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生活保護者の集いコミュのコロナ禍で燻る「生活保護叩き」の火種、リーマンの悪夢再来か

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https://news.yahoo.co.jp/articles/62d8b787cc29fe915c776709401d2d1971870c74

● 「いつか来た道」か コロナ禍が変える生活保護への視線

 今年2月、新型コロナと関連した「自粛」が始まって以来、筆者には懸念がある。職業や収入を失う人々が増え、世の中にストレスが充満するとき、どこの誰が「安全弁」に選ばれ、怒りのはけ口にされるのだろうか。

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 2008年、リーマンショックと派遣切りで、数多くの人々が収入や住居を失い、生活保護へのニーズが高まった。2001年に始まった「聖域なき構造改革」のもと、生活保護に対する締め付けは強まる一方であり、2007年には北九州市で「おにぎり食べたい」と書き残して50代男性が餓死する事件も起こっていた。

 2008年末から2011年にかけては、2007年までと異なり、政策の方向性は生活保護を利用しやすくするものとなっていた。しかし2012年、お笑い芸人の母親が生活保護で暮らしていた事実が報道されてから、流れが一気に変わった。

 おおむね10年後の2020年6月現在、「緊急事態宣言」は解除されたものの、コロナ禍のもたらす影響は深刻になるばかりだ。少なくとも2020年代の前半は、経済的打撃が残り続ける時期となるだろう。

 向こう数年、生活保護へのニーズが減ることはなく、生活保護費は国と地方の財政に対する一定の負担でありつづけるだろう。確実に生活保護費を“節約”する方法の1つは、利用されにくいように締め付けることだ。

 2012年、メディアや世の中には、生活保護への厳しい意見が充満し、年末には第2次安倍政権が発足した。2013年、生活保護基準の引き下げが実施され、生活保護法が改正された。以後、生活保護に関しては締めつけが進行する一方となっている。2020年の現在も、数年後の生活保護叩きの準備となる時期なのかもしれない。

 社会保障を中心に活躍するフリーライターの白井康彦さん(元・中日新聞生活部編集委員)は、筆者の懸念に対して、「まさに、同じようになりそうです」と答える。日本銀行を担当する経済記者だった経歴をもつ白井さんは、経済指標に詳しい。2013年、生活保護基準の引き下げに使用された厚労省の独自指標「生活扶助相当CPI」の怪しさを見抜き、政界、学術界、司法、そして当事者運動を巻き込んで真相解明を推進し、「物価偽装」と喝破した人物でもある。

● 経済状況が悪化すると 生活保護が叩かれるのは当然か

 コロナ禍のもと、厚労省は生活保護や生活困窮者自立支援制度について、極めて柔軟な対応を行い、積極的な救済を行いやすくする方針を示し続けている。

 しかし、経済状況が急激に悪化すれば、生活保護へのニーズが高まるのは当然である。1970年代には、オイルショック下の「狂乱物価」に対応して、生活保護費が1年間に2回引き上げられた年もあった。「リーマンショック」下の2008年から2009年にも、生活保護へのニーズが急激に高まった。

 政府は結局のところ、生活保護を必要とする人々が増えたり、これまでの生活保護のレベルでは社会保障として成り立たなくなったりすれば、生活保護を利用しやすくし、内容を高めるしかないのである。そうしなければ、社会的混乱が引き起こされる。

 問題は、その次に何が起こるかだ。石油ショックの打撃の生々しさが薄れた1981年には、その後の生活保護を強く方向づけた「123号通知」が発され、「水際作戦」が強化された。1987年には、生活保護を利用できなかったシングルマザーが、4人の子どもたちの前で餓死する事件が起こっている。締め付けが行われたのは、リーマンショック後だけではない。

「これから、生活保護制度の利用者が増えることは間違いありません。政府も、少し緩めの運用をしています。2008年から2009年にかけて感じたのと、同じ雰囲気です」(白井さん)

 厚労省がコロナ禍下で生活保護に関して発している通知や事務連絡の数々は、当時よりもはるかに踏み込んだ内容だ。

 「生活保護の利用者は増え、生活保護費予算も増大するでしょう。すると、『それはおかしい』という声も出てくるでしょうし、バッシングや締め付けも始まりかねません。あるいはバッシングが仕掛けられ、リーマンショック後と同じ成り行きとなる日は、近いのかもしれませんね」(白井さん)

 やり場のない怒りや不安やストレスを、安心してぶつけられそうな相手にぶつけることは、人間の必然かもしれない。影響力の強いメディアや政治家が“お墨付き”を与えてくれたら、歯止めは簡単になくなる。しかし、それを「必然」で済ませてしまってよいのだろうか。

● 10万円定額給付は 「誰得」なのか

 1人10万円の特別定額給付金は、生活保護世帯に対しても支給され、「召し上げ」はされないこととなった。しかし政府が検討していた時期から、「生活保護世帯には渡すな」という声が少なくなかった。給付が開始されている現在、そのような声が生活保護で暮らす人々にぶつけられることは、現実となっている。

 「でも、夫妻が共働きで収入が多く、世帯年収が1200万円あり、子どもが3人いる世帯でも、50万円を受け取るわけです。もちろん、年収3億円の大富豪も、世帯1人あたり10万円を受け取ります。生活に困っているとは言えないのに、受け取るわけです。おかしいというのなら、そちらの方がおかしいのではないでしょうか」(白井さん)

 10万円の定額給付金は、「その世帯が、どの程度困っているか」ということを一切問題にせず、審査を行わずに給付する。生活保護が受給資格を厳しく審査する「選別主義」であるのに対し、定額給付金は「普遍主義」的であり、考え方はベーシック・インカムに近い。しかし、ベーシック・インカムを成り立たせるためには、確実な徴税が必要だ。生活に困っていないのに収入が10万円増えた人からは、その10万円を税として徴収する必要がある。

 「今回、定額給付金で収入が10万円増えても、税金が10万円増えることはありません。全員が“トク”します。生活保護世帯の収入が、1人10万円分増えるのを問題視するのはおかしいのですが、バッシングする人は少なくないようで、心配です」(白井さん)

 怒りを向ける相手を間違える国民が多数いる国は、国民の能力の低下によって落ちぶれていくだろう。そこに経済政策を重ねても、効果は期待できそうにない。

● 生活保護基準引き下げ訴訟で 「勝訴が心配」になる理由

 現在、2013年の生活保護基準引き下げの取り消しを求める集団訴訟「いのちのとりで裁判」が、全国で続いている。最も進行が速い名古屋地裁では、6月25日、判決が言い渡される予定だ。厚労省の「物価偽装」を見抜いた白井さんは、原告側証人として法廷に立ち、厚労省の行った疑惑の計算の詳細を証言した。しかし、白井さんの願いは勝訴そのものではない。もちろん、勝訴への期待はあるけれども、心境は「微妙」だということだ。

 「勝訴となったら、メディアが多数の報道を行うでしょう。中には、生活保護に対する冷ややかな視点に基づく記事もあるでしょう。世の中の関心も集まるでしょう。それが、2012年のようなバッシングにつながる可能性もあると思います。今、『バッシングしよう』と手ぐすね引いている方々は、確実におられるだろうとも思います」(白井さん)

● 流れを変える力は どこで生まれるのか

 敗訴となれば、原告となった当事者たちの苦しみは報われないままとなる。長い期間をかけて訴訟を闘っても、少なくとも訴訟では結果を出せなかったことになる。白井さんは、それに加えて「敗訴で、皆さんが脱力してしまうと困ります」という。

 「もちろん、勝訴に期待してハラハラドキドキする気持ちは、私にもあります。でも、私は当事者の原告ではなく、原告代理人の弁護団でもありません。少し違う感覚があります」(白井さん)

 その感覚を支えているのは、メディアの「中の人」、ベテラン新聞記者としての経験である。

 「裁判だけでうまくいくとは限りません。裁判に加えてマスコミ報道、そして国会での追及の3本柱が必要です。裁判で長い時間をかけなくても、マスコミが大きく報道すれば、変わる可能性がありました。今後もあります」(白井さん)

 少なくとも、目に見える部分の流れは変わってきている。安倍首相は、6月15日の参院決算委員会で、生活保護を「ためらわずに申請してほしい」と答弁した。田村智子議員(共産党)の質問に対する答弁であった。

 安倍首相は同時に、自民党が生活保護の利用抑制を主張したことはないとも述べている。それは明確に事実に反している。しかし首相の名において、生活保護の利用や広報を促進する方針が述べられたのだ。

 ともあれ筆者も、一抹の不安を抱えつつ、来週の名古屋地裁判決に期待している。

 (フリーランス・ライター みわよしこ)

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