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生活保護者の集いコミュの大阪ビ大阪ビル放火の容疑者が深めた「社会的孤立」 どこかで救うことはできなかったのか〈AERA〉ル放火の容疑者が深めた「社会的孤立」 どこかで救うことはできなかったのか〈AERA〉

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https://news.yahoo.co.jp/articles/60456bfc93538c4c5d5e0a1ea1ea92c5c9c8b769

 大阪の雑居ビル放火事件で、容疑者の足取りから「社会的孤立」が浮かび上がる。犯行に至る前に、社会は救いの手を差し伸べられなかっただろうか。AERA 2022年3月7日号の「孤独」特集の記事から。

【画像】結婚から事件を起こすまで…谷本容疑者の足取りはこちら

*  *  *

 昨年12月に大阪市北区の雑居ビルで起きた放火殺人事件では25人が犠牲となった。事件を起こしたとされる谷本盛雄容疑者(61)は事件現場の心療内科クリニックに通っていた患者だった。容疑者は死亡し、犯行動機の解明は難しくなったが、容疑者が経済的貧困を抱え、社会的にも孤立していた状況が明らかになっている。どこかで社会が手を差し伸べる機会はなかったのか、容疑者の足取りから検証した。

 容疑者は1985年に結婚し、妻と2人の息子と暮らしていたが、2008年に離婚。孤独感を募らせ、板金工として勤めていた工場でも無断欠勤を繰り返し、失踪した。妻に復縁を迫ったが拒否され、11年に無理心中を図ろうとして長男の頭部を包丁で刺したとして逮捕された。

 懲役4年の実刑判決が出て服役。出所後は更生保護施設に入ったことから、家族や親族らが身元引受人を拒否したことが窺える。生活はさらに困窮し、生活保護の申請も試みるが受給できず、一時得ていた家賃収入も途絶え、19年秋からは銀行口座の残高は1万円以下。ついに21年1月に0円になった。携帯電話の電話帳登録は1件もなく、通話履歴もなし。孤立していた。

■中高年単身男性の孤立

 法務省職員として刑務所や保護観察所での勤務経験がある浜井浩一・龍谷大学教授(犯罪学)は、元受刑者の生活再建の厳しさを指摘する。

「日本は罪を犯した人に排他的で、人に迷惑をかける人を許さないところがあります。それが犯罪を抑止し、国の安全を守っている側面もあるが、再犯率は非常に高い。それは一度罪を犯すと社会に戻っても居場所がないからです。人が罪を犯すのは、貧困や孤立などの理由で自尊感情が著しく低下しているとき。ここにいてもいいという『居場所』と、必要とされている『出番』がなく、自暴自棄になって再犯する人は少なくありません

 社会的孤立の実態に詳しい藤森克彦・日本福祉大学教授(みずほリサーチ&テクノロジーズ主席研究員)も言う。

「社会的に孤立している人は、そうでない人と比べて自己肯定感が低く、抑うつ傾向が強いことが指摘されています。貧困に陥っても助けを求める先がないので、一層悪化しがちです」

 国立社会保障・人口問題研究所の「2017年生活と支え合いに関する調査」の報告書によると、最も社会的に孤立しやすいのが高齢の単身男性。例えば、会話頻度を見ると、その15%が「2週間に1回以下」だった。現役世代の単身男性も8%と高い。藤森さんは、特に中高年の単身男性を危惧する。

「身寄りのない単身者でも、生活保護を受給すればケースワーカーがつき、判断能力が衰えていれば成年後見人が見守る。65歳以上になれば介護保険もある。しかし、中高年男性は働き盛りとみなされ、公的支援につながりにくく孤立に陥りやすい」

■相談が当たり前でない

 藤森さんによると、日本は未婚化や単身世帯化が急速に進む社会だという。一方で、「家族依存型福祉国家」と呼ばれるように、家族が大きな役割を果たしてきた。日本では心情的に「人様に迷惑をかけてはいけない」という文化が根強くて家族以外に頼ることが難しい。そのため、社会的孤立が深刻化しているのではないかという。

容疑者は17年2月と21年5月に大阪市此花区役所に生活保護を相談したが、受給に至らなかった。17年2月に関しては大阪府警が「家賃収入があったため」と説明している。生活保護は、資産があっても収入が一定以下で就労も難しければ受給は可能だが、受給要件は厳しく、厚生労働省の17年の推計では年間約30万人が受給に至っていない。

「容疑者に対して何かできたとすれば、生活保護を相談してきたときでしょう」

 前出の浜井さんはそう話す。念頭にあるのが、生活保護には至らないものの、生活に困窮している人を対象にした「生活困窮者自立支援制度」だ。15年に始まった国の制度で、容疑者が17年や21年に生活保護が受給できなかったときにこの制度をうまく利用できていれば、無料で相談支援員に相談し、必要な支援を見つけることもできた。

此花区役所によると、生活保護窓口から自立相談支援の窓口を紹介することもあるというが、個別の事例は個人情報を理由に公表できないという。現実として容疑者は孤立を深めていった。

「ただ、現状の生活保護の窓口の多くは、それだけの態勢は取られていません」(浜井さん)

 貧困問題に取り組む認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長もこう話す。

「国はさまざまな相談窓口を有機的に連携させることを奨励していますが、現場レベルでできているところは少ない。特に生活保護の担当窓口は忙しく、1人のケースワーカーが100人を担当するなど、つなぐ余裕がないのが実情です」

 大西さんはさらに、日本では「相談」の意味や価値が理解されていない点も指摘する。

「生活困窮者自立支援制度の意義は、相談相手として伴走してもらい、必要に応じて地域の支援メニューにつながることですが、日本では専門家に相談する文化が当たり前になっておらず、現金給付ではない支援には価値を感じてもらいにくい」

 容疑者は17年に生活保護利用に至らなかった翌月、事件現場のクリニックに通い始めた。「夜眠れない」などと訴えていたといい、通院回数は5年弱で100回を超えていた。容疑者にとってクリニックが社会との唯一の接点だったともいえる。

■英国は「社会的処方」

 英国では、社会的孤立や生活面に課題を抱える人に対し、かかりつけ医が患者団体や地域福祉などの社会資源につなぐ「社会的処方」が行われている。日本では現在全国7県でのモデル事業の段階だが全国で実施されるようになれば、適切に福祉につなぐことができるかもしれない。

 今回の放火には、ガソリンが使用された。19年の京都アニメーション放火殺人事件を機に、20年2月からガソリンスタンド事業者が容器への販売を行う場合は、客の身元や用途の確認、販売記録の作成が義務付けられている。不審な客を見つけた場合は警察への通報を求めているが、今回、容疑者は使用目的を「バイクに使う」と申告。虚偽申告を見抜くのは難しい。

 前出の大西さんは言う。

「経済的な問題はかなり心をむしばみ、周囲に借金をするなど人間関係も壊れます。支援につながるタイミングが早いほど、傷つき体験が少ないので孤立や貧困からの回復も早い。いま、コロナの影響で、経済的に苦しい人は爆発的に増えています。しんどいときに助けて、と言える文化をつくり、社会にさまざまな居場所を作っていく必要があります」

(編集部・深澤友紀)

※AERA 2022年3月7日号

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