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生活保護者の集いコミュの給料が上がらない 転職繰り返し“名ばかり正社員”の苦しさ

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https://mainichi.jp/articles/20190730/k00/00m/040/143000c

何度も会社を移り、ほとんど正社員で過ごしてきた。でも、その実感があまりないんです……」。梅雨寒でしっとりとした空気が漂う。待ち合わせた東京都内のファミリーレストランで、駿河恭一さん(46)=仮名=はそう語り出した。すらりとした上背があり、ジャケット姿がよく似合う。しぐさや言葉づかいから、きちょうめんな性格が伝わる。


 約2年半前から、社員数十人の人材派遣会社に勤務し、主に営業を担当している。IT系の派遣登録をしている人たちと、人手を求める企業をマッチングさせるのが主な仕事だ。「人手が必要なところへ適正な人材をマッチングできた時はやりがいを感じます」

 月収は基本給と手当を合わせて二十数万円。残業もさほど多くはない。都心の職場まで約1時間半の郊外に暮らし、妻とこれから教育費がかかる小学2年と2歳の子どもがいる。「非正規の方からすれば、『ぜいたくだ』と思われるかもしれませんが、この給料では不安が尽きない。会社の業績や将来性を考えると、ずっとこの会社にいて大丈夫か、という気持ちになります」と漏らす。肩書は「マネジャー」だが、「部下がいるわけではなく、実質的には平社員と同じ。40歳を過ぎていて肩書に何もついていなければ、社外的に信用が得られにくいので」と理由を打ち明けた。


ネオンを見つめる駿河恭一さん(仮名)=東京都内で2019年7月22日、梅村直承撮影
理系大学出身 希望の化学メーカー研究職には就けず
 現在の職場は9社目。これまで苦労の連続だった。大学は理系で、有機化合物について学んだ。就職活動では故郷・九州での勤務を念頭に、化学メーカーの研究職を目指して20〜30社を受験した。だが希望職種は募集が少なかった。大学を卒業した1996年、塗料販売の会社に入社した。希望通りではなかったが、「大学で得た専門知識を生かせる場面があるかもしれない」と思った。

 だが入社して約1年後、強引な上司に「違法行為」を命じられた。家具の製造時に必要な塗料にはシンナーを混ぜる。シンナーは揮発性の違いから夏用と冬用がある。在庫を効率的に生かすためだろうか。上司に「両方を混ぜて販売しろ」と指示された。駿河さんは「完成品にひびが入る可能性があるし、違法行為だからできない」と断った。大学で化学を学んだプライドと正義感からだった。するとしつこく「塗料メーカーが『やっても問題ない』と言っているからやれ」と迫られた。それでも断ると、やがて仕事が割り振られなくなり、その後退職した。

 「当時は転職にポジティブなイメージがあった。それに若くて体力があったから、たとえ非正規でも稼げると思っていた」。2社目は非正規。「次の正社員採用のために」と1年間ほど飲食店のウエーターとして働いた。その後、求人広告の代理店で正社員として採用された。基本給15万円、営業手当が2万円。だが出勤記録を打刻するタイムカードも、残業代もなかった。「今思えばブラック企業だったかもしれない」

 当初は大きな問題はなかったが、新しい上司が異動でやってくると状況は一変。営業成績が悪いと、「なんで君だけ数字が上がらないんだ」とつるし上げられた。

 部署内の特定の1人をいじめの対象とし、他の社員に「あいつよりはましだ」と思わせるやり方だったようだ。他人のミスを自分のせいにされたことも。午前4時ごろまでの残業もしばしば。次第に精神的に追い込まれ、心療内科に通院した。

 職場の状況について上司に抗議すると、「じゃあ」と突然、正社員から非正規扱いに変更された。非正規なら時給制のため、「働いた分だけ給料が出る」と思ったが、午後6時までしか支給されなかった。8年間勤めたが、辞める決意をした。

 その後も教育ソフトの販売や人材派遣、業務用冷蔵庫の会社などに勤めたが、給料は上がらない。いずれも研修など社員養成のプログラムはほとんどなく、パワハラなども重なって長くは続かない。厳しい労働環境から抜け出せなくなった。


職探しのため、駿河恭一さん(仮名)がかつて何度も足を運んだ東京しごとセンター=東京都千代田区で2019年7月26日、江畑佳明撮影
同僚の息子の初任給は、自分の月給より上
 業務用冷蔵庫の会社で働いていた2011年、知人の紹介で知り合った女性と結婚した。家族のためにも、腰を落ち着けてじっくり仕事に取り組みたかったが、理不尽な異動を申し渡され、会社を去った。

 子どものことを考えると、これ以上の転職はしたくないが、会社の将来性に不安が募る。独立も考えるが、踏み切れない。最近、同僚の息子の初任給の額を聞くと、自分の月給を上回っていた。「この二十数年、自分なりに頑張ってきたという思いはあるが、ほとんど給料が増えない現実を改めて認識し、がっかりした。大学卒業後にもっと専門性を生かした職種につけていたら……」。そんな無念さは消えない。

 駿河さんは2年前、キャリアコンサルタントの資格を取得した。求職者に対して能力開発や職業選択についての助言をする国家資格だ。もちろん自身のキャリアアップが主な目的だが、「同じ就職氷河期世代で苦しむ多くの仲間の役に立ちたい」との思いもあるという。【江畑佳明/統合デジタル取材センター】

正規雇用と非正規雇用
 正規雇用は、労働契約の期間の定めがないため終身雇用など長期で安定的な雇用が保障され、一般に研修や昇給、賞与がある。非正規雇用は、パートやアルバイト、契約社員、派遣社員、嘱託社員などが該当し、昇級や賞与、残業代があるケースは少ない。一方、正規雇用の社員にもかかわらず、労働条件や労働環境が劣悪で、非正規に近い事例も多く、「名ばかり正社員」とも呼ばれる。研修やスキルアップの機会が乏しく、年齢に合った能力が身につかず、40〜50代になっても20代の頃と給料がほとんど変わらない事例もある。

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