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生活保護者の集いコミュの絶対に場所を明かせない…貧困に苦しむ母子家庭支える「ある施設」の姿 母子生活支援施設という逃げ場

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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78036

コロナで深刻化する社会問題
新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらず、自粛ムードの中、感染しないようにと神経を尖らせる生活が続く。ストレスが多い状態が続くことで、自殺率は上昇しており、コロナ感染の死者数よりも自殺者数の方が多くなっている。中でも女性の自殺者数が増加している。

警視庁が2020年11月9日に発表した「令和2年の月別自殺者数(10月末の速報値)」によれば、10月の自殺者数は男性が1306人で前年比21.3%増、女性は852人で前年比82.6%増だった。

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そんな中にあって気になるのは、母子家庭の存在だ。日本の18歳未満の7人に1人が、その国の等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分に満たない相対的な貧困状態に陥っているという、いわゆる「子どもの貧困」問題。この貧困状態に陥っている子どもが最も多いのは、母子家庭で育つ子どもたちなのだ。

非正規労働者が多く所得の低い母子家庭は、コロナの経済的ショックを受けやすい。子どもの貧困問題は、ただ単純にお金がないということではない。虐待やネグレクト、発達障害など違う課題が絡み合って貧困状態に陥っているケースが多い。


2018年(平成30年)の子どもの貧困率(18歳未満)は13.5%であることが、2020年7月17日に厚生労働省が発表した「2019年 国民生活基礎調査」の結果から明らかになっている。Photo by iStock
そして、問題の根元を探ると、親自身が虐待経験者であり、子ども時代にきちんとした教育を受けられなかったり、精神疾患を抱えていたりすることなどが上がってくる。

問題が問題を生み、深刻化し、そこから抜け出すことがどんどん難しくなっていく。世代を跨いで連鎖している。コロナによって経済的、精神的ショックがプラスされている今、問題が深刻化していたり、潜在的に抱えていた課題が表面化したりする家庭が増えていることが予想される。

そんな今だからこそ、知ってほしい場所がある。

場所が明かせない「ある施設」
2020年11月某日、都内のある施設で七五三のお祝いがあると聞き、着付け師やヘアメイク、写真のプロと一緒に施設に入らせてもらった。このプロのヘアメイクやカメラマンは、社会的な養護が必要な子どもたちに対して、人生の節目をお祝いする手伝いをしたいと集まった『イチゴイニシアチブ』という有志グループの人たちだ。


『イチゴイニシアチブ』は東京を中心に、児童養護施設や乳児院の子どもの七五三や成人式をお祝いする活動を行っている。写真/冨岡久美子
彼らについて行った場所は、ある特定の人に対して、居場所を知られてはいけない事情を抱えた人たちが生活する場所だ。たとえ施設の目の前を通っても、その施設があることがわからない。グーグルの地図検索をしても、場所が表示されない。入り口の看板もないほど、厳重に管理されている。

決して公にできない場所だが、「だからこそ必要としている人に施設の存在を知ってもらいたい」と、特別に施設の取材に入らせてもらった。

DVや貧困に苦しむ母子の駆け込み寺
静かな住宅街の一角に、その施設はある。足を踏み込むには、施設の職員の許可が必要で、許可がなければ扉が開くことはない。

施設の中に入ると、可愛らしいぬいぐるみや装飾が目に入り、優しげな雰囲気を感じる。施設内には、子どもの遊び部屋や、居住する子どもや卒業した子が利用している学童施設や調理室、そしてそれぞれの家族の部屋のドアが視界に入ってくる。

住人や施設職員が廊下で井戸端会議する姿が何度か見受けられ、信頼できる人に囲まれて、大人数で共同生活をしているような空間は、安心感が得られそうだ。ここは、全国に226カ所ある「母子生活支援施設」の一つだ。

「母子生活支援施設」、その言葉を聞き慣れない人も多くいるだろう。母子生活支援施設とは、児童福祉法38条で定められた児童福祉施設の一つ。18歳未満の子どもを養育している母子家庭で、夫のDVから逃れてきた母子や、生活に困窮する母子が暮らすための施設のことだ。市区町村が窓口になっており、申請が通ると入所することができる。

DVや虐待、ネグレクトなどを理由に、生存権が脅かされ、家庭生活を継続することができなくなった母子の入所が増えており、全体の半数を超えてきている。シェルターとしての役割もあるため、住所は知られないようにしているのだ。

今回お祝いする女の子にはどういう事情があったのか。初対面の筆者には理解しきれるはずもないが、まだ読み書きも習い始めていない3歳の女の子が、ヘアメイクさんに「よろしくお願いします」としっかりと言って、座る姿に驚いた。


着物を着せ、メイクを施す。七五三を「祝う」という行為を通して、親も子も幸せを共有できる。撮影/大川綾子
着付けのために用意してもらった部屋は、普段、緊急避難で施設に逃げ込んできた人を一時的に数日匿うために使われているが、この日は、特定の居住者がいないため、当日の着付け部屋になった。

キッチンにはすぐにでも生活が始められそうなくらいの家電や食器などが揃えられており、奥の畳の部屋には、子ども用の椅子や絵本が置かれていた。決して広いとはいえないものの、ここに布団を敷いて、一時的に身を寄せるには不自由はなさそうだった。

この日はよく晴れた日だったので、空がとても青々としており、「匿われる場所」という閉塞感は不思議と感じなかった。

母親たちが抱えるトラウマ
親の養育が困難な家庭の子どもに対する支援施設といえば、児童養護施設が一般的に知られている。だが、児童養護施設で生活するということは、子どもを親から引き離すことを意味している。

こうした家庭の中でも、子どもを育てる意欲がある母子ならば、母子共々「母子生活支援施設」に入り、職員の支援を受けながら家族の再構築を図る道がある。

「母子生活支援施設のいいところは、児童福祉施設の中で唯一、子どもだけでなくお母さんも一緒に成長できるところです。お母さんは、ここで、施設の支援を受けながら、子どもと離れることなく、その人らしく生きるチャンスが与えられるのです」と、『イチゴイニシアチブ』の代表でフリーのファッションPRの市ヶ坪さゆりさんは指摘する。



実際、母子生活支援施設に来る母子家庭には、どのような家庭があって、どのような課題と向き合っているのか、この施設で10年ほど子どもの指導にあたる職員のAさんが実情を話してくれた。

「母子生活支援施設に来るお母さんの一部は、お母さん自身が虐待サバイバーと呼ばれる虐待経験者です。自分が幼少期に、虐待を受けてきたために、子どもに対して愛情を持っていても、愛し方がわからない。どうやって表現したらいいかわからなくて悩んでいる人が多いのです」(職員Aさん)

親から虐待を受けて育った人は、子ども時代に、生きていくために必要となる自信も愛情も知恵も身につけられないことが多い。そのため、中には、父親と一緒になって子どもに対して手をあげてしまう女性もいる。

「あるお母さんは、赤ちゃんに与えるミルクの温度を60度や70度の状態で与えようとていたので、『もうちょっと冷ましてからあげないと、赤ちゃんが火傷してしまいます』と伝えることもありました。またうんちした子どもに対して『汚えな』と言ってしまうお母さんもいます。そのお母さんには、小さい子どもにとって自然なことなんだと伝えていきます」(職員Aさん)

子育てを頑張ろうとしても、自身の幼少期のトラウマがフラッシュバックして、子どもの相手ができないくらい体調を崩す母親もいる。


愛された経験がないがゆえに、子どもとの接し方がわからない親にとって、母子生活支援施設の存在は大きい。Photo by iStock
ちなみに七五三お祝いについては、自分自身が七五三のお祝いを経験しておらず、何をしたらいいかわからない人や、治療が大変でそれどころではない人もおり、施設に入所する家庭ではほとんど行われていないことが多い。

「自己肯定感」の低い女性たち
「虐待を受けた人にほぼ例外なくある特徴は、『愛されたい』と言う欲求を持っていることです。そして、DV気質の男性は、依存体質の女性をうまく察知しているように思います。暴力をふるうだけではなくて、とても優しい時もある。だから、愛された経験がなく自己肯定感が低い女性は、『怒らせた私が悪い、この人しかいない』と依存していくのです」(職員Aさん)

施設にくる女性の多くは、自己肯定感の低さから、健全な人間関係を築けなかった人たちでもある。そのため、施設に入るときに、苦労して夫との関係を断ち切ったにもかかわらず、退所した後に再びDV気質の男性と結婚してしまう母親もいる。



そして、DVのループから抜け出せず、子どもも健全な環境で育つことができないままになってしまう。そうなると、その子供は大きくなると親と同じような状況に陥り、不幸の連鎖が続く。この連鎖を断ち切ることこそ、施設の一番大きなミッションなのだ。

「虐待経験者には、愛されてきたという実感がありません。僕たちは彼女たちの親になることとはできないですが、「重要な他者にはなれる」と思っています。」(職員Aさん)


たくさんのスタッフの思いが集まり、母子にとって「忘れられない1日」が作り上げられていく。撮影/大川綾子
施設にいる2年間に、その名称のとおり母子の「生活の支援」として、母親が仕事から帰るまで職員が子どもの面倒を見る、体調の悪いときは代わりに食事を作るなど、まるでその親子にとっての祖父母のような子育て支援を行い、母親と施設の職員との信頼関係を構築する。

そして、退所後に、母子家庭が本当の意味で自立するためのアフターケアを行う。この退所後のアフターケアこそが、支援の本番なのだという。

自己肯定感を高める方法
「ある30代のお母さんは、施設に入ってから数ヶ月で母子担当と関係ができ、一緒に外出し、帰りに“美味しものを食べながら楽しい話をして帰ってくる”という思春期に経験できなかった友達との時間をここで経験しています。」(職員Aさん)

カラオケや遊園地に遊びにいくなど、本来であれば、思春期に友達と一緒に経験する遊びを、施設の職員と一緒にやる。楽しいことや嬉しいことを施設職員と一緒に体験して、「自分が誰かの幸せに寄与できる」「必要とされている人間である」ことを認識していく。

その経験を通して、自分が生まれてきたことを肯定できるようになる。そうなれば、DV男性に捕まることもなくなり、母親は子どもを自分の力で健やかに育てられるようになっていくのだという。



そう考えていくと、生まれてきて歳を重ねてきたことをお祝いするという七五三や誕生日、成人式という人生儀礼は、その子が周りの人からどれほど大事にされてきたのかを知るいい機会だ。

その日お祝いをした女の子の母親は、何でも一人で頑張りすぎてしまいがちで、生活や育児に疲れてしまう時がある。だが、人生で初めてのお化粧をして、日本髪を結って、振袖を着て、どんどんきれいになっていく我が子の姿を見て、終始笑顔だった。

「メイクや写真撮影は、その人のいいところを探して見せていく作業なので、親も知らないその子の良さを見つけられる瞬間でもあります」(イチゴイニシアチブ・市ヶ坪さん)

その人のお祝いに駆けつけた人、着物を選んだ人、着付けをした人、写真を撮った人、神社の神主さん、関わった多くの人が、その子のことを思って時間を使う。これ以上ないほど、子どもの自己肯定感を高められる瞬間だろう。そして、そんな子どもの姿を見て、母親の自己肯定感も高まるだろう。


母子生活支援施設での生活を通して、コミュニケーションを学び「自己肯定感」を高めていく。撮影/大川綾子
人は、大事にされた経験があるからこそ、自信をもって生きていくことができる。だが、日本人の自己肯定感は、グローバルで比較して低いことが指摘されている。自己肯定感が低いのは、何も施設に入る母子だけの問題ではないのだ。

「母子生活支援施設などの社会福祉施設を、可哀想な人が集まっている場所と考えるのではなく、最先端の社会問題があって、知識と技術が集まる場所だと捉えるべきではないか」とイチゴイニシアチブの市ヶ坪さんはいう。


母子生活支援施設に入る母親は、過酷な経験をしながらも、自己を見つめ、子どもをしっかり育てようとしている。施設で戦う母子の姿を知り学ぶべき教訓は、問題を抱える家庭のみならず、多くの人にとってあるのではないだろうか。


冨岡 久美子
PROFILE
在京キー局やウェブの経済メディアの記者として、経済や社会の課題を10年ほど取材し続けている

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