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生活保護者の集いコミュの命守れない生活保護「業務放棄に等しい」 識者の驚き

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https://digital.asahi.com/articles/ASNDJ55Q9NCZUUPI001.html

大阪府八尾市で今年2月、生活保護を受けている母とその息子が死亡した。この事案から何を読みとればいいのか。自治体職員として10年間のケースワーク経験をもち、厚労省の社会保障審議会生活保護基準部会委員などを務める岡部卓・明治大学公共政策大学院専任教授に聞いた。

 ――大阪・八尾市で生活保護受給中の母と子が死亡した事案をどのように見ますか。

 これまで生活保護をめぐって社会問題となったのは、札幌の母子餓死(1987年)、池袋の母子餓死(96年)、そして北九州の39歳男性が「オニギリ食べたーい」と書き残して亡くなったケース(2007年)などが代表的です。いずれも、生活保護の申請を退けられたりした末の出来事で、自治体が対象者を追い返す「水際作戦」が問題視されました。

 一方、八尾のケースは、生活保護の受給中に起きたという点で重みが違います。生活保護法は1条で、最低限の生活を保障することと、自立を助長することを目的と定めています。ところが、生活を支えるどころか命を守れなかったという点で、これまでとは一線を画す「事件」だととらえています。

 ――どのような問題が見えるでしょうか。

 八尾市のケースワーカーが、国が標準とする1人あたり80世帯を大幅に超えて担当していたという、現場の人手不足による業務過多は一因でしょう。八尾市全体で計画した訪問の達成率は約7割といい、母子の生活実態もきちんとつかめていなかったようですね。でも、それだけではないでしょう。

「玄関の扉が開いていたのに」
 ――具体的には、どこが問題だったのでしょう。

 ケースワーカーの動きに即していえば、まず、危機のサインがいくつも出ているのに対応していない。1月分の生活保護費を受け取りに来なかったら、どうしているのか確かめる。忙しくて身動きがとれなければ、生活保護の協力機関になっている民生委員や大家さんに連絡して、郵便物の有無や電気、水道メーターを確認してもらうというのが基本です。

 忙しさの中で似たような事案に慣れてしまい、感覚が鈍くなっていたのでしょうか。ストレスのかかる対人援助職だけに、日常的に業務を振り返り、取り組みを見直す作業がより大切です。でも、スーパーバイザーと呼ばれ、ケースワーカーをサポートする査察指導員(係長)の存在が見えてきません。

 ――家の中を確認しないまま、約2カ月後に外部のケアマネジャーが遺体を発見します。

 立ち入り調査はケースワーカーに認められた職務権限です。大事になるとひるんだのか、第1発見者になりたくなかったのか、理由はわかりませんが、玄関の扉が開いていても中に入らなかった。非常時には部屋に上がり、室内をくまなく調べるものです。

 一方で、そうした確認をしないまま「失踪」と認定し、保護廃止の判断を下しています。親族に頼んで捜索願を出してもらうことは検討したのでしょうか。なぜか、保護廃止の判断だけは迅速です。

生活保護「自己責任かは関係ない」
 ――なかなか自立できなかった息子についてはどう見ますか。

 仕事に就いては辞める、を何度も繰り返していると知っているのですから、市は仕事を続けられるように継続的に支援する必要があったと思います。その点はどう検討したのでしょう。また、収入も不安定なだけに、保護を停止して経過を見ることを選ぶべきではなかったのか、とも思います。

 ――ただ、本人が強く希望して保護を抜けた、と。

 厳しく言えば、「本人の同意が得られない」ことを理由にするのは、ケースワーカーとしての業務放棄に等しい。ふさわしいと考える選択をいかに納得してもらうか。その合意づくりのプロセスこそが仕事です。金銭管理ができない母に対しても同じことが言えるでしょう。

 ――とはいえ、母は転居費用として市から支給された20万円を使い込んだり、家賃を滞納したりしています。母本人にも問題があったのではないでしょうか。

 社会にうまく適応できなかったり、うまく自分をコントロールできなかったり、さまざまな理由で課題を抱えた人は社会に少なからずいます。でも、生活保護は「生活に困窮している」という事実に対して最低限の生活を保障し、自立を促す。それが法律の趣旨ですから、原因は問いません。生活を支え、自立へと導くのがケースワーカーの役割で、自己責任かどうかは関係ないのです。

「受給者の暮らしからますます遠ざかる」
 ――このケースでは、それに失敗したと。

 特にひどいと思うのは、使い込んだ転居費用の一括返還を迫り、難しいとなっても月2万円を返させていた点です。目指すべき生活再建をできなくさせていることに驚きました。

 さらに、ケースワークの内容が記録されていない、ということも決定的です。ケース記録は公文書であり、保護費を支給したり、変更したりする根拠となるものです。それがないのは公文書がないのと同じで、業務が適切に行われたのか検証もできません。

 ――そうなると、個人の資質の問題ではないと。

 こうしたことが組織内で常態化していたのではないかと推察します。

 ケースワーカーが足りないと、忙しいので訪問の回数が減り、生活実態がつかみづらくなる。でも事務処理を滞らせるわけにはいかないので、受給者の暮らしからますます遠ざかる。

 現場で踏ん張っているケースワーカーたちもいますが、こうした悪循環は八尾市に限らず、多かれ少なかれどこでも起きる可能性があるのではないでしょうか。この「事件」は氷山の一角にすぎない。私はそう思います。

(破れたセーフティーネット)(聞き手・諸永裕司)

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