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生活保護者の集いコミュの年金削減→生活保護費の爆増…これからの日本で確実に起きる悲劇 この展開は避けられない

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https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65904

年金2000万円問題で、かつてないほど年金制度への関心が高まっている。年金給付の現状維持を求める声も大きいが、現在の財政状況を考えると、近い将来、2割から3割程度の減額は必至といってよい。

だが、年金を減額すればそれで問題は解決なのかというとそうはいかない。現在の水準でも高齢者が受け取っている年金の額は少なく、給付を削減すれば、生活保護費が急増するのはほぼ確実である。年金の問題は結局のところ財政問題であり、根本的な対策を実施しない限り状況は改善しない。

マクロ経済スライドは「ステルス減額」
よく知られているように、日本の公的年金は賦課方式と呼ばれており、現役世代から徴収した保険料を、高齢者に分配する仕組みとなっている。このため、少子高齢化が進むと制度の維持が難しくなるという欠点があり、このままの水準で給付を続けた場合、制度が維持出来なくなる。

年金財政の悪化を防ぎ、制度を維持するために2004年から導入されたのが「マクロ経済スライド制」である。マクロ経済スライドと聞くと、経済情勢に合せて年金の額を調整するようなイメージを持つ人が多いかもしれないが、これはそのような制度ではない。物価の上昇に合せて年金額を上げる「物価スライド制」と勘違いする人もいるが、マクロ経済スライドと物価スライドは別の制度である。

ズバリ言うとマクロ経済スライドは、現役世代の減少に合せて年金額を減らすための仕組みである。

マクロ経済スライドが導入されたのは2004年だが、すでに2回、制度は発動されており、2019年度の年金給付額は実際に減額された。2019年度の年金は、物価上昇に伴い、物価スライド制によって増額される予定だったが、マクロ経済スライド制も同時に発動されたことから、物価上昇分のほとんどが帳消しになった。

〔PHOTO〕iStock
国民年金の場合、物価スライドによって400円ほど支給額が増えるはずだったが、実際には67円しか増えておらず、月あたりの支給額は6万5008円にとどまっている。厚生年金は、モデル世帯(夫婦二人)で月額1400円近くの増額予定だったが、実際には227円しか増えていない。

マクロ経済スライドは、物価上昇による給付額の増加分を打ち消す形で発動されるので、実際の受取額を見ているだけでは減額を実感することはできない。この制度は、まさに「ステルス減額」といってよいだろう。

年金給付「150万円以下」の高齢者が大半
年金2000万円が大きな問題となったことで、世論は真っ二つに分かれている。先ほども説明したように、年金財政の現状を考えた場合、政府の対応など感情的な問題はともかくとして、年金の減額はほぼ必至である。だが、減額を実施すると、今度は別の問題が顕在化する可能性が高い。それは生活保護費の急増である。

厚生労働省は年金の給付額説明にモデル年金というものを用いている。これは厚生年金に加入した夫と専業主婦の妻という世帯が想定されており、現役時代の平均年収は約510万円となっている。現時点において、この世帯に支給される年金額は月額約22万円である。

だが、このモデル年金に相当する世帯というのは、極めて少ないのが実状である。

日本の場合、年功序列の賃金体系なので、若い時の年収は極めて低い。40年間の平均年収が510万円の労働者というのは、退職時には800万円以上になっている可能性が高いので、現実にはかなりの高給取りと考えてよいだろう。年金保険料を満額払っていない人もいることを考えると、月22万円の年金を受給できる人はそう多くない。

では実際のところ、今の年金受給者はどのくらい年金をもらっているのだろうか。

厚生労働省の調査によると、年金受給者のうち年間150万円以下の金額しか受給していない人は、何と全体の6割近くに達する。これはすべての年金受給者の平均なので、厚生年金(公務員共済)と国民年金のみの受給者をすべて含んだ数字である。

だが、支払う保険料が多い代わりに、年金受給額も多い厚生年金の受給者についても、半数が150万円以下、さらに高額な年金を受給していると考えられる男性の厚生年金受給者に限定しても、約3割が150万円以下である。年金だけで暮らせる高齢者は、全体のごく一部でしかないことが分かる。

生活保護受給者の多くが高齢者
年金問題は、世代間論争の様相を呈しており、若者と高齢者が対立するという図式になっている。相対的に今の現役世代が、高齢者よりも不利な状況に置かれているのは事実であり、筆者自身も高齢者から現役世代への所得移転を進める必要があるとの立場だが、高齢者がたっぷり年金をもらって余裕で暮らしているわけではない。

結局のところ、これは日本経済全体の問題であり、世代間対立を煽ったところで問題が解決するような話ではないのだ。

では、このような状態で年金給付の減額を進めていった場合、何が起こるだろうか。

全体の6割に達する150万円以下の年金受給者は、配偶者の年金を合算して何とかやりくりする、仕事を続ける、子どもや親類の援助を受ける、といった形で生活している可能性が高い。だが、ここで配偶者が死亡したり、加齢などによって思うように働けなくなると状況は一変する。

家族や親類も経済的に余裕がなくなっているので、こうした支援も受けられないとなると、最終的には生活保護を申請せざるを得なくなる。

2019年4月時点で生活保護を受けている人は約210万人だが、このうち55%が高齢者世帯である。高齢者以外で生活保護を受給している人の多くは、障害者と傷病者なので、こうした人たちを除くと、生活保護というのは限りなく高齢者ケアに近い制度といってよい。さらに言うと、高齢受給者の9割以上が単身世帯となっており、配偶者との死別や離婚などが生活保護の引き金になった可能性が高いと考えられる。

この状況で年金給付額を減らせば、それに比例して、高齢者の生活保護申請が増えるのは想像に難くない。つまり、年金減額を実施するのであれば、生活保護費の増加をセットで考えなければ、意味がないのだ。

年金、生活保護、財政は一体で議論せよ
公的年金は現役世代から徴収する保険料で運営されているが、実際には保険料収入だけで支払う年金をカバーすることは到底できない。現状では基礎年金の半額を国庫負担することが定められており、毎年、12兆円もの税金が投入されている(ちなみに消費増税分は原則として年金を含む社会保障費に充当されることになっている)。一方、生活保護は当然のことながら、全額、税金から支払われており、年間の予算は約3.8兆円である。

日本はさらに高齢化が進むので、年金を減額しても国庫負担はすぐには減らない。一方、年金を減額すると、ほぼ確実に生活保護費が増加するので、税金による支出は増加する。つまり、年金の減額というのは、公的年金の財政を改善する代わりに、一般会計の財政を悪化させる効果を持つ。

支出する会計が、年金特別会計なのか一般会計なのかというのは些末な問題でしかなく、結局のところ、全体のコストを誰が負担するのかという話になる。

公的年金の問題と所得再分配の問題(貧困問題)、そして財政問題はすべてがセットであり、単体で議論することはできない。その意味で、今回の年金2000万円問題は、国民的な議論をスタートするよいきっかけになると筆者は考えている。残された時間は少ないので、限りある富をどう再配分すべきなのか、徹底的に議論する必要があるだろう。

だが、状況はかなり心許ない。言論人の多くは世間の注目を集めたいのか、やたらと世代間対立を煽ったり、特定の組織や階層への感情的な批判を繰り返すだけの状況となっている。永田町を見渡しても、税と社会保障の抜本的な改革を主張している政治家はごくわずかしかいない。このままでは、生活保護費増加の問題が顕在化したタイミングで、再び感情的な議論となり、さらに理性的な解決策から遠ざかるという事態にもなりかねない。

加谷 珪一

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