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QMA学習塾コミュの百人一首

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百人一首一覧とその現代語訳を載せていきます。

コメント(20)

1.秋の田のかりほの庵のとまをあらみわかころもては露にぬれつゝ (天智天皇)
(秋の田のほとりの仮小屋に宿っていると、草葺きの屋根の編み目が粗いので、私の袖は露に濡れてゆくばかりである。)

2.春すきてなつきにけらし白妙のころもほすてふあまのかく山   (持統天皇)
(春が過ぎて夏がやってきたらしい。夏になると白い衣を干すという天の香具山に、あのように白い衣が干してあるよ。)

3.あし引きの山鳥の尾のしたりおのなかなかし夜をひとりかもねん (柿本人麻呂)
(山鳥の長くたれ下がっている尾のような、長い長い夜をただひとりで寝ることになるのだろうかなあ。)

4.田子の浦にうち出てみれはしろたへの冨士のたかねに雪はふりつつ(山部赤人)
(田子の浦に出てながめてみると、富士の山の高い頂きに、まっ白に雪が降り積もっている。)

5.おく山にもみち葉ふみ分なく鹿の声きく時そあきはかなしき   (猿丸大夫)
(人里離れた深い山で、散りしいた紅葉を踏み分けて鳴いている鹿の声を聞く時、ひとしお秋は悲しく感じられる。)
6.かさゝきのわたせる橋にをく霜のしろきをみれは夜そ深にける  (大伴家持)
(かささぎのかけ渡した橋と伝える宮中の御橋におりている霜の白いのを見ると、もう夜もだいぶ更けてしまったことだなあ。)

7.天の原ふりさけみれはかすかなるみかさの山にいてし月かも   (阿倍仲麻呂)
(大空をはるかにながめやると、月が美しく上っているが、春日の三笠の山にかつて出た月だろうかなあ。)

8.わか庵は宮このたつみしかそすむ世をうち山と人はいふなり   (喜撰法師)
(私の庵は都の東南にあって、このように心しずかに住んでいる。それなのに世間の人たちは、私は世の中を住みづらく思って住む宇治山だと言っているようだ。)

9.花の色はうつりにけりないたつらにわか身世にふるなかめせしまに(小野小町)
(花の色はすっかり色あせてしまった。春の長雨が降っていた間に。そして、私の容色も衰えてしまった。生きていることの空しいもの思いをしていた間に。)

10.これや此ゆくもかへるもわかれてはしるもしらぬもあふ坂の関  (蝉丸)
(これがあの、諸国に旅立つ人も京に帰る人も、知っている人も知らない人も、別れてはまた逢うという、逢坂の関ですよ。)
11.和田の原やそ嶋かけてこき出ぬと人にはつけよあまのつり舟   (小野篁)
(海上はるかに、数多くの島々を目指して漕ぎ出して行ったと、都の人に告げてくれ、あまの釣舟よ。)

12.あまつ風雲のかよひ路吹とちよ乙通女のすかたしはしとゝめむ  (僧正遍昭)
(空を吹く風よ。雲の中の通り路を吹きとざしてくれ。天女の舞姿をもうしばらく地上にひきとめておきたいと思うから。)

13.つくはねのみねよりおつるみなのかは恋そつもりて渕となりける (陽成院)
(筑波嶺の峰から流れ落ちるみなの川が、しだいに水量を増してやがて深い淵となる。それと同じように、私の恋もだんだん物思いが積もり積もって、今はその深い淵のようになってしまった。)

14.みちのくのしのふもちすり誰ゆへにみたれそめにし我ならなくに (源融)
{しのぶもじずり(の乱れ模様)のように、(あなたよりほかの)誰のために思い乱れ始めてしまった私ではないものなのに(皆あなたのためである)。}

15.君かため春の野にいてゝ若菜つむわかころも手に雪はふりつゝ  (光孝天皇)
(あなたのために春の野に出て若菜を摘む私の袖に、雪がしきりに降りかかっていることだ。)
16.立わかれいな葉の山の嶺におふるまつとしきかはいまかへりこむ (在原行平)
(別れて行ったとしても、行く先の因幡の国の稲葉山の峯に生えている「まつ」という名のように、あなたが待っていると聞いたならば、すぐに帰ってこよう。)

17.千はやふる神代もきかすたつた河からくれなゐに水くゝるとは  (在原業平)
(不思議なことの多い神代にも聞いたことがない。竜田川が唐紅色に水をくくり染めにしているということは。)

18.すみの江の岸による浪よるさへや夢のかよひ路人めよくらむ   (藤原敏行)
{住の江の岸による波の「よる」という言葉ではないが、(昼はともかく、どうして)夜まで、夢の中の通い路で、人目を避けるのだろうか。}

19.難波かたみしかき芦のふしのまもあはて此世をすくしてよとや  (伊勢)
(難波潟に生えている芦の、短い節と節との間のような、ほんのわずかな短い間さえ、逢わないで、この世を過ごせとあなたは言うのですか。)

20.侘ぬれはいまはたおなしなにはなる身をつくしてもあはむとそ思 (元良親王)
(このようにつらく悲しい思いでいるからには、今も身を捨ててしまったと同じことだ。いっそ難波にある澪標ではないが、身を捨ててもあなたに逢おうと思う。)
21.いまこむといひしはかりに長月のあり明の月をまち出つるかな   (素性法師)
(すぐにまた来ようと言ったばかりに、この九月の長い夜を待っているうちに、有明の月が出てきてしまったことだ。)

22.吹からに穐のくさ木のしほるれはむへやまかせをあらしといふらむ (文屋康秀)
(それが吹くと、秋の草木がしおれるので、それでなるほど、山風を、あらしと言うのであろう。)

23.月みれは千ゝに物こそかなしけれわか身ひとつの秋にはあらねと  (大江千里)
(月を見ると、あれこれと限りもなく物事が悲しく感じられる。私一人のために来た秋ではないのだけれど。)

24.此たひはぬさもとりあへす手向山紅葉のにしき神のまにまに    (菅原道真)
{この度の旅は、(あまりの紅葉の美しさに)幣を捧げることもできない。どうぞ、この手向山の紅葉の錦を手向の幣として、神の御心のままに(お受けください)。}

25.名にしおはゝ相坂山のさねかつら人にしられてくるよしもかな   (藤原定方)
{(逢うということばを)その名として持っているならば、逢坂山のさねかずら(を操るように)人に知られないで来る手立てがあってくれればよいなあ。}
26.をくら山みねのもみち葉心あらはいまひとたひのみゆきまたなむ (藤原忠平)
(小倉山の峰のもみじ葉よ、お前にもし心があるならば、もう一度の行幸のあるまで散らずに待っていてほしい。)

27.みかの原わきてなかるゝいつみ河いつみきとてか恋しかるらむ  (藤原兼輔)
{みかの原を分けて湧き出て流れ下るいづみ川ではないが、私は一体、いつ見たというので、(このように)恋しいのだろうか。}

28.山さとは冬そさひしさまさりける人めも草もかれぬと思へは   (源宗于)
(山里というものは、冬になると、ひとしお、淋しさがまさって感じられることだ。人も全く訪ねて来なくなり、草も枯れてしまうと思うので。)

29.心あてにおらはやおらむ初霜のをきまとはせるしら菊の花    (凡河内躬恒)
(祈るならば、あて推量に祈ってもみようか。初霜が一面において、見分けもつかなくしている、白菊の花をば。)

30.有明のつれなく見えし別よりあかつきはかりうき物はなし    (壬生忠岑)
(有明の月が無情に空にかかっていた時、その月のように、あなたの無情に見えた別れ以来、夜明けほど、つらくいやなものはない。)
31.朝ほらけあり明の月とみるまてによし野の里にふれるしら雪 (坂上是則)
(ほのぼのと夜の明けてゆく頃、明け方の月の光かと思うほどに、吉野の里に降っていた白雪だなあ。)

32.山河に風のかけたるしからみはなかれもあへぬ紅葉なりけり (春道列樹)
(山川に風のかけたしがらみは、流れることもできないでひっかかっている紅葉だったのだなあ。)

33.久かたの光のとけき春の日にしつこゝろなく花の散らむ   (紀友則)
(日の光ののどかな春の日であるのに、どうして落ち着いた心もなく桜の花は散るのであろうか。)

34.誰をかもしる人にせむ高砂の松もむかしの友ならなくに   (藤原興風)
{(年老いた私は)一体、誰を友としようか。(高砂の松の他に、私と同じように年をとった物はないが)高砂の松も、昔からの友ではないものを。}

35.人はいさ心もしらす故郷は花そむかしの香にゝほひける   (紀貫之)
(人の心は、変わったか変わらないか分からない。しかし、昔なじみのこの里は、梅の花が、昔のままの香りで、美しく咲いていることだ。)
36.夏の夜はまたよひながら明ぬるを雲のいつくに月やとるらむ (清原深養父)
(短い夏の夜は、まだ宵のままだと思っているうちに、もう明けてしまったが、一体、雲のどのあたりに、月は宿るのだろうか。)

37.しら露に風の吹しく穐の野はつらぬきとめぬ玉そ散ける   (文屋朝康)
(白露に風がしきりに吹いている秋の野は、緒で貫きとめない玉が、散り乱れるようだったなあ。)

38.忘らるゝ身をは思はすちかひてし人の命のおしくもあるかな (右近)
{忘れられる私自身のことは何とも思わない。ただ、(神かけていつまでもと)誓ったあなたの命が(神罰を受けないかと)惜しく思われることだ。}

39.あさちふのを野のしの原忍れとあまりてなとか人のこひしき (源等)
(小野の篠原のしのではないが、私は忍んでいるけれど、忍びきれないで、どうしてこんなにあなたが恋しいのだろうか。)

40.しのふれと色に出にけりわか恋は物やおもふと人のとふまて (平兼盛)
{私の恋は、(人に知られないように)ひそかに隠していたけれど、とうとう顔色に現れてしまったよ。何か物思いをしているのかと、人が尋ねるまでに。}
41.恋すてふわか名はまたき立にけり人しれすこそおもひそめしか   (壬生忠見)
(恋をしているという、私の評判は、早くも立ってしまったよ。人知れず、ひそかに思いそめたのであったのに。)

42.契きなかたみに袖をしほりつゝすゑの松山なみこさしとは     (清原元輔)
{固く約束したのでしたね。互いに袖(の涙)をしぼりながら、「末の松山を波がこさないように、決して心変わりしない」とね。}

43.あひみての後の心にくらふれはむかしは物もおもはさりけり    (藤原敦忠)
(逢って見て後の、この恋しい思いに比べると、以前は、何も恋しい思いをしなかったようなものだなあ。)

44.あふ事のたえてしなくは中ゝに人をも身をもうらみさらまし    (藤原朝忠)
{もし、逢うことが全くないなら、かえって、(今の私のように、)人や我が身を恨んだりはしないであろうに。}

45.あはれともいふへき人はおもほえて身のいたつらになりぬへきかな (藤原伊尹)
{(私が死んでも)かわいそうだと言ってくれる人が、あるとも思われないので、このまま(切ない片思いで)むなしく死んでしまうに違いないことだな。}
46.ゆらの戸をわたる舟人かちをたえ行ゑもしらぬ恋の道かな    (曽祢好忠)
(由良の瀬戸を渡る舟人が、舵をなくして、行く先も知れず漂うように、どうなって行くのか、なりゆきも分からない、わが恋の道であるよ。)

47.八重むくらしけれる宿のさひしきに人こそみえねあきは来にけり (恵慶法師)
(葎の茂った、寂しいこの宿に、人は誰も訪ねて来ないが、秋だけはやってきたことよ。)

48.風をいたみ岩うつ波のをのれのみくたけて物をおもふ比かな   (源重之)
{風がひどいために、岩を打つ波の(自分だけ砕けて散る)ように、私一人だけ千々に心が砕けて物を思い悩むこの頃だなあ。}

49.御垣もり衛士のたく火の夜はもえひるはきえつゝものをこそ思へ (大中臣能宣)
(宮中の御門を守る衛士のたくかがり火のように、私は、夜は胸の炎を燃やし、昼は消え入るばかりになって、あれこれ、物思いに悩んでいる。)

50.君かためおしからさりし命さへなかくもかなとおもひけるかな  (藤原義孝)
{あなたに逢うためなら、少しも惜しくはなかったこの命までが(逢った今は)長くあってほしいと思うようになったことだなあ。}
51.かくとたにえやはいふきのさしも草さしもしらしなもゆるおもひを (藤原実方)
(このように思っているとだけでも言うことができないでいるのですから、まして、伊吹山のさしも草のように燃える私の思いを、あなたはよもや知らないでしょうね。)

52.明ぬれはくるゝ物とはしりなから猶うらめしきあさほらけかな   (藤原道信)
{夜が明ければ、やがてまた日が暮れる(またあなたに逢える)とは知りながらも、やはり恨めしい夜明けだなあ。}

53.なけきつゝひとりぬる夜の明るまはいかにひさしきものとかはしる (藤原道綱母)
{嘆き嘆きしてひとりで寝る夜の明けるまでの間は、どんなに長いものか知っていますか(知らないでしょうね)。}

54.わすれしのゆくすゑまてはかたけれはけふをかきりの命ともかな  (儀同三司母)
(いつまでも忘れまいとおっしゃるそのお言葉が、将来まで変わらないことは難しいので、そのお言葉をうかがった今日を最後とする私の命であってほしいものです。)

55.滝のをとはたえて久しく成ぬれと名こそなかれて猶きこえけれ   (藤原公任)
(滝の音は聞こえなくなってから、長い年月が経ったけれど、その名は世に流れ伝えられて、今でも鳴りわたっていることだ。)
56.あらさらむ此世のほかのおもひ出にいまひとたひのあふ事もかな  (和泉式部)
(まもなく私は死んでしまうでしょうが、その死後のあの世への思い出として、もう一度あなたにお逢いしたいものです。)

57.めくりあひてみしやそれともわかぬまに雲かくれにし夜半の月かけ (紫式部)
(久しぶりにめぐりあって、その人かどうか見分けがつかないうちに、雲に隠れてしまった夜半の月のように、あわただしくお帰りになったのは、本当に残念でした。)

58.ありま山ゐなのさゝ原風ふけはいてそよ人をわすれやはする    (大弐三位)
{有馬山の近くの、猪名の笹原に風が吹くと、そよそよと音がする。さあ、それですよ。(お忘れになったのはあなたの方で)私はどうしてあなたのことを忘れるでしょうか。}

59.やすらはてねなまし物をさ夜深てかたふくまての月をみしかな   (赤染衛門)
{(来ないと分かっていたら)ためらわずに寝てしまったでしょうに。待っているうちに夜が更けて、西に傾くまでの月を見たことですよ。}

60.おほえ山いく野の道の遠けれはまたふみもみすあまの橋たて    (小式部内侍)
(大江山を越え、生野を通って行く道が遠いものですから、まだ天の橋立を踏んでみたこともなく、まだ、母からの手紙も見ていません。)
61.いにしへのならの都のやへさくらけふこゝのへにゝほひぬるかな (伊勢大輔)
(昔の奈良の都の八重桜が、今日は九重の宮中で、ひときわ美しく咲き誇っていることですよ。)

62.夜をこめて鳥の空ねははかるとも世に相坂の関はゆるさし    (清少納言)
(夜の明けないうちに鶏の鳴き声をまねてだまそうとしても、あの函谷関ならばともかく、この逢坂の関は決して逢うことを許さないでしょう。)

63.いまはたゝおもひ絶なむとはかりを人つてならていふよしもかな (藤原道雅)
(今となっては、ただ、思いきってしまおうとだけを、人づてでなしに、直接に逢って言う手立てが、あってほしいものだ。)

64.朝ほらけ宇治の河霧たえたえにあらはれわたるせゝのあしろ木  (藤原定頼)
(ほのぼのと夜が明ける頃、宇治川の川霧がとぎれとぎれになって、次第に現れてくる川瀬川瀬の網代木よ。)

65.恨わひほさぬ袖たにある物を恋に朽なむ名こそおしけれ     (相模)
(人のつらさを恨み、身の不運を思い悲しんで、涙にかわく暇もない袖が、朽ちてしまうことさえあるのに、その上、恋のために、私の名までが朽ちてしまうということは、まことに惜しいことです。)
66.もろともにあはれとおもへやま桜花よりほかにしる人もなし   (行尊)
(私がお前をなつかしく思うように、お前も私をなつかしく思ってくれ、山桜よ。今の私には、お前より他に全く知る人はいないのだ。)

67.春の夜の夢はかりなる手枕にかひなくたゝむ名こそおしけれ   (周防内侍)
(短い春の夜の夢のような、はかない手枕のために、つまらなく立つ浮名が、まことに惜しいことです。)

68.こゝろにもあらてうき世になからへは恋しかるへき夜半の月かな (三条院)
(心ならずも、このつらい世に生きながらえていたなら、きっと恋しく思い出されるに違いない、この夜更けの月であるよ。)

69.あらし吹みむろの山の紅葉ゝはたつ田の川のにしきなりけり   (能因法師)
(嵐の吹きおろす三室の山のもみじ葉は、竜田川の錦なのだった。)

70.さひしさに宿をたち出てなかむれはいつくもおなし穐の夕暮  (良暹法師)
(あまりの寂しさのために、庵を出て眺め渡すと、どこもかしこも同じだ。この秋の夕暮は。)
71.ゆふされは門田のいな葉をとつれてあしのまろ屋に秋かせそ吹(源経信)
(夕方になると、家の前の田の稲葉を、そよそよと音をさせて、葦ぶきの田舎家に秋風が吹いてくる。)

72.をとに聞たかしの浜のあた波はかけしや袖のぬれもこそすれ (祐子内親王家紀伊)
(噂に高い高師の浜のあだ浪ではないが、浮気で名高いあなたの言葉には、かかりあわないことにしましょう。浪に袖が濡れるように、泣いて袖を濡らすようなことが、きっとあるでしょうから。)

73.高砂の尾のへのさくら開にけり外山のかすみたゝすもあらなむ(大江匡房)
{はるかな高い山の峯の桜が咲いたことだ。(それが見えなくなると困るから、)人里近い山の霞よ、どうか立たないでほしい。}

74.うかりける人を初瀬の山おろしよはけしかれとは祈らぬものを(源俊頼)
(私がつらく思った人を、私になびかせて下さいと初瀬の観音に祈りこそしたが、初瀬の山おろしよ、お前のように、ますますつらさが激しくなるようにとは祈りはしないのに。)

75.契をきしさせもか露を命にてあはれことしのあきもいぬめり (藤原基俊)
(お約束して下さった「させも草」という恵みの露のようなお言葉を命とも頼んできましたが、その甲斐もなく、ああ、今年の秋もむなしく過ぎていくようです。)
76.わたの原こきいてゝみれは久かたの雲井にまかふおきつしら波(藤原忠通)
{大海原に舟を漕ぎ出して見渡すと、(はるかの彼方は、空と海とが一つになって)雲と見まがうばかりに沖の白波が立っていることだ。}

77.瀬をはやみ岩にせかるゝ滝川のわれてもすゑにあはむとそ思 (崇徳院)
(川瀬の流れが早いために、岩にせきとめられる滝川が二つに分かれてもまたあうように、人と別れても、末にはまた逢おうと思う。)

78.あはち嶋かよふ千鳥のなく声にいく夜ねさめぬすまの関守  (源兼昌)
(淡路島の方から、飛び通ってくるこの千鳥の鳴く声のために、幾夜、目を覚ましたことであろうか、須磨の関守は。)

79.秋風にたなひく雲のたえまよりもれいつる月の影のさやけさ (藤原顕輔)
(秋風に、たなびいている雲の切れ間から、漏れて出る月の光の、何という澄みきった明るさであろう。)

80.なかゝらん心もしらすくろ髪のみたれてけさは物をこそ思へ (待賢門院堀河)
(末長く変わらないお心かも知らないけれど、逢って別れた今朝は、寝乱れた黒髪のように、心が乱れて、色々と物思われることです。)
81.ほとゝきすなきつるかたをなかむれはたゝあり明の月そのこれる (藤原実定)
{時鳥の鳴いた方を眺めると、(明け方の空には)ただ有明の月だけが残っている。}

82.おもひわひさても命はあるものをうきにたへぬはなみたなりけり (道因法師)
(つれない人を思い嘆いて、それでも命はこうしてあるのに、つらさに堪えないでこぼれ落ちるのは涙だったよ。)

83.世中よ道こそなけれおもひいる山のおくにも鹿そ鳴なる     (藤原俊成)
{ああ、この世の中には逃れる道はないものだ。深く思いつめて入った山の奥にも(やはり悲しさがあるのか)鹿が鳴いているようだ。}

84.なからへは又此ころやしのはれむうしとみし世そいまは恋しき  (藤原清輔)
{生きながらえていたならば、また(辛いことの多い)この頃が、懐かしく思い出されることだろう。かつては辛いと思った昔の時代が、今では恋しく思われるのだ。}

85.夜もすから物おもふころは明やらぬね屋のひまさへつれなかりけり(俊恵法師)
{一晩中(つれない人を思って)物思いをしている頃は、(早く明ければよいと思う夜も)なかなか明けないで、(容易に白まない)寝間の戸の隙間までが、つれなく思われるのだった。}
86.なけゝとて月やは物をおもはするかこちかほなるわかなみたかな(西行法師)
{嘆けといって、月が私に物思いをさせるのであろうか。いや決してそうではない。(それなのに)月のせいでもあるかのようにして流れる私の涙であるよ。}

87.むら雨の露もまたひぬ槇の葉に霧たちのほる穐のゆふ暮    (寂蓮法師)
{むら雨のしずくもまだ乾かない真木の葉の辺りに、霧が立ちのぼっている、(寂しい)秋の夕暮だなあ。}

88.難波江の芦のかりねの一夜ゆへ身をつくしてや恋わたるへき  (皇嘉門院別当)
{難波の入江の、芦の刈り根の一節のような、短い一夜の旅の仮寝のために、(入江の)澪標ではないがこの身をささげて恋い続けなければならないのだろうか(私はどうしても忘れることはできません)。}

89.玉のをよたえなはたえねなからへはしのふる事のよはりもそする(式子内親王)
(私の命よ、絶えるのなら絶えてしまえ。このまま生きながらえていくならば、こらえ忍ぶ心が弱まってしまうから。)

90.みせはやなをしまのあまの袖たにもぬれにそぬれし色はかはらす(殷富門院大輔)
{(血の涙で色変わりした私の袖を)お見せしたいものですよ。(あの)雄島の漁夫の袖でさえ、ひどく濡れた(にしても)色は変わりません(のに)。}
91.きりきりすなくや霜夜のさむしろにころもかたしきひとりかもねん(藤原良経)
(こおろぎのしきりに鳴いている、この霜夜の寒々としたさ筵に、自分は衣の片方の袖を敷いて、ただひとり寝ることかなあ。)

92.わか袖は塩干にみえぬおきの石の人こそしらねかはくまもなし  (二條院讃岐)
{私の袖は、引き潮の時にも(海中に隠れて)見えない沖の石のように、人は知らないだろうが、(涙で)乾く間もありません。}

93.世中はつねにもかもな渚こくあまのをふねの綱手かなしも    (源実朝)
{世の中は永遠に変わらないものであってほしいなあ。海辺近く漕いでわく漁夫の小舟の、引き網(を引いてゆく様子)は、身にしみて心がひかれることだ。}

94.みよし野の山の秋風さ夜ふけて故郷さむくころもうつなり    (藤原雅経)
(吉野の山の秋風に、夜もふけて旧い都のあった里は寒く、寒々と衣を打つ音が聞こえてくる。)

95.おほけなく浮世の民におほふかなわかたつ杣に墨染の袖     (慈円)
(身の程知らずのことだが、私は僧として、この辛い世の中で苦しんでいる人々の上に、覆いをかけたいのだ。この比叡山に住み始めてから身に付けている墨染めの衣の袖を。)
96.花さそふあらしの庭の雪ならてふり行ものはわか身なりけり   (藤原公経)
(花を誘って散らす嵐吹く庭の、雪のように降る桜ではなくて、本当に古びていくのは、我が身なのであった。)

97.こぬ人をまつほの浦の夕なきにやくやもしほの身もこかれつゝ  (藤原定家)
(いくら待っても来ない人を待ち続けている私は、松帆の浦で夕凪の時刻に焼く海藻が焼け焦げるように、身も焦げるほど思い続けているよ。)

98.風そよくならのを川の夕暮はみそきそなつのしるしなりける   (藤原家隆)
(風がそよいでいる楢の葉と同じ音の、このならの小川の夕暮れは、もうすっかり秋の気分だが、六月末の祓えの行事が行われているのが、まだ夏だという証拠なのであった。)

99.人もおしひともうらめしあちきなく世をおもふゆへに物おもふ身は(後鳥羽院)
(時には人をいとおしく思い、時には人を恨めしく思う。思うようにならずつまらないとこの世を思うところから、様々な物思いをする我が身は。)

100.百敷やふるき軒はのしのふにもなをあまりあるむかしなりけり  (順徳院)
(宮中の、古い建物の軒先に生えている、しのぶ草を見るにつけても、いくらしのんでもしのびつくせない、昔の朝廷の栄えた時代だなあ。)

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