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生活保護者の集いコミュのなぜホームレスはコロナに感染しないのか?支援団体が明かす究極の対策

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https://diamond.jp/articles/-/243720

新型コロナの意外な「安全地帯」は
貧困当事者支援
 コロナ禍が世の中の重大関心事となり始めて以来、すでに約半年が経過している。手洗いやマスク装着は世の中の“常識”として根付いているように見えるが、感染者は再び増加しつつある。

 しかも、感染発生は「クルーズ船」「施設」「夜の街」といった特定の場所に限られているわけではない。むしろ、増えているのは経路不明の感染例だ。何にどこまで注意すれば、「まあまあ安心だ」と思えるのだろうか。

 ホームレスを含む貧困層や低所得層の支援現場は、意外な“安全地帯”かもしれない。このような現場で感染が拡大した事例は、日本では皆無、世界的にも皆無に近い。貧困の当事者たちの多くは、心身の状況が良好ではなかったり、高齢であったり、持病を持っていたりする。さらに、しばしば「情報弱者」であり、基本的なリテラシーを身につける機会にも恵まれてこなかったことが多い。

 それなのに、こうした人々に対する支援活動を通じた感染拡大は、ほぼ皆無なのだ。ここには、あらゆる人々の「安全」「安心」のカギがありそうだ。

「特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい」では、東京都新宿区の事務所での対面相談に加え、東京都庁での食糧配布や相談会を行っている。しかし、新型コロナ対策の観点から、事務所での活動に際してはスタッフやボランティアの人数を制限し、「3密」すなわち「密閉」「密集」「密接」を避けている。高齢であったり持病があったりする人には、無理に参加しないように促す。

 また、その日の体調が思わしくない人には、参加を控えてもらう。もちろん、手洗い・マスク・消毒などの対策も行っている。「もやい」では4月以来、医師のアドバイスを受けて感染症対策をマニュアル化し、定期的な見直しを重ね、注意喚起を重ねているということだ。

「スタッフはもちろん、相談に来られる方にも遵守をお願いしています。守れない方には、参加をご遠慮いただいています」(「もやい」理事長・大西連氏)

しかし7月に入ってから、日本全体、特に東京都では感染者が増加している。一団体の対策には、限界があるだろう。それでも大西氏は、「できることをしながら、柔軟に」活動を続けていくという。万一の感染者発生に備え、一定期間の活動停止を含む対応計画も、すでに作成しているということである。

有効な対策は拍子抜けするほど
「基本中の基本」ばかり
 ついで、「もやい」にアドバイスを提供している専門家の1人である谷川智行医師に、具体的にどのようなアドバイスを行っているのかを聞いた。

「一般的な“3密”を避けること、咳エチケット、そして消毒です」(谷川医師)

 拍子抜けするほど「当たり前」のことだけではないか。

「まず、支援者同士で感染させるようなことは、避ける必要があります。そのためにも、体調の悪い方は、活動に参加しないことが大切です。支援者の人数は減ることになりますが、これが大前提です。もしも相談に来られた方を感染させてしまったら、支援しているのか迷惑をかけているのかわからなくなってしまいます。また、活動全体も停止ということになりかねません。

 ですから、体調を含めて不安のある方には、参加しないでいただくようにしています。体調が良くないのに来られた方には、すぐ帰っていただくようにしています。実際に、何回かそのようなことがありました」(谷川医師)

 路上で行われている相談会に訪れる人々、その日初めて相談してみようとする人々に対しては、事前にマニュアルや対応を徹底するわけにはいかないだろう。

「相談に来る方にも、マスクを着けていただき、手指の消毒をしていただいています」(谷川医師)

 やはり、基本的なことだけだ。さらに谷川医師によれば、「屋外」という環境は感染予防において有利である。

「屋外では、3密の『密閉』はありません。リスクになり得るのは、接触です。そこさえ注意すれば、おおむね安全でしょう」(谷川医師)

「路上生活よりも“ドヤ”(簡易宿所)や大人数のシェルターの方が、ずっと危険です。無料定額宿泊所は、この機会に個室化してほしいです。厚労省も新型コロナ対応で事務連絡を発し、個室化を求めています。『この事態下だから』ということではなく、この機会に今後も個室化してほしいです」(谷川医師)

 今回のコロナ禍を乗り切れば、「それで良し」というわけではない。

「感染症は、これからも次々に来るでしょう。2000年以後、世界的に流行した感染症の多くはコロナウイルスによるものです。他にも、ウイルスは多数あります」(谷川医師)

 2000年からの1000年間は、世界規模の感染症との闘いが繰り返されそうだ。今回の新型コロナウイルスへの対応によって、人類は新しい感染症への対応を学ぶ必要がある。感染症との闘いは、今後も異なるパターンで繰り返されるからだ。これは、世界中の専門家の共通した見方である。

根本的な解決法は、谷川医師によれば「人間が自然界に乱暴に入り込むのを止めること」である。その通りだろう。感染症との闘いは、生活のために自然破壊を余儀なくされる人々がいる現状を変え、気候変動に歯止めをかけ、災害リスクを減らすことと一体であるはずだ。

「支援を止める」という
選択肢はない中での対策とは
 ついで、医療をはじめとする多数の専門職がいる特定非営利活動法人「メドゥサン・デュ・モンド ジャポン」で、より専門的な視点からの意見を聞いた。この団体は「世界の医療団」として知られており、「すべての人に医療を」というスローガンを掲げて多様な活動を継続している。ハウジングファースト東京プロジェクトのパートナー「NPO法人TENOHASI」と提携して、路上生活者の夜回りや炊き出しも行っている。

 居住の貧困を解消することに主に取り組む武石晶子さんは、2月末、新型コロナが日本にパニックを引き起こしつつあった時期を振り返って、次のように語る。

「その時期、炊き出しが予定されていたので、厚労省のサイトを参考にして対策しました。炊き出しに来た路上の方々は、『コロナって何?』『感染したら、保険証がないから死ぬだけ』という声もありました」(武石さん)

新型コロナは指定感染症である。通常の病院で、通常の診察の手続きで治療を受けられるわけではない。治療を受ける際には、必ず保健所を通すことになる。しかし路上生活の人々には、「保健所で門前払いされるのでは」という懸念もあった。

「まず、情報が届いていないんです。そこで、他の支援団体とも話し合い、『最初に情報の貧困を解消しよう』ということで、医療ボランティアに協力いただき、必要な情報をまとめたチラシを作成しました」(武石さん)

 そして武石さんたちは、感染予防や感染の可能性がある場合の対処など必要な情報を簡潔にまとめたチラシを、マスクや消毒剤とともに路上生活の人々に配布した。

 この配布活動は、マスクやアルコール消毒剤の入手難を乗り越えて、現在も続けられている。現在は、ファスナー付きポリ袋に数枚のマスク、ティッシュ、消毒剤または液体石鹸がコンパクトにまとめられた「衛生キット」の形となっている。そのキットの中に、チラシが入っている。

まずは「情報の貧困」を解決
これからは熱中症の対策も
 盛夏を控えた7月現在は、熱中症対策も重要な課題だ。チラシには熱中症対策についても記載されており、熱中症対策用の塩入りタブレットが留められている。炊き出しや相談会などに訪れた人々は、まず「衛生キット」を手にする。順番を待っている間に中を見て、タブレットを外して口にすることが多い。そのときに、チラシを読むことが多いそうである。チラシの内容に加えて、読まれるための配慮も怠っていない。

「コロナ禍で活動を中止することは、全く念頭にありませんでした。私たちが行っている活動は、医療相談も生活相談も炊き出しも、すべて命をつなぐものです。止める選択はありません」(武石さん)

 活動を止めない以上は、感染症対策を十分に行う必要がある。対策は、「3密」の回避と支援者側のリスク管理に加え、「ボランティアの人数を可能な限り減らすこと」「配布した食糧をその場で食べないよう、炊き出しから弁当の配布へと形態を変えること」「並ぶときは2メートル以上の距離を空けて」であった。

 またしても、拍子抜けするほど基本的なことばかりだ。しかし結果として、その基本的なことの積み重ねによって、活動の安全性が維持されてきた。

もともと路上生活者の
マスク着用率は高かった
「世界の医療団」が当初から心がけてきたことの1つは、支援者「が」ウイルスを持ち込まないようにすることだった。具体的な対応は「自らの健康管理をする」「話すときは必ずマスクを」「手指を消毒する」といったことだ。

「活発な経済活動をする人たちは、『密』になることも多くなるので、感染する確率は、路上の方より高くなります」(武石さん)

 感染対策の中心となった西岡誠医師は、コロナ禍に対する世の中の恐怖心が、「自分が感染させられる」という方向に偏っていることを危惧する。

「路上生活の方々は『3密』になりにくく、新型コロナウイルスに感染するリスクは高くありません。また、排気ガスや粉塵から喉を守るため、パンデミック前からマスク着用率が高いことも、有利に働いたと思います。しかし、高血圧、肺気腫、糖尿病など基礎疾患を持つ人が多いため、感染した場合の重症化リスクや死亡リスクは高いです。われわれ支援者が、路上生活者に感染させないための対策は重要です」(西岡医師)


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 夏季には、マスクの弊害もある。

「夏場は、マスクによる熱中症のリスクがあります。『道を歩いている時や、周囲に人のいない場所では、マスクを外す方が良い』と伝えています」(西岡医師)

 様々なリスクがある中で、誰もが限られた資源を活用して対応しなくてはならない。厳しい状況にある人々ほど、対応の難易度は高くなる。

 西岡医師は、日本の現状に関して、世界各国の感染拡大地に比べれば、「今のところは、感染者数も死亡者数も抑えられている」という。日本の「3密」の効果は世界で評価されており、WHOが「3C」として採用したばかりだ。中でも最も効果があるのは、ソーシャル・ディスタンスを保つことであるという。

 ともあれ、基本的な対策は十分に有効だ。感染者数に一喜一憂せず、日々の感染対策を積み重ねることが、自分自身と大切な人とを守ることになるだろう。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

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