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生活保護者の集いコミュの生活保護申請、支える地方議員(その1) 貧困は自己責任じゃない

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https://mainichi.jp/articles/20210602/dde/001/010/032000c

「最終的には生活保護」。そう語ったのは、日ごろから自助や共助を強調する菅義偉首相だ。でも、ネットカフェや屋外で寝泊まりする“ホームレス状態”を抜け出すのは簡単ではない。そもそも役所の窓口ですぐに生活保護を受けられるとも限らない。「貧困は決して自己責任なんかじゃない」という東京都足立区議の小椋修平さん(47)はこの十数年、困窮した人らに同行して役所で生活保護を申請したり、生活再建をサポートしたりしている。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同じ志を持つ地方議員のグループをつくった。

第一関門は住民票
 4月中旬。足立区役所に、小椋さんと30代前半の女性の姿があった。住む場所を失って、足立区内のネットカフェで生活してきたという女性。すでに小椋さんの同行で生活保護の申請を済ませており、この日は戸籍住民課の窓口を訪ねた。緊張した面持ちで、千葉県内のある自治体の住所が記された住民票の写しを差し出した。ボロボロになった折り目の部分が、セロハンテープで補強されている。


 その住所は女性がかつて住んでいた場所だ。小椋さんは慣れた口調で職員と話し始めた。ほどなく区職員が照会すると、住民票は女性の居住実態がないことを理由に、千葉の自治体によって消除されていた。「5年たっていなくて良かった」。小椋さんは安堵(あんど)した。住民票が消除されてから5年以上経過すると、新たな住民票を得るためには本籍地から戸籍抄本を取り寄せるなどの手続きが必要になるからだ。

 実はこの間、女性はずっとこわ張った表情のままだった。何を話しているかすら分からなかったからだ。「祈るような気持ちだった」と女性。小椋さんが「大丈夫だったから」と声をかけると、ようやくほっとした表情を浮かべた。


 住民票がなくても生活保護の申請はできる。でも、住民票は生活保護を受けるようになってからその自治体で住所を得たり、住民サービスを利用したりするためには欠かせない。「ここでつまずく人も多い」と小椋さんは説明する。

 女性は信越地方の出身。千葉県内の賃貸アパートで暮らしていたが、趣味にのめり込んで家賃を滞納し住居を失った。持っていたスマートフォンも料金の滞納で通話できなくなった。


 それでもスマホを手放さなかったのは、コンビニエンスストア周辺など、無料Wi−Fi(ワイファイ、無線LAN)が使える場所では、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で知人と連絡が取れたからだ。

 3年以上、ネットカフェに寝泊まりしながら東京都内のガールズバーで働いた。ところが新型コロナの感染拡大で営業時間が短くなり、収入は半分以下に。感染に備えて店側が住居、年齢の確認を徹底したため働きづらくなり、2020年8月に“自主退職”した。


 貯金はたちまち底を突き、消費者金融などで借金を重ねた。手持ちが1000円となりネットカフェにも泊まれなくなった今年3月末、すがる思いで生活困窮者の支援に取り組む団体にメールで助けを求めた。「これでだめだったら、もう(死んで)いいかなと思って連絡した」。駆けつけたのが小椋さんだった。

 ホームレス状態という言葉から路上生活者を思い浮かべる人は少なくないだろう。だが、困窮者支援に取り組む関係者の間では、ネットカフェで暮らさざるを得ない人たちも、住まいがない点では同様の困難を抱えているとの考え方も広がっている。

 小椋さんは支援団体が準備していた当座必要な現金を緊急融資として渡し、女性の宿泊先を確保。区役所への生活保護の申請に同行した。女性は無事に足立区で生活保護を受け、新たな住民票を得て、アパートも見つけられた。

 記者は女性に、アパートで暮らせるようになったら何がしたいかと尋ねたことがある。答えは「料理を作りたいです。ネカフェ(ネットカフェ)にキッチンはないですからね。カップ麺とおにぎりばっかりで」。得意な料理をすることすらかなわない、そんな時間が続いていたのだ。

 台所に立てる生活を取り戻した女性は「窓口の説明は半分も理解できず、一人では生活保護の申請を諦めていたと思う。これから生活を立て直したい」と小椋さんに感謝する。

助言する存在必要
 生活保護の申請を巡っては、自治体の窓口となる福祉事務所の対応が度々問題となる。困窮して追い詰められた人たちに対し、住民票がある自治体に行くよう仕向けたり仕事を探すよう求めたりして、申請に応じないケースもあるのだ。困窮者支援に取り組む人たちの間では「水際作戦」と呼ばれる。生活保護の申請同行は、こうした水際作戦を未然に防ぐとともに、その後の住民票の準備やアパート探し、必要な公的支援を受けるためのサポートといった当事者の生活を再建するための支援とも地続きだ。困窮者支援に取り組む人たちは長年こうした活動を続けてきた。

 小椋さんは「生活保護の申請は本来、誰かの同行などなくても、誰でも一人でスムーズにできるようでなければならない」と指摘する。その上で「住民票の復活など手続きが難しいケースもある。一緒に手続きや助言をする存在が必要だ」と話す。

地域の暮らしや課題を体感
 小椋修平さんが生活保護を申請する人たちの支援を本格的に始めたのは、東京都足立区議1期目の2007年ごろから。学生時代から野宿者を支援するための夜回り活動に取り組み、高じて始めた活動だという。


 小椋さんが大学を卒業した1990年代はバブル経済が崩壊した影響で、若者の就職が厳しい「就職氷河期」だった。小椋さんも正社員の仕事に就くことができなかった。派遣社員をしたり、日雇い労働者の街として知られる大阪・釜ケ崎で日雇いの仕事をしたり。野宿せざるを得ない「おっちゃんたち」が懸命に働き、生きている――。そんな姿を目の当たりにして、政治の世界を志すようになった。国会議員秘書になっても、新宿などで野宿者の支援に加わり、時には生活保護申請の同行に取り組んだ。

 「声を上げることができなかったり難しかったりする人たちの現実を見つめ、動くのが政治の役割だと思います。現実の問題を解決しつつ、社会の仕組みを変えていかなければならない」


 リーマン・ショック後の08年末〜09年初め、東京都千代田区の日比谷公園に「年越し派遣村」が開設された際は、生活保護を申請して足立区に住所を得た「村民」の支援に奔走した。

 現職の区議が窓口を訪れるから、露骨な水際作戦に遭うことはないという。それでも、当事者がよりよい公的サポートを受けられるように各種制度を勉強し、あるときは区職員とともに、またあるときは地域をまたいで同じ地方議員と連携して、支援策を考える姿勢を大切にしている。


 新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になった昨年春以降は、生活保護の申請に同行して区役所に行く機会が一層増えた。都内を中心に困窮者支援に取り組む一般社団法人つくろい東京ファンドの稲葉剛代表理事(51)に、活動のサポートを依頼されたのがきっかけだ。

 旧知の稲葉さんからは、コロナ禍で生活困窮者が急増することを見越して「生活保護の申請同行などを支援してくれる地方議員のネットワークを作れないか」との打診もあった。地方議員は市民にとって最も身近な政治家。ただ、地方議員の間でもさまざまな考え方があり、「生活保護は恥だ」と考える人もいないわけではない。一方で、困窮者支援に力を入れる人もいる。小椋さんは東京都小金井市議の片山薫さん(54)らに呼びかけ、昨年4月に「コロナ災害対策自治体議員の会」を結成した。


 現在、首都圏を中心にメンバーは約200人に上る。大半は野党系だが、与党系の議員もちらほら。「自分の支持者は生活保護とは無関係だと思っていた議員も、コロナの広がりとともに無関心ではいられなくなったのでは」と小椋さんは分析する。

 「議員の会」には生活保護の申請同行をほとんどしたことがないメンバーもいるという。「通常の頼まれごとは担当課につないで終わりだが、生活保護の申請は困窮した人たちの命に関わる問題」。こう話す小椋さんは、メンバー向けに自治体のケースワーカーらから実務と実践を学ぶオンライン学習会を2回開催している。今後も生活保護にまつわる判例や社会情勢を学び続けるという。

地方にこそ必要
池田幸代・長野県駒ケ根市議=本人提供、遊佐千恵子さん撮影拡大
池田幸代・長野県駒ケ根市議=本人提供、遊佐千恵子さん撮影
 地方議員のネットワーク作りは首都圏だけの話ではない。長野県駒ケ根市議の池田幸代さん(49)は昨年4月に「地域から生活保障を実現する自治体議員ネットワーク『ローカルセーフティーネットワーク』」を設立した。国会議員秘書として東京で活動している期間が長かったことから、市民団体の活動が必ずしも活発ではない地方都市でも、市民が駆け込む相談先が必要だと考えた。

 「地方では困窮者が孤立し放置された状態にある。とりわけ女性が生活困窮や仕事の悩みを抱えていても、相談したり支援を依頼したりできる場が圧倒的に少ない」と池田さん。昨年6月には、東京のNPOから、県内の10代の少女のサポートを依頼された。困窮し、困り果てた少女は電話でこのNPOに相談。池田さんは少女と落ち合い、生活保護の申請に同行した。

 現在、約60人が加盟しているネットワーク。活動の一端を担っているのがフェイスブックだ。池田さんがネットワークの名前で作ったページは、手を挙げた議員の名前と連絡先を掲載し、困った人が相談できるようにしている。さらに厚生労働省の社会保障関連の通達を掲示して、情報交換の場としても活用している。

 相談の解決法を専門家が考えてくれることも。ある生活保護受給者がアパートを退去させられることになり、お金がなくて困っていると池田さんに相談した際は、旧知の弁護士やケースワーカーが過去の判例や通達を詳細に調べ、最終的にこの受給者は転宅費用などを得て無事に引っ越すことができた。

 池田さんはこの他、同じ地域で活動する地方議員らとともに、個人で加盟できる労働組合「長野一般労働組合上伊那支部」も結成。賃金不払いや解雇、労災保険を請求させないといった問題で泣き寝入りする労働者が少なくないことを知ったからだ。

 こうした活動に「それが自治体議員の仕事か」との意見が寄せられることもあるという。だが池田さんはひるまない。「これこそ自治体議員の仕事。議員は専門家の力を借りながら地元の労働、生活・法律相談に関わった方がいい。そこから地域の人たちの暮らし方、働き方、取り組むべき課題がリアルに理解できる」【東海林智】

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