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生活保護者の集いコミュのコロナ禍、失ったつながり 所持金103円、42歳非正規女性の「貧困」

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https://mainichi.jp/articles/20210330/ddm/012/040/140000c

「気がつくと、所持金は103円でした。出勤する電車賃もなくなっていました」。短大卒業後、非正規雇用で働いてきた女性(42)は突然、自分とは関係ないと思っていた「リアルな貧困」に直面した。給料が安くても仕事を絶やさずにやってきた。でも40代になるとバイトの面接にすらなかなか呼ばれなくなってしまった。東京都千代田区の聖イグナチオ教会で年初に開催された「年越し大人食堂」で女性に出会った。【木許はるみ】

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 「これ見てください。笑いますよね」。女性はショルダーバッグから長財布を取り出した。小銭入れを開けて、100円玉と1円3枚をジャラジャラと揺らしてみせた。小さな水玉のワンピースにズボンで防寒した細い体。「2週間、カップ麺で食いつないできました」。乾いた声で笑った。


 女性は地方の小都市で生まれ育ち、高校卒業後、短大進学のために上京。卒業後、都内で1人暮らしをしてきた。新型コロナウイルスの影響で10月に学生寮の清掃の仕事を失った。失業後は1日3件、求人サイトで清掃や販売、物流など、業種を問わず、求人情報に応募してきた。計200件応募したうち、面接にたどりつけたのは20件以下だった。

 昨年暮れに電子機器を組み立てる軽作業の仕事が見つかった。貯金は底を突いていたが、友人から紹介されたライブハウスの仕事を手伝えば、乗り越えられるはずだった。ところが、友人から「やっぱりいいわ」と断りのメールが入った。3日間、日当8000円のはずだった。あてにしていたバイト代の「損失」。奈落に落ちた気がした。


 短大新卒の時は就職氷河期で、正社員になれなかった。就職活動では「内定をあげるからホテルに行こう」と言う面接担当者や会社の幹部に遭遇した。「本当にこんなこと言う人がいるんだ」とあきれたが、それが現実だった。

 「真面目に働きたい気持ちがうせていきました」。登録型派遣の仕事でイベント会場の設営やコールセンター業務などをして、生計を立ててきた。留学生向けの学生寮の清掃は2019年秋から始めた。新型コロナの流行以降、入寮者は半減した。非正規が真っ先に切られた。女性は職場の人間関係に悩んでおり、自らも退職の意思を伝えてしまったため「自己都合退職」とされた。


公的融資、門前払い
 失業手当は、会社都合による退職なら申請から1週間で支給されるが、自己都合退職では約2カ月後。すぐに仕事が見つかると思い、申請はせずに求職活動を優先したが、面接にもなかなかたどりつけない。「コロナの影響でしょうか、応募の段階で、ここまではねられるのは初めてでした」。女性は東日本大震災の時も雑貨店の販売員の職を失ったが、すぐに次の仕事が見つかっていた。

 「当時は30代前半でしたから。今はこの年齢で未経験の業種は厳しいんですかね。『厳正に審査した結果……』ってお祈りメール(不採用通知)がたくさん来ました」


 新型コロナ前、女性の収入は月16万円。日常の生活で困ることはなかったが「非正規なので、もともと余裕がなく」、貯金は6万円ほどだった。

 女性は失業後、11月下旬には貯金を取り崩さないと生活が成り立たなくなった。元同僚に教えてもらった新型コロナによる困窮者向けの公的融資「緊急小口資金」を思い出し、区役所を訪れた。

 緊急小口資金とは、新型コロナの影響により、休業や失業などで収入が減少した世帯を対象に、20万円を上限に無利子で貸し付ける制度だ。

 厚生労働省は従来、融資に所得制限を設けていたが、コロナ禍に柔軟に対応するため、制度を拡充していた。厚労省は「非正規や個人事業主をはじめ、生活に困窮した方のセーフティーネットを強化する」と制度を紹介している。本来、雇用を失ったこの女性の受け皿になるはずだ。

 区役所の待合用の椅子はほぼ埋まり、女性は20分待って相談することができた。しかし、窓口の職員と話したのはわずか5分。「職場で人員削減があった」と伝えても「100%コロナの影響かどうかわからない」と職員に言われた。

 さらに、2週間後にバイト代が入ると伝えると、職員から「もう働いてるんですよね。あと2週間なら何とかしてください」「もっと大変な人がいます」と突き放されてしまった。何とか説明しようとしていたら、別の職員が近づき「まだ何か? 次の人どうぞ」と席を立つようせかされた。

 「私は対象にならないんだ」。他の制度を自力で探す気にもなれなくなっていた。隣の窓口からは「家を追い出されそう」という男性の声が聞こえてきた。「私より深刻な人がいる」と自分に言い聞かせて区役所を後にした。

友も家族も頼れず
「年越し大人食堂」では、温かい手作り弁当が提供された=東京都千代田区の聖イグナチオ教会で2021年1月1日、國枝すみれ撮影拡大
「年越し大人食堂」では、温かい手作り弁当が提供された=東京都千代田区の聖イグナチオ教会で2021年1月1日、國枝すみれ撮影
 女性は周囲に生活困窮を打ち明けることができなかった。生活費を節約するため、友人からカフェに誘われても行けなかった。「お金がない」とは言えず「忙しいから」「作業があるから」と言い訳をした。「友達だから相談ができないんです。重たい話をしたら引かれるかもしれない」。友達を失うのが怖かった。

 実家の家族にも話ができなかった。生活保護の申請も考えていない。「申請をして、万が一実家に連絡が行ったら、父親から罵詈(ばり)雑言を浴びせられます。絶対に嫌です」。迷った揚げ句、空腹に耐えかねてネットで知った大人食堂に足を運んだのだ。

 「私は氷河期なので、クレバス(深い割れ目)に落ちたんですね」

 相談支援をしている作家の雨宮処凛さんは「女性のように年収が200万円以下の場合、貯金をする余裕はありません。でも社会人のはじめから非正規でその生活に慣れている場合、自分が貧困だと気付いていないケースがあります。非正規の間でこうした認識が広がっているのが日本の現状なのです」と話す。

 その後、女性は給料を受け取って、その足でコンビニでガス代を払い、シャンプーやせっけんを買った。ガスが止まってからは電気ポットで水を温めて風呂で使っていた。「これで髪がサラサラになりそうです。シャワーのお湯で髪が洗えます」

 戻ってこないものがあった。疎遠になった人間関係だった。秋以降はお金がなく、友人からの誘いに乗れず、連絡を控えていた。「貧困は人とのつながりも壊してしまうんだ。そう痛感しました。ちゃんと生活を立て直して、新しい人間関係を築いていきたいです」=おわり

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