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生活保護者の集いコミュの相模原障害者殺傷事件、犯行直前の「貧」と「困」

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http://diamond.jp/articles/-/97962

ダイヤモンドオンライン 生活保護のリアル みわよしこ

2016年7月、前勤務先の障害者施設に侵入して入所者19人を刺殺した26歳の元介護職員は、犯行前、短期間であるが生活保護で暮らしていた。多数の報道からは、容疑者の「貧」と「困」が見え隠れする。

凶悪犯罪を起こす「脳」を取り締まれるのか?

 2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」に男が侵入し、入所者である障害者(主に知的障害および知的障害との重複障害)19人を刺殺、26人に重軽傷を負わせた。男は警察に出頭し、逮捕された。現在も警察で取り調べを受けている男・U容疑者は、26歳。3年3ヵ月にわたって、その施設に介護職員(常勤職員であった期間は2年10ヵ月)として勤務しており、内部を熟知していた。

 U容疑者は、「障害者は抹殺されるべき」という考え方を抱いており、さらに表明したため、施設を退職することとなった。また、その思いを文書化して衆議院議長に示そうとしたため、精神科病院に措置入院となった。2週間で退院となった後、収入の源を失っていたU容疑者は、短期間であるが生活保護で暮らしていた時期もあった。

 犯行の翌日、7月27日の『沖縄タイムス』社説は、この事件を、

「自分勝手な思い込みを絶対化し、他者への寛容をなくする。今回の事件は障がい者を標的にした犯罪『ヘイトクライム』である」

 と位置づけた上で、

「障がい者に対し強い差別と偏見を持ち、存在そのものを否定するような男のゆがんだ考えはどのようにして形成されたのだろうか。知的障がい者施設に勤務したことと関係があるのだろうか。捜査当局は全容解明を急いでほしい」(仮名づかいは原文ママ)

 と述べている。

 海外メディア・海外各国首脳などの反応は、当初から「ヘイトクライム(嫌悪犯罪)」という理解に基づいたものが多かった。しかし、日本の大手メディアで最初に、「ヘイトクライム(嫌悪犯罪)」と明確に位置づけたのは、『沖縄タイムス』であった。障害者の一人として、まず、私は『沖縄タイムス』に感謝したい。

 しかし私は、U容疑者の「脳内」を問題にすることには同意しない。もちろん私自身、障害者に対する差別的な考えや思いは全く歓迎しない。しかし、誰かの思想信条の自由を制限することは、それ以上の問題である。

 差別や偏見が、本人の脳内・机の引き出しの中・本棚の中・パソコンのストレージの中などに留まっている限り、発見も規制も事実上不可能である。

 防ぐべきであったこと、今後さらに防ぐべきことは、誰かを傷つけたい思いや考えが、実際に傷つける表現や行動へとつながり、被害者を生み出してしまうことではないだろうか?

 その観点からU容疑者に関する多数の報道を再点検してみると、至極ありふれた「貧」と「困」の姿が、だまし絵のように浮かび上がってきた。
犯行直前のU容疑者
「メシは食えていた」のか?

 まず、犯行直前のU容疑者の財布の中身は、どうだったのだろうか? おそらく、手持ち金は極めて少ない状況だったのではないかと推察される。

 経済状況に関係する事実を、報道から拾い出すと、以下のようになる。なお、障害者施設の給料日は不明なので、一般的な「26日」とした。

2016年2月19日 措置による精神科入院、障害者施設を自己都合退職
2016年2月26日 給与の支払い
2016日3月2日  措置入院が解除され退院
2016年3月24日 生活保護を申請、即日、保護開始
         3月分の保護費(生活費分)は、8日間分の20100円
         (親の持ち家に居住していたため、家賃補助はない)
2016年3月26日 (最後の給与の支払い?)
2016年4月3日  生活保護費支給(4月分の生活費 78000円)
2016年4月(日付不明) 1回目の失業手当支給
2016年4月30日(?) 生活保護打ち切り、4月分の生活保護費は返還(朝日新聞報道による)
2016年5月    2回目の失業手当支給
2016年6月    3回目の失業手当支給
2016年7月26日 犯行

 U容疑者の月給は、手取り18〜19万円だったということだ(毎日新聞報道による)。

 やや気になるのは、U容疑者の元職場の月給計算の締め日だ。締め日が15日か20日かで、3月26日の給与振り込みの有無が異なってくる。極めて細かいことではあるが、「貧困」または「貧」や「困」があるとき、わずかな収入の「ある」「ない」は、本人の精神状態に大きく影響する。

 ここでは、3月26日の給与振り込みはなかったものとする。というのは、生活保護は3月24日に開始されているので、26日に収入があれば収入認定されて返還処理の対象になっているはずだからだ。しかし、最後の月給と生活保護の関係は、全く報じられていない。もしも10日締めであったとすれば、3月26日、U容疑者には最後の月給として手取り2〜3万円程度が支払われたはずであるが、社会保険料を差し引けば、手取り分は極めて少額、もしかするとマイナスとなっていたかもしれない。

 ついで気になるのは、離職から2ヵ月後の2016年4月、U容疑者が失業手当を受け取ることができ、生活保護打ち切りとなった理由である。U容疑者自身には「事実上のクビ」と理解されていたようであるが、自己都合退職である以上は90日間の待機期間がある。特定受給資格者扱いとなっていたのかもしれないが、該当しそうな項目が見当たらない。また、障害者手帳を取得していなかったU容疑者には、「就職困難者」として基本手当300日分を受給できた可能性もなさそうだ。なお、失業手当の月額は、私の計算では約15万円となる。

 いずれにしても、自己都合退職であれば、U容疑者が失業手当を受給可能だった期間は90日間である。もしも失業手当を受け取り始めたのが4月25日であれば、最後の失業手当の受け取りは6月25日に行われ、7月の収入のメドはなかったはずだ。

収入のメドがないのなら、支出を抑制して生活するしかないだろう。しかしU容疑者は、2016年3月と6月に顔の美容整形手術を受けている。費用は、3月の手術が50万円であったという(『NEWSポストセブン』記事)。「財源」が退職金だったのか借金だったのかは不明だが、ともあれ3月24日時点、U容疑者の手持ち金は、預貯金を含めて3万円台以下になっていたはずだ。そうでなければ生活保護は開始されない。

 また、6月の美容整形手術費用は25万円だった。失業手当を手術で使い切り、U容疑者は「スッカラカン」になっていたのではないだろうか? もしも近所の顔見知りの青年だったら「ご飯、食べてる?」と聞きたい感じだ。

 ともあれ、「スッカラカン」になったU容疑者には、「もう一度、生活保護で暮らし、人生を立て直す」という選択肢があったはずだ。しかし、その選択は行われず、犯行が行われてしまった。

U容疑者の生活保護に
違法性はなかったか?

 U容疑者の生活保護受給歴が報道されるや否や、「不正受給ではないか?」という疑問がネット空間に数多く出現した。

 典型的な疑問のいくつかに対して、不正受給かどうかを検証してみよう。

Q1:五体満足、介護職ならば再就職は可能そうなU容疑者が、なぜ生活保護を受けられたのでしょうか?

A1:失業しており、給料(収入)のメドがなく、預貯金を含めた手持ち金(資産)が極めて少なかったためでしょう。生活保護の対象となるかどうかは、収入と資産だけで決まります。

Q2:U容疑者の収入や資産の調査は、きちんと行われたのでしょうか? 自動車も所有していたようですが? 数百万円の借金があるのに、生活保護を受けてよかったのですか?

A2:正当に行われ、その結果として生活保護開始となったのでしょう。通常、収入・資産に関する調査は、生活保護を申請してから開始決定までの期間(原則2週間)で行われます。自動車は、今後の就職活動や通院での必要性、失業手当が受給できるため今回の生活保護はごく短期で終わる可能性などを考慮し、「すぐに処分を」という話にはならなかったものと思われます。借金があるなら、債務を整理して生活を再建するために、生活保護は非常に有効な手段です。

Q3:U容疑者は父親の持ち家に住んでいました(両親は別の地域に在住)。父親は、安定した高収入の職に就いており、母親も働いています。この両親は、息子を扶養すべきでした。生活保護ケースワーカーは、両親に扶養を求めるべきではなかったでしょうか?

A3:私は、家族扶養には反対の立場です。それはさておき、U容疑者の両親は、息子が生活保護を申請した事実を知っているはずです。また、扶養の依頼(扶養照会)も行われているはずです。

 生活保護を申請すると、少なくとも親子きょうだいには「あなたの息子(例)の◯さんが生活保護を申請しています」という通知が送付されます。また、保護開始となる場合には、「息子(例)の◯さんに、同居や仕送りや精神的ケアなど、何らかの形で扶養はできないでしょうか?」という問い合わせ(扶養照会)も送付されます。今回、どのような「扶養」も行われなかったのであれば、最も可能性が高い理由は、「そもそも生活保護が短期間だったため、両親による扶養の必要性が発生しなかった」でしょう。

 U容疑者は、2016年3月24日に生活保護を申請し、即日、保護開始となりました。差し迫った「お金がない」という事実が認められたためと思われます。この場合、資産や家庭状況に関する詳しい調査は後日となりますが、申請時に事情の聞き取りは行われているはずです。11日後の4月3日に最初の生活保護費の支払いが行われていたこと、また生活保護打ち切りまでの経緯から見て、本人の話と事実との間に大きな食い違いはなかったのでしょう。


Q4:U容疑者の居住する相模原市は、生活保護の不正受給が多いのでは?

A4:個人によるもの・「貧困ビジネス」によるものを含め、不正受給そのものは皆無ではありませんが、突出して多いわけではありません。むしろ、独自に「貧困ビジネス」対策を検討するなど、肯定的に評価すべき点もあります。

Q5:相模原市は、すぐU容疑者の生活保護を開始しており、しかも措置入院歴を生活保護の担当者が知らなかったとか。甘すぎるのでは?

A5:状況を考慮して、申請に対して、すぐに保護開始としています。U容疑者の生存・生活・今後の再就職の可能性などがかかっているわけですから、妥当な判断だと思います。しかも失業手当を実際に受給でき、今後(少なくとも3ヶ月間)の生活の裏付けが「ある」と明確になる時点まで、保護は打ち切っていません。全国の自治体にお手本にしていただきたいくらいです。

 また、措置入院歴があろうがなかろうが、心身の不調は起こりうるわけですから、「すぐに起こりそう」「起こりかけている」「起こっているがまだオオゴトではない」という段階で対応できれば十分です。

 一つだけ残念に感じられるのは、保護を打ち切った後のフォローです。相模原市は、本人から精神科受診について「躁うつ病で通院」と知らされていたわけですから、安心して生活し、求職活動や治療が行えるように、生活困窮者自立支援に関わる部署などの包括的な支援に引き継ぐ必要はあったかもしれません。措置入院先の病院に対しても、同様の残念さを感じます。病院と相模原市のどちらかで、退院後・生活保護打ち切り後のフォローがあれば、異なる成り行きとなっていた可能性が高いと思います。

 また、U容疑者の借金についても、把握・対応できていたのかどうか不明な状況です。1ヵ月と8日だけの生活保護では、措置入院を含め、本人が話したくない話を聞き取れるだけの信頼関係を築くのは難しかったのかもしれません。なおさら、その後の支援を行える部署へ引き継いでいただきたかったところです。生活困窮者自立支援法にもとづく支援には、債務整理も含まれています。

事件を発生させるに至った
U容疑者と障害者施設の問題点

 この事件に関する数多くの報道を時系列で整理してみると、あまり報道されていない、しかも重要と考えられる事実が数多く浮かび上がってくる。今回の最後に、U容疑者の元勤務先であり犯行現場ともなった障害者施設の職場環境について、気になる事実と私見を述べておきたい。

 職場環境について述べた記事は多くないが。2016年8月1日の毎日新聞記事「事件発生から1週間 弱者どう守る」などから記述を拾い出すと、

・2012年12月 
 U容疑者は障害者施設に就職活動を行い、「学生時代のボランティアや教育実習を通じて福祉に関心」というアピールを行った。結果、非常勤職員として採用された。

・2013年4月
 U容疑者、障害者施設の常勤職員に。夜勤もあるにもかかわらず、月給は月18〜19万円(アルバイトの場合、夜勤の時給は905円)。

 先輩職員が入所者を手荒く扱い、時に暴力的であることに対して憤慨していた(東スポWeb)。

・2013年5月
 U容疑者の勤務態度が悪化し、遅刻・入所者の身体にペンでいたずら書きをするなどの問題が見られた。注意されると謝ったが、問題の行動は修正されなかった。

・2014年秋 
 元職員の一人が、現役職員から「U容疑者が入所者に暴力をふるっている」という相談を受けた。

 報道から読み取れる情報を列挙して推測すると、U容疑者自身については、

「就職した障害者施設は、仕事のハードさに比べて収入が低すぎ、時に入所者に対して暴力的な扱いも行われている職場だった。そして、U容疑者自身はその暴力的な扱いに馴染み、適応しすぎてしまった。結果として『障害者を抹殺』といった考え方を表明するようになり、実行に移してしまった」

 という変化の可能性が浮かび上がってくる。また職場であった障害者施設については、

「問題のある介護職員がおり、入所している障害者が虐待されたり不愉快な思いをさせられたりしていても、なかなか解雇しづらいほどの人手不足に陥っている。職員の育成・教育にも成功していない」

 という状況が常態化していた可能性が考えられる。

 断じて、U容疑者の凶行を擁護するつもりはない。U容疑者自身の抱えていた問題は、「貧」と「困」だけでも小さくないが、「自己責任」と言える部分も多い。しかし、犯行に時間・空間の両面からつながっている背景は、日本の介護・福祉業界に共通する慢性的・構造的問題群だ。この問題群は、「犯行とは全く無関係」と言えるだろうか? もちろん、介護の仕事に就いている人々の大多数は、虐待を実行したり、このような事件を起こしたり「しない」。虐待を目撃したとき、内部告発する人々もいる。良心的に仕事に向き合う人々が多数いることは、それだけで救いである。それでも、介護・福祉業界が抱える根本的な問題に取り組まなければ、今後も同様の問題が発生し、事実上、障害者が少しずつ「抹殺」されてしまう近未来が待っているのではないだろうか?

 気になることがらは、他にも数多くある。入所者の男女比と被害者の男女比の差、入所者・家族・施設それぞれの「貧」「困」など、時間をかけて調べ、検討する必要のありそうな問題点も数多い。

 ともあれ、なるべく本質や根本から目をそらさないように、今後の成り行きに注目していきたい。

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