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生活保護者の集いコミュの大阪都構想が生活保護を置き去りにして突き進む「危険なバクチ」

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https://diamond.jp/articles/-/252781

生活保護関連データから
浮かび上がる「大阪都」の実態
 本記事公開日の2日後、2020年11月1日は、大阪府で「大阪都構想」の賛否に関する住民投票が行われる。現在は賛成派と反対派のそれぞれが激しい主張を続けており、議論も白熱しているところだ。中には、事実の認識をめぐる論争もある。

 しかし政策や施策は、視点や切り口によって異なる姿を見せるものである。あらゆる主張や議論は、その人の「私の見る大阪都構想の姿」に基づいて行われる宿命にある。生活保護に注目すると、大阪都構想の異なる様相が見えてくるだろう。

 まずは大阪市の人口や生活保護の状況から、大阪都構想のもとで設置される4つの特別区の姿を見てみよう。数値は、2015年度国勢調査、および2019年度版大阪市「区政概要」による。なお保護率は、これらのデータから筆者が計算した。年次が異なるため、現在公表されているものとは若干のズレがある。

図表:大阪都構想のもとで設置される4つの特別区
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「パッと見」で印象を語ってみよう。まずは人口と世帯数だ。新しく設置される4つの特別区の人口は、おおむね60万人から75万人程度の範囲に揃えられている。一方、世帯数を見ると、おおむね30万世帯から40万世帯程度の範囲となっている。人口のバラツキよりも、世帯数のバラツキが相対的に大きくなっている。単身世帯・子育て世帯・ひとり親世帯などの状況には、大きな差がありそうだ。

 次に、生活保護の状況を見てみよう。世帯数よりもさらに大きなバラツキがあることは一目瞭然。人員保護率で見ると、保護率が最も少ないのは新北区で約3.0%、最も多いのは新中央区で約7.4%となっている。

生活保護率に見る
4つの「新特別区」の格差
 世帯保護率で見ると、保護率が最も高い新中央区(約11.7%)、次いで多い新天王寺区(約9.3%)が目立つ。10世帯のうち1世帯は、生活保護のもとで暮らしていることになる。この種のデータを見慣れている筆者ではあるが、「は? マジ?」と計算を何回も確認してしまう。しかし確認するたびに、「それはそうだ」と納得する。

 多くの場合、保護率の高さは単身化率とリンクしている。貧困は単身化につながりやすく、また、単身化は貧困につながりやすいからである。その地域の単身化率がもともと高く、したがって人口と世帯数の差が少なく、なおかつ生活保護を必要とする単身者が多い場合、世帯保護率は高くなる。

 たとえば大阪市では、西成区の人員保護率は20%を超える状況が続いており、全国でも突出している。この背景は、仕事を求めて全国から単身で「釜ヶ崎」にやってきた人々が、高齢化して働けなくなり、自然の成り行きとして生活保護を必要としたことにある。世帯保護率を計算すると30%を超える。

 新中央区には西成区が含まれるため、保護率が高くなるのは自然の成り行きだ。西成区以外にも、保護率の比較的高い浪速区(人員、約7.3%)と住吉区(同、約6.2%)が含まれている。

 新天王寺区には、突出して保護率の高い区は含まれない。しかしながら、天王寺区(人員、約1.9%)と阿倍野区(同、約2.6%)を除くと、残る3つの区、平野区(同、約6.6%)・生野区(同、約7.0%)・東住吉区(同、約6.4%)の保護率が高いため、全体として保護率は高くなる。人口で見ると、新天王寺区の約30%を天王寺区と阿倍野区、約70%を平野区・生野区・東住吉区が占めることとなる。

 4つの特別区の間の格差、4つの特別区に含まれる現在の区それぞれの格差は、大阪都構想のもとで、どのように取り扱われるのだろうか。大阪都構想を推進する人々が、「貧しくても幸せに暮らせる大阪都」を目指しているとは思えない。

新しい特別区の財源と権限は
ムダと非効率が増えるだけという現実
 長年にわたって大阪市の生活保護の現場で働いてきた経験を持つ社会福祉士の谷口伊三美さんは、不安が先走る筆者に、「生活保護や困窮者施策の先行きについて、具体的なことは何も示されていません」と釘をさす。福祉や保健、防災など、市民生活に直接かかわる事柄の多くについて、先行きの内容は全く示されていないからだ。しかし、楽観しているわけではない。生活保護について気になることは、まず要員不足だという。

「大阪市は現在でも、国の定める標準数(都市部ではケースワーカー1人あたり80世帯)の約7割しか、ケースワーカーを配置していません。ケースワーカー1人が120世帯以上を担当するのは普通で、中には150世帯以上を担当する職員もいます。とても、丁寧なケースワークができる状態ではありません」(谷口さん)

 特別区になれば、改善されるのだろうか。

「それは、全く期待できません。特別区への移行では、現在の職員数を増やさないことが基本です。これまで大阪市全体で行っていた、職員の研修や育成、嘱託職員の採用、ホームレス支援などの事務は、4つの特別区で個別に行われることになる可能性があります。分散すると、手間も人もより多く必要になります。人員不足はより一層、深刻になる可能性があります」(谷口さん)

 これでは、ムダの削減どころではない。しかし、大阪都構想でアピールされるポイントの1つは、大阪府と大阪市の二重行政の解消だ。そのメリットはないのだろうか。

「現在は、大阪市全体をカバーする保護課が市の本庁にあり、各区の生活保護行政をバックアップしています。研修や非常勤職員の採用などに加えて、国との窓口も本庁が担っています。国からの通知の解釈や国への要望も本庁が行います。特別区になると、こうした機能が各区に分散します。同時に、国との窓口は大阪府に吸収されるでしょう。大阪市の実情を踏まえて国と協議や協議を行うことは、難しくなります」(谷口さん)

さらに、大阪市全体で取り組んできたホームレス支援も気がかりだということだ。現在の大阪市では、西成区に多数ある救護施設の一部が、「ホームレス一時生活支援事業」に活用されている。住まいを失った人々は、最寄りの区役所で相談すれば、その日のうちに食事や寝泊まりの場を確保することができる。

「特別区になっても、継続できるのでしょうか。特別区が個別に取り組むことは非効率ですし、今のレベルを維持できるとも思えません」(谷口さん)

 また、大阪市が独自に行ってきた中学生の塾代助成や市営交通の敬老パスなどの福祉サービスも、存続が危うくなりそうだということだ。

「大阪市が特別区になれば、財源も権限も低下します。それなのに、住民サービスが維持できる見込みはありません」(谷口さん)

 それは、当然といえば当然だ。

大阪市の財源を大阪府が奪う
むしろ負担が増える新特別区
 全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)会長の大口耕吉郎氏は、大阪都構想の財政面に懸念を示す。大阪都構想を一言でいえば、「大阪市の財源を大阪府が奪う」ということだそうだ。2016年の大阪市決算に基づく試算では、大阪市の税収などのうち5500億円が、大阪都構想のもと、大阪府のものになるという。

「設置される4つの特別区は、独自の税収だけでは行政運営ができません。したがって、大阪府から財政調整交付金を受け取ります。しかし、この交付金を出すか出さないかは、自由裁量なのです」(大口さん)

大規模開発やIR(カジノ事業)で潤っていればまだしも、失敗する可能性もある。

「大阪府の財政が苦しくなれば、いつでも交付金はカットされます。すると、福祉にも教育にも街づくりにも支障が発生するでしょう」(大口さん)

 生活保護についても、同様であろうと考えられる。大阪市の2016年の生活保護費予算は約2800億円だったが、75%は国が負担するため、大阪市の負担は約700億円であった。さらに、国からの財政調整交付金があり、実質負担は約60億円だったという。

「大阪府の特別区は、地方交付税を大阪府に奪われるため、大阪市が負担していた約700億円を、4つの特別区が負担することになります。でも、それは可能でしょうか。財源が保障されないと、最後の命のトリデとしての生活保護の役割は、果たされなくなります」(大口さん)


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 それは、まるで米国の現在の姿だ。米国連邦憲法には、生存権を保障する規定はなく、したがって各州の生存権保障に必要な予算措置の責任は連邦にはない。州憲法で独自に生存権を保障している州もあるが、予算を確保できなければ「ない袖は振れない」ということになり、実際に生存権を保障するための給付などを行うことはできない。国としての社会保障政策で見る限り、米国は成功している国ではない。大阪府がそこを目指して進む必要は、本当にあるのだろうか。

公金での危険すぎるバクチ
大阪都構想は本当に必要か
 生活保護問題に長年関わっている弁護士の小久保哲郎さんは、大阪都構想の問題点を、端的に一言で述べる。

「一度大阪市がなくなると、二度と戻りません。極めて危険なバクチです」(小久保さん)

 バクチは、せめてカジノの中で、自分のポケットマネーで、住民を巻き込まずに自己責任で行っていただきたいものである。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

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