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生活保護者の集いコミュの貧困家庭を苦しめる「子育て罰」社会 親に子供の人数分の投票権を

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https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00110/00022/

「コロナ禍で、多くの困窮子育て家庭の経済状況が深刻さを増した。だが食料、教育費など支援はまだまだ足りない」と語るのは、NPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長だ。渡辺氏は日本で7人に1人の子どもが貧困という実態に目を向け、大学生やビジネスパーソンら、ボランティアが講師を務める形で、困窮家庭の中高生を対象にした学習会などを実施してきた。だがコロナ禍で、親が失業するなど困窮する家庭がさらに増え、政府からの支援も受けられず、食事の回数を減らしているといった実情を知り、食品の配布や奨学金の支給など活動の幅を広げている。「この国の将来を担う子どもたちの食料不足を放置して栄養状態を顧みず、教育においても不利な状況に置き去りにする政府は、あまりにも無策。ビジョンがない」と指摘する渡辺氏に、困窮子育て家庭が必要とする支援、状況を打開するためにできることは何かを聞いた。第2回。

(聞き手は日経ビジネス編集部シニアエディター、村上富美)

第1回はこちらへ

渡辺 由美子(わたなべ・ゆみこ)氏
NPO法人キッズドア・理事⻑ 千葉大学工学部出身。大手百貨店、出版社を経て、フリーランスのマーケティングプランナーとして活躍。 2000年から2001年にかけて、家族でイギリスに移住し、「社会全体で子どもを育てる」ことを体験する。 準備期間を経て、2007年任意団体キッズドアを立ち上げる。2009年内閣府の認証を受け、特定非営利活動法人キッズドアを設立。「親の収入格差のせいで教育格差が生じてはならない!」との思いから、経済的に困難な子どもたちが無理なく進学できるよう、日本の全ての子どもが夢と希望を持てる社会を目指し、子どもの貧困問題解決に向けて活動を広げている。 「内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議」メンバー、全国子どもの貧困・教育支援団体協議会 副代表理事を務める。(写真:鈴木愛子)
生活保護はセーフティーネットとして機能していない
前回、子どもの貧困の問題は解消されないままで、コロナ禍によりさらに苦しい状況の家庭が増えているというお話を聞きました。貧困の問題というと、困ったら生活保護があるからそれに頼ればいい、と考える人も多いと思います。渡辺さんから見て、生活保護制度は機能しているのでしょうか。

渡辺由美子氏(以下、渡辺氏):私たちが困窮子育て家庭に実施したアンケートでは、「どんなに苦しくても生活保護を申請したくない」と答えた人が22%に上りました。アンケートの調査対象の母体は、高校生以下の子どもが1人以上いる家庭で、年収200万円未満が65%、貯蓄も10万円未満が半数といった状況の方たちですので、十分生活保護の対象になる方たちです。さらに「できるだけ申請したくない」という回答も62%でした。要は8割の人は生活保護を求めていません。

生活保護は受け始めたら一生抜けられない
困っていても、生活保護は受けたくない。どういうことでしょうか。

渡辺氏:困窮子育て家庭の多くにとって、生活保護がセーフティーネットになっていないわけです。なぜかというと制度自体が時代に合っていない面があるからです。

確かに車があると受給できないとか、制約が厳しいということはよく聞きます。

渡辺氏:生活保護に関しては、少しずつ改善されていますが、いまだに車を持っていると言うと生活保護の申請を断られる方が多いようです。交通網が充実した都市部はともかく、車なしでは生活しにくい、通勤にも支障をきたすという地域は多くあります。そういう地域では子どもを病院に連れて行く、買い物に行くのにも車が必要です。

(写真:鈴木愛子)
つまりそうした基準が利用者の生活実態に合っていない面があるわけですね。

渡辺氏:アンケートでは「生活保護は一度受け始めると一生抜けられなくなる仕組みだ」と訴える方もいました。生活保護を受けるためには、貯金や積立保険などの資産の保持は原則、認められません。「私にもしものことかあったときを考え、子どものために死亡保険に入っていますが、生活保護になるとそれも解約しなくてはならず、生活保護にはならないよう切り詰めて生活しています」と話す方もいました。

 コロナで一時的に仕事がなくなり、生活保護を受けたいと考えても、コロナが明けて働くことを思えば車を手放すことをちゅうちょします。どうしようもなくなって生活保護を受け始めると、何もない状態から生活を立て直すことは難しく、抜け出せなくなる。過去に生活保護を受けた方からは、「抜けるのが本当に大変だった」という声が多く聞かれます。だから絶対に受けたくないという人は多いのです。

確かに、一度、資産をゼロにして生活保護を受け始めたら、改めて自立するのは相当ハードルが高そうです。

渡辺氏:一方で、決心して申請しようとしても「働けるでしょう」「親族に助けてもらえないのか」と窓口で言われて、生活保護の申請を諦めたという声が多く届いています。コロナの影響で失職や減収になり、どうやっても一時的に生活費が足りなくなったけれど、コロナが収束すればまた一生懸命働ける方々です。生活保護制度が、経済は成長し続けるという前提の下、「仕事を選ばなければ、誰でも働ける。働かないのは、高齢や病気、障害などで働くことが難しい人」という考えに基づいているように感じます。しかし今回コロナの感染拡大が起きて、働きたい人が全く働けない状況になったとき、その暮らしを支える手段としては、現行の生活保護制度はそぐわない、というのが実情です。

日本は「子育て罰」社会?
さらに生活保護世帯でお子さんが大学に入ると対応が必要とか。

渡辺氏:例えば、母1人子1人の世帯で生活保護を受けている場合、同じ家に住んでいても世帯分離という手続きを踏んで、大学生の生計を独立させなければなりません。少し前までは、生活保護のご家庭のお子さんは、高校を卒業したら働くのが当たり前でした。大学や専門学校への進学率が上がり、さすがに生活保護のご家庭の子どもが大学に行くのはけしからん、ということはなくなりました。今では、国も生活保護家庭の子どもの大学や専門学校への進学率も一般家庭の子どもと同じであるべきだという考えに変わりました。

 しかし制度が追いついていないので、現状では母1人子1人の生活保護家庭のお子さんが大学進学をすると、その後、生活保護を受けられるのは母親のみとなります。お子さんは、生活費をアルバイトで稼がなければなりませんが、コロナで思うようにアルバイトもできず、生活保護が減って生活費が全く足りない、何とか食料を送ってもらえないかといった切実な相談も私たちに寄せられました。

(写真:鈴木愛子)
この国は次の世代を育てようとしているのか、疑問に感じてしまう話です。

渡辺氏:仕事を失い収入がなくなっても、どん底に落ちないと支援が受けられないとでもいうような生活保護制度に代わって、なるべく早く復活できる仕組みが必要です。その一つの手段が、必要な人に迅速に現金を支給できる仕組みだと思います。そうした制度を平常時から整えておくべきではないでしょうか。

 日本では、結局、コロナ禍で、お金がない、食べるものもないという人たちを1年半以上放置せざるを得ないような状況になりました。キッズドアも子育て支援団体などと連携し、一斉休校となった20年3月から困窮子育て家庭を助けてくれと声を上げましたが、インターネット署名を行ったり、自前の調査や記者会見などを何度も行い、政府や政治家に何度も要望をしたりして、ようやく子ども1人あたり5万円の特別給付が決まる、という状況です。コロナの影響で仕事ができず、そのためにたくさんの子どもが満足にご飯を食べられない状況なのに、なぜ迅速な支援ができないのか? もし、私たちがこの要望を出さなければ、政府は飢える子どもたちに1円も給付しなかったのか? と恐ろしく感じてしまいます。

(写真:鈴木愛子)
声を上げる運動家がいるから支給する、という印象を受けたわけですか?

渡辺氏:家庭や環境にかかわらず、自国の子どもが飢えないようにするというのは、多くの国で最優先の政府の仕事だという話を聞きました。

 コロナ禍の日本では、すべての子どもに食べさせる、すべての子どもの教育環境を整えるということができていません。日本は、平時でも子育ての費用も、教育の費用も国の支援が少なく、多くを親が負担しなければなりません。日本は「子どもを持つほど家計が苦しくなる」「子育て罰」の国になっています。

産めば産むほど損、負担が重いというわけですね。

渡辺氏:子育て資金が少ない家庭でも、質の高い教育を無料で受けられるといった保証があればいいのですが、育てるのも親、教育も親の負担となると、子どもがいればいるほど、満足な教育も受けさせてあげられなくなります。子どもがたくさんいてもみんな無料で大学に行けますというのであれば、何とか頑張って産んで育てる気になるかと思います。しかし大学まで1人行かせるのに1000万円以上必要となると、全員進学させるのは大変です。一生懸命親が働いても貧困になるリスクが高いのです。子どもの数が増えるほど家計が圧迫される状況では、本当はたくさん子どもが欲しくても、多く産もうとは思わないでしょう。

 日本は先進国の中でも、子育て関連、特に教育への予算が少ない国です。まずは、せめて現在中学生までとなっている児童手当を高校生まで引き上げるなど、子ども関連の予算を増やすべきです。
子どもの人数分の投票権を親に!
コロナ禍の昨年は出生数が84万人と過去最低でしたが、このままではさらに急激に少子化が進みかねません。

渡辺氏:子育て家庭への支援議論として昨年、第1子の児童手当を3万円から5万円に、第2子は月1万円を3万円に増やし、さらに第3子以降は6万円に増額する案が出されました。フランス式の考え方で、とても有効だと思います。しかし、案だけで実行はされていません。

 ザクッと考えますと、昨年生まれた84万人のうち半分を女性と仮定すると42万人。この42万人全員が2人ずつ産んでようやく84万人を維持できるのです。少し古いデータになりますが、1990年に、生涯で出産しない女性の割合は38%でした。 42万人のうちで、子供を産む女性が6割とすると25.2万人しかいないのです。その方たちが「本当は子どもをたくさん欲しいけど、お金がかかるから1人しか無理だな」と思ったら、それこそ大変なことになるのです。

(写真:鈴木愛子)
子育てに希望が感じられる社会、抜本的に子どもへの政策を充実する方策はあるでしょうか。

渡辺氏:7人のお子さんを育てているお父様とお話をする機会があったのですが、その方が「一番の願いは、7人の子どもの投票権を自分に与えてもらうこと」とおっしゃっていたことが印象に残っています。

 自分は、子どもがたくさんいるとまともな暮らしができないこの国はおかしいと思っているけど、自分には1票しかない。この子たちの将来をつくるための投票権がないのはおかしいと。お父様はとても教養がある方なのですが、生活は苦しく、ご飯も卵かけご飯などしか食べさせられない状況です。広くない家での“ステイホーム”では、勉強なんかとても無理という環境で子育てをしておられます。

 少子高齢化社会の中では、シニア層の有権者の声が大きくなりがちです。でも困窮家庭への支援をはじめ、子育ての環境をよくする政策を進めるには、若い世代、子育て世代が行動し、自分たちの声を政治に反映する必要があります。

若い世代に対して「投票に行こう」と呼びかけて、大きな反響を集めていますね。

渡辺氏:前回選挙の投票率を年代別に見たところ、60代が72%と最高でした。一方で若者や現役世代の投票率は低いので、自分たちの声を政治に反映するには、まず投票に行こうと、75%の投票率を目指して呼びかけています。

 実際にネット上で若者や現役世代に重視する政策を聞いたところ、やはり「現役世代の働く環境の改善」「子育て環境の改善」など若い世代の問題が挙がっているのです。

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