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生活保護者の集いコミュの生活保護でパチンコ禁止にみる「正しい貧乏人」のあり方

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http://ironna.jp/article/3031

北条かや(著述家)

 厚労省によると、昨年末時点で生活保護を受けている人の数は「216万5585人」。前月より1210人増えた。ただ、雇用が改善しているためか、受給者数は前年と比べて4576人減っている。アベノミクスが成功したかは別として、生活保護を受ける人の数は、「景気と連動して減る」。

 一方、生活保護を受ける「世帯数」は増えた。昨年末時点で「163万4185世帯」もあり、前月より1965世帯増加。前年同月からは、1万5989世帯増えている。高齢化で一人暮らしのお年寄りが増えたためだ。自治体の福祉関係者が増員された、という話は聞いたことがないので、職員1人あたりが対応する「世帯」は、むしろ増えているのだろう。そんな中、大分県で「生活保護費を使ったパチンコ禁止」をめぐるニュースが話題を呼んだ。今回は、その是非から、私たちのなかにある「正しい貧乏のあり方」について考えたい。

「健康で文化的な最低限度」を一律に決めるのは不可能

 大分県別府市では昨年10月、パチンコ店や競輪場に「受給者がいないか」巡回調査を実施。2回以上、こうした遊戯場に出入りした受給者9人に対し、「医療扶助(医療費の補助)」以外の生活保護を1〜2か月、取りやめた経緯がある。中津市でも同様、月に1回パチンコ店などをチェックし、バツとして受給者4人の支給を減額していた。別府市では、保護受給者に対し、「遊技場(パチンコ、競輪場など)に立ち入る行為は、浪費を助長するため、慎む」との誓約書や指示書もあったようだ。それでも、ギャンブルにハマる人はやってしまう。

 「生活保護法第60条」には、「収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない」とある。これが「パチンコ禁止」を正当化できるか。大分県や厚労省は「できない」とみたようだ。

 今年2月と3月には、大分県が別府市と中津市に指導。今年度からは、巡回は続けるものの、生活保護費の停止・減額措置は行われないことになった。巡回は行われることから、「バツを伴わない生活指導」の意味合いが強くなると思われる。

 憲法第25条には、私たち国民が、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」をもつと書いてある。が、国も自治体も、受給者がパチンコで「遊ぶ」ことを「健康で文化的な最低限度の生活」とは、あまり認めたくないようだ。だからといって国家が、どこまでが「健康で文化的な生活」なのかを決めることには、ファシズム的な危うさが漂う。

 生活保護費で春画展を観に行くのはどうなのか。マッサージや飲酒は?ピンサロやデリヘルなど、性風俗店は?女性なら、ホストクラブはダメなのか?すべての価値観には、「自由」が先行する。だから国は、「健康で文化的な最低限度の生活」を、線引することが原理的にできない。個々の受給者に対し、「あなたは最近、パチンコをしすぎですよ、依存症の可能性があるから一緒に治療しましょう」とはいえても、生活保護法に「すべての受給者はギャンブルをすべきでない」とは、決して書けない。それが民主国家ということだ。

それでも高まる「なぜギャンブルが許されるのか」

 それでも、私たちの心にはわだかまりが残る。なぜ、頑張って稼いだお給料を税金にとられ、その一部が(ほんの一部だとしても)ギャンブルに使われるのか。生活保護を受ける人は「かわいそう」だけど、遊びに使うお金まで支援してあげるほど、こっちだって余裕はない……ネット世論をみれば、「生活保護費をギャンブルに使うなんて言語道断」とか、「パチンコや競馬に、生活保護費を使い込んでしまうような人物だから、生活保護から抜け出せないのだろう」「いや、抜け出す気もないのか?」など、さまざまな声が見つかる。「巡回調査を強化すべき」という人もいる。

 生活保護にかかるお金は、毎年3.8兆円と膨大だ。その6割は医療扶助などの「医療費」が占める。本来、メスを入れるべきは「ギャンブル」ではなく、ここ(ムダな薬の出しすぎなど、医療費の削減)なのだが、なぜか問題は「パチンコ禁止」へと向かう。病人への医療支援には、倫理的な後ろ盾があるから批判しにくいのだろう。「お金が払えない人に医療費を扶助するのは仕方がない」が、「お金がない人がギャンブルをするのは許せない」。

 ここから見えてくるのは、私たちがもつ「正しい貧乏人のあり方」だ。病気や事故、家族の不幸などで働けず、国の支援を受けている人は、「かわいそう=正しい貧乏」。対して、貧しいのに遊んで暮らしている(ようにみえる)人は、「許せない=悪い貧乏」。本来は両者とも、同じ貧困層のはずだ。しかし、この倫理の線引きがあるために、私たちは生活保護費の6割を占める医療費にメスを入れようとしない。議論しようともしない。「よい貧乏、悪い貧乏」のイメージがあるかぎり、「保護費でパチンコ問題」は、定期的にニュースを騒がせるだけだろう。本当の問題は、もっと別にある。

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