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生活保護者の集いコミュの生活保護パチンコ調査と調剤薬局制限に感じる厚労省の「忖度」

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http://diamond.jp/articles/-/128620
みわよしこ

不安漂う生活保護の議論
予言以上の“忖度”とは?

 2018年に予定されている生活保護法再改正・生活保護基準見直しに向けた動きが、今年度に入る前後から加速し始めている。

 本年2017年3月、全国の福祉事務所に対し、「生活保護受給者におけるぱちんこ等の状況の把握について」(以下「厚労省パチンコ調査」)という事務連絡が厚労省から送付された。質問項目からは、「ギャンブルは止めるように指導してるんでしょうね?」「賞金を不正受給している可能性は考えているんでしょうね?」という圧力が濃厚に匂い立つ。調査結果は、すでに都道府県を通じて厚労省に提出されていると見られる。

 4月は、現在開催中の通常国会において、本年8月に期限切れを迎える「ホームレス自立支援法」の延長に関する審議が期待されていた。しかし、加計学園グループと現政権の関係・共謀罪・精神保健福祉法などへの関心が先行し、重要な問題でありながら、ほとんど忘れられた格好となっていた。 

 今月5月に入ってからは、さらに慌ただしい動きが続いている。

・2017年5月6日

 厚労省は、生活保護で暮らす人々が利用できる調剤薬局を1ヵ所に限定する検討を開始した。6月からモデル試行が実施され、効果や問題点が検証される見通し。この「調剤薬局を1ヵ所に限定」は、大阪市西成区(2012年)などで検討されたが、同市では撤回されている。

・2017年5月11日

 厚労省は、社保審・生活困窮者自立支援及び生活保護部会を新設。常設の生活保護基準部会(個々人に対する生活保護費について検討・検証)とは別途、審議を開始している。同日、自民党・厚労部会は、前述の「ホームレス自立支援法」を10年間延長する案を了承した。今国会で成立の見通し。

 生活保護制度は、これからどのように変わっていくのだろうか。

 どこでどのような審議が行われるかはともかく、いつ、どのような結論が出される予定であるかは、政府文書にすでに掲載されている。“予言”の数々と実現のされ方は、ガルシア=マルケスの小説「予告された殺人の記録」や、コミック作品『20世紀少年』の「よげんの書」、同じく『DEATH NOTE』の「デスノート」を思わせる。そして現実は、予言以上の何かになりつつある。まるで厚労省が、その先にあるものを“忖度”しているかのようだ。

今回は、“予言”の概略を眺め、厚労省パチンコ調査(3月)、生活保護での調剤薬局を1ヵ所に限定する検討(5月)について、内容と問題点を整理し、最後にその背景を振り返ってみたい。

日本を“予言“する
内閣府・財務省文書

 私は「徴税と分配こそが政治の中心」と考えている。すると、生活保護制度の中心は、厚労省ではなく財務省ということになる。もちろん、生活保護制度と運用に責任を持つのは厚労省だが、国家予算の裏付けがなければ何もできない。その国家予算を握っているのは、財務省だ。生活保護制度の運用に財務省の意向が色濃く反映されるのは、この仕組みによっている。

 ただし、この仕組みが「グローバルスタンダード」というわけではない。日本にいると、「財務省の意向である以上は、いずれ実行されてしまうんだろうなあ」と諦めムードになりがちだが、世界には数多くの政府がある。良し悪しは別として、「政権交代とともに官僚入れ替え」が当然の国々では、日本で見られる「自民党政権でなくては官僚をコントロールできない」といった問題は起こらない。

 ともあれ現在の日本では、国家予算を握っている財務省の意向が、他省庁を強力に支配する。生活保護に関する「財務省の意向」は、財政審・財政制度分科会の答申や報告書を見れば、一目瞭然だ。まだ答申や報告書の形になっていなくても、審議に提出された資料や議事要旨を見れば、概ねの方向性はわかる。

 財政審・財政制度分科会は、毎年、春と秋を中心に審議を重ねている。春の審議の後、5〜6月頃、国家予算の現状と今後に関する建議を発表する。同時期に、内閣府・経済財政諮問会議は『骨太の方針』を発表する。また秋の審議の後、11月頃には、次年度予算に関する建議が発表される。

 財政審と経済財政諮問会議の文書に目を通せば、政府の意向は概ね読み取ることができる。そこに「生活保護の○○費を△%削減」と記載されてしまったら、よほどのことがなければ覆らない。「削減幅が少しだけ減る」「実施時期が少しだけ遅くなる」といったことが精一杯だ。

 2017年度の財政審建議は、まだ取りまとめられていない。まずは、2016年5月に取りまとめられた『「経済・財政再生計画」の着実な実施に向けた建議』を見てみよう。

 生活保護は、社会保障の7つの主要分野の1つとして位置づけられている。総予算が1ケタ違う医療・年金と同列に扱われていることに、まず違和感を覚える。しかし2000年以後、生活保護は社会保障費削減の象徴として、「生活保護がやられるなら仕方ない」というムードメイキングの題材として扱われ続けてきている。

 記述の冒頭には「最後のセーフティネット」「自立の助長」「制度に対する国民の理解と信頼」「適正化(が必要)」とある。政府文書を多数読んできた私は、これらの文言から、「安易に使われては困る」「就労させれば、親族扶養を徹底すれば、必要でなくなるはずだ」「不正受給取り締まりのためなら何をしてもいい」という言外の意味を自動的に読み取ってしまい、思わず頭の中で「そういうことなんですね、わかります!」と反応してしまう。

 生活保護法・制度・保護費に関する今後の方針は、同文書末尾の「改革工程表」に記載されているのだが、「現行制度で実施可能な事項は、早期に検討・実施していくべき」ともある。また、本年2017年に予定されている生活保護基準検証と合わせ、「自立支援の推進などの観点から、生活保護制度全般について検討」「結果に基づいて必要な措置(法改正を要するものに係る平成30年通常国会への法案提出を含む)を講じるべき」とある。これが、5月の社保審・生活困窮者自立支援及び生活保護部会設置に関する“予言“だ。

 生活保護制度改革の具体的内容は、経済財政諮問会議の『経済・財政再生計画 改革工程表(2016改定版)』(2016年12月21日)に記されている。


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労多くして益少なし
強制労働へ向かう就労支援

 経済財政諮問会議の『経済・財政再生計画 改革工程表(2016改定版)』には「適正化」「インセンティブ」「産業化」といった文字が並ぶ。意図を読み取るには、これらのキーワードを「削減」「個人・民間の自己責任」「公共は手を引く」と読み替えればよい。

 生活保護に関する改革工程表は、2ページにわたって掲載されている((前掲の画像)。本年実施される予定となっているのは、前年度以前から実施されている「後発医薬品の使用割合を高める(目標:2017年6月までに75%)」「頻回受診者に対する受診指導」「健康管理支援の検討」「就労・増収による生活保護脱却の促進」である。これに加えて、2013年に成立した生活困窮者自立支援制度(2015年度〜)の方にも「就労・増収を通じた自立」という文言がある。

これらの目標の実施状況に対しては、数値目標が設定されている(図の右側にある「KPI」)。数値目標を見てみると、「就労支援事業等に参加した者のうち、就労した者及び就労による収入が増加した者の割合【2018年度までに50%】」など、本人の状況や地域の事情に大きく左右されそうなものが目立つ。

 また、真の原因が生活保護の人々以外のどこかにある現象に対する“対策“も目立つ。たとえば医療機関の頻回受診は、ネット世論で「生活保護で医療も薬も無料だからといって、必要もないのに病院に行って不要な薬まで欲しがる」と非難されているけれども、生活保護の医療問題のうち多額かつ深刻なものは、医療機関によるものだ。

 ときどき問題になる向精神薬の転売も、高額で転売できる向精神薬を大量に処方する医師がいなければ起こらない。しかし、数値目標の欄には「頻回受診者に対する適正受診指導による改善者数割合【2018年度において2014年度比2割以上の改善】」とあり、「医療機関に対して適正化を行う」という記述は見つからない。不可解な医療や処方を行っている医療機関を重点的に調査して「適正化」すれば、短期間で大きな効果を挙げられるであろう。そう考えるのは、私だけだろうか。

パチンコ、調剤薬局の課題
強制労働へと向かう「就労支援」?

 今年度の財政審の会議資料を見る限り、生活保護に関して、特に目新しい内容は見当たらない。しかし1点だけ、大変気になる部分がある。4月20日に開催された審議会資料に含まれた「正当な理由なく就労に向けた取組を拒む者に対し」「保護の停廃・処分のほか、保護費の減額など柔軟な対応を可能とする」という記述だ。就労支援が「就労か、生活保護打ち切りか」という脅迫のもとに行われるのであれば、もはや「支援」というよりは強制労働に限りなく近いものであろう。

 病院などの頻回受診については、またもや「とにかく生活保護の人々を指導すれば“適正化”できる」という内容の記述が見られる。しかし「医療を受けにくくする」「薬の処方を受けにくくする」といった内容まで踏み込んだ記述はない。また、プライベートな生活や余暇活動についての記述もない。

 5日後の内閣府・経済財政諮問会議でも、同様の内容の資料が提出されているが、それ以上に踏み込んだ内容を求める議論は行われていない。

 生活保護の人々に対する「パチンコに対しては指導を」「調剤薬局は1ヵ所に」という内容の記述は、少なくとも現時点までは、内閣府と財務省の会議資料・議事録・報告書などからは見い出せない。にもかかわらず、3月に「厚労省パチンコ調査」、5月に調剤薬局を1ヵ所に限定する方針が、突如出現した。このことは、何を意味しているのだろうか。

忖度か、次期政権への根回しか?
厚労省の不可解な動き


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 背後にある力学や、厚労官僚が何を思ったのかは、全くわからない。しかし、2017年〜2018年に確実に起こりそうな一大イベントがある。衆議院の解散総選挙だ。

 2016年12月、日本維新の会が、生活保護の人々に対するパチンコ・公営ギャンブル・風俗店利用を禁止する法案を提出した。法案は成立しなかったが、日本維新の会のどこかに「パチンコだけなら」という執念が残っていそうだ。公営ギャンブルも風俗も、日本の法律のもとでは、一応は違法ではない。しかしパチンコは、景品が換金できてしまうことを含め、様々なグレーゾーンを含んでいる。

「生活保護なのにパチンコだなんて!」という主張は、有権者の人気を高めたい政党にとって使い勝手の良いものでもある。日本維新の会は、これまでと同様に、総選挙にあたって最大限に活用したいであろう。また、「生活保護なら調剤薬局は1ヵ所に限定する」という施策にも、大阪市長だった橋下徹氏が推進しようとしていたが実現できなかった経緯がある。

 私には、厚労省の生活保護パチンコ調査と「調剤薬局は1ヵ所に」という案は、日本維新の会への「忖度」、少なくとも忖度するポーズに見えてならない。

 実際にそうであるとして、なぜ、厚労省は、そうせざるを得ないのだろうか。内実までは想像できない。しかし、もしかすると、生活保護はすでに、実質的に社会保障政策ではなくなっており、政治の中での取引材料や貢ぎ物のようなものに変質しているのかもしれない。

 私のこの危惧が、内閣府や財務省の文書ほど確かな“予言”とならず、懐かしの「ノストラダムスの大予言」のように笑い話で終わることを、心から願いたい。

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