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生活保護者の集いコミュのシングルマザーのみなさん、一歩を踏み出しませんか

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https://digital.asahi.com/articles/ASP657QCTP62PLZU001.html

「メセババ」の高山大=東京・亀戸

写真・図版
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「太陽たちの笑顔」 第3回
 大阪市にある女性支援の会社「Animo(アニモ)」。社長である橋本典子は、ことし、シングルマザーを支援するプロジェクトを打ち上げた。その内容は――。

 新型コロナウイルスの感染拡大で困窮している一人親の家庭を対象に、2年間にわたって生活から仕事までを支えます。

 引っ越し費用は持ちます。大型家電つきの住居も用意します。お子さんは、うちで運営する保育園が預かります。

 うちで運営するビジネスマナースクールで無料で学べます。協力してくれる企業に派遣の形で働いていただきます。月の手取りが18万円ぐらいからのスタートです。生活にかかる費用を引くと、月に3万円ぐらい貯金ができる計算です――。

 「ママのこれから」

 これが、プロジェクト名である。

母さん 僕は、ここまでやりました
 すべての女性を笑顔にしたいと言っているAnimoにとって、このプロジェクトは真骨頂だ。ただ、潤沢な資金があるわけではない。だから、プロジェクトにかかる資金の一部をクラウドファンディングで集めた。目標の300万円を突破した。

 準備は整った。

    ◇

 東京は江東区、亀戸。都会の騒がしさを離れた静かな場所に、イタリア料理店「メゼババ」がある。カウンター10席だけの小さな、そして大人気の店だ。

 ひとりで腕をふるう店主、高山大(はじめ)(46)は、「ママこれ」のクラウドファンディングに30万円、出資した。

 「僕には、貧しさと孤独に苦しむシングルマザーと子どもの気持ちが分かる気がするんです」

    ◇

 中学生のころ、会社員だった父が単身赴任中に、母は家を出ていった。

 母への怒りを感じた。怒っている場合じゃなかった。6歳年下の弟を食べさせなくてはならない。高山は、生まれてはじめて食事づくりをした。

 メニューは、サラダ。レタスを一枚一枚ちぎってボウルに入れ、中華ドレッシングをかけたもの。料理人高山がつくった人生初の一品である。

 これを、弟とふたりっきりの家で食べた。

 学校が終わると、すぐ帰宅。洗濯、掃除。そして、家の中にあったいくばくかのお金をつかっての買い物。

 毎日、毎日、高山は台所に立った。その後、高山は知人の家に預けられ、兄弟は離ればなれにされた。

 料理の腕前は上がっていた。大学生のころイタリア料理店でバイト。高山は思った。

 〈料理するって、なんて楽しいんだ〉

 料理人を志し、26歳でイタリアに渡る。修業先のレストランはミシュラン一つ星で、二つ星を目指していた。大所帯で、世界中から修業にきていた。

 イタリア語がしゃべれない日本からやって来たヤツ。高山は、ひとりぼっちだった。寮に、小田和正のCDがあった。修業に来た日本人が置いていったのだろう。それを聞きながら、涙ぼろぼろ。

 ある日の深夜、仕事を終えて、明かりがついていた小さな酒場に立ち寄った。すると、店主が言った。

 「飲んでいけ。お代はつけにしておく」

 そこで飲む一杯のビールが心にしみた。

 厳しい修業に耐え、店の中心スタッフに成長していく。修業に来た後輩たち、それが日本人であってもイタリア語で指示した。

 そして8年前、いまの店を出した。店名の「メゼババ」。それは、高山の孤独をいやしてくれた、あの酒場の名。

 本場仕込みの技と、魂をこめた創作で、店はまたたくまに大人気に。新型コロナ禍では、子どもたちに料理をふるまった。出張シェフとして団地などに出向いた。コロナ禍で外出を控えていた人たちが、大いに喜んでくれた。

 少年のころ、高山の心には、母への怒りがあった。だが、大人の階段をのぼるにつれて考えが変わってきた。

 〈きっと、母にも事情があったはず。つらかったはずだ〉

料理人は人を助けているか?
 高山が店を出しているのは、どこかで見ているかもしれない母へのメッセージが込められている。

 母さん。僕は、ここまでやりました。

    ◇

 「そんな僕ですが、料理人という仕事について考えるようになりました」

 医者や弁護士は、人を助けている。

 料理人は人を助けているか?

 お客さんに喜んでいただいている。素直にうれしい。でも、人助けか。違う。

 「いろいろ考えているうちに、こんな結論を出したんです」

 困窮している方に料理を届けることは、できない。でも、お客さんからいただいたお金を困っている方の支援に使ってもらうことはできる。困窮しているシングルマザーのみなさんを、みんなで支えるのは当然だ。

 「だから、僕は、Animoさんのママこれに、これからも支援します」

    ◇

 堺市を拠点に、お年寄り施設での給食、老人ホームや保育園の運営などをする「ダイフク」。2011年にできたこの会社は、「ママこれ」からくるシングルマザーの受け入れ態勢を整えている。

 「まず介護福祉士になってもらい、その後、ケアマネジャーなどへキャリアアップしてもらいます」

 そう言うのは、ここを創業した社長、海田力(かいだつとむ)(48)である。

 海田もまた、母と子の気持ちを理解できる男であろう。

 愛知県にある日本福祉大を卒業して、地元堺の児童養護施設で働いた。

 貧困や虐待など、さまざまな理由で親と暮らせない子どもたち。家庭の雰囲気を味わってもらおうと、ときどき、海田は実家に子どもたちを招いた。

 海田は、親たちの身勝手なふるまいも何度も見てきた。

 「それに比べたら、シングルマザーはすごい」と海田。どんなに貧しくても子どもと一緒に暮らそうと頑張っているのだ。

 海田の会社が保育園をしているのは、4年前にAnimoと巡り合ったからである。

 子育て中の従業員のことも考え、保育園をつくろうと考えた。運営を任せられるところを探していた。10件ほど訪ねたが、信頼できるところがない。あきらめかけていると、知り合いがAnimoを教えてくれた。

決断するのは、アナタです
 保育園を見学させてもらった。従業員を大切にしていることが分かった。

 そして……。

 「橋本さんは太陽のような笑顔の人。お目にかかって元気になった」

    ◇

 これまで「ママこれ」には、50件ほどの問い合わせがあった。ただ、実際にスタートしたママは、まだいない。

 大阪市を拠点に、全国6千人以上の1人親とつながる一般社団法人「ひとり親支援協会」。その代表理事である今井智洋(34)は、たとえばこんなアドバイスをしている。

 「(パートナーからの暴力である)DVなどにあって離婚するまえの母親も大変で、実態は1人親です。対象を、1人親予定者に広げませんか」

 橋本たちは、より利用しやすい仕組みにしようと修正中である。

 「シングルマザーのみなさん。一歩を踏み出しませんか。そして、幸せになりませんか、笑顔になりませんか。どうか、私たちを使ってください」

 「決断するのは、アナタです」

    ◇

 最後に、橋本典子という人は、どういう人なのか。親友である田村有樹子(40)に聞くと、こんな答えが返ってきた。

 「根性、すわってる。ぶっ飛んでる。典ちゃんなら、自立できない人の背中を押してあげられるでしょう」

 田村は、絵本「えんとつ町のプペル」の原作者で映画化も手がけた西野亮廣(あきひろ)のマネジャーである。

 京都出身。子どものころ、同級の女性たちから跳び蹴りを食らうなどのいじめを受け、不登校になった。テレビ番組のプロデューサーをへて、現職にいたっている。

 田村もまた、女性を笑顔にした人物である。

 みなさんは、18年の成人式を前に起きた騒動を覚えているだろうか。

 着物店「はれのひ」が、とつぜん店を閉め、多くの新成人が晴れ着を着られなかった騒動である。

 SNSでは、「呉服屋の社長最悪や」「新成人悲惨」などというメッセージが飛び交った。田村は、腹がたった。同情だけしている大人たちに。

 同情するなら、行動しろよ。

 田村は西野たちを動かした。そして……。

 成人式から1カ月ほどたった2月、横浜で、騒動で涙した20歳の女性たちを招き、晴れ着姿を写真に撮ってプレゼント。さらに、クルーザーでのパーティーを開いた。

 「リベンジ成人式」である。

 橋本と田村が知り合ったのは、高校生のころ、テニススクールにて。それから10年をこえたころ、竹細工作家をしていた橋本と再会、たびたび会うようになり、親友になった。

 田村は言う。

 「わたし、女性が得意じゃないんです。子どものころ、いじめられましたから。でも、典ちゃんは違った。気持ちのいい人間です」

 かつて、平塚らいてうは記した。

 「元始、女性は実に太陽であった」

(敬称略)(編集委員・中島隆)

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