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生活保護者の集いコミュの世帯年収480万円の40代夫婦、コロナで無職に… 払えぬ家賃5万円どうする?

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https://news.yahoo.co.jp/byline/otagakiayako/20210429-00235185/

長引くコロナ禍で日々賃貸トラブルに対応していると、緊急事態宣言も三度目になり、経済的ダメージを受け続け身動きが取れなくなっている人が増えてきたように感じます。コロナ関連で職を失った中高年は同じ業種に転職することが難しく、新たな業種にチャレンジしようとしても、年齢的にそう簡単な話ではありません。多くの人が、職を得られずに苦しんでいます。人は追い詰められると、『今』のことしか見えなくなります。「自業自得だ」とか「もっと早く動けばいいのに」とか傍から言う人もいますが、当の本人にすれば『今日どうするか』しか考えられず、結局、気が付いたときには身動きとれなくなっていたということになってしまうのです。

夫婦共働きから夫婦で無職

賃借人は、子ども3人を抱える40代夫婦。世帯年収は480万円、家賃5万円の物件に家族5人で住んでいました。家賃がきちんと支払われたのは、2020年の7月が最後です。もらった特別給付金で支払った後、そこから1度も家賃を支払えていません。さすがに家主もこのままという訳にはいかず、明け渡しの訴訟手続きに踏み切りました。

この夫婦はふたりとも、コロナで大打撃を受け続けている飲食業界で働いていました。まず最初に奥さんが失職。この段階では主軸のご主人の給与があったので、まだ何とか生活ができました。ところが時間が経つにつれ、夫婦が家にいる時間が増え、わずかながらの貯金はみるみるうちに減っていきます。家賃を払えなくなった以降は、生活費として親族から1万円、2万円と借りる日々でした。

しかしながら親族も、延々と続く打ち出の小槌ではありません。少額ながらも貸したお金が戻ってこなければ、「もう貸せない」となるのは当然のことでしょう。では、その後一家はどうやって生活しているのでしょうか。本人に確認してみると、児童手当だったり、親族以外の知人からの借り入れだったようです。今は夫婦ともに無職になってしまい、お互い就職活動はしているものの新たな仕事は得られていない状況です。

共に飲食業一筋で働いてきた夫婦ですから、今の状況では残念ながら仕事が得られないのは仕方のないことかもしれません。飲食業界は今なおコロナで打撃を受け続け、人に辞めてもらうことはあっても、雇い入れようというところはほとんどないのが現実です。そして40代まで飲食業以外で働いたことがないということになると、今さら他業種への転職は年齢的に厳しく、この先もそう簡単に職を得ることはできそうにもありません。

「この先どうなるのでしょうか?」

賃借人に聞かれ、私は途方に暮れました。夫婦は賃料の安い物件に転居したくても、転居費用が捻出できません。もはや親族を頼ることもできません。貯金は底をつき、夫婦ともに仕事を失い、子どもが3人もいるという、まさに八方ふさがりの状況でした。気が付いたら今日食べることすら、困るような日々。子どもたちの主な食事は、学校の給食となってしまいました。

とにかく行政に相談することからのスタート

「行政に相談に行きましたか? 生活保護の申請は? 住居確保給付金の申請をしましたか? 緊急貸付も受けられるかもしれませんよ」

夫婦はそんなことすら、頭にはなかったようです。とにかくこのまま手続が進んでしまっては、明け渡しの判決が言い渡され、最終的には部屋を明け渡さなければならなくなります。自分たちから任意に退去するか、強制執行で出されるか、まさに時間の問題となってしまいます。

生活に追い詰められると、物事を俯瞰して見ることができません。同時に心を蝕まれていくと、生きる気力すら失っていってしまいます。「どうして相談にいかないのか?」と思う人もいるでしょう。でも人は追い詰められたとき、前を向ける人たちばかりではないのです。

一生懸命に生きて来て、自分の失態でもなく、ある日突然に出てきたコロナウィルスという想定外のことから仕事を失ってしまいました。懸命に仕事を探しても、見つからない、面接してもらえない、仕事が得られないことが、まるで人生そのものを全否定されたように思えて来て、そうして目の前の『今』しか見えなくなってしまったのです。

夫婦には裁判所からの訴状を持って、役所に相談に行ってもらいました。裁判で訴えられているという事実から緊急性があるということで、生活保護受給の審査を早めてもらうことができたのです。一方で、私は家主と掛け合いました。もし一家が退去したら、次の入居者確保のためのリフォーム費用など諸経費がかかってしまいます。すぐに入居者が決まらなければ、空室期間の家賃収入もなくなります。生活保護を受給して役所から家賃が直接家主に支払われたら、滞納の心配もありません。幸い、夫婦の借りている物件の家賃は、生活保護の範囲内でした。

退去してもらってリフォームして新しい入居者を確保するか、それともこのまま役所からの確実な支払を確保するか、家主は悩んだ末、このまま住み続けてもらうことを選択しました。そのいちばん大きな理由は「入居者が逃げなかったこと」です。

督促から逃げてしまうと好転しない

人は家賃を滞納し出すと、督促の連絡から逃げるようになります。電話をとらない、居留守を使う、書面も無視する。こうなると家主側だって腹も立ちます。この点、夫婦は逃げませんでした。「すみません、まだ職が見つからなくて」とずっと謝罪もしてきたのです。この逃げずに謝る姿に、家主の心は動かされました。自分の非を分かっている中で、わざわざ怒られることを避けたいと思う気持ちは、分からなくもないです。しかしそれでは何も解決しないのです。謝罪したからといって、払っていない家賃がチャラになるわけではありません。それでも絶対に逃げてはいけない、私はそう思っています。

今の日本の抱える問題は、経済格差と情報格差です。滞納で苦しんでいる人は、必要な情報を持っていないなと感じます。だからこそ家主・管理会社側も、滞納しているもしくは苦しそうな賃借人に、「こんな制度があるよ」と教えてあげて欲しいと思います。そうすることでトラブルを未然に防ぐことができるのです。

そして追い詰められた人は「わたしは今困っています」と声を上げてください。そうすれば誰かが情報をくれるかもしれません。でも声を上げなければ、取り残されてしまうのです。

「困っています」と言える社会と、手を差し伸べる社会。コロナで多くの人の心が追い詰められている中、本当に必要なのはそういった社会のような気がします。


太田垣章子
賃貸トラブルの専門家 司法書士 太田垣章子
OAG司法書士法人代表。神戸海星女子学院卒業後、プロ野球オリックス・ブルーウェーブ球団広報として3年半勤務したのち、結婚・離婚、シングルマザーとして子育てしながら平成13年司法書士試験に合格。平成14年から家主側の訴訟代理人で、延べ2500件以上悪質賃借人の明渡手続を受託してきた賃貸トラブル解決のパイオニア的存在。常に現場へ足を運び、訴訟と並行して悪質賃借人と向き合う。徹底した現場主義から、多くの信頼を得る。実務以外にも執筆や講演活動も行う。著書『賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)、『家賃滞納という貧困』『老後に住める家がない!』『不動産大異変』(以上3冊ポプラ社)

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