ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの親ガチャ「外れ」諦める若者 家庭環境の格差拡大「神様のせいに」 中央大・山田昌弘教授

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://mainichi.jp/articles/20211208/dde/012/040/014000c

どんな親のもとに生まれてくるかで子どもの人生が決まってしまうという意味の「親ガチャ」。語源は、カプセル入りの玩具などが無作為に出てくる「ガチャガチャ」やソーシャルゲームでアイテムなどを引き当てることをガチャと呼ぶことからだそうだ。2021年の新語・流行語大賞のトップ10にも入り、特に若者の間では浸透している表現らしい。なぜ今、この言葉がはやるのか。「婚活」「格差社会」などの流行語の生みの親、中央大教授の社会学者、山田昌弘さん(64)が指摘する、その背景とは。

 「最初に聞いたときは、親がガチャガチャとかガミガミうるさく言うことなのかと思いましたが、意味を知ってなるほどと。発音しやすいのもいいですね」。東京郊外の中央大キャンパス。山田さんの研究室を訪ねると、第一印象をそう口にした。


 言葉がはやるためには、発音しやすいネーミングは重要だという。例えば、結婚を目指して積極的に活動する「婚活」。08年刊行の山田さんの著書「『婚活』時代」(白河桃子さんとの共著)から誕生した造語で、今やすっかり定着している。「『結活(けっかつ)』だと言いづらいですし、結核みたいです。『婚活』は『こん』と『かつ』の2シラブル(音節)で、親ガチャも2シラブル。発音しやすいんですよね」。さすが流行語を生む達人は、視点が違う。言葉の選び方も秀逸だという。「どの親から生まれてくるかは自分ではコントロールできない。それをくじや運で表現するよりも、具体的なガチャガチャの方が世間の人々はイメージしやすいですよね」

今も人気が高いカプセルトイ自動販売機=千葉県内で拡大
今も人気が高いカプセルトイ自動販売機=千葉県内で
 そこで疑問に思うことがある。子どもにとって親を選べないのは昔も今も同じだろう。なぜ今、「親ガチャ」なのだろうか。「今の時代は、親を乗り越えにくくなったからでしょう。高度成長の時代は親よりも子どもの方が高学歴になり、より良い生活ができるのが、わりと当たり前でした。つまり家庭ごとに大吉か小吉くらいの違いで、ほとんどが『当たり』でした。でも、今はどの親のもとに生まれるかで、子どもの人生が大きく左右されてしまうんです」


 低成長の平成や令和の時代。1億総中流と言われた昭和とは異なり、家庭によって大きな差が付いてしまったというのだ。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、1世帯当たりの平均所得金額は、1994年の約664万円をピークに減少傾向で、18年は約552万円。「今の高学歴層の親は、放っておいたら子どもが大人になった時、自分たちと同じ生活レベルを維持できないと思っています。だから子どもの教育に必死です」

 教育熱心な親の存在が理由だろうか、新型コロナウイルスの影響による「コロナ不況」と言われる中、少子化なのに首都圏の私立・国立中学受験者数は増加が続く。さらに日本の最難関大学と言われる東大の18年の調査では、東大生の60%超が年収950万円以上の家庭出身だ。一方、年収450万円未満の世帯は約13%である。データ上では、多くの教育費をかけられる家庭の子どもが高学歴になる傾向があるということになる。「親の経済力が子どもの学力につながり、格差が再生産されている状況です。残念ながら今は『外れ』と思う人が増えてきたから、親ガチャなんでしょうね」


 「親ガチャ」がはやったもう一つの理由。山田さんは、親の影響力がかつてに比べて強くなったことを挙げる。「私が子どもの頃は、親が仕事で英語を使ったり、海外に赴任したり、子どもを留学させたりする家庭なんて周りにほとんどいませんでした。でも今は、それほど珍しくはありませんよね」

 コロナの感染拡大で、テレワークをする人も増えたことだろう。このコロナ禍は、親の影響力の「見える化」に拍車を掛けたというのだ。「親が自宅でパソコンを使って仕事をしたり、リモート会議で英語をしゃべったりする家庭では、その様子を子どもが間近で見ています。今は単なる学力以上に、デジタル力や語学力が重要な時代。それらを使いこなす親の姿を知る子どもは、そうやって働くのが当たり前だと思い、同様の職業を目指そうと勉強に対するモチベーションが上がるのです」


 親の背中を見て子は育つということなのか。だがテレワークができるビジネスマンは、そうは多くないだろう。「オンラインで仕事ができるのは一部のホワイトカラーです。多くの人は家の外で働き、子どもはその様子を見ることができない。学校に行っている間は子どもの環境は平等ですが、家に帰ったときに差がつく。教育にかけられるお金の問題だけではなく、家庭環境や雰囲気が影響します」。「親は無くとも子は育つ」と言われたのは、今は昔のようだ。経済力以上に、親の影響力が強いご時世ということなのだろう。

 岸田文雄首相は、分厚い中間層の復活による格差解消を掲げ、トップに上り詰めた。「言っていることは素晴らしいのですが、今まで誰も有効な解決策を見つけられていません。さらに、中間層が減った今の二極化は、経済的な意味合い以上に家庭環境の差が大きい。その解消はとても難しいことです」。経済的な支援は必要だが、それだけでは埋まらないというのだ。

 では、今の日本において親の影響力が強いのはなぜか。格差が拡大したのは、バブル崩壊による低成長の平成の時代と重なると言われる。その平成に浸透したのが、貧困で苦しんだり病気になったりするのはその人の努力不足、本人が悪いという「自己責任論」の考え方だ。

 「日本や中国、韓国など東アジアの国々は、自己責任論イコール家族責任論です。教育も含めて家族で全部面倒を見ろという社会です。だからパラサイトシングルも生まれたんです」。パラサイトシングルとは、学校を卒業した後も親元で豊かに暮らす未婚の人を指す。親に寄生(パラサイト)しているように見えることから、90年代に山田さんが作った言葉だ。「当時は多くの親が正社員で働いていました。子どもの良い暮らしを保障するのは親の責任だから、収入の低い子どもを実家に住まわせて豊かな生活をさせても構わないという考え方です。今はパラサイトをさせる余裕がある家庭と、ない家庭の格差が大きくなってしまいました」

 家族責任論という考え方が、「親ガチャ」流行と関係しているのだろう。「欧米は親と子は別の人生という考えですが、日本は子どもの成功は自分の成功という意識がすごく強い。子どもが有名な大学や会社に入ったら、親は親戚や友人に自慢するでしょう」。確かにそういう自慢話を耳にした覚えはある。しかし、裏を返せば日本は子どもが大人になっても親の責任がついて回る社会ということなのか。「子どもが成人していても何か事件を起こすと、親のところに非難の手紙や電話が殺到するのが日本です」

 親子が切っても切れない関係が続く日本ならではの「親ガチャ」なのか。「『外れ』と思う人は、そういう家庭に生まれて運が悪かったから仕方ないと諦める。つまり、制度や社会のせいにして怒りをぶつけるのではなく、神様のせいにしておけば、負けた方も何となく納得できるんです」

 山田さんの明快な親ガチャの背景分析には納得できたが、何とも言えないやり切れなさが残る。メディアにできることは何か。自問自答しながら、研究室を後にした。【葛西大博】

 ■人物略歴

山田昌弘(やまだ・まさひろ)さん
 1957年、東京都生まれ。東大文学部卒。東大大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大教授を経て2008年より現職。専門は家族社会学。著書に「パラサイト・シングルの時代」「希望格差社会」など。近著に「新型格差社会」。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。