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生活保護者の集いコミュの吃音に苦しむ33歳男性が「雇い止め」に遭う理不尽 「肩をガクッと落として歩いていた」が理由?

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https://toyokeizai.net/articles/-/579571

現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「『休み時間に仕事をしない』『自分から残業していいか聞きに来ない』などを理由に」と雇い止めされたという33歳の男性だ。
「話し方が周囲を不安にさせる」という理由
吃音に悩むタカオさん(仮名、33歳)は、これまで何度も理不尽な雇い止めを経験してきた。吃音とは「わ、わ、わたし」などと同じ音を繰り返したり、滑らかに話せなかったりする症状のこと。タカオさんの場合はそこに、新しい環境では極度に緊張するという特性が加わる。このため、転職して最初の1、2カ月は表情のこわばりや、疲れから仕事の効率が落ちることもあるという。


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20代のころは、一般雇用枠で吃音のことを周囲に明かさずに働いていた。そのときは「話し方が周囲を不安にさせる」という理由で雇い止めにされたことがある。その後、障害者枠での就職に切り替えたものの、今度は「電話応対ができない」としてクビになった。昨年末には上司らから「(入社直後)肩をガクッと落として廊下を歩いている姿を見たという指摘が社内でたびたび出ていた。社会人としての常識的な立ち振る舞いができていない」などと言われ、またしても雇い止めになった。

タカオさんは不安と憤りが入り交じった口調でこう訴える。

「障害者雇用にしてからは、吃音や、外部からの電話応対が難しいこと、仕事に慣れるまで1、2カ月かかるといった特性については、採用時にすべて会社に伝えています。それなのにその障害特性を理由に切られてしまう。いったいこれから私はどうすればいいのか……」

自身の吃音を自覚したのは、地元の関西地方にある大学院に在籍し、就職活動をしていたとき。いざ面接に臨むと、声帯がこわばったようになり、言葉が出てこなかったのだ。やっと話せたと思ったら、異様に早口になってしまうこともあった。集団面接で自分だけほとんど話せなかったり、名前すら満足にいえなかったりもしたという。

さすがにおかしいと思い、医療機関を受診したところ先天性の吃音症と診断された。「落ち込みましたが、覚悟を決めるしかないと思いました」とタカオさんは振り返る。とはいえ、できることは、自己紹介や志望動機を繰り返し練習することくらい。

当時はリーマンショックの余波が残る就職氷河期でもあった。大学院での専攻は理工系だったが、就職できたのは畑違いの飲料関係の会社。正社員だったものの、コミュニケーションが求められる生産管理の現場に配属され、吃音がネックになったこともあり、1年ほどで退職を余儀なくされたという。

その後は派遣会社に登録し、医薬品などの研究開発職に就いた。専門知識を生かせたし、月収も25万円ほどだったものの、雇用期間は細切れ。「話し方が周囲を不安にさせる」という理由で雇い止めにされたのは、このころのことだ。そこまであからさまにいわれることはなくても、疎外されている、浮いているという雰囲気はずっと感じていたという。

30歳を超え、長期キャリアを形成したいと、障害者手帳を取得。転職エージェントを利用し、障害者枠の直接雇用での仕事を探した。しかし、「トライアル雇用」の期間満了や契約期間満了などにより、立て続けに1年足らずで雇い止めになってしまう。

努力しても治らないことも多い「吃音」 
ここで吃音についてもう少し詳しく説明しよう。

かつては「どもり」ともいわれた吃音。幼児期に発症するケースがほとんどで、多くは自然に治るが、大人になっても症状が消えずに残る人が全人口の1%ほど存在するとされる。努力や訓練をしても治らないことも多い。また、発達障害と併発するケースもあるといわれ、最近の研究では、原因として脳の機能障害や遺伝的な要因が指摘されつつある。

幼少期に吃音のせいでからかわれたり、注意されたりしたことがきっかけとなり、話すことに不安や苦手意識を持つようになってしまうことも少なくない。成長するにしたがって、人前で話すときに極度の緊張や恐怖といった心理的負担に苦しむ人もいる。

こうした負の経験の積み重ねから、吃音を隠そうとして、結果的に「不愛想」「あいさつをしない」などと言われてしまう人も、中にはいるのではないだろうか。

タカオさんが編集部に取材依頼のメールをくれたのは、昨年末に自身を雇い止めにした会社の対応があまりにひどかったからだという。

タカオさんがこの会社に転職したのは1年ほど前。障害者枠での採用で、月収約25万円、雇用期間8カ月の契約社員だった。医薬品の研究開発職で、自分では問題なく働けていると思っていた。ところが、契約期限が近づくと、人事担当者から更新はしないと告げられたという。

これまでも理不尽な目に遭ってきたタカオさんは、その後の人事担当者や上司とのやり取りをすべて録音した。それによると、雇い止めの理由として冒頭で拳げた「肩を落として廊下を歩いていた」に加え、次のようなことを伝えられた。

➀一般雇用のほかの社員に比べて60%しか仕事ができていない、➁日報の内容が不十分、➂できていない部分を補うために昼休みを使って仕事をしたり、自ら残業をしたいと申し出たりといった姿勢が欠けている、➃がんばって正社員になろうという意欲が感じられない、➄主任やリーダーなど実務の中心になってくれる人材を求めて採用したのに、そのニーズにマッチしていない――など。

昼休みにサービス残業をせよというパワハラは論外だし、がんばりや意欲といった精神論もさておくとして。業務の達成度や日報について、実際はどうだったのだろうか。タカオさんは「私からの一方的な話になってしまいますが、構いませんか」と前置きしたうえで、次のように反論した。

「ほかの社員は(医薬品の)試験と書類作成を担当していましたが、私が任されていたのは試験だけなので、達成度など比べようがありません。試験の本数だけでいうなら、少なくともほかの社員の3、4倍はこなしていました。そもそも私は直属の上司から残業はしないよう命じられていたんです。日報とは業務報告のようなもので、(内容が不十分との)指摘を受けて同僚の日報を見せてもらいましたが、内容的に遜色はありませんでした」

アルバイトなら雇ってもよいと提案されたが…
タカオさんによると、試験結果に誤りがあったり、やり直しを命じられたりしたことは、ほとんどなかった。それだけに「なぜ雇い止めになるのかわからない」。肩を落として歩いていたとの指摘については、「自分がどんな姿で歩いていたか、正直わかりません。でもそれを理由にするのはあんまりじゃないでしょうか」と訴える。

私が、タカオさんと上司や人事担当者とのやり取りについて、雇い止めの理由以上に理不尽だと感じたのは、彼らが吃音のせいでうまく反論できないタカオさんの言葉を遮り、畳みかけるような話し方をしていたことだ。上司の1人は言いよどむタカオさんに対し、「(会社の要求にこたえられないなら)一作業員として製造ラインとかでお弁当をつくったり、ルーチンみたいな? 同じことをやっていればいいのでは?」と言い放っていた。

結局、会社側は収入ダウンになるアルバイトであれば、雇ってもよいと提案。タカオさんはやむなく応じたものの、そのアルバイトも3カ月後には雇い止めにされた。

担当の転職エージェントからは「経歴が汚れてしまいましたね」と、今後の転職活動は一層厳しくなることを示唆された。勤続期間が短いと、それだけで採用担当者から敬遠されるのは事実だ。担当エージェントからは、コロナ禍で障害者の解雇や雇い止め、パワハラが増えているという話も聞いたという。

たしかに厚生労働省は2020年11月、同年4〜9月の半年間で、業績悪化などを理由に企業を解雇された障害者は1213人に上ったというデータを公表した。コロナ禍前の前年同期と比べると40%もの増加。雇い止めとなればさらに人数は多いと思われる。コロナ禍貧困の現場では、社会的に立場の弱い女性の非正規労働者が解雇・雇い止めにされるケースに数多く遭遇したが、障害者も例外ではなかったというわけだ。

会社は能力の有無で判断したのか?
取材では、事前にタカオさんから吃音があると聞いていた。話をしてみると、たしかに最初の音を繰り返すことはあったし、私が聞き返したりすると焦ったように早口になる場面もあった。ただ意思疎通は問題なくできたし、会話のスピード感についても大きな支障は感じなかった。一方で録音データがあることもあり、タカオさんの主張には相当程度の信憑性があるように思えた。

推測にはなるが、会社は能力の有無によってタカオさんを雇い止めにしたわけではなく、ただ単に「変わった話し方で、周囲とは少し違う振る舞いをする人」を排除したかっただけなのではないだろうか。

障害者雇用促進法は解雇・雇い止めを含めて障害者への差別的な取り扱いを禁止している。一方で労働基準法や労働契約法を見ると、期間満了に伴う雇い止めは無期雇用転換権が発生していたり、更新を繰り返したりしていない限り、原則違法とはいえない。

このように企業による雇い止めには一定の法的根拠がある。しかし、職場は“仲良しこよし”をする場ではない。多くの人々にとって、働き続けることは生きるための糧を得る手段でもある。「少し変わっている」という理由だけで排除されてはたまらない。能力に著しい問題がなければ、かりに法制度上問題がなかったとしても、雇い止めに対してはできるだけ抑制的になるのが社会的存在でもある企業の役割ではないか。

現在、タカオさんは1人暮らし。収入は月十数万円の失業保険で、将来への不安から失業後は1日1食でしのいでいるという。給与水準のことも考え、今後も研究開発の仕事を探すつもりだが、引き続き障害者枠に応募するべきなのか、それとも一般雇用に戻すべきなのか、決めかねているという。

タカオさんは「まっとうな会社で働きたい」と繰り返した。まっとうな会社とは何か、と尋ねると、「まずは自分の仕事の成果を評価してほしい」と答えた。

当たり前のことのようにみえるが、吃音に悩むタカオさんにとってそのハードルははてしなく高い。

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