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生活保護者の集いコミュのコロナ禍の「女性不況」、“学歴による格差”の影響が深刻化している

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https://news.yahoo.co.jp/articles/a2db522c19375b12e09d0d0b203b9d47ca2ef3e5

コロナで生じた女性の雇用の変化
Photo by iStock

 コロナ禍の下で1年以上が過ぎ、さらに6月20日まで緊急事態が延長されることとなった。繰り返し出される緊急事態宣言で、様々な業種が体力を失いつつある。コロナで特に大きな影響を受けたのは対人サービス業であり、飲食・宿泊・観光など非正規で働く女性の多い業種である。そのためこのコロナ不況は特に女性の雇用に打撃を与え、女性型不況とも言われている。

【写真】「路上生活するしかない」コロナで困窮シングルマザーたちの「悲痛な声」

 2019年比で2020年のデータを見ると(『労働力調査』(年平均))、就業者が最も減少した産業は「宿泊業・飲食サービス業」で29万人の減少だった。さらに女性の休業者は45万人増であるが、内訳をみると非正規雇用者では29万人増、正規雇用者は10万人増、自営業者で5万人増である。

 緊急事態や営業時間の制限により、飲食業やホテルの中には営業そのものを休んだところもあれば、営業していてもアルバイトやパートの勤務人数や時間を大幅に減らした店もある。被雇用者側から見れば、店は営業しており休業ではないが勤務シフトを大幅に減らされ、その分収入が減った人もいるだろう。だが影響はすべての人に同じようにあったわけではない。

 2019年度比で2020年の15〜64歳の女性就業者数を見ると、正規雇用者は31万人増加している一方で、非正規雇用者は55万人の減少であった。つまり正規雇用者として働く女性は増えている一方で、非正規として働く女性はむしろ仕事を失っている。2015年以来、15〜64歳の女性の非正規労働者は増え続けていたが、コロナの影響で一気に減少したのだ。

女性の就業状況の学歴格差
Photo by iStock

 コロナは男女間の格差だけでなく女性の間にある格差も明らかにした。正社員で感染リスクも低い在宅勤務が可能で、収入も変わらない人もいれば、小売販売や清掃、介護などのエッセンシャルワーカーとして感染リスクにさらされながら、非正規として働き続けている人もいる。またそもそも飲食やアパレルの販売員などの中には、仕事そのものを失った人もいるだろう。

 女性は非正規でもいいではないか、結婚していれば世帯主である夫の収入があるのだからという考え方もあるだろう。だが、共働き世帯においても妻の収入は重要であり、妻の減収は子育て世帯に打撃を与えている。

 しかも未婚化が進む中で単身の女性たちも増えているが、この単身女性の中にも差がある。『就業構造基本調査』(2017年)から未婚女性の学歴別就業状況を見てみてみよう。中卒・高卒・大卒と学歴が高くなるほど有業率が高くなる。

 20〜50代で見てみると中卒未婚女性の場合、働いている人は5〜6割、高卒未婚女性では8割前後、大卒未婚女性では9割台である。未婚女性の有業割合は学歴によって大きな差があるのだ。

 さらにこの未婚女性の働き方を見ても、学歴が高いほど正規雇用者比率も高い。同じく20〜50代で見てみると正規雇用者として働いている人は、中卒未婚女性のうち1〜2割、高卒者は3〜4割、大卒者が6〜7割である。1997年のデータを見ると中卒未婚女性全体では正規雇用者は約3割、高卒未婚女性では約6割であった。

 一方で大卒女性の正規雇用者の割合は変わっていない。女性の就業率が上がる中で、非大卒層ではこの20年の間にむしろ正規の仕事が失われてきたことが分かる。就業状態においても学歴格差が広がっているのだ。そして、非正規の仕事で生活を維持している単身女性は少なくない。
配偶関係から見えてきた学歴格差
図1:中卒女性の未婚、離死別、有配偶率(筆者作成)

 また未婚化が進展するだけでなく離死別者も増え、女性の単身化が進んでいる。これも『就業構造基本調査』(2017年)から筆者が女性の学歴別年代別に未婚率・離死別率・有配偶率を試算してみた。中卒女性が図1、高卒女性が図2、大卒女性が図3となっている。

 まず図1から見てみよう。中卒女性の場合10代ですでに12%が有配偶となっている。年代が上がるにつれて有配偶率は上がっていくかと思われたが、30代前半には離死別率が17%となり、有配偶率が51%と約半分になる。その上の年齢層を見ても未婚率は下がるものの、離死別率が上がるため40代でも有配偶率は50%台である。

 だが1997年には中卒女性の婚姻関係はもっと安定しており、30代から60代にかけては有配偶率は8割前後だった。それがどの年齢層においても、2007年、2017年と時代を追うごとに未婚率と離死別率が上がってきている。しかも1997年時点においても30代の中卒女性の未婚率と離死別率は高卒女性のそれより高く、高卒女性より単身者比率が高かった。

 それでは高卒女性の場合はどうなっているだろうか。高卒女性の年代別配偶関係は図2である。まず未婚率だが30代前半までは高卒女性の方が中卒女性より未婚率が高いものの、30代後半になるとそれが逆転する。さらに離死別率も低く、30歳代後半から50歳代にかけての有配偶率は7割である。

 次に大卒女性の配偶関係はどうなっているだろうか。今度は大卒と高卒女性を比較してみよう。そうするとどの年代でも大卒女性の未婚率は高卒女性のそれを上回っている。だが離死別率は大卒女性の方が低い。30歳代前半で大卒・高卒女性共に殆ど同じ有配偶率になった後は、50歳代までは大卒女性の有配偶率の方が高くなる。

 つまり大卒女性の方が未婚率が高いのだが離死別率が低いため、単身率が高卒女性より低いということになる。

 1997年のデータを見ると、未婚率は大卒者の方が高く、離死別率は高卒者の方が高かった。しかしその差はわずかであったたため、高卒女性の30代後半から50代にかけての有配偶率は9割近かった(大卒者も85%程度である)。かつては大卒女性の方が高卒女性より単身率が高かったのだ。

 この20年で未婚率はどの学歴の女性でも上がっているが、離死別率には学歴で大きな差がある。大卒女性の離死別率が低いため、30〜40代にかけては大卒女性の方が非大卒女性より有配偶率が高くなっている。

 このように学歴間での就業格差・配偶関係の安定性の格差は、さらに広がっている。非大卒女性は就業上も不利なだけでなく、配偶関係においても安定した世帯を維持しにくくなっている。コロナはその弱い層に強い痛みをもたらしている。

 数年前の「一億総活躍」の掛け声が嘘のように、今や女性の足元は崩れている。ワクチン接種が進みコロナが制御されるようになれば、一気に景気が戻り人手不足になると言われている。だが、コロナに狙い撃ちされた女性たちは、そこまで持ちこたえられるだろうか。

前田 正子(甲南大学マネジメント創造学部教授)


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