ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの「生活保護裁判」全国に先駆け名古屋地裁で結審へ 原告指摘の“国の物価偽装”は認められるか

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200121-00010000-wordleaf-soci

1/21(火) 12:04配信THE PAGE
 生活保護費が最大1割減額された生活保護基準引き下げの撤回を求めて、全国で受給者ら1000人以上が国や自治体を相手に訴訟を起こしている。裁判の過程では原告側の証人が国による不可解な数字の操作を「物価偽装」と指摘するなど、原告だけでなく専門家も強い疑念を示す。1月27日に結審し、今春にも全国でいち早く判決が出る見通しである名古屋地裁での公判の模様を通して、問題の真相に迫りたい。

「生活保護裁判」全国に先駆け名古屋地裁で結審へ 原告指摘の“国の物価偽装”は認められるか
生活扶助費削減を決めた厚生労働省が入っている中央合同庁舎第5号館本館(写真:西村尚己/アフロ)
ギリギリの生活、さらに削られ「限界」
 厚生労働省は2013年から2015年までの3年間で、生活保護費のうち日常の生活費にあたる生活扶助費を670億円削減することを決めた。これにより生活保護世帯の96%で受け取る保護費が減額されることとなり、その下げ幅は平均6.5%、最大で10%だ。

 これを不服として、東京や大阪をはじめ北海道から沖縄まで、全国29都道府県で1022人が訴訟を起こしている。愛知県では21人が減額処分の取り消しを求めて、名古屋市など4つの市を相手取り、各地の裁判所に提訴。同時に生活保護基準の引き下げを決めた国(厚生労働大臣)の責任を追及し、賠償を求める国家賠償訴訟も起こしている。

 2019年10月24日には、名古屋地裁で原告の一人である70代の生活保護利用者の女性が法廷に立ち、こう証言した。

 「お米は2合を1週間に分けて食べ、できるだけエアコンを使わないようにしています。新しい洋服や下着もこの1年は買っていません」

 女性は10年ほど前に体調を崩し、仕事が続けられなくなったことから生活保護を利用し始めた。ひと月の収入は、年金と生活保護を合わせても10万円に届かない。もとより十分ではなかった生活扶助費が引き下げられてから、さらに家計を切り詰めるようになったという。

 他の原告からも、食費や光熱費をギリギリまで節約する厳しい生活状況が語られ、憲法で定められた「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されているとは言えない状況であると訴えた。

 ある原告は取材に対し「生活保護利用者の多くは高齢者であったり、病気や障害があったりして働けない人。より健康に留意しなければならない人たちが、満足に食事をとることもできないのはおかしいと考え提訴した」と話した。「自分も生活費のやりくりは限界。裁判のための交通費を捻出するのも苦しい状況だが、これ以上弱い立場の人が不利益を被ることのないよう、絶対に負けたくない裁判です」

専門家も法廷で続々と異論
 生活保護基準の引き下げについては、社会保障や統計学の多くの専門家も、手続きや内容に大きな問題があると裁判で証言している。

 厚労省は削減した670億円のうち、90億円分は「生活保護基準部会」による検証結果をふまえた「ゆがみ調整」(世帯の人数や地域による保護費の偏りの調整)によるもの、580億円分は2008年から2011年までに物価が4.78%下落したことを反映させた「デフレ調整」によるものだと主張している。

 しかし、生活保護基準部会の部会長代理を務めていた岩田正美・日本女子大名誉教授(社会福祉学)は、「ゆがみ調整」では扶助費をむしろ増額すべき世帯もあったと指摘。にもかかわらず、厚労省は部会に無断で根拠となる数値を2分の1にして計算し、全ての世帯を減額としたことを後で知り、驚いたと証言した。

 岩田名誉教授はデフレ調整についても「生活保護基準部会では一切議論をしていない」と断言。部会の意見に基づかず生活保護費が大幅に削減されたことに「忸怩たる思い」を抱いていると語気を強めた。

 さらに、デフレ調整で根拠とされた「生活扶助相当消費者物価指数(生活扶助CPI)」も争点となっている。統計学を専門とする上藤一郎・静岡大教授は、生活扶助CPIは厚労省による特殊な計算方式であり、学説上の裏付けはないとしている。

 中日新聞の元編集委員でフリージャーナリストの白井康彦氏も証言に立った。白井氏は、厚労省が計算時に「パーシェ方式」と「ラスパイレス方式」という2つの計算方式を混合させたことや、テレビ・パソコンなどの家電の価格変動の影響を過大に評価した点をおかしいと指摘。「物価の下落率を厚労省が意図的に大きく膨らませた『物価偽装』であり、最悪の統計不正とも言うべき問題だ」と厳しく追及した。

 生活扶助CPIを根拠とした今回の改定では、生活保護世帯とは支出構造が大きく異なる一般世帯の消費支出割合をもとに基準が決められた。山田壮志郎・日本福祉大准教授(社会福祉学)は「生活保護世帯の消費実態を反映しないで生活保護基準を決めることは、他人の家計簿を見て我が家の需要が決められるようなもの」と指摘。生活保護基準は要保護者の生活実態に基づいて定めるべき、とされている生活保護法に照らしても、適切ではないと言える可能性を示した。

「バッシング」起こる社会に問題提起
 なぜ国は突然のように独自の物価指数を採用し、基準部会の了承も得ないまま強引に基準を引き下げたのか。弁護団は、2012年の総選挙で自民党が公約の一つに掲げた「生活保護費の1割カット」の結論ありきで推し進めたものだと主張している。

 その背景には、芸能人の親族による生活保護費の不正受給疑惑がメディアで大きく取り上げられたのをきっかけに広がった、生活保護受給者全体へのバッシングがある。

 原告の一人は「生活保護というだけで『怠けている』『不正受給ではないか』と非難され、外に出るのも怖かった。今も生活保護の利用者であることを隠している人は多い」と明かす。生活保護の利用は国民の当然の権利だが、冷たい目にさらされ、保護費がカットされても堂々と異議を申し立てることが難しい状況にある。それでも、原告らは次のような声を上げる。

 「バッシングも受けるが、弁護団や支援団体など応援してくれる人もいるから頑張れる。声を上げたくても上げられない人の分まで頑張りたい」「裁判の準備を通じて生活保護基準は就学援助や住民税の非課税基準、最低賃金など多くの社会保障制度にも影響を与えるものだと知った。自分たちだけでなく、多くの人に関わる問題だと知ってほしい」

 自らの生活だけでなく、多くの人が安心して暮らせる社会保障制度を、と願う気持ちが原告を動かす力になっている。

 こうして原告とさまざまな専門家が基準引き下げに異を唱えた今回の訴訟。特に名古屋地裁で進められている愛知の訴訟では原告側には強力な論客が揃い、支援も結集したと言えそうだ。原告側弁護団の森弘典弁護士は「審理の中に原告の主張を最大限に組み入れることができ、被告も争うことのできない事実を確定できた」と手ごたえを示す。

 対して国は今のところ、生活扶助CPIの採用に関しては法律には反していない、原告はさほど余裕のない生活ではないと主張したものの、いずれも具体的な根拠に乏しく有効な反論ができていない。ただ、もし今回の措置が違法となれば、2013年からこれまでに削減された数千億円分を国が補償することになる。水面下では国を挙げて必死の対抗策が練られているはずだ。

 生活保護の問題だけにとどまらず、日本の社会保障制度の行方を占う裁判だ。全国の注目が集まってほしい。
(石黒好美/nameken)

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。