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生活保護者の集いコミュの「生活保護を受けるのは、あなたが悪いから」 桐生市のあやまち 桜井啓太・立命館大学准教授

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mainichi.jp/premier/politics/articles/20240308/pol/00m/010/006000c

群馬県桐生市の生活保護費不適切支給をめぐり、会見で「納得がいかない」と訴える男性(左)=桐生市役所で2023年11月21日、大澤孝二撮影
 群馬県桐生市が生活保護受給者に1日1000円ずつ生活保護費を手渡しし、全額を支給していませんでした。

 求職活動を支給の条件にし、ハローワークに行ったか確認するため、職員の印鑑が押してある書面の提示を求め、家計簿もつけさせていました。

 なぜこんなことが起こるのか。生活保護ケースワーカーの経験もある、立命館大学准教授の桜井啓太さんに聞きました。【聞き手・須藤孝】

 ◇ ◇ ◇
生活保護バッシングの結果
 ――桐生市だけの問題でしょうか。

 桜井氏 国が厳格化に大きくかじをきった、2013年の生活保護法改正と、その前年12年のお笑い芸人の親族の生活保護受給をめぐるバッシングの影響があります。

 「いのちのとりで」訴訟で問われている13年の生活保護基準引き下げ<生活保護は誰のため 「最底辺であるべき」なのか>と深いところでつながっています。

生活保護費の減額処分取り消しを命じた鹿児島地裁判決を受け、「司法は生きていた」などと書かれた紙を掲げる原告側弁護団=鹿児島市の鹿児島地裁前で2024年1月15日、梅山崇撮影
生活保護費の減額処分取り消しを命じた鹿児島地裁判決を受け、「司法は生きていた」などと書かれた紙を掲げる原告側弁護団=鹿児島市の鹿児島地裁前で2024年1月15日、梅山崇撮影
 実際に桐生市の保護率を見ると、11年をピークに12年から反転し、現在はピーク時の半分まで受給世帯が減少しています。

 保護基準引き下げとセットで行われた法改正は、たとえば「被保護者の生活上の義務」として、「被保護者は(中略)収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り」としました。

 桐生市では受給者に家計簿をつけさせたことが問題になりましたが、桐生市は法的根拠として、この改正をあげています。

 国の動きとしても、15年4月から始まった生活困窮者自立支援制度には、家計簿をつけさせる家計管理事業(現・家計改善事業)があります。

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 13年に出された通知では、求職活動中の受給者に、求職活動状況報告書の提出を求めていて、書式にはハローワークに署名、押印をもらう欄があります。桐生市と同じやり方です。

個人の問題に
 ――こんなことになっているとは思いませんでした。

 ◆もちろん、桐生市は、国や県も否定するほど、やりすぎです。けれどもこのやり方は、13年以降の政策の延長線上にあります。

 背景にあるのは貧困の個人(問題)化です。「貧困に陥るのは、個人の家計のやりくりに問題があるからではないか」「ハローワークへ毎日行かない態度に問題があるのではないか」という考え方です。

群馬県桐生市の生活保護費不適切支給で、運用改善を求める要請書を市の担当者に手渡す仲道宗弘群馬司法書士会副会長(右)=桐生市役所で2023年11月21日、大澤孝二撮影
群馬県桐生市の生活保護費不適切支給で、運用改善を求める要請書を市の担当者に手渡す仲道宗弘群馬司法書士会副会長(右)=桐生市役所で2023年11月21日、大澤孝二撮影
 もともと、日本には貧困政策がなく、貧困「者」政策、困窮「者」政策しかありません。

 生活保護は、普通の市民が、保護を必要とする時期があるというだけのことです。

 しかし、誰にでも可能性があるリスクや時期として貧困を捉えるのではなく、生活保護受給者という特定の集団の問題であるかのように捉えてきました。

 13年以降は、それがより進んで、集団を徹底的にバラバラにして、特定の個人の問題にしようとしているのです。

 ――「生活保護を受けるのは、その人が悪い」ということでしょうか。

 ◆生活が苦しいことを個人のやりくりの問題にしてしまうのは大きな転換です。生活ができないのは、やりくりができないあなたが悪いと言うならば、生活保護費はいくらでも下げられることになってしまいます。


 だから、基準の引き下げと、生活保護受給者の義務や家計管理を強調する法制度の改正はセットなのです。

生活保護減額訴訟・名古屋高裁判決後の記者会見で記者の質問に答える内河恵一弁護団長=名古屋市中区で2023年11月30日、兵藤公治撮影
生活保護減額訴訟・名古屋高裁判決後の記者会見で記者の質問に答える内河恵一弁護団長=名古屋市中区で2023年11月30日、兵藤公治撮影
誰が中傷されているか
 ――桐生市の例を見ると不安を感じます。

 ◆桐生市と同じことを他の自治体がみな、やっているわけではありません。多くの現場で、寄り添いや伴走型支援が強調されるようになっています。

 しかし、そうした支援も含めて、個人を指導して支配しようとする考え方は、国の生活保護行政の延長線上にあります。

 桐生市福祉事務所の職員は、おそらく普通の人です。普通の人が、受給者に対して、人を人とも思わないような人権侵害をしています。

 特定の自治体の暴走ではなく、社会が傷み始めていることの表れかもしれません。

生活保護の支給日に窓口に並ぶ人たち=川崎市川崎区の大師福祉事務所で2017年8月2日、後藤由耶撮影
生活保護の支給日に窓口に並ぶ人たち=川崎市川崎区の大師福祉事務所で2017年8月2日、後藤由耶撮影
 生活保護の基準は、社会の抜けてはならない最低ラインを決めているものです。生活保護基準を下げることは、社会の最低ラインを最底辺へ近づけることです。

 生活保護を受けている人を中傷するのは、自分たちの社会を傷つけることです。

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