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生活保護者の集いコミュの「五輪やってる場合か」広がる貧困 炊き出しの列、過去10年で最多

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https://mainichi.jp/articles/20210528/k00/00m/040/238000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20210529

 体重は17キロ減り、所持金は10円を切った。寝る場所はネットカフェから路上になった−−。新型コロナウイルスの影響が長引く中、仕事を失うなどした人たちの生活がますます追い込まれている。東京・池袋の公園で支援団体が続けている「炊き出し」に集まった人数は今年に入ってさらに増えて過去10年で最多となり、リーマン・ショック(2008年)直後の水準に迫っている。苦境に耐えきれず、初めて支援を受ける人が目立つという。最近、路上で暮らすようになった男性(62)もその一人だ。緊急事態宣言下で、飲食店の清掃の仕事は2カ月近くない。「もう、もたない……」。宣言の延長が決まり、男性は絶望したように声を落とした。【木許はるみ/デジタル報道センター】

初めての炊き出し 1日1食で体重が17キロ減
 「こういうところ、来たことなかったんだ。会場のそばまで来ても、(恥ずかしくて)なかなか入れなかった。でも、さっきあいさつした人が『いいから』『いいから』って言ってくださって」。5月22日午後7時、池袋駅東口の公園。生活困窮者の支援を行うNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が約1時間の「炊き出し」を終え、片づけをしていた。炊き出しといっても、今は感染対策のため、個別包装された食料を配っている。公園の隅で、配られたパック入りのカレーを手にたたずむ小柄な男性がいた。紺色のジャンパーに同じ色のキャップ帽。記者が話しかけると、親しみやすい口調でここ数カ月の生活を語ってくれた。


 男性が初めて食料支援を受けたのは今年2月だった。公園から少し離れた場所から様子をうかがっていたところ、てのはしの支援者に声をかけられ、食事を受け取ることができたという。男性は取材中もその支援者を見つけると、帽子を取って、深くお辞儀をしていた。

 「あれからもう3、4カ月になるのか。冬はまだ日が短くて暗かったけど、今は明るいでしょう。だからこうやって帽子をかぶっている。やっぱりまだだめなんだね、羞恥心があるんだよね」。顔を隠すように帽子を目深にかぶり直し、こう続けた。「1日1食が続き、ここ1年で体重は17キロ減ったんです。そんな生活に慣れてしまいました」


子供の存在が励み コロナで転落
 男性は約10年前に離婚し、東京都内のアパートで1人暮らしを始めた。離婚のきっかけは、男性が知人の借金の連帯保証人になっていたために、持ち家などの財産を差し押さえられたことだった。かわいがっていた2人の子供とも離れざるを得なかったが、時々レンタカーを借りて息子や娘の家の近くまで行き、元気な姿をそっと見ることが唯一の楽しみだった。「子供たちが独立して立派に暮らしていることだけが励みで」と表情を緩める。

東池袋中央公園であった炊き出しの後、男性はカレーを入れたカバンを手にコロナ禍の生活を語った=東京都豊島区で2021年5月22日午後7時31分、木許はるみ撮影拡大
東池袋中央公園であった炊き出しの後、男性はカレーを入れたカバンを手にコロナ禍の生活を語った=東京都豊島区で2021年5月22日午後7時31分、木許はるみ撮影
 一人になってからは、不動産業などを経てトラックの運転手になり、全国を回った。仕事で家を留守にすることが多かったため、アパートを引き払い、ネットカフェやホテルで生活するように。更新時期の勘違いから運転免許が失効して以降は、荷物の仕分けや飲食店の清掃で生計を立ててきた。


 男性は振り返る。「コロナの前は週に5日働いて、月収15万円くらいはあったんです。食うには困りませんでした」。新型コロナの感染が拡大した昨年春以降、徐々に仕事がなくなり、仕事は週に2回、月収は4万円にまで落ち込んだ。

 「それでも、12月まではまだよかったんです。ここ4カ月くらい、すごく仕事が減りました。若い人も仕事がないので、僕のような60歳を超えた人にまで仕事が回ってこないんです」


 こつこつとためた約30万円の貯金を取り崩してなんとか食いつないだが、それも底をついた。ネットカフェの料金も支払えなくなり、路上に出た。てのはしの炊き出しには2月に初めて訪れて以来、頻繁に通うようになった。現在は東京都の緊急支援で、一時的にビジネスホテルで寝泊まりしているという。

10円単位の所持金 耐えきれなくなり炊き出しに
 困窮者支援の現場で何が起こっているのだろうか。てのはしは03年から毎月第2、第4土曜日に炊き出しを実施してきた。てのはしによると、年度別の炊き出しに訪れる平均人数は、リーマン・ショック直後の09年度が最も多く、331人。400人を超えた回もあった。その後減少傾向が続き、19年度は平均で166人だった。新型コロナの感染が拡大した20年度に増加に転じ、平均237人まで増えた。20年4〜12月までは100〜200人台を推移していたが、今年1月以降は天候の悪い日を除き、毎回300人以上が集まっている。

支援団体「TENOHASI」の炊き出しで配布されたカレーなどの食料=「TENOHASI」提供拡大
支援団体「TENOHASI」の炊き出しで配布されたカレーなどの食料=「TENOHASI」提供
 記者が男性を取材した5月22日は383人に上り、過去10年で最多となった。てのはし代表理事の清野賢司さん(59)は「コロナ禍では、昨年4月の緊急事態宣言の時に最初のピークが来ました。今年1月からはそれを上回るペースで増え、リーマン・ショック時以来の多さになっています。この増加傾向がいつまで続くかはわかりません」と話す。

 なぜ、今年に入って特に増えたのだろうか。「新型コロナの影響が長期化し、これまでどうにか生活をつないでいた人たちが耐えられなくなったということでしょう。初めて炊き出しに並んだという人もいます」

 これまで多かった50〜60代に加え、30〜40代の若い世代が増えているのも特徴だ。「働き盛りの人が相談に来ます。ましてや50〜60代の人には仕事が来ませんよね。今日お話を聞いた方々は、所持金はおおむね1000円を切っています。わずか100円、10円程度しか持っていませんでした」

 清野さんはため息をつく。「このまま状況が改善されなければ、今後耐えきれなくなった人たちがどんどん表面化し、炊き出しの場にも集まってくるでしょうね」

支援団体「TENOHASI」が毎週水曜夜に行うおにぎり配布にも長い列ができた=東京都豊島区の池袋駅前公園で2021年5月26日午後9時28分、木許はるみ撮影拡大
支援団体「TENOHASI」が毎週水曜夜に行うおにぎり配布にも長い列ができた=東京都豊島区の池袋駅前公園で2021年5月26日午後9時28分、木許はるみ撮影
 新宿の都庁下で、支援団体「新宿ごはんプラス」と認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」が毎週土曜に行っている食料配布にも、過去最多の人数が訪れている。もやいの大西連理事長(34)によると、昨年4月は約110人だったが、この1年で3倍以上に増えたという。今年に入って200人を超え、3月には急増して300人を初めて超えた。5月は354人が集まった回があり、配布を始めた14年7月以来、最多となった。若い世代や女性が増えているという。

 実際、雇用環境は厳しい。厚生労働省によると、コロナの影響で解雇や雇い止めをされた人は、4月7日時点で見込みを含めて累計10万425人となった。20年度平均の完全失業率は前年度から0・6ポイント上昇の2・9%、完全失業者数は36万人増の198万人まで膨らんだ。いずれも09年度以来、11年ぶりの増加となった。

宣言延長に「これ以上無理」 生保にもためらい
 前述の男性も、清掃の仕事を探そうとしているが、見つからない。携帯電話は持っておらず、ボランティア団体からもらったテレホンカードを使って公衆電話で、求人誌の掲載元や知人に連絡を入れている。しかし、知人からは「緊急事態宣言が明けたら仕事があるかも」と言われるだけで、色よい返事はない。男性が最後に仕事をしたのは1カ月半前だ。

 所持金は10円以下の「何円」というところまで減った。「はっきり言って、今は100円ショップでさえ買い物できませんよ。自動販売機の周りに、お金がよく落ちているんです。300円も拾えたらうれしいですよ。それでラーメンを買って、豆腐を買って……なんてね」と語った後、「情けなくて何も言えませんが、こういう人間もいるということが現実です」とつぶやいた。

 それほど追い詰められているのに、生活保護の申請は考えないのだろうか。記者が尋ねると、「もし子供たちに連絡が行ったらと思うと、それがネックで……」と明かした。子供に連絡がいく、というのは、扶養照会のことだ。

 扶養照会とは、生活保護の申請があった際、自治体が申請者の親族に援助できるかを尋ねる仕組みで、支援団体が「家族に知られたくない、と申請をためらう人が相次いでいる」と見直しを求めていた。厚生労働省は2月、扶養照会の要件を緩和する通知を出したが、自治体によって判断が分かれており、対応が不十分との指摘がある。

 今最も気がかりなのは、緊急事態宣言がいつ解除されるかだという。仕事が得られるかどうかに直結するからだ。6月20日までの延長が決まったが、男性は「本当にね、遅くとも6月20日が、精神的にも耐えられる限界です。それ以上延びると無理だと思っているんです。これが最後の宣言ですよね」と、記者に同意を求めるように繰り返した。仕事の見通しがつかず、自活できないことへのいらだちが募っているように見えた。

 緊急事態宣言の延長によって、雇用はどれほど影響を受けるのだろうか。第一生命経済研究所の永浜利広・首席エコノミストは、4月からの緊急事態宣言発出に伴う失業者数を試算した。宣言が6月20日まで延長された場合、宣言解除から3カ月後の失業者数は約9万人増加すると予想している。永浜氏は「雇用環境の悪化が夏場にかけて顕在化する可能性がある」として、会社から従業員に支払う休業手当の一部を国が補助する「雇用調整助成金」の特例措置の延長などが必要と指摘する。

東京五輪のニュースに「むなしい」
 今すぐ支援が必要な人に対して、行政は何をすべきだろう。てのはしの清野さんは力を込める。「積極的に宿泊場所や就労支援を提供し、生活保護も認めてほしい。行政が自ら街に出て炊き出しの現場などに来て、困窮している人に対して生活保護が受けられるよう対応してほしいです。貧困がかなり広がり、深刻な状況なので、手当てを万全にすべきです。オリンピックをやってる場合ではないですよ」

支援団体「TENOHASI」の炊き出し。モスク「マスジド大塚」の協力でつくったカレーを支援者らが容器に詰めて配った=東京都豊島区の東池袋中央公園で2021年5月22日、TENOHASI提供拡大
支援団体「TENOHASI」の炊き出し。モスク「マスジド大塚」の協力でつくったカレーを支援者らが容器に詰めて配った=東京都豊島区の東池袋中央公園で2021年5月22日、TENOHASI提供
 男性は、新型コロナを巡る政府の対応を見ると、どうしても怒りがわくという。「政治家は一度でも炊き出しに並んだことがあるんでしょうか。何百人と国会議員がいるでしょう。それぞれの得意分野でいい政策をもっと考えてほしい」。政治家が実現に向けて奔走する東京五輪のニュースを見ても、むなしさが募るばかりだ。

 「離婚をした時は財産がなくなっても、仕事ができて自活できました。今は家も仕事も、その日の食事さえありません。今日もらったカレーも、昔なら『またカレー?』なんて言ってただろうけど、今はごちそう。最高のごはんです」。そう言い終えると、男性はパックを大事そうに抱え、公園を後にした。

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