ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュのJRの車椅子乗車拒否と生活保護叩きの意外な共通

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://diamond.jp/articles/-/268609

障害者と生活保護が
繰り返し叩かれる理由とは
 4月4日、コラムニストの伊是名夏子さんが「JRで車いすは乗車拒否されました」と題する記事を公開し、賛否ともに大きな反響を呼んでいる。

 先天性の身体障害を持ち、外出時は常に電動車椅子を必要とする伊是名さんは、新聞へのコラム連載や講演など、幅広い社会活動を行っている。結婚・出産・妊娠も諦めず、現在は夫とともに、2児の子育てに奮闘中だ。

広告

 社会の多様性や共生に関心を持つ人々の中での伊是名さんの知名度は、もともと高かった。今回のコラムと「ネット炎上」は、伊是名夏子さんの知名度をさらに否応なく高めたのではないだろうか。

「そうなんです。『それを狙ったんじゃないか』という反応が多くて、びっくりしています。全然狙ってなかったんですけど」(伊是名さん)

 とはいえ、伊是名さんは社民党の常任幹事でもある。注目されるとき、何らかの政治的意図を勘繰られるのは、必然かもしれない。

 筆者は、伊是名さんの一件をめぐる「ネット炎上」に、時折発生する「生活保護叩き」を重ね合わせてしまった。伊是名さんに対する激しい批判と非難は、「障害者叩き」と言い換えることも可能だろう。

 しかし冷静に考えてみると、生活保護を利用していない障害者と生活保護で暮らす人々の間には、共通点はあるものの、相違点の方が多い。公共交通機関の利用やバリアフリー化は、誰もが必要に応じて利用できる現物福祉のようなものである。世帯や個人に生活費や住居費が手渡される生活保護とは、やはり決定的に異なる。それなのに、なぜ似たような「炎上」「叩き」が盛り上がってしまうのだろうか。

 まずは、伊是名さんが「JRに乗車拒否された」とした出来事を検証してみたい。

充分に伝えられていない
「乗車拒否」の真相

4月9日、伊是名夏子さん(右)と筆者。互いに初対面であったが、緊張せずに対話できた。支援者とともに自分の生活と人生をプロデュースしてきた伊是名さんの人間力が感じられた
 4月1日、東京都内在住の伊是名さんは、子ども2人・友人・業務として同行していたヘルパーと共に、静岡県熱海市への1泊旅行のために出発した。小田原駅でJR線に乗り換え、来宮駅まで行く予定だったのだが、来宮駅は無人駅である。エレベータはなく、階段を利用する必要がある。駅員は「1駅前の熱海駅までなら」と言い、熱海から来宮まではタクシーで移動することを提案したが、伊是名さんは応じず、来宮駅までの乗車および降車にあたっての介助を粘り強く求めた。

 結局、熱海駅から駅員4名が同乗し、来宮駅での降車時の介助、および人力で車椅子を運搬するなどの介助を行った。駅員の提案に応じなかった伊是名さんに対しては、「クレーマー」という批判もある。実際のところは、どうだったのだろうか。筆者自身も電動車椅子を利用しているため、非常に気になる。そこで、伊是名さんに出来事の詳細を聞かせていただいた。

 JR上野東京ラインを利用すれば、小田原駅から来宮駅まで、在来線で乗り換えなく行くことができる。所要時間は31分だ。伊是名さんたちは、予定していた電車の発車30分前に、小田原駅の窓口で来宮駅まで乗車したい旨を伝えた。その時点では断られておらず、「発車15分前に案内するので、そのときにまた来てほしい」と言われたという。

「車椅子で乗りたい」という旨を伝えてから発車までの間に鉄道会社で行われる作業は、まず降車駅と連絡を取り、降車介助の了解を得ることである。来宮駅は無人駅であるため、人手と機材の確保が必要になる。

 無人駅であっても、スロープ板や車椅子用の階段昇降機は配備されている場合が多い。しかし、「スロープ板のロッカーの鍵が開かない」「階段昇降機が故障している」といったトラブルがつきものだ。機材の出番が数ヵ月に1回しかないような駅では、特に機材トラブルが起こりやすい。その駅に備え付けられているのに使えない場合は、近隣の駅から運んでくることになる。台車タイプの階段昇降機なら、他の駅から運んできて利用することができる。

 いずれにしても来宮駅は無人駅であるから、介助人員とともに、動作確認できている機材を運んで使用することが最も合理的であろう。小田原駅や熱海駅なら、人員が比較的多く、機材の備えも期待できる。

伊是名さんたちが、指示されたとおり、発車15分前に小田原駅の窓口を再度訪れると、来宮駅には階段しかないということを理由として、「熱海まででいいですか?」と言われたという。これは、筆者から見ても「えっ」と驚く対応だ。何もしていなかったのか。それとも、乗車手配をしようとしたが予定の電車には絶対に間に合いそうになかったのか。

 筆者が伊是名さんに詳しく尋ねてみたところ、他の駅から運べる階段昇降機の可能性については、もちろん聞いてみたそうである。小田原駅の駅員は、「は〜」という感じの応答だったそうだ。

「熱海駅まででいいですか?」
駅員の残念な対応にも冷静に対応
 結局、伊是名さんたちは予定より1時間遅れて小田原駅から乗車した。熱海駅から、駅長を含む4人の駅員が乗車し、来宮駅で伊是名さんたちを無事に降車させ、車椅子を地上へと運んだ。伊是名さん自身は、ヘルパーに抱きかかえられて移動した。そして、予約していたレストランで、予定どおりに食事を楽しむことができた。間に合ったのは、小田原駅から乗車した時点で1時間30分の余裕がある予定を立てていたからである。

「車椅子での移動は、本当に何が起こるかわかりません。障害のある人が、何も調べていないということはありません。様々な予測をしながら行動しているものです。それなのに、このような結果になり、残念です」(伊是名さん)

 筆者自身、公共交通機関の利用では、乗り換え1回につき30分の余裕を見込むようにしているが、それでもギリギリになる場合がある。複数のトラブルが重なると、1回の乗り換えで2時間が必要になる場合もある。そこに空腹や寒さが重なり、体力の限界への挑戦になる場合もある。今回の伊是名さんの場合は、幼少の子ども2人もいた。それでも、あくまでも冷静に丁寧に対応したようだ。

「小田原駅の駅員さんたちは、熱海駅までしか乗せないことが正しい対応だと考えていたようですが、そうは言いつつも『どうしましょうか』とも言っていたんです。ですから、怒りませんでした。駅員さんではなく、体制の問題ですから」(伊是名さん)

「生活保護叩き」との
共通点と相違点はどこに?
 伊是名さんのブログ記事の「ネット炎上」には、「生活保護叩き」との共通点はあるものの、相違点の方が大きいように思われる。

「生活保護叩き」の原因には、「申請と審査を経て認められる」という生活保護の仕組みそのもの、選別主義に起因するものが多い。申請手続きそのものに関する情報を充分に得られなかったり、支援団体とつながることができなかったりする人々は、生活保護の対象となることが難しい。生活保護で暮らす人々に対する「不当にトクをしている」という批判の原因の1つは、生活保護制度の選別主義的な性格そのものにある。 
     
 そこから、「不当に恵まれている」「義務を果たさず権利ばかりを主張する」「納税者に損をさせている」といった各種のパターンが派生する。さらに、そういった憤懣が政策的に利用される場合もある。

 今回の伊是名さんの移動の目的が旅行であり、ヘルパーを同行させていたことは、「不当に恵まれた障害者」という妬みにつながったかもしれない。また、熱海駅から自費でのタクシー移動を行わなかったこと、前日や1週間前に事前の申し入れをしていなかったことは、「義務を果たさず権利ばかりを主張する障害者」という怒りにつながったかもしれない。

 しかし、病気や負傷によって、一時的に歩行が困難になることは有り得る。障害者がいつでも安心して利用できる公共交通機関は、誰もが必要に応じて、安心して利用できる公共交通機関でもある。生活保護の今後について、「現金給付から現物福祉へ」という意見もあるが、公共交通機関のバリアフリー化や介助体制は、まさに「現物福祉」そのものだ。それなのに、なぜ「ネット炎上」が起こったのだろうか。

 福島県で、障害を持つ娘とともに生活保護で暮らすミサトさん(40歳代)に、意見を求めてみた。ミサトさん自身も、複数の持病を抱え、療養生活を送っている。

生活保護当事者への
「らしさ」の呪縛
「健常者にとっては、駅の階段を上り下りすることも、エスカレーターを使うことも当たり前です。バリアフリー化されてエレベータが設置されたら、便利な手段が増えるだけです。でも障害者は、エレベータを利用せざるを得ない状況があるから利用するわけですよね」(ミサトさん)

 生活保護叩きについては、どうだろうか。

「生活保護もまた、利用せざるを得ない状況があるから利用するわけです。そこにぶつけられる『自分はこんなに苦労しているのに、ナマポもらって、のうのうと暮らしやがって』という悪意は、完全な『やっかみ』だと思います」(ミサトさん)

 伊是名さんの今回の出来事との共通点は、どこにありそうだろうか。

「共通点というより、似ているところは、『らしくしろ』という見方にあると思っています。『生活保護受給者なら受給者らしく』『障害者なら障害者らしく』というところでしょうか。だから、生活保護や駅員の介助が『特別扱い』に見えるのでしょう」(ミサトさん)

 生活保護を必要とする事情は、個人の努力ではどうにもならない形で押し寄せることがある。私たちは今、コロナ禍でその状況を経験し続けている。そして健常者は、誰もが「まだ障害者になっていない人」である。健康に高齢期を迎えても、加齢の影響は必ず現れる。

 国交省鉄道局鉄道サービス政策室の職員は、今回の伊是名さんの経験について、「詳細には把握していませんし、JRさんという会社の対応について役所として申し上げることではありませんが」とした上で、「基本的に、乗り降りに制限があるべきではありません」と述べる。

「最終的には目的地まで移動できているわけですが、時間はかかっています。JRさんとしても、今回の件が全く問題ないとは考えていないでしょう。国もそうですが、経験値を重ねながら、改善していく必要があると思っています」(国交省鉄道サービス制作室)

 個人が経験する困難やトラブルを、希望ある未来へとつなぐことはできるだろうか。それは、行政や施策に対する市民の視線と関心にかかっている。

(フリーランス・ライター)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。