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生活保護者の集いコミュの「死んでいい人なんて」=大治朋子

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https://mainichi.jp/articles/20210921/ddm/002/070/028000c

<ka−ron>

 東日本大震災から10年目の被災地で、2人の「善人」が何者かに拉致、監禁され餓死する。連続殺人事件の捜査線上に浮かんだのは――。

 来月1日に全国公開される映画「護(まも)られなかった者たちへ」(瀬々敬久監督)を見た。原作は中山七里氏の同名の人気小説。俳優の佐藤健さん、阿部寛さんらの演技が繊細で、それでいて力強い。



 作品全体を、コロナ禍の現代社会にも通じるキーワードが貫く。

 「生活保護」「スティグマ(烙印(らくいん))」「自助」「自己責任論」

 震災も疫病も、社会に巨大な負荷をかける。それに耐えるために必要な資源や備えを持たない社会は、時に、弱者を排斥したり切り捨てたりすることで何かを得て、危機を乗り越えようとする。

 コロナ禍に見る役所の飲食店タタキは、そんなスケープゴート(生けにえ)の典型だろう。

 生活保護受給者へのバッシングが広がったのも、震災などで受給者が増えた2011年以降だ。

 「生活保護を恥だと思わなくなったのが問題」。そんな暴言を口にする政治家まで現れ、12年、当時野党だった自民党は生活保護費削減などを公約に政権復帰し、実行した。「自助路線」の始まりだ。


 映画には、生活保護の相談に訪れる市民を体よくはねつける役所の「水際作戦」や、「自己責任」という名の「弱者切り捨て」社会のいやらしさも描かれている。

 今のコロナ禍でも、入院の絞り込みではねられて自宅療養とされた人々が命を落としている。感染者は「自己責任」とたたかれ、差別される。そんな「切り捨て」社会の根底には、往々にして「公正世界信念」が潜むとされる。


 社会心理学の概念で、世界は公正で、頑張った人は報われ、そうでない人は相応の報いを受ける、という因果応報的な考え方だ。そう信じると「自分はきっと大丈夫」と安心できるから、危機の時代ほど支持されやすい。

 だが現実には、どれほど清潔にしてもコロナにかかってしまうことはあるし、生まれながらにして貧しい人もいる。つまりこの世は不条理、不平等なものであり、だからこそその格差を埋める「公助」が必要になる。成熟した民主主義社会に期待される基本的機能だ。

 映画では、ある登場人物がこう断言する。

 「死んでいい人なんていないんだ」

 公正世界信念やそれに足場を置く自己責任論の果ては「死んでもいい人はいる」だろう。そんな社会に生きたいか。映画はそう問いかけてくるようだ。(専門記者)

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