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生活保護者の集いコミュの働いても貧しいのはなぜか POSSE編集長が求める「公正さ」

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https://digital.asahi.com/articles/ASP9Z6KBCP9ZUPQJ00F.html?pn=10&unlock=1#continuehere

 長引くコロナ禍は、私たちの雇用に深刻な影響を及ぼしています。2006年設立のNPO法人「POSSE」(ポッセ、今野晴貴代表)は、働く者の立場から雇用問題に取り組んできました。機関誌である「POSSE」の渡辺寛人(わたなべひろと)編集長(33)に、「若者が考える雇用のいま」を聞きました。

 ――POSSEの東京・世田谷の事務所におじゃましています。若者が続々と集まってきますね。

 「コロナ禍で大学に行けず、留学もあきらめた人たちが『社会に貢献したい』と、ブラック企業との交渉に関わったり、外国人の生活を支えたりしています。POSSEに現場報告を書いているのは、主にそうした若者たちです」

 ――日本の若者は社会や政治の問題に関心が薄い、と言われていますが、そんなことはありませんね。POSSEとはどういう意味ですか。

 「英語で『仲間』のことです。ブラック企業と闘い、労働環境を改善するため、働く仲間が力を合わせて取り組む、という意味を込めています。私はNPO法人POSSEの事務局長で、雑誌の編集長も務めています」

 ――渡辺さんも学生さんだそうですね。

 「33歳で、大学院の博士課程で社会福祉を専攻しています。大学4年のときには仙台を拠点にして、東日本大震災で避難所に取り残された人たちを支援しました」

コロナ禍であらわになった非正規差別
 ――雑誌はどんな内容ですか。

写真・図版
記者会見で、入管法改正の問題点を指摘するPOSSEの若者=今年4月、東京都千代田区の参議院議員会館、POSSE提供
ここから続き
 「雇用問題について、専門家の背景分析や政策提言などを載せ、働く環境を良くしていく活動の助けになるような理論や情報を発信しています。昨年来のコロナ禍で働く人たちは厳しい状況に置かれています。なかでも雇用の調整弁と言われる非正規労働者、女性、外国人らにしわ寄せが来ています。労働現場で何が起きているのか、最前線のルポや当事者へのインタビューにも力を入れています」

 ――具体的にはどんな影響がありますか。

 「コロナ禍は、飲食や観光などサービス産業で働く非正規職の女性を直撃しました。医療や介護、保育などのエッセンシャルワーカーには女性が多いのですが、正規職員、非正規職員ともに賃金が低いのが、実情です」

 「3月に発行したPOSSE47号では、『非正規差別と働く女性たち』を特集しました。解雇や休業補償の未払いによって彼女たちの生活が困窮するのはもちろんですが、それに加えて、ストレスから心や身体の調子が悪くなったという訴えが次々に寄せられています」

 ――労働組合の活動も支えていますね。

 「はい。例えば、コールセンターで働く人は、職場が『三密』の状態で換気や消毒が不十分なので、感染が心配だと訴えています。会社ごとにある労組ではなく、企業の枠を超えて個人で加盟するユニオンが、会社側との交渉に乗り出し、職場環境が改善された例は少なくありません。私たちはそうした活動も支えています」

声上げられぬ外国人労働者
 ――最近は外国人労働者の問題にも力を入れているそうですね。

 「日本には、留学生や技能実習生という名の外国人労働者がたくさんいます。2019年に起きた事件がきっかけで、NPO法人POSSEは、外国人労働サポートセンターを立ち上げました」

 ――どんな事件だったのですか。

 「フィリピン人留学生の女性が、日本語学校に通いながら神奈川県内の老人ホームで介護の仕事をしていました。日本に行けば稼げる、家賃と食費は無料だ、と言われて来日しました。しかし、学費を借金させられたほか、5人部屋の寮費を払わされ、食費は自己負担でした。そのうえ仕事は、ただ働き同然です。ホームの運営会社におかしいと訴えたところ、空港に連行され、帰国させられそうになりました。彼女はスキをみて逃げて、私たちに助けを求めてきたのです」

 ――いわゆる「強制帰国」の問題ですね。

 「これは、明らかな違法行為です。多額の借金を背負わされている外国人は、日本で働けなくなると困ります。だから、声を上げられません。その状況を利用し、劣悪な労働環境で外国人を働かせる企業が増えています」

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入管法改正反対の集会に弁護士と参加し、記者会見に応じるPOSSEの若者たち=今年4月、東京都千代田区の参議院議員会館、POSSE提供
 ――埼玉県川口市や蕨市にはトルコ出身のクルド人が多く住んでいます。こうした人々への支援も始めました。

 「多くのクルド人は、『トルコへ帰国すると命が危ない』と言う理由で日本政府に難民申請をしています。しかし、認められず、日本の在留資格がありません。POSSE47号では、昨年11月に川口市で開かれた医療や食料、労働などの相談会を通して見えてきた、クルド人たちの困難な暮らしぶりについて、ボランティアの大学生が報告しています」

 ――どんな状況なのですか。

 「クルド人の多くは『仮放免』という立場で、日本で働くことが認められていません。働ける資格のある一部の人が、親戚や知人を支えているのです。コロナ禍でその人たちも解雇され、コミュニティー全体が困窮しています」

 ――幼い子供ら家族がいる人もいますね。

 「POSSEの学生たちは、日本の学校に通うクルドの子どもたちの勉強をサポートしています。ボランティアの若者たちは『日本にいるだれもが、生存権や教育権を保障される社会をつくっていきたい』と訴えます。こうした活動を通じて、政府の入管法改正案が外国人の人権を侵害するという問題点も明らかになりました。そこで今春、弁護士らとともに反対運動を展開しました」

社会変革をめざす若者は増えている
 ――皆さんの活動が目指す方向は。

 「ジェネレーション・レフトという言葉を聞いたことがありますか? 資本主義に批判的な意識を強める若い世代のことです。8月発行の本誌48号でこのことを特集しました」

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「POSSE」編集長の渡辺寛人さん
 ――社会主義を目指す若者たちの新しい動きですか。

 「レフトと言っても、革命を起こして共産党一党独裁を目指したり、企業を国営化したりするような、旧来型の社会主義ではありません。成長を至上とする資本主義に、労働や社会運動の現場から異議を申し立て、公正な社会をつくっていくという運動です」

 「具体的には、地球温暖化による気候変動、新自由主義のもとでの非正規雇用の拡大や過労死、外国人労働者の人権問題などに取り組むことです」

 ――欧米の若者の間で盛んですね。

 「金融危機で雇用が悪化した米国で11年に起きた『ウォール街を占拠せよ』の運動は、政府や財界、富裕層への強い憤りが原動力になりました。また、気候変動問題で言えば、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんは、象徴的な存在です」

 ――日本ではあまり、ピンときませんが。

 「社会運動の広がりが弱く、多くの日本の若者は自分たちの力で社会を変えられるという実感をなかなか持てません。不安定な労働市場に自らを適応させて生き抜いていくしかないと考えがちです。それが、若者の保守的な投票行動にもつながっているのでしょう」

 ――コロナ禍で意識は変わるでしょうか。

 「コロナ禍を機に社会の矛盾があらわになったことで、こうした変革の運動に参加する若者も増えています。POSSEにはそんな若者たちが集まってきます。本誌は気候変動や性差別、人種差別など、大きなテーマも取り上げ、労働の視点から論じていきたい。ひどい現状を示すだけではなく、社会を変えるにはどうしたらいいか。専門家とともに『知』を発信していきたいと思います」(聞き手・桜井泉)

コメントプラス

三牧聖子
高崎経済大学経済学部国際学科准教授
2021年10月03日10時23分 投稿
【視点】資本主義に批判的な「ジェネレーション・レフト」と聞くと、若者の理想主義に聞こえるかもしれないが、逆だ。この世代は透徹した「リアリズム」に特徴づけられた世代と私は考えている。POSSEはそうした「リアリズム」をいち早く伝え、支援してきた貴重な雑誌だ。

2021年現在、人類を襲う危機は、人種やジェンダー、気候危機などが複数の要因が絡み合った複合的なものだ。米国において新型コロナ危機には、明らかに人種やジェンダーの刻印が刻まれていた。ハーバードTHチャン公衆衛生大学院が2020年9月に行った調査によれば、新型コロナ危機以降、家計に深刻な問題を抱えていると回答した人は、ラテン系アメリカ世帯では72%、黒人世帯では60%、ネイティブ・アメリカン世帯では55%で、白人世帯の36%をはるかに上回った。

新型コロナの感染拡大がもたらした経済不況は、男性に比べ、女性の雇用に明らかに大きな打撃を与え、景気後退(recession)を文字った”she-cession”という言葉も生まれた。女性は非正規のサービス業に従事する割合が高く、家庭でのケア労働も不均等に背負っており、子供の休校や自宅学習の影響をより大きく被ったことなどが要因であった。

気候危機も、弱者により大きな打撃を与えている。9月に米国に上陸したハリケーン「アイダ」はNY市でも13名の死者を出したが、そのうち11人はアパートの地下に暮らしていた。9月3日の記事で詳細が伝えられたように、世界で最も家賃が高い都市の1つであるNY市では、地下の部屋は比較的安価で、移民や低所得者が多く住む(「米北東部で豪雨、46人死亡 NYは鉄砲水警報 地下室の住人ら犠牲」https://digital.asahi.com/articles/ASP935HGJP93UHBI00V.html?iref=pc_ss_date_article)。

日本でも、新型コロナ危機や気候危機の影響から誰もが無関係ではないとはいえ、その影響を最も被り、苦しんできたのは、女性や外国人労働者だ。「ジェネレーション・レフト」は、社会の中で、最も苦しんでいるこれらの人々が直面する現実から目をそらさず、その問題を自分ごととして解決しようとする世代だ。若者たちはいま、人類に対し、弱者切り捨ての冷酷な「リアリズム」から、弱者を包摂した「リアリズム」へと転換することを求めている。

新型コロナ感染の広がりを防止するために封鎖された武漢の日々を綴った日記で、作家の方方氏は次のように述べて、国境を超えて多くの共感を呼んだ。「国家が文明的かどうかを計る尺度は、高層ビルが多いとか、車が速いとか、強大な武器や軍隊を持つとか(中略)ではない。尺度はたった一つ。それは、その国の弱者に対する態度なのです」。

「ジェネレーション・レフト」はいま、文明的な問いを私たちに突きつけている。

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