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生活保護者の集いコミュの貧困支援の現場「まるで野戦病院」 雨宮処凛さん「コロナで自助・共助限界」

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https://mainichi.jp/articles/20201221/k00/00m/040/200000c

 新型コロナウイルス感染症の第3波が猛威を振るい、貧困相談窓口に助けを求める人の切実さが増している。支援団体でつくる「新型コロナ災害緊急アクション」で相談支援もしている作家の雨宮処凛さんは「自助と共助は限界。公助だけが足りていない」と訴える。現状を聞いた。【上東麻子/統合デジタル取材センター】

炊き出しに集まる人、倍に
 ――貧困問題に取り組む30ほどの団体で3月に「新型コロナ災害緊急アクション」を発足させました(現在は40団体に増加)。相談内容はどう変わってきていますか?


インタビューに応じる雨宮処凛さん=東京都清瀬市で2020年12月12日、上東麻子撮影
 ◆最初は「仕事がなくなり、寮やアパートを追い出されそう」という内容だったのが、「部屋を追い出された」「路上生活になってしまった」と深刻さを増しています。最近では「16日間ほとんど水だけで過ごしている」「自殺しようと思い荷物を処分したが死に切れなかった」というケースもありました。支援者はこうした人たちのもとに駆け付け、その日の宿と食事を確保し、話を聞いてどんな制度が使えるか考え、生活保護の申請にも同行します。これまで約1000人に約4000万円を給付してきましたが、次々に相談が押し寄せ、現場はまるで野戦病院のようです。もはや民間のボランティアがするレベルを超えています。

 東京都内では定期的に炊き出しをしている団体がいくつかありますが、今年は集まる人が例年の1・5〜2倍くらいに増えています。生活保護の申請がいつでもできるように、行政には年末年始も福祉窓口を開けてほしいと頼んでいます。

「ペット処分を」誤った対応
 ――ペット連れの人向けの支援も始めたそうですね。

 ◆ペット連れの困窮者が増えたためです。ある女性はアパートを犬とともに追い出されたため、役所に相談に行ったところ「生活保護を受けるなら犬を処分しろ」と言われたそうです。ペットがいても生活保護は受けられるのに、誤った対応です。ただ、困窮者向けの公的な施設にはペット連れだと入れません。「ぜいたく」という批判も考慮し、緊急アクションで「反貧困犬猫部」を設置し、別途資金を集めています。一般社団法人「つくろい東京ファンド」は、ペットと入れる個室シェルター「ボブハウス」を東京都内に2か所開設しました。ペットを持つような中間層にもコロナが打撃を与えているのです。

 ――外国人からのSOSが増えているそうですね。

 ◆外国の方は永住・定住権がある場合以外はなかなか生活保護の対象になりません。埼玉県川口市や蕨市にはクルド人が2000人ほど住んでいます。これまではクルド人コミュニティーの中で、在留資格のある人が働き、働けない人を支えてきたそうですが、コロナで仕事がなくなり限界になっています。11月に川口駅前で外国人向けの相談会が開催されたのですが、そこには300人ほどが訪れました。クルド人の家族連れが多く、所持金の中央値は2000円。歯が痛いのに歯医者に行けないなどの医療相談も多かったです。仮放免(入管施設への収容を一時的に解かれること)中だと健康保険証も持てず、就労も禁止され、生活保護の対象にもならない。制度のはざまに落ち込んでいます。日本のセーフティーネットになかなか引っかからない外国の人は深刻です。

女性がホームレスになる危険
 ――女性の自殺率が過去最高を更新するなど、厳しい状況に置かれています。


11月にホームレスの女性が襲われて死亡したことに抗議してデモ行進する人たち=東京都渋谷区で2020年12月6日午後6時15分、丸山博撮影
 ◆(労働組合や支援団体が東京の日比谷公園に設けた)2008年の「年越し派遣村」はリーマン・ショックで「派遣切り」に遭った製造業の中高年男性が中心でした。しかし、今回は圧倒的に飲食や販売などサービス業で働く女性からの相談が多い。渋谷のバス停で暴行を受けて亡くなった路上生活者の女性と同じように、スーパーの試食販売の仕事を切られた人もいました。スーパーも感染防止のために対面販売の仕事が減ったのです。テーマパークやホテルで働いていた女性も次々に首を切られています。女性が大量にホームレスになる事態は日本は経験したことがないはずです。女性のホームレスはあらゆる危険と隣り合わせになります。女性に特化した支援の必要性を感じています。

 女性労働者の半数は非正規で働いています。8月の電話相談の内容を「貧困研究会」が分析したのですが、それによると、派遣社員の月収は2月に比べ8月は平均9万2000円減っていました。非正規は在宅勤務を許されない問題も指摘されてきました。所得の違いが感染リスクの違いに直結しています。

 これまでなかった風俗の女性からの相談もあります。2月から客が激減し稼ぎがゼロの日もある。高い寮費を他のバイトで払っている人もいます。感染におびえながら接客し、家賃が払えないのです。夫の在宅勤務が増え、ドメスティックバイオレンス(DV)から逃げ場がなくなった人も多い。これらの窮状と女性の自殺率アップは大きな関わりがあるはずです。

 ――他に年越し派遣村との違いはどんなことですか。

 ◆住宅ローンが返せないという相談が来るようになったことです。貧困と無縁だと思っていた人たちまで生活を破壊されているのかと驚きます。

 若年ホームレスからのSOSも増えています。ネットカフェ難民は東京都だけで4000人といわれます。20年間、工場や警備など寮付き日払いの仕事を転々としてきた人もいます。一度、寮付きの生活をすると、仕事と同時に住まいも失うのでまた寮付きの仕事を探すしかない。その仕事もコロナで激減しています。やっと仕事ができるという日に体温が37度以上あって待機を余儀なくされ、寮を追い出された40代の男性にも出会いました。そんな状況でも彼らは「自分のせいだ」「人に迷惑をかけたら申し訳ない」「生活保護はもっと大変な人が受けるべきだ」と口にして、ある意味、「自助」を極めてしまっているのです。

 生活保護申請の際、役所が申請者の親に扶養できるかどうか確認する「扶養照会」という手続きがありますが、親との関係が悪かったり、迷惑をかけたくなかったりするために申請をためらう人が少なくありません。照会で「扶養する」と回答した親族は1%未満という数字もあります。合理的でないシステムはやめるべきではないでしょうか。

仕事に家探し…携帯は命綱
 ――ニーズも変わってきているのですね。

 ◆仕事や家を探すにも携帯は命綱です。料金滞納で通話を止められた人たちは、無料のWi−Fiを探して支援団体にSOSのメールをしてきます。炊き出しにはフリーWi−Fiを飛ばしているところもあります。また、先ほどのつくろい東京ファンドは携帯が止まった人のため、「つながる電話」というプロジェクトを始めました。独自に通話アプリを開発し、2年間本人負担ゼロで携帯を使ってもらうシステムです。そうやって民間は支援を進化させているのに、国の支援は全く進化していません。女性が保護を求めると婦人保護施設を紹介されることも多いですが、そこでは自分の携帯を自由に使うこともできません。


東京・日比谷公園で開かれた相談会に来た人たちの話を聞く雨宮処凜さん(左)。右は宇都宮健児・元日弁連会長、中央は瀬戸大作・反貧困ネットワーク事務局長=東京都千代田区の日比谷公園で2020年12月19日午後4時10分、丸山博撮影
 一方で貧困ビジネスも深刻化しています。埼玉県のある無料低額宿泊所は、最寄り駅から徒歩1時間以上かかる。10万5000円の生活保護費のうち7万9000円を施設に払わないといけない。食事は1日2回の約束だったのに1回しか出ない。職員が部屋に集金に来るそうです。

 ――菅義偉首相は「自助」が大事だと言っています。

 ◆コロナは災害です。ホームレスやホームレスになりかけている人は、自分が悪いわけではないのに「自助」と言われ続け、助けを求めるぐらいなら自殺した方がいいと思い込まされている。一方で「共助」は家族に丸投げです。クルド人コミュニティーや私たちの活動もそうです。共助は既にフル稼働していて限界です。

 今こそ「公助」が必要なのに、なぜ公助のトップが「自助」と言うのでしょうか。コロナの影響で失業した人は7万人以上、休業している人は200万人近くいて、どんどん路上に出てきているのに、権力者たちは見ようともしていません。まずは貧困の実態調査をすべきではないでしょうか。

 ――第3波の今、必要なことは何でしょう。

 ◆まず住まいの確保です。最大9カ月だった住居確保給付金が3カ月延長されることがようやく決まりました。もっと安心感を得られるようにさらに延長すべきです。


新型コロナウイルス感染拡大を受けた追加経済対策を決定する臨時閣議に臨む菅義偉首相(右)=東京都千代田区の首相官邸で2020年12月8日、竹内幹撮影
 福祉事務所には人が殺到しており、職員も疲弊しています。医療現場同様、役所も限界を超えている。人員を増やさないといけません。

 一方、善意の助け合いは復権しつつあります。私たちの活動には1億円近い寄付金が集まっています。コロナ禍を機に社会のセーフティーネットの使いにくさ、ほころびを直していきたいと思います。

 最も大切なのは「死なない方法」「生き抜く方法」はたくさんあると知ることです。コロナで貧困は誰にも人ごとではなくなりました。学校でも公的支援について教えてほしいと思います。

あまみや・かりん
 1975年生まれ。フリーターなどを経て反貧困運動で活躍。著書に「相模原事件・裁判傍聴記」(太田出版)、「『女子』という呪い」(集英社クリエイティブ)など多数。「生きさせろ! 難民化する若者たち」(太田出版/ちくま文庫)でJCJ(日本ジャーナリスト会議)賞受賞。

上東麻子

1996年毎日新聞入社。佐賀支局、西部本社、毎日小学生新聞、東京本社くらし医療部などをへて2020年から統合デジタル取材センター。障害福祉、精神医療、差別、性暴力、「境界」に関心がある。日本新聞協会賞を受賞したキャンペーン報道「旧優生保護法を問う」取材班。共著に「強制不妊」(毎日新聞出版)。散歩とヨガ、ものづくりが好き。

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