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生活保護者の集いコミュの芦屋川、憩いの空間に「排除の石」 街にあふれる尖った敵意、アートの名の下に

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https://news.goo.ne.jp/article/kobe/nation/kobe-20210828014.html

メンタリストを名乗るDaiGoさんが、ホームレスや生活保護受給者への差別を扇動する発言をし、批判が殺到した。一方、私たちの住むまちに目を凝らせば、ホームレスを追い出すための狡猾な仕掛けがあちこちにある。「排除アート」と呼ばれるベンチやオブジェが増えているのだ。関西屈指の高級住宅街を抱える兵庫県芦屋市には、さらに露骨な「排除の石」が設置されていた。


■尖った「敵意」

 異様な光景だった。阪神芦屋駅近くの公光橋の下。散歩道として住民が行き交う河川敷に、コンクリートが打たれ、尖った石が敷き詰められている。ホームレスを寄せ付けないための、むき出しの敵意を感じた。

 石の存在は神戸新聞の読者が教えてくれた。5月、三田市の武庫川河川敷に治水のために敷かれた石を紹介した記事を読んで、「私の住む芦屋には、もっと嫌な石があるんですよ」と連絡をくれた。

 その女性(61)は、生まれも育ちも芦屋。2000年代前半、犬の散歩で毎日のように公光橋の下を通った。そこでホームレスの男性を見ていた。

 「こういう言い方は変だけど、小ぎれいな格好をしていてね」。男性はビニールシートで住居を作り、そばには畑もあった。人懐っこい性格なのか、通り掛かる人に声を掛け、顔なじみもたくさんいたようだ。女性は深い交流はなかったが、他の犬と一緒に遊んでいる姿や、子どもと話している姿を記憶している。

 いつしか男性はいなくなり、その後、石が敷かれていた。「公共の場所を占拠するのは良くない。行政が市民のため、まちのためにやっているのは分かる。だけど、あのやり方は哀しいよね」。そう話し、つぶやいた。

 「将来、子どもたちに石のことを聞かれて、何て説明するんだろう」


■市議「早急に対処を」

 石はいつ敷かれたのか。なぜ、あのような形になったのか。

 インターネットを検索すると、あるブログを見つけた。ブログによると石は2005年ごろに設置されており、ホームレスの問題は芦屋市議会でも取り上げられたという。

 市議会の会議録を調べると、確かにホームレスに関する質疑が複数あった。中でも目を引いたのは、02年9月定例会での一般質問だった。

 ある議員が「芦屋市からすべてのホームレスをなくすことが最終目標でありますが」と前置きし、公光橋下のホームレスについて言及。「『これぞ芦屋!』という景観をつくりだしている芦屋川は、散策道として市民に愛されている。市民の安心と憩いの場を取り戻すためにも、早急な対処が必要」と述べていた。


■全国で問題に

 バブル崩壊後の不況が長引き、ホームレスの増加は全国的な問題となっていた。この年の8月、「ホームレス自立支援法」が施行。「地域社会とのあつれきが生じつつある」とし、国や自治体に支援の責務があると明確に規定した。ホームレスの人権に配慮し、必要な施策を講じることを求めた。

 そのような中、芦屋市、そして河川敷を管理する県西宮土木事務所は、どう対応したのか。

 石が敷かれてから15年以上が経過している。設置の経緯や住んでいたホームレスなどについて公文書を情報公開請求したが、やはり保存年限を過ぎており「不存在」だった。

 一方、当時を知る元議員らを取材すると、石はホームレス対策で県西宮土木事務所が設置したという。


■2年かけ退去説得

 石が敷かれるまでの経緯は、04年の市議会議事録に記されていた。市民からホームレス退去を求める「強い要請」が再三あり、市と県西宮土木事務所が共同で対応。複数のホームレスに対して「粘り強い説得」を2年余り続けた結果、「公光橋下に公共空間が回復した」。

 ただ、市内には当時十数人のホームレスがおり、緊急措置として県西宮土木事務所がフェンスを設置したという。議員の1人は「ある場所からいなくなれば、市内の別の場所に移る。いたちごっこだった」とする。石は、その後敷かれた。

 当時市長だった山中健さん(71)は「市民からは『芦屋にホームレスは似合わない』と排除を求める声が圧倒的だった」と振り返る。石が設置された詳細は、覚えていないという。

 芦屋市や西宮土木事務所で対応に当たった職員は、既にいなかった。しかし、当時の上司がホームレスの対応に当たっていたという芦屋市職員は、再任用でいた。その上司はホームレスの元に足しげく通い、厚生施設につなごうとしていたという。職員は「私たちは福祉の部署だったので、本人の意思を尊重して何とか支援しようとしていた」と話す。

 石について記した公文書は既になく、詳細を知る職員もいない。異様な石だけが、芦屋川に残っていた。


■「不寛容」と「自己責任」

 一方で私たちの住む街を見渡せば、ホームレスを追い出すための巧妙な仕掛けが増えている。ベンチの真ん中には仕切りが設けられ、雨をしのげそうな軒下には突起のあるオブジェが敷き詰められている。人が寝転べない造形をしており、「排除アート」と呼ばれている。

 東北大学大学院の五十嵐太郎教授(建築史)によると、こうした造形物が置かれ始めたのは1990年代後半ごろ。東京・新宿駅西口の地下道では96年にホームレスを強制排除した後、オブジェが置かれた。

 五十嵐教授は2004年の著書「過防備都市」で、当時から既に排除のためのベンチやオブジェが増えていることを指摘。編集者の都築響一氏が「ホームレス排除アート」「ギザギザハートの現代美術」と名付けたことも紹介した。

 五十嵐教授は「他者への不寛容とセキュリティー意識の増大に伴い、2000年代はじめに街に監視カメラが急増した。それらと並行して排除アートは増えた」とみる。

 背景には人々の「不安」があるという。95年、オウム真理教による地下鉄サリン事件が発生。01年6月には、大阪教育大付属池田小学校で校内児童殺傷事件が起きた。同年9月11日には米同時多発テロがあり、04年、イラクで日本人人質事件が起きると「自己責任論」が巻き起こった。


■保育所も「迷惑施設」

 五十嵐教授は「人々の不寛容さは、どんどん広がっている」と話す。排除アートは無言で普及し、増え続けている。当初ベンチの仕切りは後付けのケースも多かったが、現在は標準的になった。自己責任論も合わさり、ホームレスが「排除していい存在」にされていく。

 だが「ホームレスを排除した都市は、誰に対しても優しくない」という。寝転べないようにした円筒形のベンチは、単純に座りにくい。ベンチすら設置しなくなれば、高齢者や妊婦、具合が悪くなった人が休む場所もなくなる。

 公園で遊ぶ子どもの声を「騒音」と感じる人がおり、保育所ですら「迷惑施設」とされる時代だ。五十嵐教授が示唆する。「公園に遊具と見せかけて実は遊べないオブジェが現れたら、シュールですよね。極端な話だけど、現実に起きかねない」


■姿を消すホームレス

 一方で、ホームレスの数は激減している。厚生労働省の全国調査では、03年は2万5296人だったが、21年には3824人となった。

 理由の一つが、2002年に施行された「ホームレス自立支援法」だ。同法は国や自治体に支えるべき責務があると明記。官民が就労や居住に協力するきっかけになった。

 NPO法人「ホームレス支援全国ネットワーク」(北九州市)の担当者は「法律により各自治体にホームレスを支える『根拠』と『責任』ができた。それまでは東京や大阪といった大都市が治安などのため独自でやっていた取り組みが、全国に広がった」とする。

 NPO法人「神戸の冬を支える会」(神戸市中央区)の青木茂幸事務局長は、08年末に開設された東京・日比谷公園の「年越し派遣村」を挙げた。

 リーマン・ショックの影響で「派遣(社員)切り」が横行。失業と同時に社員寮などを追い出され、住む所を失った人たちが同公園に詰めかけた。青木さんは「霞が関の真ん中でやったから、官僚たちがびっくりした」と振り返る。問題が可視化され、野宿状態でも生活保護を申請できるという大きな流れにつながったという。


■生活保護バッシング

 だが生活保護への風当たりは強い。「健康で文化的な最低限度の生活」は、憲法で保障されており、生活保護はそのための制度だが、誤った情報や偏見によるバッシングが後を絶たない。

 先日もメンタリストを名乗るDaiGoさんが「生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら猫を救ってほしい」「ホームレスの命はどうでもいい」などと発言する動画を配信。12年に芸能人の母親が生活保護受給者だったと分かった際には、片山さつき参院議員が非難の急先鋒に立った。

 青木さんは「ホームレスは一概に働かない人ではなく、障害や育ってきた環境の影響で社会に適応できないケースも少なくないが、理解してもらえない」と話す。

 同会は1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに結成した。当時、公園は家を失った被災者であふれた。青木さんは言う。「要因は災害だが、家がなくなったという現象は一緒。ホームレスとなるのは、ちゃんとした支援、施策がないから。社会的な災害状態で、緊急避難が続いている」

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