ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの「冷蔵庫は空」「進学できない」 コロナが奪う困窮世帯の子どもの夢

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00110/00019/

「コロナ禍が長引く中、困窮子育て世帯の経済状況が深刻さを増している」と語るのは、子どもの貧困問題に取り組み、学習支援活動を続けるNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長だ。7人に1人の子どもが貧困という実態に目を向け、大学生やビジネスパーソンらボランティアが講師を務める形で、困窮世帯の中高生を対象にした学習会などを実施してきた。新型コロナの発生以降、親が失業するなど困難な状況に陥る家庭が増え、食事の回数を減らすといった状況も生まれていることから、キッズドアは食料などの支援も活動に加えた。

 「この国の将来を担う子どもたちの食料不足を放置して栄養状態を顧みず、教育においても不利な状況に置き去りにする政府は、あまりにも無策。ビジョンがない」と指摘する渡辺氏に、子どもたちの状況、必要とされる支援を聞いた。(聞き手は日経ビジネス編集部シニアエディター、村上富美)

コロナ禍が長引く中、渡辺さんは、困窮する子育て家庭への支援が足りないと警鐘を鳴らしています。

渡辺由美子氏(以下、渡辺氏):支援は全く足りていません。2020年には特別定額給付金10万円は出ましたが、子育て家庭には、それに加えて4月に1回、児童一人につき児童手当が1万円上乗せされたのみです。児童扶養手当を受けている一人親家庭の子どもには「臨時特別給付金」が2回出ましたが、コロナの影響で所得が減少した二人親家庭の子どもには1回も出ていませんでした。

 21年3月になって、困窮する一人親家庭と二人親家庭に5万円の給付が決まりましたが、二人親家庭の支給は7月以降となったところがほとんど。遅いし、不十分です。

金額も決して多くありませんね。

渡辺氏:Go ToトラベルやGoToイートには、1兆7000億円もの予算をつけて使っています。1人1回、宿泊費最大14万円を何度でも出したり、レストランへの休業補償は迅速に支払うために一律で1日6万円。もちろん足りないところも多いでしょうが、それだけもらえるなら閉めていた方がいいというお店もあるでしょう。それに比べると、子どもへの給付は、単発で額も5万円、3万円と、とても少ないと感じます。

渡辺 由美子(わたなべ・ゆみこ)氏
NPO法人キッズドア・理事⻑
千葉大学工学部出身。大手百貨店、出版社を経て、フリーランスのマーケティングプランナーとして活躍。 2000年から2001年にかけて、家族でイギリスに移住し、「社会全体で子どもを育てる」ことを体験する。
準備期間を経て、2007年任意団体キッズドアを立ち上げる。2009年内閣府の認証を受け、特定非営利活動法人キッズドアを設立。「親の収入格差のせいで教育格差が生じてはならない!」との思いから、経済的に困難な子どもたちが無理なく進学できるよう、日本の全ての子どもが夢と希望を持てる社会を目指し、子どもの貧困問題解決に向けて活動を広げている。
「内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議」メンバー、全国子どもの貧困・教育支援団体協議会 副代表理事を務める。
写真=鈴木愛子(以下同)
確かに、Go Toを利用できるのは比較的、余裕がある層ですね。

渡辺氏:私たちは別に毎月5万円出してくれと言っているわけじゃなくて、子育てをしている家庭はご飯が食べられないほど大変な家庭もあるので、とにかく1回出してください、とお願いしています。が、後回しでなかなか給付が決まりません。困窮する家庭からは「食事を1日2食にした」「冷蔵庫は空っぽ」という声が数多く届いています。

 21年4月、キッズドアがサポートする家庭を対象に実施した調査では、「お金がなくて必要な食料が買えなかった」という回答が全体(1972人)の50%に上り、昨年12月の調査(1233人)の37%に比べ、13ポイントアップしていました。

日本の貧困については、可処分所得の中央値の2分の1以下で生活するという基準の「相対的貧困」であり、「絶対的貧困」ではないから、そこまで深刻じゃないとおっしゃる方もいますが、深刻ですね。

渡辺氏: 今は、絶対的貧困状況に限りなく近いです。食べられないわけですから。相対的貧困というのは貧困ライン未満の人たちを指すわけですが、コロナ禍の影響で収入がマイナス、あるいは、限りなくゼロの人がたくさんいます。しかし、そこに対して現金給付などの支援はありません。

当座の生活費を支援する制度などは利用できないのでしょうか。

渡辺氏:政府は緊急小口資金や、総合支援資金、住宅確保給付金といったものがあるから、ぜひそれを使ってください、とおっしゃいます。しかし実際に困窮子育て家庭の保護者が利用しようとしても使えなかったという声はたくさん届いています。

どういうことですか?

渡辺氏:シングルマザーで3人の子育てをしている方が、パートの仕事がなくなってしまい、地元の社会福祉協議会に支援の申請に行ったところ、月々の家計のことを聞かれ、月の食費が1万5000円と言うと『もっと削れませんか?』と言われたそうです。

お母さんと子ども3人で月の食費が1万5000円ですか? どう考えても少なすぎます。それをさらに削れと言うのは、あまりにひどい。

渡辺氏:つまり、支援制度があると言っても、実態として全然使えない制度になっているのです。また、支援制度の多くは貸し付けです。給付ではなく、貸し付けであることがハードルになります。

キッズドアにはサポートする家庭から感謝とともに切実な声が寄せられる
返済が必要なわけですね。

渡辺氏:そうです。申請時に返済能力を見られるのです。例えば一人親家庭で子どもを3人育てている、この方のようなケースで、社会福祉協議会に相談に行き「コロナ禍で収入も減ってしまったので、コロナ支援の貸し付けを利用したい」と相談したら、「でもあなた、一人親で3人育てていて、これ、返せるんですか」と聞かれたそうです。「返せないんだったら貸すわけにいかないよね」と言って断られている、自分の周りもみんなそれで断られているということです。

 最初の緊急事態の時に、仕事に行けなくて困窮する人が出てしまう、本当はどんどん給付をしたいけれど、日本では給付の仕組みがないので、取りあえず社会福祉協議会を通じて貸し付けという制度を使います、でも、困窮している方は返済しなくていいですよ、という趣旨でスタートしたはずの制度でした。それなのに、実際に現場では、返済能力がないなら借りられない、ということが起こっています。
コロナ禍で子どもたちの「受験」が犠牲に
キッズドアは学習支援を続けていますが、教育への影響は?

渡辺氏:深刻な問題が起きています。困窮家庭が直面するのが、受験の壁です。高校生が大学受験ができない、という大変な状況になっています。

 20年10月に、キッズドアと姉妹団体のキッズドア基金が協力して生活困窮家庭(一人親世帯が全体の83%、世帯年収は200万円以下が58%、200〜300万円が24%)の高校3年生284人に5万円、高校2年生270人に3万円の奨学金を支給しました。大学進学をしたいけれど、お金がなくて受験ができないのは切ないので、何とか支援をしたいと思ったのです。今年の2月〜3月にかけて、お金の使い道などのアンケートをとったのですが、回答があった高校3年生119人のうち、4分の1が受験料に使ったと回答しました。次いで、参考書代や入学金に使ったという回答が多くなっていました。

5万円がなかったら受験できなかったお子さんもいらしたわけですね。

渡辺氏: はい私たちも驚きましたが、5万円もらったから何とか進学できたと聞くと、本当によかったなと思います。大学入学共通テストの受験料にしても、1万8000円ほどかかります。それが払えないご家庭も多いのです。

さらに私立の場合、受験料が1校3万円を超えますからね。

渡辺氏:調査に答えた119人中7割が大学受験で1校しか受けていませんでした。約半数は指定校推薦でした。本当は大学入学共通テストを受けたかったけれど受験料もないし、チャレンジできないから、確実に入るために本意ではない指定校推薦に進学していく子どもがたくさんいたのです。本当は国立を狙いたかったけど、チャレンジはできないから確実に行ける指定校推薦で進学するということです。「コロナの影響で親の収入は下がるし、自分もバイトもできない。だから本当は行きたかった学校をあきらめた。」という子どもの声も、たくさん届きました。

かわいそうですし、能力を発揮できないなら、もったいないです。

渡辺氏:優秀な子どもたちがチャンスを逃してしまいます。せめて国が実施する共通テストの受験料を無償化していただけたらと思います。

 コロナ禍で、大学受験をあきらめた子どももいます。日本は、少子高齢化ですから、仮に大学進学率が変わらなくても、大学進学者数は減ります。一方、国の競争力を見たときには、どれだけ優秀な人がいるかということが大事だと思いますが、日本はもともと子どもが少ないのに、コロナ禍で大学進学を諦めるというのは、本当に大きな損失だと思います。

世界各国はデジタルや医療の分野など人材育成に力を入れ、大学院進学率を高めるなど国を挙げて取り組むところも増えています。

渡辺氏:そうです。日本はかつてアジア域内では、大学進学率や初任給でもトップでしたが、その地位も危うくなっています。

 日本は子どもの数が減っているのですから、いかにサポートするかが重要だと思うのですが、優秀な子どもたちが、ただ数万円のお金がなくて大学進学をあきらめるような事態を放置しています。こんな国は、ほかにはないでしょう。

 昨年の受験サポート奨学金を受けた高校生のうち14%は浪人すると回答しています。しかし、予備校にも塾にも行けません。「今の受験は、課金と情報戦」と例えた子がいましたが、お金も情報もない中で大学受験を目指すこの子たちが一番不安だと思います。

最近は文部科学省が大学の入学者数を厳格化した影響もあって、合格が難しくなったと言われますね。

渡辺氏:この学部のこの学科はこの科目で受けた方がいいとか、君だったら、ここはこの科目で受ければ合格できる、みたいなことを、予備校に行っている子はちゃんとコンサルティングしてもらっている。予備校に行かない子は、その情報がないため、学校では順位が上の子でも、大学受験では合格できず悔しい思いをしています。
子どもの貧困に目が向かない理由
苦しい状況に置かれた子どもへの対応を急ぐ必要がありますね。

渡辺氏:そもそも子ども関連予算が圧倒的に少ないです。アメリカはコロナの対策として、ファミリープランとして、いろいろな働く親をサポートするために1兆ドルを出しますと。その中で2年制のコミュニティーカレッジの授業料無償化の予算として1090億ドルを投資します。

 そういうことをほかの国はみんなしようとしているのに、日本はあまりにもまったくそこに対する目がなさすぎて。

渡辺さんは、なぜ、貧困状態にある子どもたちが放置されるとお考えですか?

渡辺氏:今年4月に実施した、私たちがサポートする家庭への調査では、78%が新型コロナのせいで減収したと答えています。しかし一方で、大部分の正規雇用の方や年金受給の方は減収していません。非正規雇用の方、イベント業や飲食業など特定の業種の方に減収被害が集中しています。そのために、コロナによる困窮が伝わりづらいと感じています。

確かに、そういう面はありますね。

渡辺氏:コロナの影響で大きな収入減に見舞われている方々は、自分ではどうしようもない中で、まったく仕事ができないわけです。止むを得ず食費を削るしかないのです。成長期に栄養状態が悪いと、体格や健康など、長期にわたって影響が出る恐れもあります。 学力に関しても、私たちの調査では、休校などコロナの影響でお子さんの学力が下がったという方が46.5%に上りました。また、不登校になったお子さんも8%。大変な数字です。

その子どもたちは、将来の日本を背負うわけですよね。日本は自分の首を絞めていませんか?

渡辺氏:少子高齢化だからこそ、一人ひとりの子どもを大事にして、しっかりと稼いでくれる大人になってもらうことが大事ではないでしょうか? 「自助」を押し付けて、お腹を空かせた子どもをそのままにしてしまうことは、将来の貴重な稼ぎ手を潰してしまうことになりかねません。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。