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生活保護者の集いコミュの恵まれない人にムチ打つ日本 「普通に働けば報われる」政策とは

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https://digital.asahi.com/articles/ASPBN3C20PBLUPQJ016.html?pn=10&unlock=1#continuehere

 新型コロナ禍の中で行われる衆院選で、経済政策が注目されている。落ち込んだ経済をどうやって立て直すのか。与野党ともに大規模な財政出動と格差是正の分配政策を掲げており、対立軸が見えにくいとの指摘もある。有権者はどこに注目すればよいのか。

東京大学名誉教授・大沢真理さん 「ボトムから家計消費を高める方向に転換を」
 ――衆院選で有権者が注目すべき経済政策は何ですか。

 「コロナ対策と、貧困や格差の拡大を抑制する具体策でしょう。いまは新規感染者数が減っていますが、多くのシミュレーションが示すように今後も感染の波は繰り返されるはずです。ワクチン接種や治療薬の開発が進んだとしても、新たな感染症の発生や蔓延(まんえん)が見込まれます。それらの時に備えた保健医療体制の拡充と、再分配機能の強化のあり方が争点になります」

 「コロナの蔓延や自粛要請で経済がまひし、そのしわ寄せは相対的に恵まれていない人たちに集中しました。保健医療体制を脆弱(ぜいじゃく)にし、税と社会保障の再分配機能を弱めてきた、政府の長年の政策の帰結といえます」

 ――日本の再分配機能はそんなに弱いのですか。

 「税と社会保障制度の所得再分配機能は、他の先進国と比べ非常に弱いです。端的にいえば、豊かな組織や人から貧しい人にお金が回らない仕組みになっています。例えば安倍政権では2回にわたり、生活保護の給付基準が引き下げられました。生活保護基準には就学援助や住民税の非課税基準も連動します。また、高齢化により年金や医療費の給付は増えますが、社会保障給付の総額はGDP比で減らされました」

 「再分配機能の弱さは深刻な子どもの貧困につながっています。政府は、少子高齢化を『国難』とまで呼んできたのに、実態は子育て世帯にムチをふるうような政策を進めてきました」

大沢さんに続き、記事の後半では、明治大学准教授・飯田泰之さんが「高齢者の負担増について逃げずに議論すべきだ」と語っています。

 ――なぜですか。

ここから続き
 「政治が無視してきたからです。例えば、年金は保険料の支払額に応じて給付額が決まることもあり、所得の上位層で高くなります。半面で下位層への給付は貧弱で、子育て世帯の貧困率が国際的に見て高いです。本来であれば、子どもや低所得層への給付を厚くして、税制でも『下への再分配』機能を取り戻さなければいけません。しかし有権者に高齢者が多いためか政治は議論を放置してきました」

 「9月の自民党の総裁選で岸田文雄氏は分配を強調しましたが、首相になると賃金を上げる企業に税を減免する、という方法に落ち着きそうで、個人に届くか心もとない。いま日本に求められているのは、税と社会保障全体の構造を組み替えて再分配を強化するという、もっと大きなビジョンのはずです」

 ――再分配するためには経済成長も必要ではありませんか。

 「日本では、経済成長と格差の関係について、誤解があるかもしれません。経済協力開発機構(OECD)は、格差の拡大が経済の成長力を損ねていると繰り返し指摘してきました。所得の下位40%が中間・富裕層から引き離される傾向が強まると、その国の成長は損なわれるというデータもある。下位層の所得引き上げが成長につながるのに、日本は逆に下位層にムチをふるっているのです」

写真・図版
大沢真理さん
 ――アベノミクスは、下位層の所得引き上げを目指したのではありませんか。

 「下位層の引き上げを目的にしたのならば、失敗です。金融政策によって円安誘導し、輸出企業を優遇し株価を重視しました。さらに『国土強靱(きょうじん)化』と称して小泉純一郎政権時に絞った公共事業を再拡大した。しかし、実質賃金の下落は続き、家計消費は伸びていません。労働時間あたりの雇用者報酬は上がっていません。最低賃金も低いまま。他国と比べて停滞ぶりが際立ちます」

 「第2次安倍政権は2013年の『骨太』の方針で『過度に社会保障に依存』しないようにと明記しました。『過度に』という言葉で留保をつけてはいるものの、社会保障を削る対象にしてきたと言えます。そんななかで、コロナ禍が起きたのです」

 ――各政党の経済政策は似通っていて、衆院選の対立軸が見えにくいように思います。

 「同じような言葉が使われていても、多くの人が普通に働けば報われる『政策パッケージ』になっているかどうか見極めることが肝要です。例えば、コロナ禍への対策で多くの国は個人単位でしたが、日本は業界や企業経由の政策を多用しました。今後も業界経由なのか、それとも個人単位に切り替えていくのか注視しなくてはなりません」

 「政府の3度に及ぶ補正予算は巨額でしたが、大半は返済が必要な融資でした。しかも、3月末の段階で予算総額の3割が利用されずに残っていた。下位層にとって重要な税や社会保険料の減免措置はなされませんでした。各党が、こうした点をどうしていくつもりかを有権者は確認して投票に臨むべきです」

 ――これまで野党は、経済政策をきちんと議論してこなかったとの批判もありますが。

 「ジェンダー問題など公正の問題は、経済政策と無関係ではありません。多様性の尊重は技術革新の促進、社会の活性化につながります。日本社会は今後ますます少子高齢化の圧力が高まっていきます。野党には経済政策を語る前提として、格差や多様性と成長の関係、そして給付と負担の関係をきちんと打ち出してほしいです。繰り返すと、いまの社会保障は低所得の子育て世帯が『罰』を受ける仕組みになってしまっている。ボトムから家計消費を高める方向へと転換していくことがベターです。こうした具体的な経済政策の発信を期待します」(聞き手・高久潤)

     ◇

 1953年生まれ。専門は社会政策・社会保障論。共著に「社会への投資」、著書に「生活保障のガバナンス ジェンダーとお金の流れで読み解く」など。

明治大学准教授・飯田泰之さん 「コロナ禍で傷ついた経済を立て直すために」
 ――各党の公約のマクロ経済政策をどう評価しますか。

 「自民党は、直前の総裁選で政策論争を深めた結果、経済政策が具体的で現実的になった。野党からも様々な具体策が提案されていますが、最大野党である立憲民主党は、経済政策で対立軸が作りにくい選挙になっているように思います」

 ――なぜでしょう。

 「安倍政権・菅政権の経済政策を『新自由主義的』と批判してきましたが、岸田文雄首相が『新自由主義からの転換』を掲げたので、抽象的な理念では対立軸を作れない。30兆円の補正予算にしても自民党も公明党も財政出動は明言している。今まで以上に、30兆円のうち何にいくら使うのかという具体案を出していく必要があるでしょう」

 ――どんな対立軸がありえるのでしょうか。

 「第一に、『緊縮か、反緊縮か』です。財政支出を拡大する反緊縮の流れは世界的に強まっています。リベラル政党は本来『大きな政府』の立場ですから、反緊縮の姿勢を明確にしやすいはずです」

 「コロナ禍からの再生の支援対象を、個人主体にするか、事業者主体にするか、もありえるでしょう。与党は企業を中心に、ダメージに応じた給付を重視するでしょうから、それに対抗して貧困対策に重点を置いた個人給付を主張すればよい」

写真・図版
飯田泰之・明治大学准教授
 ――アベノミクスについてはどう評価していますか。

 「金融政策と財政政策で逆のことをやったのが失敗でした。大規模な金融緩和をやる一方、2回も消費増税をやってしまった。金融政策でアクセルを踏んで株価も就労率も上がったのに、財政政策ではブレーキを踏んだ。このため、政策効果が中途半端になりました」

 ――野党はどんな対案を出すべきでしょうか。

 「財政と金融のアクセルを同時に踏む、とはっきり言うべきです。国民民主党やれいわ新選組の政策はそれに近い。立憲民主は、金融緩和を継続するかどうかが明確ではない。金融緩和をやめてしまうと、財政でアクセルを踏んで金融でブレーキを踏むというアベノミクスと逆の失敗になります。成長戦略の不足など個別論点に批判があるのは当然ですが、アベノミクスを全否定する必要はありません」

 ――与野党ともに財政出動を掲げていますが、財源が明確ではありません。

 「まず社会保障の財源と景気対策の財源は分けて考えるべきです。景気対策とは異なり、社会保障には税や保険料などの経常的財源が必要です。社会保障費はインフレになったからといって削れないからです」

 「膨らみ続ける社会保障費の財源の鍵となるのは、富裕な高齢者にどれだけ負担させるかです。相続税だけでなく資産課税や財産税なども考えられます。相続税は税率を上げるよりも、控除を減らして課税対象を増やすほうが効果的でしょう。自民や立憲民主は、人数の多い高齢者の反発を恐れ、そこに触れたがらないでしょう。日本維新の会や国民民主が提起して、自民と立憲民主を論争に巻き込んでいくのが望ましいと思います」

 ――もともと日本のリベラルは、マクロ経済政策への意識が弱いともいわれています。

 「国民民主に比べると、立憲民主の立ち位置はわかりにくい。政策や主張が倫理的なのです。賃金を上げる、中小企業の税金を軽くするといった実利よりも公正やマイノリティーの権利といった理念が優先されているように見受けられます。支持母体の労働組合や労働者の関心とずれています」

 「高学歴インテリの政党のようになってしまい、言葉が固定ファンにしか届いていないのです。れいわ新選組が注目されたのは、非正規労働者や低所得者に『金持ちだけがさらに豊かになるのはおかしい』とわかりやすく訴えたからです。少なからぬ国民は、性的少数者の権利や夫婦別姓より、今の生活の苦しさを問題視しています」

 ――今回は政策を争う選挙になるでしょうか。

 「なると思います。直前の自民党総裁選で政策論争を国民が目の当たりにしました。衆院選で論争しないと、『総裁選のほうが中身があった』と思われます。コロナ禍で傷ついた経済を立て直すため、与野党が具体的な提案を出し合い、譲れない点と妥協できる点を明確にする論戦ができれば、野党の政権担当能力への不信感を払拭(ふっしょく)するきっかけにもなるでしょう」(聞き手 シニアエディター・尾沢智史)

     ◇

 1975年生まれ。専門は経済政策、マクロ経済学。内閣府規制改革推進会議委員も務めた。著書に「経済学講義」「日本史に学ぶマネーの論理」など。

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