ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

生活保護者の集いコミュの「生活保護バッシング」が的外れな根本理由 食費1日260円で生活する34歳女性の叫び

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
http://toyokeizai.net/articles/-/144586

藤田 孝典 :NPO法人ほっとプラス代表理事

生活困窮者支援を行うソーシャルワーカーである筆者は、仕事がら、普段から多くの生活課題を持つ人々の話を聞かせていただく立場にある。話を聞いていると、すでに多くの若者が現在の生活にすら困窮している状況が見えてきた。一日一日を生きることに精一杯で、将来のビジョンや長期的な展望を見出すことが非常に困難な様子も明らかになった。
これから紹介するのは、特殊な事例では決してない。わたしが向き合ってきた、生活上の課題や生きにくさを抱える人たちの実例である。「切実な声を代弁してほしい」「より多くの人へ自分たちの困窮状態を伝えてほしい」、と訴えてくれた友人、パートナーだ。彼らの声を、聴いて欲しい。
困窮ぶりを感じさせないたたずまいの彼女は

生活保護を受けている加藤さん(34歳女性)

加藤さん(仮名)は、埼玉県内で暮らしており、生活保護を3年ほど受給している。生活保護費は、月額約11万円。そこから4万4000円のアパート家賃を支払い、6万5000円程度で月々の生活を送っている。

近くのスーパーマーケットに夕方以降に向かい、安い食材がさらに割引になるタイミングで買い込み、自炊しながら暮らしている。ある日の食生活を見ると、わずかな食費で何とか食事らしい食事をとろうと工夫して、やりくりしている様子がわかる。

食費1日260円ほどの生活が毎日続くことを、あなたは想像できるだろうか。

趣味の本や雑誌を購入することや映画を観ることもできていない。しかし、「やれる範囲でやるしかないし、生活保護を受けることで自分らしく生きることができていると実感しています」と明るく話してくれた。

加藤さんは、過去につらいことがたくさんあっただろうに、そんなことを感じさせない優しい笑顔を振りまきながら語る。街中の量販店や古着屋で購入した安価な服を何年も着続けている。基本的に洋服は、よほど汚れたり破れたりしないかぎりは購入しない。というよりも購入できないと言う。100円ショップで買った化粧品などを使用し、工夫しながら化粧をしている。もちろん、体調不良だということもあるが、とてもやせている。

しかし、服装や身なりを見ても困窮ぶりを感じさせないたたずまいである。彼女に街中で会っても、生活保護を受給しているとは誰も想像がつかないはずだ。

ではなぜ加藤さんは、生活保護を受けなくてはいけないのだろうか。

「10代のころから親子関係が悪くて、中学校でもいじめを受けてしまい、その時から不安障害を発症したからです」

と彼女は語る。特に父親との関係が悪く、ケンカや口論になることが多かったそうだ。家には幼いころから安心できる場所がなかった。学校の悩みを両親に打ち明けられる環境ではなかった。自分自身の居場所のなさをずっと感じていたそうだ。無条件で愛してもらえる環境に乏しかった。

加藤さんは、いわゆる不登校の状態を経験し、中学校の途中からフリースクールに居場所を求めた。そこで友人や仲間に巡り合えたそうだ。同じような境遇に身を置き居場所を喪失して出会う仲間とは意気投合することもあり、楽しい経験も多かったという。

居場所を求めてさまよって

それでも彼女が10代のころ、家出をし、友人宅を転々としていた時期もあった。

「家に居場所がない、理解者がいないと思い、居場所を求めてさまよっていました。今なら笑えるけれど、本当にフラフラとしていましたね」

自分勝手で、放蕩をしてきたように思う人がいるかもしれない。しかし、その当時のことを聞いてみると、「好きでフラフラしていたわけじゃない。とてもつらかった。自分の状況を理解してくれる人は本当に少なかった」と言う。

発症してしまった不安障害と付き合い、現在も加藤さんは都内の病院に通って治療を受けている。現在でこそ、不登校を前向きに評価する観点が広がってきたが、当時は学校に通わないことへの無理解のほうが多かったように記憶している。

学校のような強固にできあがった教育システムに対して、「逃げられること」「つらいと言えること」は加藤さんの強みである。若者が一定の規範から「逸脱」することを前向きに評価する観点を、よりいっそう広げていく必要があるのではないだろうか。わたしは加藤さんの話を聞きながら、生き方の多様性を尊重することについて具体的な取り組みを進める必要があることに気づかされた。

現在、加藤さんは「生活保護を、自立するために活用している」と表現している。生活保護制度がなければ、彼女は自殺していたかもしれないし、ホームレス状態になっていたかもしれないという。彼女自身がそんなふうに受け止めている。しかし、生活保護申請をすんなりと受け付けられたわけではなかった。

「『親がいると生活保護は受けられない』と、福祉課職員に言われました。親なんていても助けてくれないし、病気を抱えてどうやって生きていったらいいのか悩みました」

初めてひとりで生活保護の相談に福祉課へ赴いた際、職員から威圧的な対応をされたという印象を持った。そして、生活保護について、「親がいると生活保護は受けられない」という誤った情報を伝えられ、それでも生活が苦しいのであきらめきれずに、再度相談に行き、ようやく生活保護を受給できた。

社会福祉の現状

2回目に福祉課へ行った際は知り合いの民生委員に相談し、保護申請に付き添ってもらったそうである。申請手続き中、不安を覚えたせいで過呼吸も起こしてしまったが、何とか暮らしを立て直す第一歩を踏み出せた。このような若者に対して、生活保護の窓口が冷遇することはいくつも指摘されている。決して珍しい話ではない。

2016年1月15日のインターネット版・読売新聞には、社会福祉制度に詳しく、筆者とも親しい原昌平記者が、若者などの生活困窮者に対して、福祉事務所があまりにも不適切な対応をするため、以下の意見を含む記事を配信した。

「生活に困って生活保護を利用したいと思った場合、原則として福祉事務所に保護を申請する必要があります。そのとき大事なのは、一定の知識と胆力のある人を除いて、いきなり、ひとりで福祉事務所の窓口へ行かないほうがよいということです。親身に手助けしてくれる窓口担当者もいるのですが、一方で、保護を増やさないのが仕事のように勘違いしている職員もいて、間違った説明をされたり、申請できないまま相談だけで帰されたりすることがあるからです。きつい質問や言葉によって、精神的なダメージを受ける場合もあります。支援団体や法律家の協力を得るか、他の福祉関係の機関にまず相談するなどして、なるべく、だれかに同行してもらいましょう」(原記者の「医療・福祉のツボ」貧困と生活保護〔21〕「生活保護の申請は支援者と一緒に行こう」)

長年、さまざまな生活困窮者の取材活動を通じて現場に詳しい記者もそう報道せざるを得ない社会福祉の現状だ。

当然、加藤さんのような若者が生活保護を受けることに対して、厳しい意見や批判がある。たとえば、病気を持っているにしても本当に働けないのかというものだ。

「就労したいというあせりや不安があり、そのために病状が悪化したこともあった。自分なりのこれまでの努力や頑張りを評価してほしい。何とかなるのであればもうとっくに何とかなっている」と彼女は訴える。

実際のところ、生活保護についてインターネットで検索すると、受給者への心ない言葉が平然と飛び交っている。加藤さんもそのような書き込みを見ることがある。

「批判の中には、『生活保護受給者はカップラーメンを食べるのもぜいたくである。カップラーメンは高い。なぜ節約を考えるなら、何食も入っている安い袋麺にしないのか』というものもあります。心が痛みました。ネットの書き込みに恐怖して、病気が悪化してしまうこともある。生活保護を受けたくて受けているわけではなく、早く自立したいと思っているので、なおさらあせってしまう。個別の事情に配慮してほしいんです。

私に限らず、この日本で暮らしているかぎり、生活は苦しい。その中で我慢している人と我慢できずに生活保護を受給している人がいる。だから私と同じように我慢していればいいんだ……そんな恨み節のようなものが、批判される方にはあるのかもしれません」

生活保護受給者とひとくくりにして、批判をすることや攻撃することに意味はあるだろうか。生活保護受給者への怒りや批判という形で、現状へのつらさを吐露しても、問題は根本的には改善しないように、わたしには思える。言うまでもなく、加藤さんは批判を受ければ受けるほど、自立が遠のくとさえ話しているのである。

加藤さんの事例では、幼少期からの孤独、常にストレスにさらされてきた生活環境が生活保護受給や自立を阻害する要因になっていることがわかる。決して本人の怠惰ではない。加藤さんのような環境に置かれたら、大抵の人はつらいであろう。病気を発症するのは彼女だけではないかもしれない。加藤さんと同じ境遇を自身に置き換えてありありと想像することで、彼女の心情になるべく想いを馳せていただきたい。

最後に加藤さんが、過去の自分を冷静に振り返る。

「私は人に対する恐怖心があり、成功した経験や褒められた経験も少ないので、自己肯定感がありません。実家に引きこもって以来、働きたいのに働けないストレスをさらに増やし、精神疾患の悪化も招いて、ますます働けなくなるという負の連鎖が始まったのです」

最近は生活保護を受給したことで、ようやく負の連鎖が止まり、自分の将来を考えられるようになったという。これからは人とかかわる力をさらに身につけていきたいそうだ。

厚生労働省を相手に


『貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(上の書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
加藤さんは仲間に支えられ、現在、弁護士とともに、首都圏の裁判所でいわゆる生活保護裁判を闘っている。相手は厚生労働省だ。2013年から3回にわたり、生活保護における生活扶助基準が段階的に引き下げられている。2015年7月からは生活保護における住宅扶助基準も引き下げられた。さらに冬季に暖房費などの名目で支給される「冬季加算」も減額された。北海道や東北地方など、寒冷地の生活保護受給世帯は心細い思いをしていることだろう。

生活保護に対するバッシングや批判をきっかけにした、このような引き下げはもう止めてもらいたいと彼女は主張している。自分が将来に希望を見いだせた生活保護制度を「劣化」させることを防ぎたいというのだ。

「私たち若い人の中にも、十分な生活保護を必要としている人たちが沢山いるんです」

生活保護基準の引き下げをきっかけに、政府は年金や介護、医療など幅広く社会保障費を削減する傾向にある。加藤さんは、「同じような人を救うためには、生活保護受給当事者が立ち上がるしかない。おかしいと声を上げるのは大変勇気がいりますが、最後まで弁護士や仲間の皆さんと頑張ります」と決意している。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

生活保護者の集い 更新情報

生活保護者の集いのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。