また本稿では、単にWEBサービスの接触効果だけでなく、政治に関する知識量がネット右翼的陰謀論の受容度を低下させるのかについても検討する。本調査では、「三審制」「参議院の任期」「一一年に放送内容偏向を訴えるデモの対象となった放送局」「立憲民主党の支持基盤」に関する四つのクイズを用意しており、その合計正解数を政治知識量として用いる(M=1.53,SD=1.27,Min=0,Max=4)。すなわち、この政治知識量と、前述のWEBメディア利用頻度の交互作用項(以下、交差項)を用いて、政治的知識の「防波堤」効果について検証する。なお、キーとなる交差項はそれぞれ連続変数として捉えているので限界効果(mar-ginal effect[※6])の結果にもとづいて解釈する(Brambor et al、二〇〇六)。最後に、アウトカムと説明変数のいずれにも影響を与えうる要因として、性別・年齢・教育程度・世帯収入・職業・保革自己イデオロギーを統制変数として投入して、最小二乗法で推定した結果が図2である。図2では、Y軸上の0のラインが網かけ部分(九五%信頼区間)の上/下限とかぶっていない区間に注目する。つまり、重複しない区間内の知識量は五%水準で統計的に有意であると解釈できる。