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生活保護者の集いコミュの家賃滞納や夜逃げ、高齢者の孤独死… 不動産業者から見た生活保護の「住」リアル

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http://diamond.jp/articles/-/56299  みわよしこ

生活保護利用者のアパート家賃が高くなりやすいという事実は、「住宅扶助基準を引き下げるべき」という主張の根拠となっている。その背景には、生活保護利用者に対する入居差別や、生活保護利用者が抱えていることの多いリスクがある。では、背景となっている「入居差別」「リスク」の問題そのものを解決できる可能性はないだろうか? 具体的な状況を熟知した不動産業者からは、何が生活保護の「住」の問題に見えるだろうか?

アパートの家主たちは
生活保護利用者をどう見ているか

 2013年7月に始まった生活保護費の生活扶助引き下げに続き、現在、社会保障審議会・生活保護基準部会では、住宅扶助に関する議論が続いている。委員たちの多くは単純な引き下げには反対する立場だが、厚労省の用意した資料からは、「引き下げたい」という意向がありありと感じられる。

 その背後には、財務省の「住宅扶助は高すぎる」という意向がある。根拠とされているのは、

「生活保護利用者は、住宅扶助の上限額(東京都で、単身者に対して5万3700円)に近い賃貸住宅に住んでいることが多い」

 という調査結果である。

 生活保護の「住」が割高になる背景には、「入居差別」がある。割高な家賃を支払わなければ、生活保護利用者が住居を探すことは困難という事実がある。そもそもなぜ、生活保護利用者は入居差別に遭うのだろうか?

 不動産業者のKさんは、

「生活保護を利用している方が賃貸物件に入居しづらいのは、リスクが高いからです。滞納、夜逃げのリスクは高いですね。生活保護を利用していない方の中にも滞納したり突然いなくなったりする方はいるのですが、私の勤務している会社で仲介した方の中では100人に1人か2人くらいです。生活保護を利用している方だと、100人のうち5人くらいにはなります。高齢の方だと、さらに死亡リスクがあります」

 という。5%が滞納または夜逃げとは。これは、考慮しないわけにはいかない大きなリスクだ。

「だから、管理会社は貸したがらないんです」(Kさん)

 生活保護利用者の家賃は、福祉事務所が「代理納付」することができる。福祉事務所が家主に直接支払う制度だ。これを利用することはできないのだろうか? そもそも住宅扶助は、住宅の現物を給付する制度である。筆者には、代理納付のほうが本来の趣旨にかなっているように思える。Kさんの意見はどうだろうか?

「家賃の代理納付は、市区町村によって、やるところとやらないところがあります。私も、最初から代理納付にした方がいいと思っています。ただ代理納付は本来、障害などのため、銀行や大家のところまで支払いに行けない方のための制度だったんです」(Kさん)

 代理納付を積極的に行っている自治体が理由としているのは、「本人に現金で渡すと、他の用途に使われてしまう可能性があるから」ということであったりする。実際にそういう事例も存在することが、生活保護を利用する必要に迫られた人々の自尊心を傷つける形での代理納付推進の理由とされてしまう。この事実を知っている筆者自身は、積極的に「住宅扶助は現物支給なのだから代理納付」とは言いにくい。

 制度がどのように運用されるべきかを考える前に、家主にとっての「リスク」の実際を見てみよう。

孤独な高齢者の死亡は
なぜ「リスク」になるのか

 ここ数年、生活保護世帯の約半数は高齢者世帯である(高齢者世帯 2011年に 42.6%)。しかも単身高齢者が多い(高齢者世帯のうち単身世帯の比率 同年に 89.7%)。

 この人々の異変は、「異臭がする」「郵便物や新聞が取り込まれていない」という形で認識されることになる。誰かが「もしかすると、亡くなっているかもしれない」と家主に知らせ、もしくは家主自身が「亡くなっているようだ」と気づいた後は、どのような流れになるのだろうか?

「基本的には、大家が警察に連絡し、警察が鍵を開けます。現場検証が行われた後、遺体が搬出されます」(Kさん)

 葬式はどうなるのだろうか?

「福祉事務所が、火葬場の手配までします。生活保護では、火葬するだけの葬儀しかできませんけど。家族と連絡がつくようなら、家族が葬儀に立ち会うことがあります。連絡がつかなければ、火葬だけです」(Kさん)

 担当ケースワーカーの立ち会いくらいはあるのだろうか?

「いえ、福祉事務所は立ち会いません。誰も来ずに火葬される場合もあります。私は、入居をお手伝いした方の火葬に1人で立ち会ったことがありますけれども」(Kさん)

 この後、家主には「修復して次の入居者に貸し出せるようにする」という大きな負担が発生する。

「亡くなった方が腐敗していた場合には、少なくとも床の張替えと特殊クリーニングが必要です。ワンルームや1Kですと、床の張替えに10万円、特殊クリーニングに10万円程度です。さらに家主さんがお祓いをされることも多いんです。お祓いには40万円〜50万円が必要です。これが全部、家主さんの負担になります」(Kさん)

 もちろん、部屋数の多い物件では、床の張替え・クリーニングの費用は面積に比例して増加する。しかしKさんによれば、生活保護の「住」は2DKが精一杯である。さらに、家族がいれば孤独死の可能性は少ない。

「死亡などのリスクに備えるために、家賃を割り増しする家主もいます。東京都内で、通常は4万円や5万円の家賃の物件を、住宅扶助の上限額ギリギリの5万3700円にするという形です。私は仲介するとき、『そういう考え方の家主さんなので』と、ご本人や福祉事務所の方に言うようにしています」(Kさん)

 保険で備えることはできないのだろうか?

「生活保護利用者の方の持つリスクに対して、完全に対応する保険はありません。最近、入居時に借主が入る保険に孤独死に対応する保険を付帯させたものが、2社か3社から出ましたけれども」(Kさん)

 少なからぬリスクがあり、しかも保険によってもカバーされないとなれば、「入居させたくない」と家主が考えるのは自然かもしれない。

「そうですね。入居時点でリスクが高いので貸したくない、という大家さんが多いです。大家さんが高齢だと、世間体の問題もあります。入居者の勤務先を気にしたりとか。リスクと世間体の2点で、貸したがらない大家さんが多くなっている感じですね」(Kさん)

 だから、生活保護利用者の家賃は割高になり、次に割高になったことが問題とされて住宅扶助の引き下げが議論されるという図式になる。まず、「入居差別」の問題が解決されれば、家賃が割高になることもないのではないだろうか?

「そうなんです。行政、福祉事務所の方で、大家さんが安心できるように対応すれば、生活保護の方はもっと入居しやすくなると思います。孤独死リスクについては、役所の方が訪問回数を増やすことが最も良い解決策になると思います。特に高齢者の場合、『週に1回は訪問する』というような対応をしなくてはいけないのではないでしょうか」(Kさん)

生活保護利用者を対象にしたくない
不動産業者の事情

 生活保護利用者が住まいを探すにあたってのハードルは、家主による入居差別の問題が発生する前にも存在する。生活保護利用者に対しては、賃貸物件の仲介を行わない不動産業者も少なくない。

「一般的には、まず物件データベースを検索して、入居していただけそうな物件をリストアップします。それから、その方をご案内します。一日でご案内できるのは3件、多くても4件です。ヘタすると一日仕事です。その4件の中に『ここにしたい』という物件があれば、家主さんに連絡を取って『生活保護なのですが』と相談します。家主さんのご理解がいただければ、それで決まります。場合によっては、家賃を割り増ししてほしいというお話になることもあります。でもご理解がいただけないことも多々あるでしょう。そうすると、また物件探しから始めることになります。ビジネスとしては、苦しいものがあります」(Kさん)

 Kさん自身は、そういう困難には直面していないのだろうか?

「私は、ご理解いただける大家さんの物件だけを紹介するようにしていますから。物件自体はありますし」(Kさん)

 住宅扶助の上限額は、家賃が5万3700円(東京都)。さらに敷金・礼金は、一時扶助の上限額である27万9200円までの範囲で支払うことができる。

「礼金2ヵ月分・敷金2ヵ月分・保証料まで含めても大丈夫ですね。ただ、これは単身者の場合です。複数世帯でも同じ金額です。住宅扶助の上限額以下の物件は広くても2DKですけど、初期費用がこの範囲に収まる物件は非常に探しにくいんです」(Kさん)

 Kさんは、そこにビジネスとしての可能性を見出している。

「誰もやりたがらない分野を狙ったほうがいいと思ったんです。私はあくまで、ビジネスとしてやっています。実際にはボランティア半分、ビジネス半分くらいになってしまいますけれども」(Kさん)

障害を持つ生活保護利用者は
なぜ住居を探しにくいのか

 障害を持つ生活保護利用者に対しては「住める物件が見つかりにくい」という問題がある。障害者に対しては、住宅扶助に特別基準があり、障害のない場合の1.3倍の家賃の物件に住むことができる。東京都では、特別基準の金額は6万9800円だ。

「でも今、特別基準はなかなか認められないですよ。軽い運動障害だと、まず認められません。屋内でも車椅子を使う必要のある方でも、認められない場合があります。高齢者で、若干足が悪くなっていて、エレベータつき物件が必要な方は多いんですが、それもかなり悪くないと認められません。普通に足引きずって歩けると『じゃ、歩けるでしょ』と。なるべく、お金を出さないように出さないようにするのが役所ですから」(Kさん)

 その特別基準を認められたとしても、物件は簡単には見つからない。

「車椅子を使う方の場合、基本的に日本の住宅は車椅子仕様になっていないことが問題になります。単身者向けの賃貸住宅には、まずありません。ファミリー向け物件で『家族に車椅子使用者もいる』という設定だと、家賃20万円くらいの物件があったりするのですが、単身の障害者向けの賃貸住宅って、ありませんから。大家さんは、そういう人のために物件を作っているわけではないです」(Kさん)

 そもそも単身者向けの住宅では、車椅子利用者にとっては面積がどうしようもなく不足していることが多い。最低でも「キッチン(4畳半)・居室(4畳半+6畳)」程度の面積は必要なのだが、通常、このような物件は「単身者向け」とは考えられていない。

「車椅子を使う単身の方が住める物件は、日本にはほとんどないと思います。公営住宅や障害者施設に判断して入れるしかないと思います」(Kさん)

しかしながら、外出時には全面的に電動車椅子に頼っている障害者でもある筆者としては、「障害者だから公営住宅しかない」「障害者だから施設しかない」という状況は、到底認めることができない。「障害者だから、特定のスタイルの住居や生活様式を強制される」ということは、2014年1月に日本政府が批准した「障害者の権利に関する条約」に対する明確な違反である。また、この条約の批准に先立つ国内法整備の一環として成立した「障がい者差別解消法」においても、きわめて不明瞭な形ではあるけれども、解消すべき問題とされている。では、誰が解消するのか。家主や不動産業者の努力で解消できる問題ではないことは明らかだ。

「そうですね。住宅扶助を上げ、改装費を出す。あるいは、賃貸住宅を借り上げて提供する。行政は、そこまで責任を持つべきだと思います」(Kさん)

住宅扶助は合理的に
「見直し」される必要がある

 しかしKさんは、住宅扶助に対して、単純に「下げてはいけない」「上げるべき」と考えているわけではない。

「現在の住宅扶助は、細分化があまりにも足りないと思います。家族構成として考えられているのが、単身と2〜7人。複数世帯に対しては2人でも7人でも同じ基準なんです。東京都では6万9800円。この家賃では、7人住める住まいは、まず見つかりません。あるとすれば奥多摩の山の中で、大家さんが『空いてるから住んでいいよ』と言ってくれるようなケースでしょうね」(Kさん)

 さらに無視されてはならないのは、家族構成の問題だろう。2人世帯でも、「高齢の夫婦」「健常者の妻と障害者の夫」「高齢の親と稼働年齢の子」「稼働年齢の親と未成年の子ども」など、多様なバリエーションがある。

「複数世帯の区分は、もっと細かくされるべきだと思います。夫婦なのか、夫婦+子どもなのか、ひとり親と子どもなのか。子どもがいれば、人数・年齢・性別はどうなのか。私たち不動産業者の立場からは、夫婦だけの世帯と子どものいる世帯では、探す物件が最初から全然違います。また、複数世帯に対する住宅扶助の基準自体は、全般的に上げるべきだと思います。地方都市では、単身者向けの賃貸住宅の相場が住宅扶助より低い場合もあります。そういう地域では、単身者の住宅扶助基準は下げて、複数世帯は上げていいと思うんです」(Kさん)

 少なくとも現在の、都道府県単位での住宅扶助基準の設定は、現状に則しているとはいえないだろう。

「区分は、基本的に全部見直すべきだと思います。家族構成だけではなく、地域の区分も。市区町村ごとに住宅扶助基準を決める必要があると思います。広い自治体は、3つくらいに分けていいと思います。たとえば東京都練馬区には、福祉事務所が3つあります。福祉事務所の管轄地域ごとに住宅扶助基準を決めていいと思います」(Kさん)

 障害を持つ生活保護利用者の住については、どうだろうか?

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