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生活保護者の集いコミュの生活保護の親族確認、自治体ごとにバラバラ なぜ72%もの大差?

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https://digital.asahi.com/articles/ASR4N5TKWR46UTNB00P.html?pn=13&unlock=1#continuehere

 生活保護申請を妨げる「壁」になっていると言われる扶養照会の「照会率」を全国の主要自治体で調べたところ、2021年度は自治体によって5・5%〜78%と大きな差があった。照会をするかどうかは自治体の裁量が大きいが、なぜこんなにバラバラなのか。

 扶養照会は、生活保護を申請した人や、利用が決まった人の3親等以内の親族に、仕送りなどの援助ができるかを問い合わせる仕組みで、親や子、きょうだいなどに照会する自治体が多い。生活が苦しくても「親族に知られたくない」と保護の申請をためらうことにつながりかねないとして、生活困窮者の支援団体などからは批判が強い。

長男なのに…顔向けできない 高齢の母に生活保護知られ、連絡絶った
 厚生労働省は、親族が高齢者や、長期間連絡をとっていないなど「扶養が期待できない」親族を例示し、その場合は照会しなくてもよいとしている。さらに21年2〜3月には、関係が悪いとみなす「音信不通」の期間を「20年」から「10年程度」とすることや、保護を受ける人が照会を拒んでいる場合は特に丁寧に聞き取ることなどを求める文書を自治体向けに出していた。

同意得られなければ照会を「保留」
 朝日新聞は、全国の県庁所在市、政令指定市と東京23区の計74市区を対象に扶養照会の実態を調べた。厚労省の文書の後、2021年度に保護の開始が決まった世帯に関して、照会の対象となる「扶養義務者」としてリストアップした親族の人数と、実際に照会をした人数のデータから「照会率」を算出した。算出できたのは59市区で平均は41・9%。ほかの市区はデータがそろわなかった。

 最も照会率が低かったのは中野区の5・5%で、リストアップした親族2009人のうち、照会したのは110人。次いで、水戸市の12・4%、足立区の17・6%が低かった。

 この3市区は、国が示す「扶養が期待できない親族」に該当しない場合でも、申請者が照会を拒んだ場合は、いったん照会を「保留」する取り扱いを導入していた。

 中野区は18年、申請者への聞き取りや扶養照会を一手に引き受ける「新規係」をつくった。申請者の同意を得てから照会するようにしたのもこのころだという。「本人が望まないのなら、無理に照会しない。広くやろうとするときりがないし反発もある」と話す。

 水戸市も「同意を得ないでトラブルになるのは避けたいし、扶養照会はケースワーカーにとってかなり負担になっている事実もある」。過去には、本人が同意して送ったにもかかわらず、照会を理由に親族との関係が悪くなった人がいたため、同意があっても市の判断で保留するケースもあるという。

 足立区の担当者も「無理に照会をしても受給者との関係を悪くするだけ」と話す。

「扶養が期待できない」場合の対応は
 逆に、照会率が最も高かったのは佐賀市の78・0%で、親族945人のうち737人に照会していた。2番目は品川区の73・0%、次いで宇都宮市の69・6%だった。

ここから続き
 佐賀市の担当者によると、従来、「扶養が期待できない」例に該当する親族でも、本人が同意すれば緊急時の連絡先の把握のために照会していたが、21年の厚労省の文書以降は原則照会していないという。ただ、緊急連絡先を確保する意味もあって、親族が極端に少なくかつ本人が同意した場合は照会を続けているという。

 一方、親族が「扶養が期待できない」例にあたらない場合でも、本人が強く拒んでいるときは照会しないこともあるという。

 品川区と宇都宮市は、「国の基準に従って聞き取り、判断している。照会率がほかの自治体より高い理由はよく分からない」とした。両自治体とも、「扶養が期待できない」例にあたらないと判断した親族については当事者の同意の有無にかかわらず照会しているが、「同意がないまま照会する例は少ない」としている。

 朝日新聞は、同様に20年度の照会率も調べた。計算できた63市区のうち、照会率が低かったのは水戸市6・5%、中野区14・8%、新宿区24・6%。高かったのは、名古屋市86・3%、品川区83・5%、徳島市82・8%だった。平均は48・9%だった。

 20年度から21年度の1年間で大きく照会率を減らした自治体もあった。もっとも減少幅が大きかったのは名古屋市で29・0ポイント。徳島市の25・8ポイント、江東区の23・5ポイントと続いた。

 名古屋市は、21年度の照会件数が20年度から4割減った。「音信不通」とみなす期間を厚労省の例示にならって10年に短縮したことなどから「扶養が期待できない」と判断した数が大幅に増えたことが大きいという。

「職員の考え方の違い」 要因か
 自治体でケースワーカーをしていた経験がある新潟大の中村健准教授(福祉学)は、自治体によって照会率がバラバラな要因について、都市と地方といった地理的な違いではなく、「職員の考え方など自治体の中で受け継がれてきた手法の違いが大きいのではないか」と指摘する。ケースワーカーが多忙で余裕がないことや職員の専門性が高めにくい環境にあることで、十分な検討をせずに照会してしまう自治体もあるという。

 また、福祉事務所の職員らでつくる「公的扶助研究会」の調査で「監査対策で照会している側面もある」と答えた自治体もあったことを踏まえ、照会すべきかの判断の適切さよりも実施状況に重点を置く国の監査についても問題視。「自治体に裁量がある今のやり方がうまくいっていないことは明らかだ。国は、本人の意向を無視した扶養照会をしないようにすることを明確に示すべきだ」と話した。(贄川俊、川野由起)

調査した74市区の照会率一覧
扶養照会の照会率(%)
※2021年度。()内は20年度。

●扶養義務者数のうち実際に照会した割合(未回答の項目があって集計できなかったところもある)

札幌市  32・2(42・8)

青森市    -(43・4)

盛岡市  48・4(59・7)

仙台市  32・7(39・8)

秋田市  49・6(53・8)

山形市  53・9(61・0)

福島市  56・7(65・4)

水戸市  12・4(6・5)

宇都宮市 69・6(75・5)

前橋市    -(66・3)

さいたま市33・9(40・6)

千葉市  48・3(54・3)

千代田区 33・3(43・5)

中央区  39・8(41・3)

港区   54・8(59・4)

新宿区  20・5(24・6)

文京区    -(-)

台東区    -(43・5)

墨田区  32・7(31・9)

江東区  34・0(57・4)

品川区  73・0(83・5)

目黒区  26・7(34・9)

大田区    -(-)

世田谷区 37・5(40・7)

渋谷区  35・9(48・0)

中野区  5・5(14・8)

杉並区  36・5(42・5)

豊島区    -(-)

北区     -(-)

荒川区    -(-)

板橋区    -(-)

練馬区  29・9(30・7)

足立区  17・6(29・5)

葛飾区  42・5(49・7)

江戸川区   -(-)

横浜市    -(-)

川崎市    -(74・5)

相模原市 36・3(37・0)

新潟市  48・9(60・9)

富山市  61・6(79・4)

金沢市  51・3(60・2)

福井市  46・7(57・9)

甲府市  34・6(43・9)

長野市  67・4(63・8)

岐阜市  63・7(73・3)

静岡市  48・4(52・2)

浜松市  68・6(74・6)

名古屋市 57・3(86・3)

津市   24・3(28・7)

大津市  29・5(25・3)

京都市  40・3(43・3)

大阪市  21・4(29・3)

堺市   36・2(39・5)

神戸市    -(-)

奈良市  46・8(49・5)

和歌山市 42・6(51・0)

鳥取市  38・9(29・3)

松江市  47・7(40・4)

岡山市  35・8(39・5)

広島市  25・4(29・7)

山口市  20・7(32・0)

徳島市  57・0(82・8)

高松市    -(-)

松山市  34・1(39・6)

高知市  46・8(42・3)

福岡市  37・1(42・5)

北九州市   -(-)

佐賀市  78・0(82・0)

長崎市  60・7(68・1)

熊本市  47・9(52・8)

大分市  50・2(61・3)

宮崎市  36・8(37・7)

鹿児島市 40・2(43・9)

那覇市  29・1(44・1)

平均   41・9(48・9)

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杉田菜穂
(俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
2023年4月30日12時0分 投稿
【解説】行政の仕事をさせていただいた際に、「人手不足で担当者は時間も余力もない」という生活保護の現場の状況を耳にしたことがある。現場の担当者は、保護が必要かどうか、必要ならどの程度のものかを判断するための状況把握だけでなく、(生活保護が開始されてからの)生活の変化に応じて適正な保護や支援を決定するための状況把握も行っている。それは生活保護制度が「適切に活用されなければ、このままでは生きていけない人たちの命にかかわる」一方で、「納税によって制度を支えている人たちの理解が得られるような運用でないと不公平感が広がってしまう」という非常に難しいバランスの上に成り立っているからである。現状では現場の担当者が追い込まれることのないやり方になっていないことが、この記事から見えてくる。

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清川卓史
(朝日新聞編集委員=社会保障、貧困など)
2023年4月30日12時0分 投稿
【視点】 生活保護申請の際、親族に仕送りなどの援助ができるかを問い合わせる「扶養照会」。照会率にこれほど大きな自治体による違いがあるという事実は、衝撃的でした。
 扶養照会に心理的な抵抗を感じる人は多く、申請をためらう要因になっていると指摘されています。その運用に違いがあるということは、言い換えれば、「最後の安全網」と言われる生活保護の利用のしやすさが、自治体によって違うということだからです。
 生活保護制度の基本的な原理のひとつに、「国家責任の原理」があります。憲法に基づいて最低限度の生活を国が保障する制度において、利用しやすさが自治体によって違うというのは、とてもおかしなことだと思います。
 自治体職員からみても扶養照会をする事務作業の負担は決して軽いものではありません。それなのに、実際に経済的な援助につながる割合は極めて低いことが、朝日新聞の調査で明らかになっています。申請の「壁」となる扶養照会のあり方を見直すとともに、自治体による窓口格差を生じないような国の対応が求められていると思います。

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