生活保護者の集いコミュの反貧困ネットワーク　事務局長　日記

瀬戸大作氏

12月1５日（火）
❶菅首相が突然に発表した「Ｇｏ　Ｔｏ　トラベル」の全国一律の停止、個人的には困った状況となっている。福祉事務所に同行して、生活保護申請が即日受理されるが、アパート入居までの一時宿泊先として、ビジネスホテルを提供紹介する自治体は東京２３区で４区に留まる。他の１９区は無料低額宿泊所や更生施設への入所を強要に近い状態で進められている。福祉事務所が、「家に住むこと」について「判定」「許可」「決定」するのでなく、
「住まいは基本的人権」のもと、アパートを希望する当事者には、まず無条件で提供する事が基本、それまでの間であっても「施設収容」は認められない。ビジネスホテルを頑として認めない福祉事務所における申請時には仕方なく、私は、生活保護費住宅扶助費特別基準の日割り金額である2,100円以内のビジネスホテル（ネカフェ）を自ら相談者と探しておいてケースワーカーと交渉する。「ＧｏＴｏトラベル」とクーポンチケットを組み合わせて、2,100円以内に収める。朝に2名の相談者から電話が来た。12月28日を過ぎたら「行き場が失くなる。どうしたら良いですか。」本当に困った。過去の経歴の関係で、家賃保証会社審査が通らずにアパートが決まるまでに時間がかかる場合がある。何とか間に合わせたい。でも何で支援団体がここまで苦労しなければならないのか、、「ＧｏＴｏトラベル」の全国一律停止は、家を持たない多くの困窮者にとって、路上への恐怖へ追い込んでいる。
❷ここ数日間、北は北海道から沖縄まで全国各地からの深刻な相談が「反貧困ネットワーク」経由で続いて届いている。基本は相談者の居住地の支援団体を紹介するが、空白地域が多い。家賃滞納による追い出し案件、生活保護追い返しなどで、多くの相談者が深く傷ついている。返信メールで「励まし続ける。」独りではない事を伝える。
➌午前、昼間は大学に通いながら、夜は性風俗の仕事を掛け持ちして、学費を自ら払い、地方に住む、病身の親と弟たちの生活費も稼ぎ支えている女性と再会した。私が登場したNHK BS1スペシャル「東京リトルネロ」を見てくれていた事がきっかけだった。家族を支える事だけが人生のモチベーションだという。月４０万円稼ぐ生活、再会した彼女は疲れていた。溜まっていた家賃を支払ったばかり、所持金は少ない。コロナウイルス感染第三波で、年末の収入は更に減少するだろう。前回会った時は、崖からいつ落ちて死んでも不思議じゃない。「いつ死んでもいいと思っている」と言いながら彼女は笑った。今日は笑っていない。これ以上、身体を酷使しないように生活できる方法がある事が解った。一緒に今後の生活設計を考えた。来月にはお母さんに「一緒に会いにいこうね」と決めた。
❹夜は久し振りのさようなら原発１０００万人アクションの実行委員会、古巣に帰ってきた気分だ。何故か安心する。3月13日の首都圏集会の企画内容を詰めた。7月の関西学院大学の全国福島避難者調査を共有した。アンケートでは、震災・事故前と2019年の年収も尋ねた。「300万円未満」との回答は、震災前は計22.7%だったが、昨年は計39.1%に上昇した。このうち「100万円未満」は10.1%。10人に1人に相当し、震災前（4%）の2.5倍に膨らんだ。職業で「臨時雇用・パート・アルバイト」「無職」を選ぶ人が増えており、避難先で安定した職に就けず、収入が減ったケースが多い可能性がある。新型コロナの感染拡大も影を落とす。回答した自主避難者320人のうち、6割が新型コロナで収入に影響があったと答え、このうち1割が失業、2割が休職に追い込まれていた。より深刻だと感じる事は避難先で、近所に何か困った時に助け合う親しい友人がいる比率が１８％となっているデータだ。反貧困ネットワークに寄せられる全国各地からの深刻な相談、身近に相談できる支援団体や繋がりが弱い場合は更に深刻化している。
❺青森の大間原発の建設に反対し、土地の立ち退き要求に応じまい、と、他の人たちが立ち退いた後も一人自らの土地に残って生活している「あさこハウス」で知られる小笠原厚子さんが苦境に陥っているとの情報が報告された。府中派遣村からの情報だ。仕事は村八分状態で無いので各地の集会での海産物販売、通販で賄っていたがコロナで収入が途絶えている。派遣村のフードバンクからの食料もコロナで大間に入れていないとの事、派遣村や現地とも連絡をとって対策を考えよう。困った時は助け合う。