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生活保護者の集いコミュの日雇い仕事、都が中止 今月1カ月「熱中症対策」名目 ホームレスら不信感

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https://mainichi.jp/articles/20210824/ddm/012/040/110000c


東京都内の公園に暮らす73歳男性=東京都内で7月28日拡大
東京都内の公園に暮らす73歳男性=東京都内で7月28日
 東京都内で生活困窮者の夏場の仕事が失われている。都が初めて、都有地の清掃などの日雇い仕事を8月の1カ月間、休止したからだ。名目は「熱中症対策」だが、取材を進めると別の“事情”も見えてきた。「底辺の人間は切り捨てられる」。ホームレスらに不信感が渦巻いている。

都有地減少、オリ・パラ開催も要因
 「8月は仕事がまったくなくて」。7月中旬の都内の公園。片隅で段ボールを敷き、仲間と身を寄せ合っていたホームレスの男性Aさん(73)がこぼした。


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 Aさんは三十数年前、家族を立て続けに亡くしたことで心労を抱え、技術職の定職を離れた。「立ち直ろうと思った時には遅かった」。以来路上で生活し、仕事がある時は建設現場に住み込みで働いた。今の唯一の稼ぎは、都が日雇い仕事を手配する「特別就労対策事業」だ。毎月3〜4回働き、月額2万〜3万円を得る。稼ぎは食費のほか、荷物を預けるコインロッカー代、悪天候の日をしのぐネットカフェの料金に充てる。

 Aさんは春ごろ、8月の事業休止を知った。この間の収入はゼロになる。「食費を節約して、炊き出しに行く回数を増やすか、なんとかして暮らしていかないといけない」と話す。「昔は住所がなくても受け入れてくれるところがあったが、今はどこも住所が必要。他の仕事で収入を穴埋めしようとしても厳しい」


 都就業推進課によると、特別就労対策事業は1972年、日雇い労働者の多い東京・山谷地区の就業対策として始まった。戦後の復興事業が落ち着き、他の仕事が減った場合の「補完」という位置づけだった。公園、港湾埋め立て地、都道といった都有地の清掃や除草がメインで、5時間半働いて日当は約8000円。職業安定所で求職登録し、日雇い仕事の手帳を受けた人が対象で、2020年度の利用者1529人の約9割が60代以上だ。Aさんのように高齢でほかの仕事ができず、事業を唯一の収入源とする人もいる。

19年に死亡事案
 ところが19年5月、作業中の50代男性が倒れ、搬送先で亡くなる出来事があった。男性は持病があり、暑さとの因果関係は不明だが、当日は暑さが厳しい日だったという。


 これをきっかけに、都は20年度から利用者への熱中症対策を導入した。7〜8月は時間帯を午前中のみに変更。東京の暑さ指数が「危険(運動は原則中止)」を示した場合は作業を中断し、休憩を取るようにした。今年度は対策をさらに強化。7月と9月は、暑さ指数の予報で翌日が「危険」になった場合、その時点で翌日の仕事を休止する。8月は20年度実績で大半の日数が「危険」を記録したため、丸1カ月間、事業を休止することにした。

 本来は、雇用主の都合で休業すれば休業手当が支給されるが、今回は都が仕事の発注自体をやめるため対象外だという。「屋内でできる作業にしたり、日陰を用意したり、何とかできないものか」。Aさんはあきらめきれない様子だった。


特別就労対策事業の利用者たちが東京都に事業休止の見直しを求めたが「五輪特別警戒」を理由に入庁を拒まれた=都庁前で8月4日拡大
特別就労対策事業の利用者たちが東京都に事業休止の見直しを求めたが「五輪特別警戒」を理由に入庁を拒まれた=都庁前で8月4日
 8月4日、「事業休止は死活問題」と訴える事業の利用者ら7人が、都に見直しを求めて都庁を訪れた。

 利用者らは、暑さを避ける方法として屋内や夕方などの仕事に変更するよう提案したが、都職員は「東京五輪の特別警戒期間のため、要請・要望は受けられない」と述べ、利用者の入庁すら拒んだ。その上で、あくまで事業が「他の仕事の補完」という点を強調。「事業だけで生計を立ててもらうのは難しい」と伝えた。

 話し合いでは、熱中症対策とは別の“事情”も明かされた。仕事内容は就業推進課が都庁の各局からニーズを聞き取って決めているが「各局から要望が出てこない」というのだ。

 都職員は「港湾埋め立て地の都有地が大幅に減少している。都道もポイ捨てをする人が減り、排ガス規制で汚れにくくなった。むしろ(仕事を)減らすような圧力を受けている」と打ち明けた。港湾埋め立て地の減少が顕著なのは、民間への売却や区への移譲が進んでいるからという。

 別の要因もある。東京オリンピック・パラリンピックの開催だ。

 東京港管理事務所によると、オリパラのために港湾埋め立て地の一部を大会組織委員会などに貸し出している。貸した土地は都の管轄を外れ、事業の対象にならないのだ。更地から駐車場に舗装された場所もある。返却後、それまで更地で行っていた除草の仕事が減る可能性もある。

 話し合いに参加した利用者の60代男性Bさんは「港湾埋め立て地にオリンピックの施設ができるから、むしろ仕事が増えるんじゃないかと、去年は現場で話していた。それなのにこっちに割り当ててもらえないのか」と首をかしげた。

 Aさんも「オリンピックが関係していると思ってしまう」と不信感を募らせる。「(大会関係者に)僕たち、貧困者の姿を見せたくないのかなと。底辺の人間はこういう時はいつも切り捨てられる」

事業の収入頼り
 都は、生活保護や就業支援などの福祉を利用するよう呼びかけるが、利用に抵抗があり、事業を頼りに生きているホームレスもいる。

 「『食べられなくなったら生活保護に』と役所は言うけど、そういうわけにはいかない」。山谷地区のホームレスの男性Cさん(68)は話す。生活保護を受給した経験があり、12万〜13万円が支給されたが、施設に入れば手元に残るのは2万円くらいだったという。受給中に追加収入があれば、その分を返金しなければならない。「前職の失業保険を返すことになった。一生懸命働いてもらえるはずの失業保険を返してまで、生活保護を受けるなんて、納得できずにやめた」

 Cさんは事業の収入で生活しており「熱中症も危険だけど、収入が途絶えるのも生死に関わる」という。夏場は銭湯代を節約するわけにいかず、炊き出しの食事も長持ちしない。8月の暑さ指数は午前中に限れば「危険」を超えない日もある。「午前中だけの作業はできるはず。民間は暑くても仕事は休まない。どうして都はできないのか」と憤る。有効な解決策がないまま「8月の事業休止が慣例となっていかないかが心配だ」と不安を抱える。

 NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都新宿区)理事長の大西連さんは「事業がたとえ他の仕事の補完であっても、さまざまな事情で福祉を受けず、事業の収入だけで命を支えている人がいるのが実態だ。公共的な仕事はむしろ増えているはずで、都は代替手段を工夫してほしい」と話す。【木許はるみ】

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