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生活保護者の集いコミュの生活保護受給者の“リアル”を描く〜話題の漫画『健康で文化的な最低限度の生活』

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http://healthpress.jp/2016/02/post-1264.html

パチンコなどのギャンブルが生活保護法に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」に必要かどうか――。

 まさにこのキーワードをタイトルにした漫画がいま注目を集めている。先頃、第3巻が発売された柏木ハルコの『健康で文化的な最低限度の生活』(小学館)だ。

 この作品の主人公は、東京都の東区という架空だがどこにでもありそうな区の区役所に新人として勤務した「義経えみる」。最初の配属で福祉保険部生活課に任命された彼女は、生活保護に関する業務にあたるケースワーカーとして歩み始めることになる。

 役所のケースワーカーとしての仕事は、生活保護申請者との面談や調査、受給者宅の訪問や相談業務など多岐にわたる。着任早々、110世帯分のケースファイルを担当世帯だと言って渡されたえみるは、保護費の複雑なシステムと、なにより各家庭の抱えるディープな事情に圧倒される。

 空気が読めないキャラだと自分のことを思っていて、ただでさえ自分に自信のないえみるに、ショックな事態が起こる。電話で「自殺します」と伝えてきた受給者が、本当に自殺してしまったのだ。

 事後処理のためにその受給者の部屋を訪れたえみるは、そこにあった写真や本、整理された書類等を見て、そこに確かにひとつの生活があったこと、その人なりに生きる努力をしていたことを知る。だが、このような担当ケースの死はケースワーカーにとっては日常であり、日々乗り越えていかなければならないものなのだ。

漫画で描かれる生活保護受給者それぞれの人生

 役所の職員で、生活保護のワーカーほど頻繁に市民の家に上がる職種はない。生活保護の申請では、これまでの経歴や家族関係を聞き出すことになる。ひとりひとりの人生と深く関わる仕事なのだ。

 この作品にはさまざまな生活保護受給者が登場するが、それぞれの風貌や服装、体型、言葉遣いや表情、そして雑然とした部屋の様子などが、実にリアルに描き出されている。巻末には多くの取材協力者の名前が記されており、ケースの細部にも入念な取材の成果が取り入れられていることが伺える。

 保護費を受け取っていながら働いて得たお金を申告せず使っている「不正受給」。裕福な親族がいるのに生活保護を申請する……。いずれも、報道で伝えられるとネットなどで批判のコメントが書き連ねられる事例だ。

 この漫画には、まさにそういった事例が登場するが、実際に登場人物たちの顔を描き出して綴られるその物語には、異なった印象を持つだろう。

 つつましい暮らしのなか、自分が頑張ってバイトしたお金でギターやCDを買った高校生が、そのバイト代を返還しなければならないと分かった時のショック。高校生が保護制度をきちんと理解していなかったことと、果たしてどこまで責められるか。

 あるいは、追いつめられた生活の中でも、絶対に父親には扶養照会(生活を援助する意志があるか問い合わせること)をしてほしくないという青年の心のなかには、どんな葛藤が隠されているのか──。

生活保護の現状を知るための格好のテキスト

 登場人物の顔が生き生きと描写されることで、生活保護受給者と一口にいっても、それぞれの人がみな十人十色の背景を抱えている、という当たり前だが忘れられがちなことが、しみじみと伝わってくる。

 いつも悩んでばかりで頼りなげな主人公・えみるも、巻数が進むに従い次第に成長していき、第3巻では真面目で優秀な同僚が聞き出せなかった受給者の悩みをあっさりと打ち明けてもらえる一幕も。生活保護の現状を知るための格好のテキストとも言えるこの作品。これからはどんな問題を俎上に載せてくれるだろうか。


里中高志(さとなか・たかし)
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉士。フリージャーナリスト・精神保健福祉ジャーナリストとして、『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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