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生活保護者の集いコミュの「貧困対策」主要政党のスタンスを参院選前に確認する

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http://diamond.jp/articles/-/94009
生活保護のリアル みわよしこ

2016年7月10日に行われる参院選の選挙戦が始まっているが、貧困問題は主要な争点とは考えられていない。貧困の拡大に対する各政党のホンネは、どこにあるのだろうか?

公約には全く記述なし
自民党の生活保護政策の中身


参院選前に各党の貧困対策へのスタンスを確認したい
 2016年7月10日の参院選が6月22日に公示され、本記事を執筆している2016年6月30日は、選挙戦がたけなわである。しかし、公約を比較すると、社会保障や生活保護については大きな差が見受けられず、「当たり障りない」あるいは「どうにでも取れる」文言が多い。

 たとえば、自民党の今回の公約を見てみると、なんと生活保護に関する記述が全くないのだ。ただし、2016年6月20日に発行されたばかりの「総合政策集2016 Jファイル」には、

「291 生活保護制度、生活困窮者自立支援制度
 生活保護制度については、真に必要な人に生活保護が行き渡るとともに、国民の信頼と安心感を取り戻し、納税者の理解の得られる構成な制度に改善します。」

 と、生活保護に関する言及がある。相変わらずといえば相変わらず、むしろ「自民党にしては、ずいぶんおとなしい」と感じるくらいだ。

 続くくだりを読むと「自助努力による生計の維持ができない者に対する措置ということを原点」「就労による自立促進」「健康や生活面等に着目した支援」などの文言が並ぶ。つまり「本人の」自己責任とし、その自己責任の「本人を」支援といいながら指導(いっそ「支配」というべきか)すれば解決するであろうという毎度の話が、同じように繰り返されているわけだ。

 この繰り返しの始まりは、生活保護法新法が成立した1950年からわずか4年後、1954年、大蔵省(当時)の意図を汲んだ厚生省(当時)が「適正化」の名の下に生活保護の利用抑制に踏み切らざるを得なくなった時期にある。以後、現在まで、「自己責任」で生活困窮に陥った本人、さらに「暴力団」「怠け者」「外国人」「家族としての扶養責任を果たさない人」など分かりやすい「悪者」を仕立てあげ、メディアのキャンペーンを並行させての生活保護バッシングが断続的に繰り返されてきている。

 松任谷由実の歌詞を借りれば「リフレインが叫んでる」。生活保護と生活困窮者支援に関し、今回の自民党の公約に、目新しい要素は見当たらない。2012年末に第2次安倍内閣が成立して以後の削減路線を踏襲する心づもりなのだろうか? そうであれば、生活保護政策という一点ゆえに、私は自民党を支持するわけにいかない。

 LPレコードがCDに置き換えられる以前、レコードの盤面の傷が原因で、延々と同じ箇所が再生され続けることがあった。今回の公約での生活保護政策・生活困窮者支援政策のリフレインは、次回選挙以後、消えてほしいものである。自民党が、長年の政権党としての実績と人材の層の厚さを活かせば、生活保護を必要とする人々にとっての現在と近未来の生活の質を一定以上に担保することを、いわゆる「納税者の納得」と両立させることも可能なはずだ。

進党の生活保護政策には
どこまで期待が持てそうか?

 では、民進党はどうだろうか?「民進党政策集2016」には

「真に支援が必要な人に適切に生活保護認定を行う一方で、不正受給を防止し、医療扶助に関する電子レセプト点検の強化や後発医薬品使用の促進など適正化を進めます。

 現在行われていない受給要件の再確認を一定期間ごとに行い、また不正受給への罰則を強化します。」

 とある。「真に」「適正化」「不正受給」といった用語は、生活保護を必要としているのに利用できない人々を生み出し続け、さらに、生活保護を利用している人々を痛めつけてきた。その歴史に対して何らかの自覚があれば、こういう記述にはならないだろう。正直、がっくりだ。自民党との違いが、よく分からない。

 しかしながら、続けて、

「貧困が命に関わる危険な状態を招く事例も少なくありません。生活保護受給資格の要件をわかり易く提示し、要件を満たした場合は適切に受給資格を付与するとともに、受給資格があるにもかかわらず、給付を受けない事態が放置されないように対応します。」

 とある。このくだりが意味することは、生活保護を利用できるはずなのに利用できない「漏給」をなくし、生活保護を必要とする人のうち利用している人の比率である「捕捉率」を100%に近くする(さまざまな試算があり、現在10〜50%程度とされている)ことだ。その時、生活保護基準が現在のままならば、生活保護予算は、少なくとも現在の2倍、約10兆円弱が必要ということになる。ぜひ実行してほしい政策ではある。しかし、予算を確保する目処はあるのだろうか?

 民進党は続けて、「就労インセンティブを損なわないように」、生活保護利用者たちに「働いたら損」となりかねない状況をもたらす「収入認定」の仕組みや、生活保護の8つのメニュー(生活費・家賃補助・医療費……火葬費用)の単独運用を検討するという。大いに実現してほしい政策ではあるし、それほど大きなコストを必要とするわけでもない。しかし最大の問題は、生活保護の位置づけと、「健康で文化的な生活」の内容だ。どう考えているのか、公約(国民との約束)からも政策集からも見えてこない。

 民進党には、まず、現在の状況を「より『悪くなく』する」こと、特に貧困の拡大に対して、実際に生活困窮状況にある人々・生活保護で暮らす人々・就労などによる経済的自立ができてはいるものの苦しい人々を具体的に「よりラク」「よりマシ」にすることを期待したい。自民党が、実質的に逆行させる動きをした場合、歯止めとなってほしい。でも、どこまで期待できるのだろうか? 公約と政策集を読む限り、私の口からは「うううううむ……」という唸り声しか出てこない。

民進党のうち旧民主党の人々に、「もう一度、政権を担いたい」という志が本当にあるのなら、次回以後の選挙では、読んだ選挙民が「やってください! 応援しますよ!」という気持ちになれるように、公約や政策集を作成してほしい。公約等に書いたからといって、100%実現できるわけではない。でも、公約に書かれていない内容や姿勢が、実際に「それ以上」になることはないだろう。起草者の文章力の問題なら、腕のよいコピーライターに外注し、まず候補者たちが読めばモチベーションを高められるものにすることも考えてほしい。

 ともあれ、民進党に関しては、私は投票の瞬間まで、

「政策決定のバランスからいって、非自民・非公明に一定の勢力は必要だけど……生活保護はねえ……どこが最良の歯止め、改善の最大の推進力になってくれる……?」

 と悩むことになりそうだ。

生活保護に関する質問に答えない
公明党の不気味な沈黙

 公約では分かりにくい個別政策へのスタンスに関し、数多くの団体が、各政党に公開質問を行っている。生活保護問題対策全国会議も、生活保護政策に関する質問を行った。結果は「生活保護制度に関する公開質問事項及び回答」にまとめられている。質問が送付された政党は、自由民主党・民進党・公明党・日本共産党・大阪維新の会・生活の党と山本太郎となかまたち・社会民主党・日本を元気にする会・日本のこころを大切にする党・新党改革の10政党。うち回答があったのは、公明党・日本を元気にする会・新党改革を除く7政党であった。 

 回答しなかった3政党のうち、公明党の不回答の理由は「ご希望に添えないと思います」。かつて「福祉の公明党」とまで呼ばれた公明党の沈黙に、私はなんとも不気味なものを感じる。公明党の「2016年参院選の重点政策 希望が、ゆきわたる国へ。」には、「3.安心できる社会保障実現へ」と社会保障に関する独立した章が設けられているのだが、生活保護については一言も言及がない。「生活保護は、他の社会保障政策のための取引材料という位置づけ?」と勘ぐりたくなってしまう。

 生活困窮者支援に関しては「2.若者・女性が活躍できる希望社会へ」の「10.寄付文化などの推進」という節に「寄付文化を推進」「毎年600億円程度の金融機関の休眠預金を、子ども・若者・生活困窮者支援(略)NPO等の活動の支援に」という記述があるのみだ。生活保護政策については、「ご希望に添えないと思います」という前記回答のとおり、公明党に何も期待すべきではないのだろうか?

 なお、日本を元気にする会・新党改革に対しては、生活保護問題対策全国会議が電話で確認したものの、回答は得られなかったということだ。

生活保護と科学技術政策と「私たちの明日」
各党のスタンスを評価してみた

 どの政党に・誰に投票すべきか、なんとも悩ましい今回の参院選。私は、各党の公約や公開質問への対応をもとに、独自の判断基準により、各党の政策を評価してみた。評価にあたっては、前述した生活保護問題対策全国会議の公開質問および回答、および「サイエンス・サポート・アソシエーション」の公約チェック・「サイエンス・トークス」による各政党へのアンケート調査結果を参考にした。

 社会保障の維持・充実にあたって、「裏付け」となる財源が必要なのは間違いない。

 赤字国債は、発行せずに済むなら発行しないほうがいい。実際のところ、赤字国債がどの程度の問題であり、いつまでにどの程度解消される必要があるのかについては、立場や方法によってさまざまな説が導き出されている。どの説が最も信頼に足りるのか、私には今のところ判断できない。

 いずれにしても、赤字国債に依存しないとすれば、産業による生産は必須である。産業による生産を維持するためには、科学技術政策や教育に一定の予算注入が行われ、一定のレベルが維持されることが必要だ。そのためには、低所得層・低学力層も含む日本全体の「知の生態系」を、健全に維持する必要がある。このことは、短期的な生産にはつながりにくいが、長期的に「衰退を緩やかにする」「少しずつでも向上する」という結果を必ずもたらす。「知の生態系」に対する態度を総合的に評価するならば、科学技術政策を人文社会科学も含めて見るのが最も手っ取り早い。

 しかし、いかに結構な政策を掲げていても、実現しないのであれば意味は薄い。そこで、現在の政府方針との整合性の程度も評価した。もちろん、整合性が高ければ高いほど実現されやすいであろう。整合性が低い場合、実現させるためには「候補者を参院に送り出す」以後にも不断の努力が必要になるだろう。現在の政府方針の資料として参照したのは、2016年5月18日に発表された財務省「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」、および、2016年6月2日に発行された「骨太の方針2016」の2点だ。ちなみに自民党の公約はほとんど、公明党の公約は概ね、政府方針そのものである。

 各政党の方針から、貧困解消・格差解消(生活保護・科学技術政策)・不透明な将来への耐性・政府政策との整合性 の5点を評価したのが、下記の表だ。「−」は「無回答」あるいは「記述なし」を示す。


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 敢えて、総合評価は行わなかった。「格差解消なしの貧困解消を考えているか? それは実現できそうか?」「格差について、生活保護と科学技術政策で異なる意見を持っているか?」「実現可能性と考えあわせたとき、どの程度安全か? どの程度危険か?」など、読者の皆様それぞれに、ご自分の投票を考える参考としていただければ幸いである。

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