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生活保護者の集いコミュの「私が見た深夜ファミレスの“女性ホームレス”はどこへ消えたのか?」渋谷の通称“執事”が明かした本当の理由

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https://article.auone.jp/detail/1/2/2/136_2_r_20201224_1608797433242896

11月16日の早朝、東京都渋谷区の路上に女性が倒れこんでいた。すでに意識はなかった。近くに住む46歳の男が逮捕されたのは、5日後のことだった。

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「死亡したのは大林三佐子さん(64)です。住所は不定。ホームレスとして路上生活を余儀なくされていたようです。大林さんが京王線幡ヶ谷駅近くの甲州街道沿いのバス停に座っていたところを、吉田容疑者が石を詰めたビニール袋を使って殴りかかった。その後の調べに吉田容疑者は『目障りだった』と供述しています」(全国紙記者)



※写真はイメージです コピーライトiStock.com
 無抵抗な女性ホームレスが暴行され、死にいたった痛ましい事件は各メディアで大きく報道された。しかし報道とは別に、ネット上で事件直後から拡散されたあるデマがある。

 ネットの噂とは「殺されたのは“100円おばさん”ではないか?」というものだ。“100円おばさん”はSNS世代の若者の間では知られた存在で、渋谷のあるバス停の前で通行人に「100円ちょうだい!」と叫ぶ姿がSNSにアップされ、180万回再生を記録していた。

都心部に急増している女性路上生活者
 筆者も彼女に遭遇したことがある。9月の深夜1時過ぎ、井の頭通りを歩いていると、暗がりからぬっと立ち上がり「100円!」と手を差し出してきた。彼女がいつもおなじブルゾンを着て、おなじバス停に座っているホームレスだと知ったのは、帰宅してネット検索してからだった。

 幡ヶ谷の事件の被害者となった大林さんも、数カ月前からベンチで夜通し過ごす姿を、近隣住民に目撃されている。だが現在、最終バスの去った停留所を寝床にしてるのは、大林さんや「100円おばさん」だけではない。深夜の渋谷を歩けば、ハイブランドの液晶広告に煌々と照らされながら、ベンチで眠りにつくシルエットにあちこちで行き当たる。半数以上が男性だが、コロナ禍以降は女性の姿を目にすることは決してめずらしくない。厚生労働省の発表(「ホームレスの実態に関する全国調査」平成29年1月)では女性の路上生活者数は全体の約3.5パーセントと、圧倒的に数が少ないにもかかわらず。

 実はいま、女性路上生活者が東京の都心部に急増している。そこには新型コロナウイルスが影響していると考えられるのだ。

 大林さんは今年2月まで、派遣先のスーパーで試食品の販売員などをしていたと報じられている。派遣業に従事することも多い女性が「新型コロナの流行による契約解除」という憂き目に遭っていると語られるが、それだけが原因で女性の路上生活者が増えたわけではない。

 彼女たちの姿が路上に急増したのは約8カ月前――近隣に住む者の「目視」によれば――4月半ばが境目だったように思う。それは政府による緊急事態宣言が出され、飲食店が一斉に深夜営業を自粛した時期のことだった。

数百円のドリンクバー料金が宿代がわり
 BGMがかすかに流れる中、深夜までノートパソコンを広げ、キーボードを打ちこむ背中。ここ数年、電源席が増えた都心のファミリーレストランで、日常的になっている風景だ。

 宵っ張りで原稿を書く筆者もこのグループに入るが、渋谷近辺の深夜帯のファミレスには、ノマドワーカー以前からもうひとつのグループが存在していた。数百円のドリンクバー料金を宿代がわりに、睡眠を取るホームレスたちだ。ほとんどが60代以上と見られ、中には生活に必要な荷物一式を、汚れたキャリーバッグ一杯にくくりつけた女性の姿もある。

 路上生活における危険から身を守るため、小屋やテントなどの居住地をもたず、深夜営業の飲食店を転々とする女性ホームレスは少なくない。彼女たちは朝が来るまでじっと動かず就寝しているが、時おりトイレに立つときの歩みは一様に遅い。高齢のためだけでなく、椅子で寝る生活が長く続いているため、どの背中にも脊椎がねじれる深刻な「後弯症」のような症状が見られる。

 だが2020年12月現在、彼女たちの姿はどこのファミレスを探しても見当たらない。彼女たちはどこへ行ってしまったのか。近隣のあるファミレスチェーンで訊ねると、夜勤を長くつとめているという店員が答えてくれた。彼は慇懃な接客姿勢から、常連客から親しみをこめて「執事」と呼ばれている。

「ええ、以前は20人ほど、寝ていらっしゃる常連の方がいらっしゃいました。男女比は半々といったところでしょうか。今はおひとりもお見えになりません。本部の方針で虹のステッカーを貼ってしまったものですから。我々としても22時までに閉めなければならないのです」

 うっすら細めた視線が、レジ横の壁に貼ってある東京都発行の感染防止徹底宣言ステッカーに向いていた。4月以降、都の要請に応じて深夜営業の飲食店が一斉に22〜23時閉店になったことが、女性の路上生活者が急増した要因になったことは想像に難くない。

把握できていない「路上生活になるおそれのある方」の人数
 実は行政上、以前の彼女たちのように住居を持たないけれどファミレスなどで寝泊まりをし路上生活未満で留まっている人々は、「ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者」であり(※1)、ホームレスとしてはカテゴライズされていない。

 渋谷区生活福祉課は筆者の取材に対し、「路上生活になるおそれのある方の人数までは把握できていない」という。安心して過ごせる場所を求め、移動しながら暮らす彼女たちに対しては調査も支援も難しい、というのが実情だろう。生活保護を勧めても、さまざまな制約を嫌って固辞する女性ホームレスも少なくないという。幡ヶ谷の事件で亡くなった大林さんも、友人に勧められても、生活保護の申請をしていなかったと聞く。

 渋谷区は「区内で把握している最新の路上生活者数は72人」(※2)、女性の割合については統計はないが、「ごく僅かです」と回答した。

「女性の路上生活者は、路上生活に至った原因や背景が複雑であったり、もしくは語って下さらず、その方に必要な支援は何かを把握することが困難な場合があります。また生活保護を申請された方は、無料低額宿泊所等に一時的に居住していただくことが多いですが、女性の受け入れ可能な施設が少ないことが課題としてあります」(渋谷区生活福祉担当者)

支援の手が届きにくい女性ホームレス
 今夏、宮下公園跡地に商業施設「MIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)」が開業したことに伴い、渋谷区が建設前、そこで寝起きをしていたホームレスに退去するよう働きかけた問題が再燃している(※3)。区に対する「ホームレス排除批判」の声は高まり、大林さん殺害事件をめぐっては、12月6日、「野宿者に対する排除と暴力を許さない」としたデモも代々木公園を出発地として開催された。

 だが取材で見えてきたのは、必ずしも区が女性ホームレスの「排除」を行っているとは言えないという事実だ。むしろ手を差し伸べようにも、彼女たちの姿は行政からもとらえづらく、支援の手は届きにくい。

 そんな彼女たちにとって、深夜営業のファミレスやファストフード店は、都心にある唯一の「シェルター」だった。雨風をしのげ、暖を取れ、危険から身を守ることができる。WiFiも入れば、携帯の充電もできる。長い路上生活のために、すえた臭いを放つこともある彼女たちを、店側も「排除」してはこなかった。

深夜のバス停から、女性路上生活者の姿は一斉に消えた
「以前、36時間以上いらっしゃった、そういったお客様に対しては警察を呼んだこともありました。しかし多くの方は静かにお休みになっていらっしゃるだけですし、他のお客様にご迷惑をかけることもございません。それにそういった方々も、私どもにとっては料金を払ってくださるお客様です。追い出すようなことは致しません」(前出・ファミリーレストラン店員)

 都市生活の苦難のなかを生きる人々への配慮は、言外からもにじんでいた。

 ニュースを目にしたからだろうか。幡ヶ谷の事件後、深夜の渋谷のバス停からは女性路上生活者の姿は一斉に消えた。しかし日中に近くの公園をめぐると、陽の当たるベンチや歩道に座って暖を取る女性たちの姿があった。何人かに取材を申しこんだが、「そっとしておいてほしい」と応じてはもらえなかった。深夜になると彼女たちは、人の目を避けるように奥まったベンチや橋下で腰を折り曲げ、ひっそりと眠りにつく。公衆トイレの前を通りかかると、路上生活でも身ぎれいにしようと、鏡の前に立つ丸まった背中もかいま見えた。

「前日の未明に『お金をあげるからバス停からどいてほしい』と頼んだが、応じてもらえず腹が立った。痛い思いをさせれば、いなくなると思った」

 幡ヶ谷の事件で吉田容疑者は取り調べに対し、そう供述しているという。

 だが殺害当時、所持金が8円だった被害女性にいくらかの「お金をあげ」たとしても、現在の東京には、彼女たちが安心して泊まることのできる居場所はない。

 新型コロナの感染者数は減らず、都による飲食店への深夜営業自粛要請は続き、寒さはいっそう厳しくなる。石の入った袋で殴りかかられなくとも、ビル風が吹きつける深夜の路上に「痛い思い」は蔓延している。



(※1)
厚労省「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」

(※2)
渋谷区と共同で自立支援を行う東京都福祉保健局によれば、ホームレスの人数調査方法は「各施設管理者の目視による確認調査とし、直接テントやダンボール等の中を確認したり、路上生活者に対する聴き取りを行ったりはしていない」。また渋谷区は「自治体としては先駆的な取り組みとして、NPO法人等と連携し『ハウジング・ファースト事業』という路上生活者に対する支援事業を開始し、居住先を確保することを優先し、再び路上生活に戻らないように、個々の状況に合わせたきめ細やかな支援を実施して」おり、路上生活者概数調査での数値は、10年前の216人と比較すると半数以下になっている。

(※3)
7月末、宮下公園跡にオープンした「ミヤシタパーク」に関して、行政が行った「野宿者排除」を巡る紆余曲折の問題がSNS上で再燃した。

(鈴木 ユーリ/Webオリジナル(特集班))

12/24 17:10 文春オンライン
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