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生活保護者の集いコミュの「住まいの貧困」解消へ…名古屋でがっちりタッグを組んだ異業種3社 「行き場のなくなってしまう人を見過ごせない」

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https://news.yahoo.co.jp/articles/41df677a2086a40932280fd1846fcb0bec7ea4ae?page=1

建設会社・ひとり親支援団体・不動産会社が連携して、住まいを提供し、生活面でも支援することで、生活に困窮した人をサポートしていく事業が、名古屋市で始まっている。事業を立ち上げたのは、名古屋市熱田区の建設会社「千年建設」の岡本拓也社長。かつてNPO法人「ソーシャルベンチャー・パートナーズ東京(SVP東京)」の代表理事を務め、社会的課題の解決に取り組むソーシャルビジネスの専門家という建設会社のトップとは別の顔も持っているユニークな社長の取り組みを追いながら、その背景にある日本の「住まいの貧困」について考えてみたい。

建設会社、ひとり親支援団体、不動産会社が実践する「コレクティブ・インパクト」とは?
ソーシャルビジネスの専門家でもある千年建設の岡本拓也社長

 生活困窮者向けの住居事業を開始した千年建設は1983年創業。名古屋市南部の工業地帯の工場の修繕を手がける地元密着型の建設会社だ。岡本社長は、父親の急逝を機に、3年前に会社を継ぐことになった。会社を継ぐ前の岡本社長は、公認会計士としてさまざまな企業の再生などを手がけた後、2011年から6年間、社会的な課題の解決に取り組む革新的な事業に対して、資金を提供したり、パートナーとして経営支援を行ったりするSVP東京の代表理事を務めた。さまざまな団体とともに社会課題の解決に携わってきた。

 そんな岡本社長の原点は、大学を休学してバックパックで世界を回っている途中にたまたま訪れたバングラデシュで、後にノーベル平和賞を受賞するムハマド・ユヌス氏が設立した「グラミン銀行」のマイクロクレジット(無担保少額融資)という手法に出会ったことだ。シングルマザーを中心とした貧しい人たちに少額の融資を行い、借り手がそれを元手に仕事を始め、貧困状態を脱していくという仕組みを知ったことが、その後の活動につながったという。

 急遽、建設会社の社長という立場になった岡本社長だが、コロナ禍で仕事を失い、さらに住まいまでも失う人が増えていることを報道などで知ると、ソーシャルビジネスの専門家として居ても立っても居られなくなる。そして、「建設会社と自身のソーシャルビジネスの知見。この二つを組み合わせた事業で、社会に貢献できるのではないか」と考えた。

 「工場などの修繕を手がけてきた会社の強みを生かし、建物をリフォームして住居が必要な人に安価で提供しよう」。早速、2020年9月頃に社内で新事業のプロジェクトを立ち上げた。しかし、検討を進めるうちに、自社だけでは目的を達成できないと気づく。「家を失う人たちはお金や仕事、健康などさまざまな悩みを抱えていることが多い。物件を用意するだけでは問題の解決にはならない」 。住まいを提供するだけでなく、生活面のサポートも必要だった。しかし建設会社では入居者の生活支援まで見ることはできない。

 そこで、岡本社長は名古屋市内で生活に困窮する人を支援する団体はないか、インターネットで調べた。シングルマザーやDV被害者を支援しているひとり親支援団体「リンクリンク」(名古屋市中村区) を見つけ、メールで事業への協力を依頼した。

 リンクリンクの代表、大津たまみさんは突然の連絡に驚きつつも、岡本社長の提案に賛同した。シングルマザーの多くは非正規雇用で収入が少ない。ひとり親というだけでアパート入居を断られることもある。リンクリンクでは母子世帯の生活の相談を受けながら、自社でシェアハウスを運営したり、入居可能な物件を探したりしてきた。ただ、物件が見つかっても、老朽化がひどい、車のない人が生活するには不便な場所にあるなど、がっかりすることも少なくなかった。このように、支援活動をする中で、かねてから住宅確保の困難さに悩んでいた大津さんにとって、岡本社長の提案は願ってもない内容だったのだ。

千年建設が今年4月に取得した名古屋市東区の「ナゴヤビル」。名古屋中心部へのアクセスも便利で、車がなくても不便はなさそうだ。

 住まいの確保に長年苦労してきたリンクリンクの意見も踏まえて、千年建設が今年4月に取得した建物が名古屋市東区にある鉄筋コンクリート造6階建ての「ナゴヤビル」。地下鉄の駅から徒歩5分で、名駅や栄といった名古屋市中心部へのアクセスも抜群。車がなくても生活に困ることはない。

 建物は築38年と決して新しくはないものの、オートロックでエアコン付き。南向きで日当たりのよいリビングにはクローゼットもあり、母親と小さな子ども2人であれば、十分落ち着いて過ごせそうな広さだ。家賃は1DKで5万円程度を予定しているが、入居者の事情に合わせ、より低い金額での提供も検討するという。

マメカバ不動産の管理事業部長、坂田英嗣さん。今回のプロジェクトへの思いを語った。

 そして、リンクリンクと共に、岡本社長のプロジェクトに欠かせない協力者となっているのが、物件を管理する不動産会社「マメカバ不動産」(愛知県東海市)。岡本社長が不動産会社を探している際に人づてに紹介された会社で、リンクリンクの本社が入居するビルの管理も手がける。

 家賃滞納のリスクを考えれば、不動産会社が物件オーナーに低所得の方の受け入れを積極的に勧めることは考えにくい。しかし、マメカバ不動産の管理事業部長の坂田英嗣さんは「うちに来て『ここに来る前に、2件の不動産屋さんから断られてしまって…』などと話す生活保護受給者やシングルマザーもいます。自分たちが物件探しを断れば、どこにも行き場がなくなってしまう。このまま見過ごしてしまっていいのか、という葛藤がありました」という。一方で「どんな人にもそれぞれに合った物件を紹介する」という社の理念もあった。

「家賃を抑え、保証人がいない人にも借りてもらいたいという千年建設さんの思い。そして、入居者の生活や就職をサポートするリンクリンクさんがあってこそ成り立つ事業。当社も理念実現のため、一緒に挑戦しようと考えました」

こうして3社が協同する画期的な取り組みが始まったが、企業である以上利益は確保していかなければならない。通常の賃貸住宅よりも手厚いサービスの提供を目指しているが、入居者からは高額の家賃を受け取ることが難しい。しかし、「ナゴヤビル」の経営が行き詰まれば再び路頭に迷う人を増やしかねない。千年建設の岡本社長は「事業性と社会性の両立は当社にとって大きなチャレンジ。財務のプロに入ってもらい、緻密に計画をシミュレーションしている」と真剣な表情を見せる。

 さらに今後について、岡本社長は「現在はシングルマザーの方の入居を想定していますが、ゆくゆくは地域の他団体にも協力の輪を拡げていって、仕事を失った方や外国籍の方など、ホームレス状態にある人が生活を再建するために必要な住まい確保の需要にも、広く応えていけるようになりたい」と意気込んでいる。

 さまざまな企業や団体が、お互いの強みやノウハウを持ち寄って、困難な社会課題の解決、そしてその先に社会変革を目指すアプローチのことを「コレクティブ・インパクト」という。岡本社長は「ナゴヤビル」の取り組みについて、「コレクティブ・インパクトの考え方を大切にしながら、事業を進めていく」と話している。

政策に「ハウジング・ファースト」の理念を 中京大学・岡本祥浩教授(居住福祉学)
住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度は始まったが…(国土交通省のHPより)

 「ナゴヤビル」の取り組みはコロナ禍をきっかけに始まった。しかし、低所得者の住まいの問題は、決してコロナ禍に始まったことではない。現在の日本が抱える住まいの問題について、中京大学総合政策学部の岡本祥浩教授(居住福祉学)に聞いた。

――現在の日本の住まいをめぐる問題の特徴は?

日本では仕事と住宅のつながりが強く、バブル期までは企業が福利厚生の一環として社宅を用意したり、終身雇用を前提にローンを組んで家を買ったりすることが一般的でした。1990年代以降、景気の低迷とともに非正規雇用が増加し、住宅ローンや家賃を払えなくなってしまう人が増えました。本来であれば、この時点で国や自治体が安価な住まいを提供するべきだったと思いますが、日本では住宅の供給をほぼ市場任せにし、むしろ公営住宅の戸数を減らしてしまいました。

――貧困層の住まいに関する施策はないのですか?

2017年から、国と自治体が、高齢者、低額所得者、子育て世帯、障害者、被災者、外国人やDV被害者といった、住宅の確保の困難な人を受け入れる民間の賃貸住宅を登録してもらい、必要な人に紹介する「新たな住宅セーフティネット制度(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)」が始まっています。低所得者などの入居を拒まない、として登録した住宅は、改修費の補助などが受けられます。しかし、登録住宅の戸数は伸びていません。また、登録住宅であっても貸主が「高齢者はいいけどひとり親家庭はダメ」などという条件を付けることができたり、設備や交通の便の良くない物件が目立ったりと、生活に困った人が本当に使いやすい制度になっていません。住める場所があればどこでもいい訳ではありません。低所得者であっても通勤や子どもの通学など、それぞれの人の生活に合った住まいをマッチングできなければ、苦しい生活からは抜け出せません。

――コロナ禍でさらに住まいの問題は深刻になっている?

欧米などでは政府が、コロナで打撃を受けた人の家賃の支払いを猶予する、滞納による立ち退きを要求することを禁止する、それに伴って経済的なダメージを受ける家主を支援する、といった施策を打ち出しています。日本でも家賃が払えなくても、家に住み続けられるようにする制度が必要です。住まいがなくなれば、就職も、支援につながることも難しくなります。また、屋外で過ごす時間が増えるため、感染症の拡大にもつながる可能性があります。安定した住まいの提供が最優先、という「ハウジング・ファースト」の考えに基づいた社会保障政策が必要です。

(石黒好美/nameken)

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