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生活保護者の集いコミュの40歳超ニートが全国に70万人! 日本を蝕む「中高年ひきこもり」

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https://www.dailyshincho.jp/article/2018/01070558/?all=1

日本を蝕む「中高年ひきこもり」――黒川祥子(上)
「ニート」や「ひきこもり」と聞いて、若者を思い浮かべる時代は過ぎ去った。いまやそれらの半分は40オーバー。その現象は、今後、家庭だけではなく、地域社会、そして国をも蝕んでいくという。ノンフィクション・ライター、黒川祥子さんによる現場レポート。

 ***

 高度経済成長期の昭和40年代、山を切り開いて造成された、首都圏近郊の高級住宅地。瀟洒な一戸建てが規則正しく並ぶ街並みに、異様な雰囲気を放つ一角があった。目に飛び込んでくるのは、鬱蒼と茂った黒い塊のような樹木だ。手入れされていない枝が野放図に広がり、家の前の道を飲み込むばかりに垂れ下がって、人も車も迂回しないと通れない。門から玄関に至るアプローチには、家から吐き出されたゴミが幾重にも分厚く積み重なり、今にも道路にせり出さんばかりだ。

 地域住民が近付くことすら避けるこの家には50歳無職の兄と、この4月まで県職員だった47歳の弟が暮らしている。兄は30年近くひきこもり、弟は軒下で暮らし、駅のトイレで身体を洗って、着替えをして出勤するという生活を送っていたが、勤務先でトラブルが絶えず解雇となった。外から計り知れない家の中には、手がつけられないほどゴミが堆積していると、数年前に訪問した民生委員は言う。

 近所の住人が口を開いた。

「前は歩道にまでゴミが溢れて本当に不衛生で、臭いもひどかった。弟は誰かが家の前を通るだけで、怒鳴り散らし、物を投げるので、みんな怯えています」

 2人は食料買い出しの時にだけ、外に出る。兄は髪が長く、その髪も洗髪していないため固まった状態で、悪臭を放ち、生気がない様子で歩いている。弟は兄と対照的に住民に罵声を浴びせ、ビニール傘の先端で突こうとするなど攻撃的な行動を繰り返し、トラブルの元凶となっている。2人だけの生活がいつから始まったのかは定かではないが、近隣住民の話を総合すると、30年ほど前と推察される。

 住人は、出口の見えない問題に頭を抱えるばかりだ。

「お父さんが生きている間は、まだ普通の家だった。お父さんが亡くなって、お母さんが2人を置いて出て行ってからだね、こんなゴミ屋敷になったのは」

 かつてその家では、大手企業のサラリーマンである父と専業主婦の母、子ども2人という、典型的な“良き家庭”が営まれていた。一億総中流の時代に、より上の裕福な家庭として、マイホームを建て希望に満ちた暮らしを始めた家族がなぜ、このような場所に行き着いてしまったのだろう。

全国どこにでもある「ひきこもりの中高年齢化」
「8050問題」「7040問題」という言葉を、ご存知だろうか。50代のひきこもりの子と80代の親、40代の子と70代の親。ひきこもりが長期化して、当事者が中高年に達し、高齢の親の問題と併せて深刻な社会問題として浮上していることを指す言葉だ。

 内閣府の「若者の生活に関する調査」(2016年)によれば、ひきこもりの若者は推計で全国に54万人いるという。驚きの数字だが、ここには40歳以上は含まれない。「若者」とは、39歳以下を指すからだ。

 では、40歳以上のひきこもりは実際、どれ位いるのだろう。山形県のひきこもり調査(13年)によれば40歳以上がひきこもり全体の44%と半数に迫り、島根県の調査(14年)でもひきこもりで最も多い年代が40代で、40歳以上が53%、佐賀県の今年の調査では、40歳以上の割合が71%となった。機械的に当てはめれば、40歳以上のひきこもりは、全国に70万人近くも潜在していることがうかがえる。

 長くひきこもりの支援を続けている、神奈川県逗子市のNPO法人「遊悠楽舎(ゆうゆうがくしゃ)」代表、明石紀久男氏は日本各地の支援施設を視察して確信したことがある。

「ひきこもりの中高年齢化はもはや、全国どこにでも見られる現象です。都市とか地方とか関係なく、日本全国にそういう親子がいる」

 私自身、デビュー作『「ひきこもり」たちの夜が明けるとき』(03年)執筆時から、家族の問題としてこのテーマに関心を抱いてきた。1998年、精神科医の斎藤環が『社会的ひきこもり』を出版し、「ひきこもり」という存在が世に認知されることになっていたが、当時の取材で、10代の不登校児を中心とした支援から、10年ひきこもっていた20代後半の若者へと、支援対象がシフトする「潮目」をまざまざと見たものだ。

 あれから20年、支援という外部の手が届かなかったひきこもりが今、40代、50代に達している。彼らの親は、主に高度経済成長期にサラリーマンとして過ごし、給与は右肩上がり。経済的に裕福で子を抱え込むことができていた。しかし親が高齢となって、自身の病気や経済問題で立ち行かなくなり、外へSOSを発することで、中高年ひきこもりの存在がようやく、明るみに出ることとなったのだ。

逃げ出した母と姉、父に徹夜で説教
「お金が底をつきました」

 父・藤原勇(84)=仮名=は、自立支援相談員に50歳次女について訴えた。

「次女の家庭内暴力に耐えかねて、妻と長女は8年前、私は4年前に家を出て、3人でアパートを借りて暮らしています。しかし妻にがんが見つかり、長女はうつ病がひどく、治療費がかかるんです。今まで株を売ったりしてしのいできましたが、年金だけではどうしようもない。無理なんです」

 勇の次女・尚子(仮名)は、30歳から一切働くことなく自宅にひきこもり、昼夜逆転の生活をしている。

 尚子が一人でひきこもっている家は、高度経済成長期に造成された、関東地方の高級住宅地にある。30代だった勇が65坪の土地を買い、1000万円ほどかけて建てた、高台の家だ。

 勇は大手通信企業で営業職に就くかたわら、文筆業の副業を持ち、給料は専業主婦である妻に渡して家や子どものことはすべて任せ、自分は副業の収入で飲食やゴルフ、旅行などを謳歌していた。帰宅は深夜、出勤は早朝という、典型的な“モーレツ社員”。家を顧みることはなかった。当時は多くの父親がそうだった。

 妻は女も手に職を持つべきだという考えで、幼い頃から姉妹にピアノを習わせた。長女(54)は途中で挫折したが、次女の尚子は順調に進み、ピアノ講師の資格を得て、全国に教室を持つ会社に就職、教室を任されるまでとなった。しかし、尚子の指導法は独善的で子どもが音をあげ、抗議する親を容赦なく批判し、事務局とも反りが合わず、喧嘩別れのような形で辞めた。以降、転職を試みることもなく、自宅にひきこもったまま、20年が経った。

 相談員の前に現れた尚子は趣味のいい服装で、外見からは長い間ひきこもっているようには見えなかった。尚子は、自分こそ被害者だと滔々と訴えた。

「私は教室を開いてピアノを教えることができるのに、それができないのは全部家族のせいなんです。だから私は働かなくてもよく、あの人たちが私を食べさせるのは当然なんです。私の20年を返してほしい。親のせいでこうなったのですから」

 一方、父は、次女のおかげでどれだけ家族が苦しめられてきたかを切々と語る。

「うつになった姉を一晩中、枕元で罵倒し、姉は病状を悪化させたんです。尚子はすぐに激昂し、ヒステリー状態になると止まらない。一晩中でも怒鳴り散らします。母や姉に暴力を振るうので、2人を家から逃がすしかなかった。私はしばらく尚子と暮らしていたのですが、1週間に2回、徹夜で説教され、台所も風呂もトイレも使わせてもらえない。耐えられなくなって、自分も家を出ました。今は、尚子からは“生活費がないから振り込んで”という連絡があるだけ。毎月、5〜6万を振り込んでいます」

 一切、交わることのない言い分。尚子は自分を理解してほしいと必死に訴えた。

「これまで私は一方的に親が決めたことをやらされ、振り回されてきたんです。父に、道を押し付けられてきた。親のせいなんです、こうなったのは」

 とにかく、がんの治療費と生活費捻出のためには、尚子が占拠している家を売るしかない。まず尚子を家から出してアパートを借り、生活保護を受けさせるというのが支援の道筋だ。尚子に「すぐに働くように」迫るのは、現実的ではないという判断があった。プライドと対人関係の難しさから、どの職場でも間違いなく働けないと思われた。

 この提案に対して、尚子は首を縦に振らない。

「そもそも、家を売る話を父が勝手に進めるっておかしくないですか? 私の了解を得てからじゃないですか? これが、父なんです」

 モーレツ社員で“イケイケ”だった父はやはり「強い父」=専制君主。だから尚子も自身のピアノ教室で、専制君主のように振る舞ったのではないか。それ以外のコミュニケーション方法を知らないからだ。それが、藤原家の「文化」だったのだろう。強さに立ち向かえなかった姉が心を病んだのも、一面を示唆している。

 それでも尚子は家を出ることを渋々、承知した。しかしいくら期限を決めても、彼女は一向に動かない。

殺人も襲撃も
 こうした「ひきこもりの高齢化」の放置は、単なる親子の「家庭内トラブル」に留まらないところが、この問題の深刻なところだ。

〈70歳父親が、ひきこもりの44歳長男を殺害〉(13年11月、広島県)

〈57歳ひきこもり男性が、パソコンを買ってもらえず、81歳父親を殺害〉(14年5月、三重県)

〈64歳父親を37歳ひきこもり息子が殺害。自宅解体で父親から見放されたと〉(15年3月、北海道)

 家族内殺人は最悪に至ったケースだが、32歳のひきこもり男性による、大分県宇佐市のこども園襲撃(17年3月)は、ひきこもりのストレスが外に暴発する可能性がゼロではないことを示している。

 事件に至らずとも、親の死後は生活保護を受けざるを得なくなる。その原資はむろん私たちの税金。こうした「高齢ひきこもり」が70万人もいれば、膨大な社会保障費が必要とされる。そのまま介護につながるケースも出てくるだろう。現にひきこもりの長期化、当事者の高齢化に伴い、冒頭のゴミ屋敷のように周囲との軋轢が、深刻な問題として顕在化してきている。

(下)へつづく

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