を合わせると6割近くに上る。いったん路上生活に陥ると、なかなか抜け出せない。そんな実情が明らかになった。

 筆者は2010年から路上生活者が多く住む東京都の山谷地区を取材し、著書『マイホーム山谷』にまとめた。その経験を元に、数字だけでは見えてこない、路上生活者の実態を報告する。

 不況の煽りを受けて仕事が減り家賃が払えなくなった。病気やケガで仕事が続けられなくなった。会社が倒産し失業した──。路上生活に至る理由は様々だ。生活保護を受けてアパートに入るケースもあるが、その方法を選ばない人も多い。

 東京都台東区の東京都立上野恩賜公園(通称:上野公園)で出会った70代の路上生活者・Aさんはこう語ってくれた。

「数年前にさ、ある団体の紹介で福祉(生活保護のこと)の世話になったんだけど、もう二度と嫌だな。千葉の奥の方まで連れて行かれて散々な目にあった」
 
 健康で文化的な最低限度の生活を送るために使われる生活保護制度だが、長年路上生活をしてきた人の場合、一般のアパートなどに入る前に「中間施設」と呼ばれる場所になかば強制的に入れられるケースがある。そうした場所で家賃を払う生活に慣れてもらってからアパートがあてがわれるのだ。

 中間施設は行政が民間業者に委託するかたちで運営されている。中には悪徳と言われても仕方ない業者もあり、劣悪な環境の大部屋に利用者を押し込み、生活保護費を巻き上げるといったことが実際に行われている。前出のAさんは「ノミやシラミがうようよするような部屋に入れられた」と吐き捨てるように語った。

「自ら路上生活を望む」実態も
 無事アパートで暮らし始めても、すぐにまた路上に戻ってしまう人もいる。山谷の街で出会ったマサさん(90)の話。

「だってアパートは一人ぼっちで寂しいでしょ。でも公園なんかには仲間がいるからね。行けば話を聞いてくれるでしょ。だから戻っちまうんだよ」

 そんな理由でつい最近まで路上生活だったマサさんも寄る年波には勝てず、今は生活保護を受けながら山谷のドヤ(簡易宿所)に暮らしている。

 そもそも生活保護を受けたがらない人もいる。山谷の街にある民間ホスピス「きぼうのいえ」の元理事長・山本雅基氏が語る。

「コロナ禍で生活困窮者が急増したためにかなり改善されてはいるのですが、以前は生活保護を受けるとき、行政側は”扶養照会”を厳しくやっていた。扶養義務のある家族に連絡を取って支援の意思があるかどうかを問い合わせるんです。これを嫌がって制度を使わない人が多い。自分が生活困窮者であることを家族に知られたくないんですね」

 かく言う山本氏も現在は生活保護を受けて暮らしているのだが、その経緯については拙書『マイホーム山谷』に詳述したのでここでは割愛する。

 さらに、生活保護を受給してアパートなどに住むよりも、路上生活を続けるほうが得と考える人も一定数存在する。

 生活保護を受けるには、住んでいる自治体で申請をする必要がある。つまり、保護対象者は住所が確定していなければ、そもそも生活保護を申請することができない。家賃を支払って住居を得ることが必要条件なのだ。

 すると、家賃が高くついて“手元の現金”が減ってしまうことを避けるために、あえて路上にとどまることを選択する人が出てくる。路上生活を実際に体験し『ルポ路上生活』にまとめた國友公司氏が解説する。

「生活保護費の満額は単身者の場合13万円ほどです。対象者に年金などの収入がある場合、それを差し引いた額が支給されます。例えば年金が9万円だとすると、差額の4万円が生活保護費として支払われるのですが、都内ではアパートの家賃が生活保護費より高くつき、月の手取りが年金額を下回ってしまうケースもある。だったら保護を受けずに9万円まるまる手にしたほうが得ということで路上生活を選ぶ人も多いんです」

 厚労省の調査からもそうした状況が見てくる。「今後どのような生活を望むか」の問いに「アパートに住み、就職して自活したい」と答えたのは17.5%で、「アパートで福祉の支援を受けながら、軽い仕事をみつけたい」が 12.0%であるのに対し、「今のままでいい」と答えた人は 40.9%に上る。

 路上生活から抜け出せないのではなく、あえて抜け出さない人もいるということだ。他者からどう見えようが人にはそれぞれの事情があり、一様に語ることはできない。山谷を取材しているときにも度々感じたことだ。

 単に数字だけを見るのではなく、その裏にある本音を探ることで問題の本質が見えてくる。

【プロフィール】末並俊司(すえなみ・しゅんじ)/1968年、福岡県生まれ。介護ジャーナリスト。日本大学芸術学部を卒業後、1997年からテレビ番組制作会社に所属し、報道番組制作に携わる。2006年からライターとして活動。両親の在宅介護を機に、2017年に介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)を取得。『週刊ポスト』を中心として、介護・福祉分野を軸に取材・執筆を続ける。4月26日発売の近著『マイホーム山谷』で第28回小学館ノンフィクション大賞受賞。

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