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生活保護者の集いコミュの京アニ事件「犯人野放し」批判で検証、病歴と犯罪の知られざる関係性

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https://diamond.jp/articles/-/209741

京アニ事件の疑問は増すばかり
社会は悲しみを乗り越えられるか

 京都市伏見区にある「京都アニメーション」第1スタジオへの放火が報道されてから、1週間になる。心より、亡くなられた34名の方々のご冥福と、負傷された34名の方のご回復を祈りたい。

 また、自身も火傷を負って重体と伝えられる容疑者・A氏(41歳)に対しても、1人の人間として回復を望む。できれば、回復後は適切なサポートのもとで取り調べを受け、人生と事件への歩み、そして自分の事件に対する思いを、自ら語ってほしい。

 A氏と事件のディテールについての報道が重ねられるたびに、私は「とはいえ、なぜあんなことを?」という疑問が増えるばかりなのだ。

 ちょうど1週間前の事件当日、仕事をしながら目に飛び込んでくる報道を時折り横目で見ながら、気になっていることがあった。身柄を確保されたA氏が、事件直後、「さいたま市在住の41歳の男」と報道されていたことだ。

 警察は当然、実名と居住地と年齢を同時に把握していたはずだ。実名をメディアに公表することに対して警察が慎重な場合、考えられる可能性の1つは、本人の精神疾患や精神障害による人権への配慮だ。

 ともあれ、事件当日の夜間から翌日にかけてA氏の実名報道が開始され、「精神的な疾患がある」「訪問看護を受けていた」「生活保護を受給していた」といった情報とともに拡散され始めた。SNSには、「なぜ野放しに?」「公金で生きさせる必要はなかった」といった意見が次々と現れ始めた。


京アニ事件「犯人野放し」批判で検証、病歴と犯罪の知られざる関係性
みわよしこ:フリーランス・ライター

ライフ・社会 生活保護のリアル〜私たちの明日は? みわよしこ
2019.7.26 4:55
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 精神障害を持つ当事者を主体に、誰もが地域で充実した暮らしを営める社会を実現するために活動してきた、「認定NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)」という千葉県の団体がある。コンボは取材に対して「精神疾患のある人が事件に関与した場合、事件と精神疾患に関連性があるのかどうかが定まっていない時点でメディアは病歴を報じ、その内容がSNSで無軌道に拡散してしまいます。この状況を、大変憂慮しております」と答えた。

 事件の翌々日にあたる7月20日、コンボは今回の事件報道に関する見解と、精神疾患を持つ当事者たちへのメッセージを公表している。

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 見解では、精神疾患という病歴を報道すると、事件の原因や動機という印象を与えたり、精神障害者は危険という偏見を助長したりすることが「過去の例から見て明らか」とされる。メッセージでは、怖れから外出もままならない辛い時間を乗り切るための知恵や、理解者や仲間に思いを受け止めてもらうことの重要性など、具体的で有益なアドバイスが並ぶ。身近に理解者や仲間がいない人々のために、思いを吐き出すフォームも設置された。

 しかし、過去とは異なる成り行きも見受けられる。コラムニストのオバタカズユキ氏は、事件直後から「精神疾患と犯行を安易に結びつけないで」という注意喚起の声がSNSのあちこちに上がったのを発見し、「嬉しい誤算」「この世の中もまだまだ捨てたものじゃない」と思ったという(『NEWSポストセブン』記事による)。重大事件のたびに、悲しみや怒りや憤りを受け止めてきた私たちは、私たちそれぞれの力で、社会を緩やかに成熟させているのかもしれない。

「精神障害者だから重大犯罪」
データに見るその信憑性
 まず、「精神障害者だから重大な犯罪を起こす」という事実はあるのだろうか。

『平成30年版犯罪白書』をもとに、2017年の刑法犯と精神障害者による犯罪を整理したものが、以下の表だ。検挙された事件に対して、検挙された人のうち精神障害者等(知的障害者を含む)とその他の人々の比率を、「全犯罪」「殺人」「放火」「殺人+放火」「殺人と放火を除く」のそれぞれに対して求めたものだ。
 殺人や放火の件数は減少傾向にあり、2017年も年間1500件に満たなかった。不幸にして、被害者や被害者家族になってしまった人々にとっては、「少ないから良い」と言える問題ではないけれども、そもそも件数が少ないことには留意が必要になりそうだ。

 全犯罪のうち精神障害者によるものは非常に少なく、全体の1.5%にとどまる。殺人と放火に関しては精神障害者によって行われた比率が高く、殺人で13.4%、放火で18.7%、殺人と放火の合計で15.5%となる。とはいえ、これらの総件数がそもそも少ない上に、精神障害者ではない人々によって行われた件数のほうが圧倒的に多い(全犯罪で98.5%、殺人で86.6%、放火で81.3%、殺人+放火で84.5%)。

 では、「精神障害者は犯罪を発生させやすい」と言えるだろうか。犯罪白書と統計の年次が揃わず恐縮だが、『平成30年版障害者白書』によれば、2016年、精神障害者(392.4万人)と知的障害者(108.2万人)の合計は500.6万人であった(犯罪白書では、「精神障害者等」に知的障害者が含まれるため、合計を計算)。障害者として公認されていない人々も多いため、精神障害と知的障害の重複を考慮しない限り、この人数が最少の見積もりとなる。

 同年の日本の総人口は、1億2693.3万人であった。精神障害者でも知的障害者でもない人は1億2192.7人となる。これらのことから、精神障害者および知的障害者の犯罪者発生率を求めると0.07%、そのいずれでもない人からの犯罪者発生率は0.2%となる。つまり、精神障害者と知的障害者は犯罪者になりにくいのだ。

将来の犯罪につながるかは
誰にも予見できない
 しかしながら、「ヤバい人を識別して隔離すれば、ヤバいことは起こらない」と確実に言えるのなら、話は異なってくる。2002年の池田小学校事件の後、この考え方を基本とした「心身喪失者等医療観察法」(以下、医療観察法)が制定され、2005年に施行開始されて、現在に至っている。

 この法律の目的は、軽いものでも犯罪を発生させた精神障害者を「触法精神障害者」として治療することだ。しかし国会での審議において、将来を予見できるという可能性は否定され、趣旨が再犯予防から医療と福祉へと転換した経緯がある。


問題は、今日の「落ちていた500円玉を拾ってネコババ」が、将来の重大犯罪につながるかどうかは、その人が精神障害者であろうがなかろうが、誰にも予見できないということだ。

 しかし精神障害者である場合、医療観察法施設に入院させることが可能だ。懲役とは異なり、出所の見通しがあるわけではない。「人権侵害」という法曹や精神医療関係者からの批判は、当時も現在も続いている。

 とはいえ、今回の京都の放火事件のA氏には、下着泥棒やコンビニ強盗の前科があり、実刑にも服してきた。「いずれかの時点で医療観察法が適用されていれば、今回の事件は予防できた」という考え方には、一定の説得力はありそうだ。医療観察法に対して肯定的ではない弁護士たちは、どう考えているだろうか。

「二度と起きてほしくない」
その希望を実現するには
 障害者の状況に詳しく、日弁連や政府の委員会で長年にわたって活動している弁護士の池原毅和さんは、警察が逮捕の直後に行った情報公開と報道に「逮捕直後に疾患歴の正確性が確保できているか疑問があります」と釘をさす。

「精神科を受診した経歴、治療中という事実、精神疾患の診断名だけでは、概括的すぎます。犯罪行為との関係の有無は判断のしようがないはずです。けれども一般の方々は、『だから』『なるほど』と短絡的に、動機や犯行内容を理解しがちです。報道機関としては、犯罪との関連性を示せない情報は出さない対応や、『病歴や病名だけでは、ほとんど犯罪との関連性を検証できない』という医学的解説を加える必要があると思います」(池原さん)

 とはいえ、一般市民には知る権利がある。司法福祉分野の問題や刑事政策に取り組む弁護士の吉広慶子さんによれば、単純な解答はなく、「メディアによる報道は、国民の知る権利とプライバシー権との利益衡量になります」ということだ。

「捜査機関によるメディアへの情報提供には、捜査の都合や防犯など、数多くの意味合いが含まれることもあります。しかし、保護受給歴を警察が明らかにする必要性はないように思います。精神疾患の有無への言及も、精神鑑定など今後の方向性の説明に必要な範囲に限るべきではと思います」(吉広さん)

 しかし「もしも予防できるのであれば」という思いは、誰もが抱くことだろう。

「このような極めて稀な犯罪を防ぐために精神疾患の人を監視下に置くと、大量の“偽陽性者”を出してしまいます。精神疾患の判定自体、クリアなものではありません。いつの間にか、誰もが監視対象となり、多様性や寛容性を欠いた生きづらい社会になり、精神疾患者による問題行動は増加する可能性があります」(池原さん)

「閉じ込めておけばよかった」
で終わらせると何にもならない

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 予防の網に、誰もが絡め取られてしまう可能性はありそうだ。

「罪を犯す人には、社会的ステータスが高い人も、初犯の人も、精神疾患のない人もいます。長い人生で、精神的に、あるいは経済的に不安定な状態になることは、誰にでもあります。そのとき、極端な逸脱行動を取る前にシグナルを察知して、ケアできる体制を考えることが必要ではないでしょうか」(吉広さん)

 A氏は、数多くの近隣トラブルを抱えていたという。

「近隣は、『地域の厄介者』として『触らぬ神に祟りなし』という対応だったのではないでしょうか。もちろん、周囲の人々が何をしても、起きることは起きてしまう場合があります。でも、不安定だったAさんが安定するために、当時どういうフォローをなし得たのか。じっくり考えることが、今後に活きると思います。

 今回、『やっぱり危ないやつだった』『なぜ放置しておいたんだ。閉じ込めておけばよかった』と騒いで終わりにしてしまうと、毎回同じ反応を繰り返すだけでしょう」(吉広さん)

 悲惨さを言い表す言葉も思い浮かばない事件だ。だからこそ、これまでとは異なる考え方や方向性が求められていることは、確かであるように思われる。

【参考】

●認定NPO法人 地域精神保健福祉機構(コンボ):京都アニメーション放火事件の報道のあり方について コンボの見解

●NEWSポストセブン:京アニ事件「世の中捨てたものじゃない」と感じたつぶやき

(フリーランスライター みわよしこ)

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