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生活保護者の集いコミュの「生活保護の扶養照会は義務ではない」。田村厚労相からこの発言を引き出した小池晃の質疑

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https://news.yahoo.co.jp/articles/f512f50c9b42f549cb100dd09f4ec616bee887de

話題を呼んだ1月28日の小池晃議員の質疑
筆者のYouTubeチャンネルより

 2021年1月28日 参議院予算委員会における共産党・小池晃議員の質疑は約80分に及び、前回記事で取り上げた文化芸術への支援の他にも官房機密費の追及など多くの見所があった。特に、生活保護を必要とする人が申請をためらう原因になっている扶養照会について、「扶養照会は義務ではない」という閣僚答弁を初めて引き出した質疑はとりわけ大きな注目を集めた。

 本記事では、扶養照会を見直すように小池晃議員が自民党・田村憲久 厚生労働大臣に約6分間にわたって訴えた計4問の質疑を一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(青はOK、黄は注意、赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)

赤信号だらけだが重要な答弁を引き出した小池議員
小池晃議員からの質問4問に対する田村厚労大臣の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。

<色別集計・結果>
●田村厚労大臣(計931字):赤信号68% 青信号22% 灰色10%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない

 7割近くが赤信号であり、ほとんど質問に答えていない。また、不要な言葉を意味する灰色が1割を占めており、全体的に言い淀みが多かった。青信号はわずか2割ではあるが、この青信号の中に冒頭で紹介した重要な答弁が含まれている。

 いったいどのような質疑だったのかはこれから詳しく見ていくが、先に概要をお伝えすると、赤信号の内容は質問と無関係な頓珍漢な内容であり、新しい情報があるわけでもない。従って、時間がない中でポイントだけ理解したい読者の方は、赤信号の答弁は全て読み飛ばして、小池晃議員の質問内容、青信号の回答、筆者の補足説明だけを読んで頂いたとしても本記事から得られる情報は大差ないと思われる。

生活保護申請のネックだった家族への通知
 1月27日の参議院 予算委員会で立憲民主党・石橋通宏議員の「生活に困窮している人に政府の政策は届いているのか」という質問に対して、菅義偉総理は「政府には最終的に生活保護という仕組みがある」と答弁し、最後のセーフティーネットであるはずの生活保護に頼ることを前提にするような考え方が物議を醸した。

 そもそも、生活保護を必要とするほど困窮する人が必ず生活保護を利用できているかというと全くそうではない。生活保護を利用しない理由の聞き取り調査(調査主体:つくろい東京ファンド、調査期間:2020/12/30〜2021/1/3、回答数:165件 出典:つくろい東京ファンド 生活保護利用に関するアンケート)を見ると、これまで生活保護を利用した経験がない人の場合は「家族に知られるのが嫌」34.9%が最も多い。つまり、初めて申請する人にとって最も高い心理的ハードルになっている。

 生活保護を利用した経験がある人の場合は「過去の役所の対応」59.1%、「相部屋の施設が嫌」40.9%のように一度利用したからこそ分かる辛い経験が上位にきているが、それでも「家族に知られるのが嫌」31.8%が3番目に多い。このアンケート結果から、生活保護の経験の有無にかかわらず実に約3人に1人は家族に知られること(=扶養照会)が申請をためらわせる理由になっていることが分かる。

最初はのらりくらりと赤信号答弁をしていた田村厚労相
 こうした実態を踏まえて、小池晃議員は扶養照会をやめるべきと提案する。その質疑は以下の通り。(動画リンクの0分10秒〜)

小池晃(1問目):
『総理は昨日、「最後は生活保護がある」と言いました。えー、最後のセーフティーネットとしての役割を、しかし果たしていないんじゃないですか。捕捉率。生活保護を必要とする人の2割しか利用できていない。あの、年末年始、私は都内各地で生活に困窮している方の相談会に参加をしました。そこでは生活保護を利用した方がいいんじゃないかなと思われるような方が「利用したくない」と言われる方が本当に多かった。困窮者の支援をしている東京・・、つくろい東京ファンドのアンケートでは「生活保護を利用しない」と答えた方の3人に1人が「家族に知られたくないから」だと答えています。
 厚労省。扶養照会ですよね。扶養照会とは何ですか?やめるべきじゃありませんか?』

田村憲久 厚労大臣:
『あの、扶養が保護に優先するっていうのは、もうこの生活保護制度の基本原理でございます。でありますから、あの、一応、この、扶養という意味が、意味、意味と言いますか、というものをですね、一応、まあ、前提と言いますか、義務ではありませんが、あの、優先はすると。義務ではありません。優先、優先するということであります。(赤信号)

 あの、ちなみにですね、そうは言いながらですね、そもそも家族関係が壊れているような方、こういう方に扶養照会することはございませんので、えー、例えば直接そういう方に電話するというよりかは、あの、そういう方がおられれば事情等を聞きましてですね、えー、まあ、自治体等々にお聞きすることがあるかも分かりませんけれども。あの、まあ、20年ぐらい音信不通の方、それから、あとDV等でですね、そもそも照会したことによって、自立が阻害される。えー、こういう方々にも照会しないということに致しております。あの、親族関係がですね、しっかり壊れないように配慮しながら対応して参りたいと思っております。(赤信号) 』

 この1問目の回答の中身を確認すると、1段落目も2段落目も論点をすり替えており、赤信号とした。

1段落目
【質問】扶養照会をやめるべき
↓ すり替え
【回答】扶養と保護の優先度

2段落目
【質問】扶養照会をやめるべき
↓ すり替え
【回答】家族関係が壊れている場合の扶養照会の方針

 小池晃議員はシンプルに扶養照会をやめるべきと提言しているのだが、田村厚労大臣の口からは回答と解釈できる内容は一言も無かった。また、「家族関係が壊れているような方に扶養照会をすることはない」と述べており、「家族に知られるのを嫌がる人=家族関係が壊れている人」と解釈しているように見受けられる。家族関係は良好であっても相手に心配をかけることを恐れて申請をためらうケースは多いと思われるが、田村厚労大臣の認識ではそうしたケースは抜け落ちている。

三親等まで扶養義務の対象なのは日本だけ
 続いて、小池晃議員は各国の扶養義務の範囲を比べることで日本の制度の異様さを浮き彫りにしていく。

 5カ国(ドイツ、フランス、スウェーデン、イギリス、日本)を比較すると、日本以外の4カ国は扶養義務は1親等までだが、日本だけは3親等までと異様に広いことが一目瞭然だ。しかも、フランス、スウェーデン、イギリスに至っては、1親等の中でも更に狭い配偶者と子(未成年)に限定されており、親ですら対象外だ。

 こうした日本の制度の異様さを小池晃議員は指摘しつつ、扶養照会が申請をためらわせる原因になっていることを問い質していく。その質疑は以下の通り。(動画リンクの2分2秒〜)

小池晃(2問目):
『日本はですね、民法上三親等まで扶養義務の対象としてますが、そんな国は日本しかないわけです。これ見てください。日本だけです。これだけ幅広い範囲で扶養義務を課している。でね、やっぱり生活に困窮していることが自分の子供や兄弟に知られたくないと、みんな思うじゃないですか。祖父や孫、ひ孫まで問い合わせがいくかもしれない。そう思えば、申請をためらう人も出てくると思うんですね。大臣、そういうことがあっても仕方がないと言うんですか?ためらっても仕方がないと言うんですか?』

田村憲久 厚労大臣:
『あの、基本的には親兄弟というところにですね、照会することが、まあ、あの、基本的なところであって、あの、祖父、孫というところはですね、あまりそういうような事例はないというふうにお聞きいたしております。(赤信号)

 あの、二親等でも、まあ、親兄弟というところに対して、あの、実際問題ですね、えー、それによって見守りをやって頂いたりでありますとか、あー、入院等々のですね、色んな、あー、まあ、移動の支援でありますとか、いろんな形でご支援を頂いているということは多くあるというふうにお聞き致しております。(赤信号) 』

 この2問目の回答の中身を確認すると、1段落目も2段落目も論点をすり替えており、赤信号とした。

1段落目
【質問】祖父母・孫への扶養照会による申請のためらい
↓ すり替え
【回答】祖父母・孫への扶養照会の頻度

2段落目
【質問】祖父母・孫への扶養照会による申請のためらい
↓ すり替え
【回答】親兄弟の扶養照会後の支援内容

 田村厚労大臣は長々と答弁してはいるが、回答と解釈できる内容は一言も無い。

扶養紹介をしても援助に結びつかないという現実
 続く3問目で小池晃議員は、利用者の申請をためらわせている扶養照会を行った結果、援助に結びついているのかを確認する。その質疑は以下の通り。

小池晃(3問目):
『色々あると言うんですが、親族に扶養照会を行った結果、金銭的援助に結びついた件数はどれだけあるのか。調査結果示してください。』

田村憲久 厚労大臣:
『あのー、3.78万人、これ、全体の扶養照会件数。これ、28年7月にですね、えー、保護を開始した世帯に関する扶養照会の状況についての調査というものを平成29年度に行っておりますけれども、えー、この中で金銭的な援助が可能と回答した件数は3.8万件中ですね、600件でありますが、(青信号)

 何らかの形。先ほど申し上げました、あの、精神的な援助。それから、まあ、あの、いろんな日々のですね、見守りでありますとか、いろんな対応での、おー、まあ、支援といいますか、そういう扶養、何らかの扶養っていうのは、いうのは、えー、約1万件ございます。 (赤信号) 』

小池晃:
『大変な手間なんですよ。戸籍に当たり住所を調べて手紙を送って問い合わせる。その結果、金銭的援助に結びついたのは1%程度しかないと。私はね、こういうことこそ前例踏襲ではなくて効率化すべきではないかと思いますよ。』

 1段落目は質問である「金銭的な援助に結びついた件数」を答弁しているので青信号としたが、扶養照会の件数に対して非常に低いことが露呈している。
 その後も答弁は2段落目まで続くが、論点をすり替えており、赤信号とした。

【質問】扶養照会後の金銭援助
↓ すり替え
【回答】扶養照会後の何らかの援助

「扶養照会は義務ではございません」
 厚労省のWebサイトでは生活保護申請の希望者向けに以下のメッセージを掲載している。

「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにでもあるものですので、ためらわずにご相談ください。」
(出典:厚労省Webサイト「生活保護を申請したい方へ」 )

 小池晃議員は最後の4問目で、このメッセージと実態があまりに乖離していることを指摘しながら、そもそも扶養照会は法的根拠があるのかを追及する。そして、田村厚労大臣の口から、冒頭で紹介した決定的な答弁が引き出される。その質疑は以下の通り。(動画リンクの4分35秒〜)

小池晃(4問目):
『厚労省は年末にこういうホームページを出しました。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。生活保護の申請は国民の権利です。私、これいいと思いますよ。年末、大臣も記者会見でそのことを言ってくれたじゃないですか。ためらわずに申請してくださいと言うのであれば、申請をためらわせるようなことは止めるべきだと、見直すべきだと私は思うんですよ。確認しますが、生活保護法に扶養照会をしなければならないと書いてありますか?』

田村憲久 厚労大臣:
『あのー、扶養は保護に優先するということではありますが、先ほど申し上げたとおり、義務ということではございませんので、あの、そういう意味では義務ではございません。義務じゃございません。扶養照会が義務ではございません。(青信号) 』

小池晃:
『だったら止めましょうよ。法律に扶養照会って書いてないんですよ。義務じゃないんですよ。実施要領という一通知だけなんですよ、これ。大臣が決断すればできる。そういうことじゃないですか。ためらわずに申請してくださいと言っているのであれば、やはりこの際ですね、これだけコロナでみんな苦しんでる。総理、「最後のセーフティーネット」「最後は生活保護」だと言った。私は生活保護に行き着く前に本当にいろんな手立てで支えなければいけないと思いますよ。でも「最後は生活保護だ」とまで言うのであれば、それを阻んでいる、躊躇わせているものについて、こういう時に見直す必要があるんじゃないですか。』

 質問は「法律に扶養照会をしなければならないか書いてあるか」であったが、概ね質問に対応した内容を答弁しているため、青信号とした。田村厚労大臣は実に3回も連続して、扶養照会が「義務ではない」と答弁した。

 この答弁を受けて、すぐさま小池晃議員は扶養照会の見直しを提言しているが、本記事では省略している直後の田村厚労大臣や菅総理の答弁では、のらりくらりとかわすばかりで、結局、前向きな回答は得られなかった。

 とは言え、これまで生活保護を必要とする人たちが申請をためらう大きな理由であった扶養照会が「義務ではない」と現職の厚生労働大臣が国会で答弁した意味は大きい。これによって、自治体の窓口で生活保護を申請する際、もし「扶養照会する」と言われてしまった場合であっても「厚労大臣が義務ではないと答弁している」と主張できるようになるのではないか。

<文・図版作成/犬飼淳>

【犬飼淳】
TwitterID/@jun21101016
いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。

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