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生活保護者の集いコミュの生活保護は「恩恵」と発言した厚労相と 低所得層の実態把握なしに進む衆院予算委への疑念

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http://diamond.jp/articles/-/34900

ダイアモンドオンライン>生活保護のリアル>みわよしこ

013年4月16日に、平成25年度予算案が衆議院を通過した。予算案には、生活保護基準引き下げ方針によって削減された生活保護費が含まれている。

今回と次回は、子どもの貧困問題・生活扶助相当消費者物価指数(生活扶助CPI)をめぐる衆議院予算委員会での議論を中心に紹介する。予算案が衆議院を通過する直前に、どのような議論が行われていたのだろうか? 現政権の閣僚・厚生労働省・総務省などは、どのような認識を表明していたのだろうか?

生活保護基準引き下げに
“ふつうの人”が抱くさまざまな感情

 まず、2013年8月からの実施が予定されている生活保護基準引き下げについて、「世間の声」のいくつかを紹介する。

「生活保護基準が下がるったって、生活保護の人たちが、私たちの払った税金からおカネもらって、働かずに生きていけることには変わりないんでしょ? 減らされるといっても、おカネもらえるだけ、有難いと思ってもらわなくちゃ。ウチからヘルパーを派遣してる生活保護の障害者がいるんだけど、だいたい、ゼイタクすぎるのよ。都営住宅の、ふつうに賃貸で探したら家賃が10万円はかかる、きれいなバリアフリーの部屋に、家賃2万円で住んでるし。で、生活は、生活保護でしょ? 私たち、真面目に働いてるのがバカらしくなるわよねえ」(女性・40代・介護事業所経営)

「恥ずかしながら、ウチの長男は精神的にちょっと弱いところがありまして。高校は、県立の中堅の進学校に進学したんですけど、クラスメイトとの人間関係にちょっと悩んだみたいで。それから不登校になって、そのまま高校を中退してしまいまして。その後、通信制の高校に編入はしたんですけれど、勉強、してるんですかね? ええ、引きこもっちゃってるんです。『生活保護の家庭や貧困な家庭の子どもに高校中退が多い』という話があるそうですけど、年収800万円で専業主婦の妻がいる家庭でも、変わらないんじゃないですか? ウチだって、大変なんですよ」(男性・40代・管理職)

「生活保護基準って、どういうふうに決まっているのか、実は良く知らないんですよね。でも、生活保護の人たちは、正直、『もらい過ぎ』だと思います。ムカつきますね。『ダイヤモンド・オンライン』の『生活保護のリアル』っていう連載は、著者が生活保護基準引き下げに反対なのが気に食わないんですけど、一応、読んでます。確か、厚生労働省に『生活保護基準部会』ってのがあって、そこで、偉い先生たちが議論して生活保護基準を決めるという話なんですよね。『貧乏な人の生活費が1ヵ月にどれくらいか』とか『貧乏な人は、何をどのくらい買っているか』とか調べて、何か難しい計算をした話が出てました。でも、今までと違う方法が出てきた話といえば、その難しい計算くらいでした。

 それから、あの著者が怒ってる『生活扶助相当CPI』っていう、貧乏人の物価は下がっているんだから、というアレ。どっちも、だから『生活保護費を引き下げていい』とまで言えるかどうかは、僕にも良くわかりませんでした。そもそも背景となる調査がちゃんとされているのかどうか、僕も気になってはいるんです。でもまあ、自公政権になったんだから、しょうがないですよね。引き下げに文句言わないでほしいです。生活保護の人たちとか、その人たちを支援している人たちの、自己責任なんですから」(男性・30代・エンジニア)

 いかにも、「あるある感」のある意見ではないだろうか?

田村厚生労働大臣の
ビックリ答弁

 冒頭の女性の意見は、筆者に対して、実際に「当てこすり」としてぶつけられたものである。平日の昼間、貧乏くさい服装で車椅子に乗って街のコーヒーショップなどでノートPCや資料を広げている筆者は、しばしば「生活保護を受給している障害者」と勘違いされてしまうのだ。残り2つの意見は、実際にコーヒーショップや大衆居酒屋で耳にしたことのある会話をもとに創作した。もちろん、以上のような意見を「ネット世論」として目にする機会は少なくないであろう。ネット世論だったら、見なければ済む。コーヒーショップや大衆居酒屋での当てこすりめいた会話だったら、イヤホンを耳に突っ込んで自分の聴きたい音楽を流し、耳を塞ぐことができる。

 しかし、現職の大臣が、国会議事堂の院内で、雑談ではなく公的な議論の場で表明した意見であるとすれば? さすがに、見なかったこと・聞かなかったことにするわけにはいかない。


2013年4月12日、山井和則議員(民主党)の質問に答弁する田村憲久厚労大臣(「衆議院インターネット審議中継」の動画よりキャプチャ)
 2013年4月12日、衆議院予算委員会で、田村憲久厚生労働大臣(自民党)は、生活保護基準切り下げ問題・子どもの貧困問題に関し、以下のように答弁した。

「あの、生保の方々はですね、あの、今回、生活扶助下がりますけれど、それによって、何らかの、今受けておるような、恩典といいますか恩恵が、なくなるわけではないんですよ、これ」(2:50:52)

「生活保護世帯での、高校中退または不登校の皆様方の理由を、若干調べましたけれども、勉強の不振・友人との人間関係がうまくいかないなどの、一般的な学生でもあるような理由でありまして、経済的な理由であるということではなかった、というふうに承知をいたしております」(2:32:50)

「調査と言われても、この資料自体が、まあ、非常に精緻にはしておりません、この(筆者注:厚生労働省の)サンプル調査。で、この1000という数字も、充分ではございません。で、そういうものを仮に使った調査をしたとしても、実際問題、生活保護世帯の消費実態、たとえば都市部に多いですとかね、高齢者世帯が多いというようなものに、そのまま適用できるような物価下落の数字が出てくるとは、われわれ思えませんので。これはなかなか、そのような形で調査をするというものには、値しないのではないかと。このように思っております。さらに申し上げますと、精緻なものを作ったとしても、実際問題、何に活用していくのかという問題があります」(3:15:15)


http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php#library

「衆議院インターネット審議中継」サイト。「ビデオライブラリ」では、審議の生中継だけではなく、過去の審議を見ることもできる
拡大画像表示
 以上は、「衆議院インターネット審議中継」サイトの「ビデオライブラリ」で見ることができる。表情・声調も含め、ぜひ視聴していただきたい。上記発言の末尾に書いた数字は、動画中でそれらの発言が現れる時刻である。

 内容としては、前ページで紹介した3つの「世間の声」と同様あるいは類似の認識・感情を背景に持っている。傍聴していた筆者には、「呆れてモノが言えない」という体感があった。息を吸い込んだ状態で口呼吸が止まってしまい、声を出しづらくなる体感だ。特に、最初の発言に関しては、呆れ、かつ大いに驚いた。ある法曹関係者は「解任請求もの」とまで語っている。しかし日本には、市民が閣僚の罷免を請求するための制度は存在しない。

では、なぜ筆者はこの発言に呆れ、驚いたか。日本国憲法第25条の「生存権」は、基本的人権であって、恩恵ではない。現職の厚生労働大臣が「恩恵」という用語を用いるだけでも問題だ。さらに、生活保護基準が切り下げられ、生活保護費が削減されれば、生活保護当事者の生活・健康維持・ひいては生命に大きな影響が及ぶ。社会保障費削減を国是としている状況で、財務大臣がそのような発言をするのならば、まだ理解の及ぶ範囲だ。しかし、「現在だけではなく未来にわたって、人や暮らしを守る役割を担っている」と自認し、

「ひと、くらし、みらいのために」

 をキャッチフレーズとする厚生労働省のトップの発言として、許容されてよいものであろうか?

 そして問題は、答弁の文言以上に、内容にある。

生活保護費削減でも
子どもの教育への影響はない!?


2013年4月12日、予算委員会で質問する山井和則議員(「衆議院インターネット審議中継」の動画よりキャプチャ)
 前ページで紹介した田村厚労大臣の答弁は、いずれも、衆議院の山井和則議員(民主党)・長妻昭議員(民主党)の質問に対して行われたものである。

 山井議員は、子どもの貧困・住民税非課税限度額の引き下げが低所得層の生活に及ぼす影響について質問した。冒頭、政府側に対して簡潔かつ明快な回答を求め、

「田村大臣、私、もう、この質問、何度も何度も繰り返し、子どもの貧困、生活保護の史上最大の、最大10%、平均6.5%の引き下げについて質問をさせていただいております」

 と発言した。繰り返し、根拠を明確にしての質問を行っているのに、繰り返し、明確な回答が得られていないのである。さらに山井議員は、実際には物価が上昇しているにもかかわらず、「デフレ」による物価下落を理由として生活保護基準の引き下げが行われていることを問題にし、

「国民は生活保護の適正化は求めておりますし、私も適正化はしっかりやらねばならないと思っておりますけれど、『貧困家庭の子どもたちのところを削れ』というふうに思っている人、あるいは、それに連動して『低所得者の給付をカットしたり自己負担をアップさせろ』ということまでは、国民も望んでいないと思っております」

 と補足した。本連載をお読みいただいている読者の方々の多くも、そう考えているのではないだろうか? 

 山井議員は、民主党政権下で復活した生活扶助の「母子加算」について、母子家庭において、実際にどのように用いられ、どのような効果を及ぼしたかを、厚生労働省の調査結果から紹介した。その調査結果によれば、生活保護を利用している母子家庭の母親たちの母子加算の用途は、子どもの教育費(50%)・子どもの学校行事参加費用(50%)を増加させることであったという(複数回答あり)。また、母親たちの62%は、子どもの進学や学校行事への参加について、積極的に・やや積極的に考えられるようになったという。そして山井議員は、生活保護を利用している一母子家庭の母親が「高校授業料無償化と母子加算復活のおかげで、息子は大学に行けました」と喜びを語ったことを紹介した。

そして山井議員は、母子家庭に対する生活保護費削減が、子どもの進学や学校行事参加に影響をおよぼす可能性について、田村厚労大臣に質問した。田村厚労大臣は、

「何度も申し上げておりますけれども」

 と前置きし、

「子どもの数が多い家庭、子どものおられる家庭を含めて、非常に、引き下げ幅が大きくなるではないかとおっしゃられていますが、その部分は、実はわれわれが政権をいただいてから決めたことではなく、民主党政権下で行われた検討会で、議論の中で出てきた結論においてそうなるわけで(中略)、(生活保護費引き下げ幅のうち)デフレ部分は、すべての家庭においてかかるわけであります」

 とし、地域・年齢・世帯人数による生活保護費の「ゆがみ」の是正によって、生活保護世帯間の公平性を図った結果である、と回答した。

 この「民主党政権下で行われた検討会で、議論」とは、政権党がどの党であるかとは無関係に、5年ごとに開催される「生活保護基準部会」のことである。本連載第11回でも紹介したとおり、基準部会報告書は、現行の生活保護制度において、地域・年齢・世帯人数の評価が実態に即していないことを確かに指摘した。そして、「だから生活保護基準は引き下げられるべき」と読めることは、何1つ提言していない。

 さらに田村厚労大臣は、教育扶助・高等学校就学費が引き下げ対象になっていないこと、学習支援などの対応を行なっていること、全体として、子どもたちへの教育は強化する方向であることを述べた。

 では、生活保護引き下げによって母子世帯の生活が苦しくなることの影響は、子どもたちへの教育に及ばないのであろうか? 単純に考えて、生活保護世帯や母子世帯でなくとも、一家の収入が減少すれば、

「両親は深夜、家計簿を見ては暗い表情で何ごとかを相談しており、子どもたちは数多くのことがらを諦めなくてはならず、家庭内の雰囲気がどこかギスギスしはじめている」

 という状況が発生するであろう。そのことが、子どもたちにどのような悪影響も及ぼさないわけはない。

 山井議員も「一家の収入が減る」ことそのものを問題視した。そして、田村厚労大臣に「タテマエの話をしているんではないんですよ」と言い、真摯な回答を求めた。

不登校・高校中退と
子どもの貧困は無関係!?

 次に山井議員は、生活保護世帯で、高校中退率・不登校率が高いことについての質問をした。政府側が用意した調査結果は、匿名のA市の生活保護世帯と全国の比較であり、A市どうし・全国どうしでの比較ではないところに問題がある。田村厚労大臣は、比較対象として不適切なのではないかと留保しつつ、

「高校中退率が2.1倍、不登校に関しては、小学校が5.7倍、中学校が3.9倍、高校が2.1倍」

 と、いずれも生活保護世帯の方が高いことを認めた。ちなみに、A市の生活保護世帯の中学生の不登校率は、10.2%にものぼっている。深刻な事態である。ちなみに田村厚労大臣は、A市どうし・全国どうしでの比較を「難しい」という、その理由を「プライバシー」「世帯のさまざまな理由を知ることが難しい」としている。

 さらに山井議員は、生活保護世帯での高校中退の理由を問題にした。田村厚労大臣は、

「あの、まず、A市での、生活保護世帯での、高校中退または不登校の皆様方の理由を、あの、若干調べましたけれども、勉強の不振、友人との人間関係がうまくいかない、などの、まあ、一般的な学生でもあるような理由でありまして、経済的な理由であるということではなかった、というふうに承知をいたしております」

 と答えた。山井議員は

「中退や不登校が、経済的な理由ではないんだと。そういうタテマエの答弁は聞きたくないんです。経済的理由も関連しているに決まってるじゃないですか。やはり、経済的理由とか、さまざまな問題が複合しているんです」

 と、声と表情に怒りをにじませて語り、

「田村大臣は、日本の国の厚生労働大臣なのですから、そういう、実態と乖離した、タテマエの答弁はやめてほしいと思います。私の知り合いでも、経済的な理由で中退した人、いますよ。いるに決まってるじゃないですか」

 と、田村厚労大臣に自覚を促した。ちなみに、さまざまな要因が関係することがらで理由を調べるアンケートでは、通常は複数回答とする。また、「重要度順に5つ回答してください」という形式であることも多い。この高校中退・不登校の理由に関する調査がそのように行われたのであれば、理由の上位3位は「学業不振」「友人との人間関係」「経済的問題」であるかもしれない。

生活保護当事者の生の声を
田村厚生労働大臣に聞いてほしい

 議論はついで、生活保護基準の引き下げが波及する他制度、就学援助や介護保険料へと移った。ここでも田村厚労大臣は、

「今年度に関しては、影響はしませんよね」

 と述べたものの、今後に関して、

「波及はさせません。就学援助が受けられなくなる人は出ません。介護保険料の自己負担が増額される人はいません」

 と明言することはなかった。

 この議論の中で、山井議員は、低所得層一般の生活が苦しい中で、生活保護世帯に限って、「生活保護基準引き下げ」という形で影響をおよぼすことはイジメや差別ではないかと問題提起した。そして田村厚労大臣は、

「あの、生保の方々はですね、あの、今回、生活扶助下がりますけれど、それによって、何らかの、今受けておるような、恩典といいますか恩恵が、なくなるわけではないんですよ、これ」

 と発言したのである。

 傍聴していた筆者は、

「田村厚労大臣は、困窮者や生活保護当事者、特に生活保護世帯の子どもたちと直接接したことがあるのだろうか?」

 という疑問を持った。あくまでも、見ているものが資料にまとめられた数字でしかなく、生身の人間や暮らしではないとすれば、タテマエではぐらかす意図がなかったとしても、実感をもって本音として語ることは不可能であろう。


厚生労働省内にある、厚生労働大臣プロフィール。田村憲久厚労大臣のプロフィールが、座右の銘「我以外皆我師」とともに紹介されている
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 田村厚労大臣は、厚生労働省のサイト内にある自らのプロフィールで、座右の銘を、

「我以外皆我師」

 としている。もし、過去に生活保護当事者に相対したことがなく、その肉声を聞いたことがないのであれば、「師」として学んでいただくためにも、まずは接していただきたい。

「でも、機会がなくて」ということはないだろう。国会議事堂周辺に並ぶ議員会館では、多様なテーマで院内集会が開催され、政治家たちに学習と交流の機会を提供している。4月25日にも、生活保護問題に関して「緊急院内集会 生活保護引き下げのトリックは見破られた!〜「社会保障生計調査」を隠すのは誰?〜」が開催される。そこでは、生活保護当事者の発言が予定されている。集会後に、直接、接触する機会もあるだろう。その集会では、筆者も「生活扶助相当CPI」に関する発表を行う。自分自身の宣伝ともなってしまい、まことに恐縮ではあるが、ぜひ、田村厚労大臣に出席をお願いしたい。多忙な公務の合間を縫って一瞬だけでも、あるいは、政策秘書を派遣するだけでも。

 次回は、長妻昭議員の質問を紹介する。根拠も論理も何もかも、おそらくは意図的にあやふやにしたまま、2012年5月以来の「生活保護バッシング」の感情論に乗じる形で行われているのが、8月から実施を予定されている生活保護基準引き下げだ。

 日本という国の形・国民生活の根幹を定めているに等しい「ナショナル・ミニマム」、生活保護基準が、このように、ドサクサにまぎれて変動させられてよいのであろうか? 7月の参議院選挙で、現政権に、現在以上の政治力を与えてもよいのであろうか?

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