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生活保護者の集いコミュの生活保護世帯受け入れに動き出した大家たちの挑戦

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http://diamond.jp/articles/-/76296 ダイヤモンドオンライン
生活保護のリアル みわよしこ

生活保護利用者の住まい探しは、高齢・障害・傷病・ひとり親といったハンディキャップに、さらに生活保護への偏見と知識不足が加わるため、困難かつ不利になりやすい。

この問題を解決したいという思いのもと、「大家さん」たちが動き始めた。

「生活保護の住」の悲劇をなくす?
大家さん向けガイドブック


「ちんたい協会」が提供しているガイドブック。生活保護利用者・高齢者・ひとり親・被災者・外国人など、特別なニーズやハンディキャップを持つ人々に対する住宅供給に取り組んでいる。この他に、空き家問題に関するガイドブックもある
 7月、アパート経営者、すなわち「大家さん」の団体である公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会(以下、ちんたい協会)による「生活保護受給者に民間賃貸住宅で安心した生活を送っていただくためのガイドブック」が公開された。このガイドブックは、5月に起こった川崎市の簡易宿泊所火災をきっかけとして、厚労省・国交省の協力と内閣府の後援のもとで作成された。

 生活保護の「住」を考えるとき、最初の、そして最大の問題点は、現在のところ「住むことが可能かどうか」である。ある不動産業者は、生活保護利用者の家賃滞納リスク・失踪リスクを、

「一般のお客さんでは100人に1人か2人くらいだけど、生活保護を利用しているお客さんでは100人に5人くらい」

 と語る(本連載 政策ウォッチ編・第69回)。

 さらに近年の生活保護利用者の増加の背景の一つは、高齢化の進行に伴う低年金・無年金高齢者の増加でもある。2015年5月、生活保護世帯のうち高齢者世帯の比率は、49.1%であった(厚労省・被保護者調査(2015年5月分概数))。

 人員ベースでは、生活保護利用者に占める65歳以上の比率は、2011年に53.3%となっている。高齢の生活保護利用者に対しては、家賃滞納リスク・失踪リスクに加え、高齢化に伴う認知症などの疾患がもたらすリスクや死亡リスクもある。アパートの経営者が個別に対応するのは困難であろう。そこに生活保護へのスティグマが加われば、生活保護利用者の「住」の選択肢はますます狭くなる。このことは、本来「住居」と考えられるべきではない劣悪な「住」を生活保護利用者たちにもたらす。そこに何らかの不運が重なれば、2015年5月に発生した川崎市の簡易宿泊所での火災に見られるように、生命まで奪われることにもなる(本連載第10回)。

 生活保護利用者が「普通のアパート」で容易に暮らせるようになれば、このような悲劇が減らせることは間違いないだろう

生活保護特有のリスクに対しても対応
充実してきたサービスや保険


「ちんたい協会」本部事務局入り口に掲げられた看板。東京駅すぐそばの事務所は、霞ヶ関の官公庁へのアクセスにも便利
 ちんたい協会・本部事務局長の稲本昭ニさんは、

「川崎の、18人の方が死傷された、あの簡易宿泊所の火災の数日後、国交省の住宅局長さんと私どもの会の代表が、別の用件で意見交換する予定だったんです。その意見交換のとき、住宅局長さんは開口一番、『大家さんの会として、生活保護の方にお部屋を貸していただけませんか』と。その依頼を受けて、急遽、このガイドブックを作成することにしました」

 と語る。

 そもそも、なぜ、違法建築の簡易宿泊所に、多数の生活保護利用者が居住していたのか。それが問題だ。

「あの簡易宿泊所は1泊2000円でしたから、1ヵ月あたり約6万円です。川崎市内で『家賃6万円』といえば、結構、良いアパートに入れるんです。物件はあります。ところが大家さんが、生活保護の方を受け入れたくないんです」(稲本さん)

 生活保護利用者が実際に入居するとなると、原則として生活保護の住宅扶助(家賃補助)の上限額以下の物件を選択することになる。川崎市の単身者では5万3700円だ。その金額でも、「まあまあ」の物件は多数存在する。大家さんたちが生活保護利用者を受け入れたくないのは、家賃滞納や高齢による孤独死などのリスクが現実に存在するからである。そこに、生活保護に対する偏見や知識不足も加わる。

「でも、大家さんたちの『生活保護だから』という心配には、今は対策があるんです。家賃滞納リスクが心配なら、家賃を福祉事務所から直接、代理納付してもらうことができます。それに、家賃債務保証サービスを有償で利用することもできます」(稲本さん)

 孤独死リスクに対してはどうだろうか?

「生活保護の方は、親族を保証人や緊急連絡先に出来ない場合が多いわけですが、保証人代行サービスもありますし、緊急連絡先代行サービスもあります。保証人代行サービスが、緊急連絡先代行サービスも提供している場合もあります」(稲本さん)

 もちろん、孤独死しているのが発見された後で緊急連絡先への連絡が必要になるという状況の発生は、最初から予防するに越したことはない。

「乳製品飲料会社の定期配達に安否確認をセットにしたサービスもあります。また、保証人代行業者が、定期的に電話をかけて状況を把握するサービスを提供している場合もあります」(稲本さん)

 それでも、孤独死してから発見されるリスクをゼロにすることはできない。このリスクには、どのように備えることが可能だろうか?

「遺品整理、埋葬、部屋の原状回復が必要です。埋葬については、生活保護の葬祭扶助があります。その他の費用には、火災保険と家財保険で備えることになります。保険料は2年間で1.5万円程度です」(稲本さん)

 届け出や手続きに必要な手間・時間は「大家さんの仕事」に含まれるとして、気になるのは原状回復の費用だ。

「ただ単に『亡くなっていた』という場合、ご遺体を運び出し、遺品を整理して原状回復をすれば済む場合の費用は、10万円程度です。夏場、ご遺体が腐敗していたりすると、畳や床の取り替えに数十万円かかることもあります。もしも腐敗が進んで、床下のコンクリートにまで『染み込んで』しまっていたら、100万円では済みません。でも最近、孤独死していた場合の原状回復費用に対して、『上限100万円』という家財保険も出てきました。生活保護の、特に高齢の方に特有のリスクに包括的に対応する保険は、まだありませんが」(稲本さん)

 家賃は確保できる。緊急連絡先や保証人も、代行サービスによって確保できる。孤独死にも保険で備えることができる。ならば、リスクへの懸念から生活保護利用者の入居を拒む必要性は、かなり小さくなるだろう。残るのは偏見の問題だが、ガイドブックには「家主さんへのお願い」として、

「住まいの安定・安全・安心の実現に向けた社会貢献活動のひとつとご理解いただき、生活保護受給者の居住の確保にご協力いただけませんか?」

 とある。「想定されるリスクに備える仕組みを活用できるのであれば『社会貢献活動』を検討してみてもよいかもしれない」と考えはじめるアパート経営者は、少なくなさそうだ。

空き室問題の解決に
つながる可能性も


(公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協会)サイトのトップページ。「大家さん」の仕事が、単に賃貸むけ物件を提供することにとどまらず、行政・地域社会など幅広いつながりのもとに成立していることが読み取れる
拡大画像表示
 さらに、この試みは、アパート経営者の悩みを解決する可能性もある。

「アパートは、今、全国平均で22〜23%が空き部屋なんです。入居者ゼロになる可能性のあるアパートもあります。でも、入居者ゼロのアパートを『放置アパート』にしてしまうと、家賃収入がなくなるだけではありません」(稲本さん)

 2014年11月、「空き家特措法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」が公布され、2015年5月より全面施行されている。

「『放置アパート』は、空き家特措法の対象になります。行政代執行で解体、過料の支払い、ということになります。『それなら、補助金をいただいて、適切な改修をして、生活保護の方に入っていただいたら?』と」(稲本さん)

 国土交通省の「あんしん居住推進事業」では、アパートのバリアフリー改修工事・耐震改修工事・入居者の居住の安全確保を図るための改修工事に対し、アパート一室50万円を上限として、費用の3分の1が助成される。

「いただく家賃と投資する改修費を考えれば、空き室のままにしておいたり、『放置アパート』にしてしまって解体することになるよりは良いはずです。今後15年くらいの、大家さんたちの収入の安定にもつながります。でも、30年とはいかないでしょうね。日本の人口が減っていますから」(稲本さん)

「アパート経営」ビジネスを通じて
社会的課題の解決へ

「住」の確保は、さまざまな可能性を生み出す。

「今、生活保護受給者のうち、住宅扶助を利用している方は185万人くらいです。その方々が仕事を探すには、まず住民登録、住民票が必要です。でも簡易宿泊所のような仮住まいでは、住民登録ができないんです」(稲本さん)

 ホテル・旅館・簡易宿泊所・ウィークリーマンションなどの一時宿泊施設、ネットカフェや『脱法ハウス』のように宿泊施設でさえない施設、会社の事務所などを「住所」として住民登録を行うことは、原則として不可能だ。簡易宿泊所を「住所」とした住民登録を可能にしている自治体もあるが、あくまで、その自治体の独自判断である。

「生活保護の方が、ちゃんとアパートに入居できて、住民登録ができて、住民票も取れるようになれば、仕事探しへの支援もできることになります。だから『社会貢献』なんです。『部屋が余っているから貸してあげる』という発想は、よくありません。だから、ガイドブックで生活保護の『住』のルールを示して、利用できるサービスも示して『大家さん安心でしょ、だから貸してあげましょうよ』という呼びかけをしたわけです」(稲本さん)

 今後、どのような展開が期待されるだろうか?

「貧困ビジネス・ネットカフェ・簡易宿泊所など、本来は住居ではない、ましてや福祉事務所が紹介すべきではないところに住む生活保護受給者が減り、『住まい』といえる住まいに住む受給者が増えます。すると就労活動もしやすくなるので、納税者が増えます。このガイドブックには、受給者の生活レベルが上がったり改善されたりして、受給者が納税者になれる仕組みを世に提示するという意義があると思います」(稲本さん)

 住だけでは、雇用にはつながらない。生活保護を必要とする人々のほとんどは、身体的には健康であっても、何らかのハンデを抱えている。まず、ハンデを抱えた人々に対する雇用状況の改善が必要であろう。しかし「健康で文化的な住」の確保は、何にも優先されるべき目の前の課題だ。

「ガイドブックを作ったことを発表した直後から、全国の福祉事務所から、『どうすればお部屋を紹介してもらえますか』という問い合わせをいただいています。今年10月からは、『生活保護 母子』というふうに検索すると大家さんの了解を得た物件が表示される検索サイトを、自治体で使ってもらえるように準備しています」(稲本さん)

 川崎の簡易宿泊所の火災では、定まった住所のない生活保護受給者に対し、福祉事務所が簡易宿泊所を紹介していたことも問題とされた。しかし、生活保護利用者の入居可能なアパートを容易に探せないことが、そもそもの原因である。

「自治体も福祉事務所も、大家さんも、受給者も困っている状況を、少しでも良くしようと思って活動しています。『貧困ビジネス』で目的外の「住居」を提供するような悪い業者さんは、儲からないほうがいいんです。悪い業者さんのお客さんが減って、良心的な人たちのお客さんになるという流れができて、回ればいいと思っています」(稲本さん)

 営利を目的としたビジネスは、ニーズに応じることの連続によってしか継続できない。社会的弱者のニーズに対し、正当なビジネスとして、より多くの選択肢を提供する方向性には、今後も数多くの可能性がありそうだ。

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