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生活保護者の集いコミュのケン・ローチも描いた生理の貧困 想像力が社会を動かす

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https://digital.asahi.com/articles/ASP4F61FCP47ULBJ001.html

岡崎明子の「多事奏論」
 タブーという言葉の語源は、一説にポリネシア諸語で「月経(生理)」も意味する「tapu」といわれる。

 確かに私自身、体調が悪い理由が風邪なら言うが、生理痛だったらひた隠す。これって何かに似ているなあと考えて気づいた。職場での子育て苦労話と同じだ。

 朝日新聞は女性登用を進めているが、記者の原稿を編集するデスクのほとんどは男性だ。ましてや育児中の女性デスクはわずかしかいない。その一人である私は朝刊を作る当番を担えず、その分、ほかのデスクの仕事が増えてしまう。だから、私から子育ての苦労話をするのはタブーなのだ。「話しても想像がつかないのでは」という思いも混ざり、この話題を避けてしまう。

 「生理の貧困」というタブーがこの春、日本でも可視化された。大学生らが立ち上げた団体「#みんなの生理」が3月、若者へのネット調査の結果を発表した。671人中、5人に1人が「経済的な理由で生理用品を買うのに苦労した」と答えた。

 この結果が報じられると、いくつもの自治体が防災備蓄用の生理用品を無償配布し始めた。国会でも取り上げられ、政府は困窮する女性を支援するための交付金の使い道に、生理用品の無償配布を含めた。

 生理の貧困をなくそうという市民運動は、欧米では数年前から始まっていた。

 きっかけの一つとなったのが、英国の巨匠ケン・ローチ監督による5年前の作品「わたしは、ダニエル・ブレイク」だ。

 スーパーで買い物したシングルマザーのケイティは、食料品の代金は支払いながら生理用品を万引きして捕まってしまう。

 このシーンが英国では話題となり、スコットランド議会は昨年11月、全ての人に生理用品を無償提供する法案を可決した。

 私も当時、この映画を見て、ケイティの胸の中で入り交じったであろう「矜恃(きょうじ)」と「惨めさ」が胸の奥に入り込んできた。

 でもそのときは、同じ問題が日本にもあるだろうとは、思わなかった。新聞記者として、恥ずかしい想像力のなさだ。

 さかのぼること29年前。ある通信社の入社試験を受けたとき、事前に「記者に必要なこと」を書いて送るよう求められた。

 記者に必要なことって? 考えあぐねた私は、当時、ライバル社の新聞記者だった父に尋ねてみた。

 「人への優しさかな」

 優しさ? 答えを聞いている時点ですでにダメなのだが、理解できなかった私は当然、その通信社の試験に落ちた。

 優しさとはつまり、他者への想像力。父が言った意味が何となくわかるようになったのは、かなり時間が経ってからだった。

 今回の生理の貧困問題に対する社会の反応の早さに、他者の痛みへの共感がものごとを動かす「想像力の底力」を感じる。

 ここ数年、#MeTooを始め、タブーを越えてジェンダーの問題が語られるようになった。他人の痛みに思いをはせ、連帯して社会を変えていこうという経験を積んできたことが大きいと思う。

 「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さん(23)も、今回の展開に驚く。

 「でも生理用品が買えずに困っている人に、声をあげることを強要したくないんです。そういう形でのアクティビズムは続かない。当事者性のない周りの人が、理解しようと努力することが大切だと思います」

 私たちは全てのことに当事者になれるわけではない。でも、制御できない出血が何日も続く経験がなくても、トイレットペーパーや靴下を丸めてナプキン代わりに使う惨めさを想像することはできるはずだ。

 批判や無理解を恐れ、タブーとなったまま埋もれている生きづらさが、世の中にはたくさんある。だからこそ、他者の痛みに対する想像力をとぎすまさなければ。29年前の自分に、そう言ってやりたい。(科学医療部次長・岡崎明子)

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