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生活保護者の集いコミュの貧困パンデミック3年目へ 政治はいつまで場当たり的な対策を続けるのか

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https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220411/pol/00m/010/018000c?utm_source=newsshowcase&utm_medium=gnews&utm_campaign=CDAqEAgAKgcICjDH194KMOS91gEwmrlH&utm_content=rundown

生活困窮者向けの医療相談会で、体調が悪いと訪れた男性(右)にフェイスシールドを着けて対応する看護師たち=東京都豊島区で2021年9月11日、小出洋平撮影
 2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大に伴う国内初の緊急事態宣言が発令されてから、2年という歳月が経過した。

 私はコロナ禍の経済的影響により貧困が急拡大している状況を「貧困パンデミック」と呼び、政府や自治体に貧困対策の拡充を要望してきた。残念ながら、今年に入り、国内の貧困問題に関するマスメディアの報道は減少し、社会的な関心は薄れつつあるが、生活困窮者支援活動の現場では依然として深刻な状況が続いており、「貧困パンデミック」状況は3年目に突入している。

追い打ちをかける物価高騰
 生活に困窮する人々の家計に追い打ちをかけているのが、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけとする物価高騰である。

みずほリサーチ&テクノロジーズは3月22日に発表したリポートで、物価高騰による家計への影響について、低所得者ほど相対的に重い負担がかかるとの試算を発表した(注1)。

 それによると、政府による燃料油価格の激変緩和措置が続いたとしても、年収300万円未満世帯で年間約4.3万〜4.9万円の負担増になる見通しだとのことだ。リポートの末尾は「仮に資源価格の高騰が続けば、日本経済は記録的な物価上昇局面を迎えることになる。厳しい経済状況に置かれる懸念がある家計に対し、きめ細かな対策が求められる」という言葉で締めくくられている。

 昨年来、東京都内各地のホームレス支援団体による食料支援の現場に、住まいを失った人だけでなく、住まいはあるものの食費を切り詰めるために支援物資を受け取りに来る家族や若者、女性の姿が目立つようになった。物価高騰が続けば、こうした傾向はさらに強まるだろう。

「年越し支援・コロナ被害相談村」を訪れた人たち=東京都新宿区で2021年12月31日(共同)
「年越し支援・コロナ被害相談村」を訪れた人たち=東京都新宿区で2021年12月31日(共同)
制度はこのままでいいか
 物価高騰対策に政治も動き始めている。岸田文雄首相は3月29日、「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を4月中に策定するよう、関係閣僚に指示しており、対策には生活困窮者への支援策も盛り込まれる予定だ。

 4月6日には参院自民党の「不安に寄り添う政治のあり方勉強会」(座長=世耕弘成参院幹事長)が、子育て世帯を含む困窮世帯への1人10万円の現金給付を求める緊急提言を党の「経済成長戦略本部」に提出した。

 野党でも、立憲民主党が時限的な消費税減税やワーキングプア、低年金者、低所得子育て世帯に5万円を支給することなどを盛り込んだ緊急経済対策をとりまとめる等、活発な議論が続いている。

 与野党が緊急対策として低所得者への現金給付を実施する必要があるという点については一致しつつ、その金額や対象者の範囲設定について意見を戦わせるという状況は、昨年10月の衆院選における論戦を思い起こさせるものである。

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 低所得者への現金給付を迅速に実施する必要性については私も異論はないが、同時に私が与野党に求めたいのは、「生活困窮者を支える恒久的な制度はこのままでよいのか」という本筋の議論に力を入れていただきたいということである。

生活困窮者の支援者らと車座になって話し合う岸田文雄首相(中央)ら=東京都新宿区で2021年12月27日(代表撮影)
生活困窮者の支援者らと車座になって話し合う岸田文雄首相(中央)ら=東京都新宿区で2021年12月27日(代表撮影)
家計を直接支える必要
 コロナ以前、生活保護制度と並ぶ貧困対策の柱と目されてきたのは生活困窮者自立支援制度である。

 08年のリーマン・ショックを発端とした世界金融危機は、日本国内における貧困の存在と対策の脆弱(ぜいじゃく)性を明らかにした。

 生活困窮者への支援強化をめざす政府内の検討は09年に始まり、13年には「生活保護の手前で生活困窮者の自立を支援する」という触れ込みで生活困窮者自立支援法(困窮者支援法)が制定された。同法に基づく支援制度(困窮者支援制度)は15年度から実施されているが、今年後、厚生労働省は困窮者支援制度と生活保護制度を一体的に見直すという目標を掲げ、有識者による論点整理の議論を進めている。

 今年4月11日に開催された「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ」に提出された「生活困窮者自立支援のあり方に関する論点整理(案)」という資料には「コロナ禍は、社会の脆弱性を照らし出し、その影響は世代・属性を超えて非常に広範囲に及んだ」という指摘がある(注2)。

 この点については私も賛同するが、その後、困窮者支援法の意義について「コロナ禍において法が生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たしたこと、すなわち法が必要不可欠なものであることが改めて認識された」との評価が書かれていることについては首をかしげざるを得ない。

 私は困窮者支援法が国会で審議されている時から、法が想定する支援メニューが相談や就労支援に偏っており、生活に困窮する世帯の家計を経済的に支える仕組みがほとんどないことを批判してきた。

 困窮者支援制度ではよく「伴走型支援」ということが言われるが、その言葉はともすれば、生活保護制度のように低所得者の家計を直接支えることを回避するための方便として使われているのではないか、という疑念を私は持っている。

 困窮者支援制度の支援メニューで、唯一、金銭的支援があるのは住居確保給付金という期限付きの家賃補助制度である。同制度のメニューで、コロナ禍で最も活用されたのが、この給付金であったというのは非常に示唆的である。

生活困窮者支援で配られた食事=東京都新宿区で2021年10月2日、宮武祐希撮影
生活困窮者支援で配られた食事=東京都新宿区で2021年10月2日、宮武祐希撮影
苦しい人に借金をさせる「福祉」
 コロナ禍による貧困拡大によって露呈したのは、困窮者支援制度の限界に他ならない。生活に困窮する当事者に「伴走」はするものの、「なるべく現金を渡さない」というスタイルの支援では、目の前で生活に困っている人を経済的に「下支え」することはできないからである。


 困窮者支援制度の代わりに、コロナ禍で生活に困窮する人々を経済的に支えたのは、各地の社会福祉協議会(社協)を窓口にした特例貸し付けである。

 20年3月以降、社協の貸し付けの要件は大幅に緩和され、金額も最大200万円まで引き上げられた。その結果、今年3月末までに貸し付けの決定件数は318万件を突破し、貸し付けの総金額は約1兆3700億円に上っている。

 コロナ禍における政府の貧困対策の柱が貸し付けであったということの問題点については、私を含め、これまで多くの人々が指摘してきた。実際に窓口を担当している社協職員からも「苦しい状況の人に借金をさせている、これが福祉なのか疑問に思う」という声が出てきているほどである(注3)。

「年越し支援・コロナ被害相談村」で用意された食材=東京都新宿区で2021年12月31日(共同)
「年越し支援・コロナ被害相談村」で用意された食材=東京都新宿区で2021年12月31日(共同)
場当たり的な対策だけでは
 昨年夏、デルタ株を中心とする第5波が広がり、上限の200万円まで借り切った人が続出したことを受けて、貸し付け中心の貧困対策の限界が明白になった。秋の衆院選では現金給付のあり方をめぐって与野党による議論が巻き起こったが、結果的に実現したのは、子育て世帯と住民税非課税世帯のみを対象とした単発の臨時特別給付金(10万円)だけであった。

 今回、物価高騰対策でもまた現金給付が話題になりつつあるが、政府・与党が想定しているのは同様の単発の対策であろう。

 コロナ禍の収束が一向に見えず、国際情勢が経済に与える影響も深刻化する中、「貧困パンデミック」状況のさらなる長期化は避けられない状況だ。

 貸し付けや単発の現金給付に意味がないわけではないが、政治はいつまで場当たり的な対策だけで人の目をくらまそうとするか、と私は思わざるを得ない。

 恒久的な家賃補助の創設や生活保護を利用しやすくするための改革(扶養照会の撤廃や基準の引き上げ、資産要件の緩和等)、最低賃金の引き上げなど、生活に困窮する人たちの家計を長期にわたって「下支え」できる対策の実現に向けて、政治家は意見を戦わせてほしい。

台車に荷物や缶を乗せ、鉄脚下で雨をしのいでいた男性(右端)に話しかけるボランティア=東京都大田区で2021年9月14日、小出洋平撮影
台車に荷物や缶を乗せ、鉄脚下で雨をしのいでいた男性(右端)に話しかけるボランティア=東京都大田区で2021年9月14日、小出洋平撮影
 (注1)「ウクライナ危機で生活必需品価格が高騰〜低所得者の生活支援が求められる〜」(3月22日付)

 (注2)第3回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ資料

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