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生活保護者の集いコミュの「遺体と10日間暮らし続けた」60代の弟が80代の姉を見殺しにせざるを得なかった事情

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https://president.jp/articles/-/54611?page=1

家族などの同居者がいるのに死亡後すぐに発見されない「同居孤独死」が問題になっている。ノンフィクション作家の菅野久美子さんは「例えば、私が立ち入った現場では、老老介護をしていた女性が同居孤独死していた。自己責任社会では誰もがそのリスクと隣り合わせだ」という――。
寝室に月明かりがさしている写真=iStock.com/idal※写真はイメージです
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その数、3年間で552人
年間3万人と言われる孤独死――。しかし、孤独死はもはや、単身の一人暮らしに起きる問題ではない。同居する家族がいるにもかかわらず、長期間遺体が発見されない同居孤独死が深刻化しているのだ。

私は長年孤独死という問題と向き合っているが、昨今よく出くわすようになったのが、この同居孤独死である。

2021年6月13日付の日経新聞によると、「家族などの同居者がいるのに死亡後すぐに発見されない『同居孤独死』が、2017〜19年に東京23区と大阪市、神戸市で計552人確認されていたことが分かった。同居者が認知症や寝たきりのため、死亡を周囲に伝えられない例があるほか、介護していた人に先立たれ衰弱死したケースもあった。全国的な調査はなく、実態はより深刻な可能性が高い。」と報じている。

社会から一家で孤立した結果、家族が亡くなっても、遺体を放置してしまう。または、一家で共倒れして、最後に残された家族が孤独死していた――。そんな現象が今日本社会の水面下のいたるところで起きている。同居孤独死が起こる背景には、家族そのものが社会から孤立しているという現状がある。


80代の姉が、60代の弟を長年にわたって介護
ある同居孤独死の事例を紹介したい。

コロナ禍の真っただ中の昨夏。すさまじい日差しと暑さをかいくぐって、私は特殊清掃業者とともに、とある分譲のマンションの一室に突入しようとしていた。マンションのドアの隙間からは、鼻孔をつんざくようなすさまじい臭いが漏れ出てくる。アンモニア臭と死臭が入り交じったような強烈な臭いだ。私はマスクと防護服に身を包み、完全防備で特殊清掃業者と共にその一室に飛び込んだ。

マンションは3LDKで、廊下を進んだところにあるキッチンのマットには、体液とも思われる黒い液体がこびりついていた。

この家で暮らしていたのは、80代と60代の姉弟だ。なんと、80代の高齢の姉が、60代の寝たきりの弟を長年にわたって介護していたという。

姉の遺体と10日間にわたって同居
「お姉さんの方はキッチンで亡くなっているね」

特殊清掃業者は、臭いの根源であるキッチンのマットをすぐに特定し、片付け始めた。リビングの端には介護ベッドが置かれていて、布団はどこかしこもぐっしょりと汚物にまみれていた。

特殊清掃業者が、一家の状況を教えてくれた。女性は、時たまヘルパーの助けを得ながらも、長年にわたって重度の糖尿病の弟をつきっきりで介護していたという。しかし年齢が年齢ということもあり、ある日キッチンで突然死してしまう。

弟である男性は寝たきりのまま身動きのとれない状態で、たった一人この部屋に取り残される。そして10日間もの間、誰にも見つけてもらえず、何とか部屋で命をつないでいた。

姉の死後、10日が経過した頃、ようやくヘルパーが一家を訪ねてきた。ヘルパーはその状況に驚き、慌てて救急に通報した。そして男性は何とか一命を取り留めた。

暗く、影が落ちている寝室写真=iStock.com/Willowpix※写真はイメージです
特殊清掃業者は部屋を見渡しながら、老老介護の過酷な現実を私にこう指摘した。

「ほら、廊下にもおむつが山積みになってるでしょ。お姉さんは弟さんの介護で、肉体的にも精神的にもすごく大変な状況だったと思うよ。ごみを捨てることも、片付けることもできなかった。

トイレの便器も黒ずんでいて、まともに使える状態じゃないよね。お姉さんは、あの年齢で毎日弟さんのおむつを替えて、介護をしていた。だから、きっと自分のことは後回しになっていたと思うし、部屋の掃除なんてできなかったんだと思う。こんな環境で暮らしていたら、体も悪くなるよね。何年も何年もそんな大変な状況で介護していたとわかるよね」


介護に追われ、気づけば社会から孤立
確かに部屋の中にはいたるところに宅配の段ボールやおむつが山積みで、ごみ屋敷と化していた。トイレは真っ黒で何年も掃除した形跡は無かった。確かに、女性は介護で精いっぱいな様子が伝わってくる。それは、老老介護の過酷な現実を伝えていた。

姉である女性が亡くなった後、何とか這いつくばって、外部に助けを求めようとしたらしい。しかしその体の状態では、玄関のドアにはたどり着くことができなかったのだろうと特殊清掃業者は推測する。

「介護をしていると日常に追われて必死で、社会から孤立しがちだよね。毎日が介護と生活で大変だから、お姉さんもすごく疲れてたんじゃないかな。男性はお姉さんが亡くなった後、自分も死ぬかもしれないって覚悟したと思うよ。ご本人からしたら、誰か助けてくれ! という極限の心境だったはず」

男性の命は辛うじて助かった。しかし今も長期間放置されたときの後遺症が残り、病院のベッドでの生活を余儀なくされている。それでもこの一家は、まだ運がいいといえるのかもしれない。

行政や民生委員の見守りからも見落とされがち
私が同居孤独死で危惧するのは、夫婦のみ、家族のみという閉じた関係性のみで支えあった結果、声を上げられない弱い立場の人が最後に取り残されて、命を落としてしまうという最悪の事態を目の当たりにしているからだ。

また一人暮らしではなく、家族で支えあっているという実態があるからこそ、行政サービスや民生委員の見守りからも見落とされがちという制度的な落とし穴もある。

昨今、80代の親が自宅にひきこもる50代の子どもの生活を支え、最終的に立ち行かなくなる8050問題が社会問題になっている。私自身かつて中学生の時にいじめに遭い、ひきこもりだった経験がある。

だから自分が社会から「取り残される側」になったかもしれないという思いを抱いている。当時の心境を振り返ると、心を閉ざしも孤独感を感じて、誰も頼れないと感じ、孤立していた。もし自分がひきこもったまま中年を迎え、親が亡くなった場合にどうすればいいかわからず、遺体を放置したかもしれない。そしてその後、最悪私自身が餓死などして、共倒れしたかもしれない。

だから、「同居孤独死」は、私にとって自分事でもある。


数千万円の貯金もむなしく、母の入院直後に孤独死
私はかつて50代の女性の孤独死現場に立ち会ったことがある。女性の父親は病死し、母親は介護施設に行き、一人残されることになった。女性は精神疾患を患っており、母親の死後、「これからどうやって生きていけばいいの?」というような内容の書き置きを残していた。私は彼女の戸惑いと不安が痛いほどに理解できた。

一家の親族は近所に住んでいたものの、長年寄り付かず、近隣住民とも付き合いが無かった。だからこそ、彼らは家族のみで必死に支えあうしかなかった。頼れるものはお金だけで、そのために尋常ならぬ節制をした痕跡があり、女性のために数千万円の貯金を残していた。

女性は、最後に支えあっていた家族を亡くして、途方に暮れただろう――。きっと家族以外に、誰も頼れる人がいないと感じていたはずだ。だからあの書き置きに自分の思いをつづるしかなかったのだ。彼女は社会から孤立し、不安を抱えたまま母親が入院した直後に、孤独死した。長く放置されたせいで、死因は不明だった。家族が死に物狂いでためたお金も、女性のために使われることはなかったのだ。

私はそんな女性の死がひとごとだとは思えない。私も、女性と全く同じような道をたどったかもしれないからだ。ひきこもっていた当時の心境を振り返ると、こうなったのは自分が悪い、とひたすら自分を責め続けていた気がする

背景にあるのは「過剰なまでの自己責任社会」
孤独死には、社会的孤立の問題が関連している。ひきこもっていた時代の私のように、自分たちで全てを背負い込もうとした結果、家族そのものが社会から孤立し、命を落としてしまう、そんな事例を取材でたくさん見てきた。

その背景にあるのは、過剰なまでの自己責任社会ではないだろうか。自分のことは自分で何とかしなければならない。家族の問題は、家族の中で何とかしなければならないという、無言の圧力ではないだろうか。

ひきこもり時代の私が抱いていたようなそんな思いや孤立感を一家は抱えていたのではないか。日本社会を覆う「自己責任」という病理が、人々を孤立というブラックホールに追い込むのだとすれば、しわ寄せがくるのは、声を上げられず、上げるすべすら知らない、社会的に最も弱い立場の人たちだ。深刻化する同居孤独死は、それは一人暮らしだろうが、家族がいようが、究極を言えば関係がないということを現している。

しかし本来であれば、それは家族や本人だけの問題でなく、私たちの社会全体で支えるべきだという認識が必要なのではないだろうか。

そんな現状がようやく理解されたこともあり、わが国ではコロナ禍において、イギリスに次いで二番目に孤独、孤立担当大臣が設置された。そして、内閣府は令和3年12月28日付で「孤独・孤立対策の重点計画」を策定した。


誰もが社会的孤立に陥る可能性がある
その中で、「孤独、孤立は、個人の問題ではなく、社会環境の変化により当事者が孤独・孤立を感じざるを得ない状況に至ったものである。孤独・孤立は当事者の自助努力に委ねられるべき問題ではなく、現に当事者が悩みを家族や知人に相談できない場合があることも踏まえると、孤独・孤立は社会全体で対応しなければならない問題である」

という基本的考え方を打ち出している。

孤独死の現場を長年取材してきた者として、この基本方針を私は大いに歓迎したい。孤独・孤立を巡って、まだまだ国の取り組みは始まったばかりだ。経済や社会状況が激しく変化し、不安定になる中で、誰もが社会的孤立に陥る可能性がある。だからこそ何らかのセーフティーネットを早急に整備しなければならないと思う。こういった国を挙げての取り組みはもちろんだが、同居孤独死の背景にある、社会的孤立の問題に多くの人たちが目を向け、最も弱い立場の人たちが、誰一人として取り残されない社会になるよう、願ってやまない。

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