ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの台風15号被災地を、「最後のセーフティネット」生活保護は救えるか

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
この度の台風で被害を受けられた方にお見舞い申し上げます。参考にどうぞ。

https://diamond.jp/articles/-/215257


台風15号が残した深刻な爪痕
生活保護は救いになるのか
 9月9日、台風15号が関東を襲った。この台風は、同日午前5時頃千葉市に上陸、9時頃には太平洋へ抜けた。しかし数時間のうちに、主に千葉県と伊豆諸島に甚大な被害をもたらし、約10日後の現在も被災地を苦しめ続けている。被害の全容は、いまだ明らかになっていない。本記事を執筆している9月19日現在は、激甚災害指定となる可能性が関心を集めている。

 状況を深刻にしているのは、台風そのものの被害もさることながら、長期にわたる停電だ。空調が使用できないことは、既に熱中症による死者の発生につながっている。また台風による倒木など、これまで関東では想定されてこなかった被害が、電力供給の復旧を困難にしている。

 もしも台風15号の進路がもう少し関東の内陸に入り込んでいたら、東京都心部が大きな被害を受けていた可能性もある。通勤圏の「1都3県(千葉県、埼玉県、神奈川県)」や交通網が、今回の房総半島並みの被害を受けると、復旧はどれほど困難になるだろうか。もちろん、どの地域でも「明日は我が身」だ。

 とはいえ、日本には生活保護がある。どのような被害を受けても、命さえあれば「最後のセーフティネット」と呼ばれる生活保護が救いになる。もともと日本には、根強い生活保護差別があるけれども、天災による被災は差別のトーンを少しだけ弱めるかもしれない。

 しかし、「生活保護の条件は、差別されていただくことです」と言わんばかりの制度改革が、特に2013年以後、とめどなく進行するばかりだ。生活保護のもとでの大学等への在学は、未だに認められていない。職業選択の権利も、生活保護を必要としていない人々と同等に認められているわけではない。さらに病気や負傷で医療を必要とすれば、「生活保護なら後発医薬品が原則」という制約が待っている。

 生活保護という制度が広く深く知られるようになれば、人による差別は少し減るかもしれない。しかし、制度そのものが十分に差別的だ。そういう「最後のセーフティネット」で良いのかどうかは疑問だが、存在することは、一応は安心材料だ。

「自助」の民間保険に
過大な期待はできない
 では、「最後」に生活保護で救われるまでには、どのような救済があるのだろうか。「自助」「共助」「公助」の順に見てみよう。

「自助」といえば、まずは民間の火災保険だろう。「風災」が対象に含まれている場合は、台風の強風による被害も対象となる。「カネ」は、腐ることも劣化することもない。あらゆるモノやサービスと交換することができる。想定した災害に被災するかどうかは事前には予測できないけれども、必要になったら保険金を受け取ることができる。同じ条件やニーズを持つ人々が、保険料として負荷を分かち合い、必要になったら保険金を受け取る仕組みは、非常に合理的だ。

 民間保険各社は、台風15号が襲ってから4〜5日程度で、被災者に対し、わかりやすく情報を提供している。また、災害救助法が適用された地域に対しては、保険の満期日や保険料の払い込みに対して数ヵ月の猶予を設け、「被災しただけでも大変なのに、せっかくの保険までムダになってしまった」という事態が発生しないように対策している。素晴らしい配慮だ。

 しかしながら、台風15号による保険金の支払い総額は、大手民間保険各社の合計で、少なくとも数千億円に達するという見通しもある。ここ数年、日本を襲う気象災害は、規模も頻度も、かつて想定されていなかった内容となっている。本当に「万が一」に備えられ、なおかつ保険料が生活を圧迫するほどにはならない保険であれば、その保険の持続可能性も問題になるだろう。

 そもそも保険の仕組みは、「想定している災厄に誰かが見舞われる確率は、範囲が予測できる」という前提で成り立っている。2011年の東日本大震災や2018年の西日本豪雨のように、広範囲に大きな被害をもたらす災害が、「滅多なことだから、滅多に起こらない」と言えるのであれば、保険で備えられるかもしれない。しかし、「ああ、またか」というのが市民の皮膚感覚になったら、保険で備えることは困難になるだろう。このような、大変困惑する事態の背景は、地球規模の気候変動だ。

 そして現在、地震リスクも、環太平洋地震帯全体で高まっている。保険を含めて、「自助」に過大な期待はできない。

それでも充実してきた
「ないよりマシ」な制度の数々
 民間保険に加入していない人、加入していても保険金支払いの対象にならない人には、「共助」がある。終戦直後の1947年に制定された災害救助法は、翌年の1948年、約3800人の死者が発生した福井地震で、早速役立つことになった。この後、大災害のたびに、地盤や建築に関する調査研究、建物や地域を被災しにくくするための法整備(たとえば建築基準法改正)、発災時の行政の活動に関する制度整備が重ねられてきた。

 また、1995年の阪神淡路大震災を契機として、1998年、被災者生活再建支援法が制定された。それは、実に画期的なことだった。個人の財産である家屋の被災を税によって救う制度は、「私財の損失を公費で救済するなんて」という考え方の壁に阻まれ、日本には1998年まで存在しなかったからだ。

 被災者生活再建支援法の申請方法や支援金の金額は、数回にわたって見直され、より簡略に、より充実した支援を受けられるように改善されてきている。それでも、想定されていなかった災害のたびに、まだまだ不充分であることが明らかにされ続けている。

 また、「それは自然災害なのか」「それは被災なのか」という問題が、過去にないタイプの災害のたびにクローズアップされる。たとえば、自然災害によって起こったプラント爆発の被害を受けた人は、自然災害の被災者と言えるのか。東日本大震災が引き起こした福島第一原発事故によって避難を余儀なくされ、避難先が生活拠点となってしまった人は、「自然災害による避難者」なのか。議論は尽きない。しかし、「ないよりマシ」「あれば助かる」制度であることは確かだろう。

 さて、今回の台風15号で、被災者生活再建支援法は活躍するだろうか。

 災害のたびに、「半壊の壁」が話題となる。被災者生活再建支援法で支援金が給付されるのは、「全壊」と「大規模半壊」だけだ。「半壊」や「一部損壊」の場合は、対象にならない。そもそも、対象は災害救助法の適用対象となった自治体に限られる。1軒だけが被災している隣接自治体では、被災した1軒は基本的に対象外だ。

 ともあれ、内閣府の運用指針を見ると、対象となる災害は、地震・水害・風害の3種類だ。台風は、とりあえず「風害」なので、対象となる。想定されている住家被害は「風圧力が作用することによる住家の損傷」「暴風に伴う飛来物の衝突による住家の損傷」「損傷した箇所から雨が降り込むこと等による住家の機能損失等の損傷」の3種類となっている。文言を見る限り、台風による被害の多くはカバーされそうだ。しかし、現実は甘くない。

台風には厳しい
住宅被害の支援基準
 台風によって、「家が完全に倒れた」「1階は残っているけれども、継ぎ柱で建てた2階は倒れた」といった、誰が見ても「もう住めない」という状態になっている場合には、「全壊」と判定され、最大で300万円の支援金が給付される。また、「家は建っているけれども傾いた」というケースでは、「木造家屋で傾斜が20分の1以上ならば全壊」といった基準がある。

 20分の1に達しない傾斜の場合は、他の被害と総合して「全壊」と判定される可能性がある。しかし、建築基準法に合致している家屋の場合、台風だけでは、そこまで「わかりやすい」被害にはならないことが多いはずだ。

 今回の台風15号だけによる家屋被害だけでも、被害のあり方は多様だ。冷暖房効率に配慮した気密性の高い住宅の場合、屋根や壁の亀裂に停電が重なると、カビが発生しやすい。修理されない雨漏りの長期化は、家屋にも家財にもジワジワとダメージをもたらす。現在の基準による「全壊」と「大規模半壊」だけの救済では、被害が発生しているのに救済されない人々が数多く残りそうだ。

 さらに、自治体による温度差もある。千葉県は、被災者生活再建支援法の適用対象にならない自治体を“見殺し“にしない「千葉県被災者生活再建支援事業」という制度を設けている。茨城県と埼玉県にも、同様の制度がある。しかし対象は「全壊」「大規模半壊」に限られており、「半壊」「一部損壊」は対象にならない。そして、このような独自制度が存在しない自治体も、まだまだ数多いのだ。財政を含めて、どうしても国レベルの支援が必要な場面は残る。

最後に頼るべきは生活保護
柔軟で役立つ仕組みをつくれるか

本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中
 用意されている支援メニューがどれも使えない、あるいは全く不十分であるとしても、最後には生活保護がある。「生活に困窮するすべての国民」を、国が救済する制度だ。必要な前提の根本は、「今、困窮しています」という1点のみ。「持ち家が住めない状態になり、貯金がなく、収入もない」という場合、持ち家の処分に着手できていなくても、生活保護の対象になる。義援金があっても同様だ。

 居住が支えられていれば、その後の成り行きは全く異なるだろう。民間でも、いざというときのために空き家・空き室を登録しておく「ちんたい協会」の「セーフティネット住宅」など、様々な取り組みが行われている。しかし、広い範囲に大きな住宅被害が発生する場合には、頼みの綱である空き家・空き室も、被害を受ける可能性が高い。

 おそらく今後は、他に選択肢がないため応急仮設住宅への入居を余儀なくされることや、「仮設から出られない」という人々が数多く取り残されることなど、阪神淡路大震災以来、何回も繰り返されてきた悲劇が、また繰り返されてしまうのではないだろうか。

 そこに追い打ちをかけるのが、特に中小自治体で進められていた過度の人員削減や非正規職員の増加だ。もともとの人員不足は、被災時には、さらに深刻な人員不足になる。

 むろん、自治体間の「応援」の仕組みは存在し、災害のたびに充実し、柔軟かつ有効な仕組みとなっている。しかしそれは、「非・被災地」が存在するから機能する。その事情は、民間保険と同様だ。

 民間保険並みの公共で、日本は大丈夫なのだろうか。そこに、2020年の東京五輪による土木や建設の人手不足が重なっている。

(フリーランス・ライター みわよしこ)

本機時以降に、改変措置が取られた制度があります

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。